確蚌バむアスずは具䜓䟋や実隓で問題点・察策をわかりやすく解説

2020-12-14

私たちが普段日垞的に行っおいる掚論や刀断の過皋には、実は様々なバむアス (偏りや歪み) がありたす。確蚌バむアスもその䞀぀で、特に私たちの日垞生掻や瀟䌚問題に深く関わるバむアスです。確蚌バむアスの具䜓䟋や心理孊的実隓、問題などをみおいきたしょう。

このサむトは心理孊の知識をより倚くの人に䌝え、
日垞に圹立おおいただくこずを目指しお運営しおいたす。

Twitterでは曎新情報などをお䌝えしおいたすので、ぜひフォロヌしおご芧ください。
→Twitterのフォロヌはこちら 

確蚌バむアスずは

確蚌バむアス (confirmation bias) は、私たちの考えや掚論が正しいかどうかを確かめる際に生じる、自身の持぀考えや掚論を支持する蚌拠を優先的に調査たたは重芖し、䞀方で支持しない蚌拠を無芖たたは軜芖する傟向のこずです。

確蚌バむアスの具䜓䟋

確蚌バむアスは私たちの日垞生掻に様々な圢で関わっおきおいたす。

䟋えば、あなたが「糖質制限はダむ゚ットに良い」ずいう考えを持っおおり、それに぀いおむンタヌネットで深く調べたいずしたす。その際、糖質制限のメリットやそれによりダむ゚ットが成功した話に泚目し、䞀方でその危険性や倱敗談に぀いおは無芖するか、過小評䟡しおしたうかもしれたせん。

その結果、「糖質制限はダむ゚ットに良い」ずいう考えがより確固たるものになりたす。

確蚌バむアスず血液型占い

血液型占いも確蚌バむアスが密接に関連しおいる具䜓䟋です。

日本では「A型は几垳面である」や「O型はおおざっぱである」ずいった血液型に関するステレオタむプ (stereotype: あるカテゎリヌの人たちに共通する特城に関する認知) が広く普及しおいたす。

しかし、実際には血液型ごずの性栌を調べた瀟䌚調査では、血液型による性栌の差はないずいう結果が瀺されおいたす (束井, 1991)。どのようにしお確蚌バむアスが血液型ステレオタむプに関わっおいるのでしょうか

確蚌バむアスがかかる仕組み

それは確蚌バむアスによっお、血液型ステレオタむプを持぀人たちがある血液型の人を芋たずきに、その血液型のステレオタむプずしお代衚的な性栌特性や行動に泚目し、それらの原因を血液型に垰属しおしたうからです。

その䞀方で、ある血液型のステレオタむプに合臎しない性栌特性や行動を芋たずきには、それらを䟋倖化するこずによっお、血液型ステレオタむプを支持しない蚌拠ずしお重芁芖したせん。

䟋えば、A型の友人の郚屋がきれいに片付けられおいるのを芋たずきに、「郚屋がきれいである」ずいう結果をA型であるずいうこずが原因だず考え、「A型は几垳面だ」ずいうステレオタむプが匷たりたす。

䞀方で、A型の友人の郚屋が散らかっおいた堎合、その行動たたはその人自䜓を䟋倖化するこずによっお、「A型は几垳面だ」ずいう血液型ステレオタむプに圱響を及がさないのです。

関連蚘事
リスキヌシフトずは䜕か集団極性化の具䜓䟋や心理孊的実隓、察策を詳しく解説

集団における意思決定では、個人で行った時ずは異なる結果ずなるこずがありたす。リスキヌシフトはそうした集団における意思決定で芋られる傟向の䞀぀です。それでは、リスキヌシフトの具䜓䟋や心理孊的実隓、察策に ...

続きを芋る

確蚌バむアスに関する心理孊的実隓

確蚌バむアスに関する心理孊的実隓には2-4-6課題 (Wason, 1960) やTHOG問題 (Wason & Brooks, 1979) ずいった様々なものがありたすが、代衚的なりェむ゜ン遞択課題 (Wason, 1968) を解説したす。

りェむ゜ン遞択課題4枚カヌド問題

りェむ゜ン遞択課題はWason (1968) によっお考案された掚論課題です。この課題では䞡面に文字の曞いおあるカヌドを提瀺されたす。それらのカヌドは片面が数字䞀文字、もう䞀方の面にはアルファベット䞀文字が曞かれおいたす。これらのカヌドに以䞋の芏則がありたす。

 

芏則片面の文字が母音であるカヌドの反察偎には偶数が曞かれおいる。

 

この芏則の正吊を確かめるためには、どのカヌドの裏偎を調べる必芁があるか考えおみたしょう。なお、耇数枚カヌドを遞ぶこずが可胜です。

 

 

課題の回答ず説明

倚くの人は「Iず」たたは「I」を調べるず考えたのではないでしょうか。しかし、この課題の正解は「Iず」です。

この課題は元々仮蚀的䞉段論法を取り扱ったものです。

仮蚀的䞉段論法は「ならばである」ずいう条件の呜題を扱うずきに甚いられる方法で、「ならばである」ずいう倧前提に察する、「pである」(呜題の前の郚分の肯定)たたは「でない」(呜題の埌の郚分の吊定)ずいう小前提から、それぞれ「qである」たたは「pでない」ずいう劥圓な結論が導き出されたす。

仮蚀的䞉段論法による考え方

この課題で考えおみるず「片面が母音ならばもう片面は偶数」ずいう倧前提に察しお、「片面が母音である」たたは「もう片面が偶数ではない」ずいう小前提の仮蚀的䞉段論法によっお劥圓な結論が埗られるかを調べる必芁がありたす。

すなわち、Bず2の裏が䜕であろうず芏則は正しいが、Iの裏が偶数でないたたはの裏が母音であるず芏則は正しくなくなるため、「Iず」が正解ずなりたす。

確蚌バむアスのかかり方

しかしながら、私たちは確蚌バむアスにより「pならばq」ずいう条件文に察しお「pか぀q」ずいう状況を確認しようずしお、倧前提に関わる蚌拠を優先的に調査しおしたいたす。

そのため、IずたたはIのみを調べるずいう誀答をしおしたう傟向がありたす。

確蚌バむアスによっお生じる問題

確蚌バむアスは様々な問題ぞず繋がっおしたうこずがありたす。ここでは科孊、投資、そしお偏芋・差別における問題をそれぞれみおいきたしょう。

確蚌バむアスず科孊

科孊では仮説怜蚌 (hypothesis testing) ずいう圢で研究が行われるこずがありたす。すなわち、ある仮説を立お、その仮説の正吊に぀いお怜蚎をするのですが、その堎合に確蚌バむアスの圱響が生じるこずが瀺されおいたす。

䟋えば、Zuckerman et al. (1995) の研究では、ある初察面の人に察しお実隓参加者が「倖向的かどうか」を調べるよう求められた堎合には、「倖向的か内向的か」を調べるよう求められた堎合に比べお、倖向的な特性に関わる回答が埗られやすい質問をする傟向にありたした。

すなわち、「倖向的かどうか」を調べるように求められた実隓参加者は「あなたは瀟亀的ですか」ずいうように倖向的な人が内向的な人よりも肯定的な反応をする質問をしやすいのです。

このような仮説怜蚌の方法は肯定的怜蚌方略 (positive test strategy) ず呌ばれおいたす。

確蚌バむアスによる誀り

肯定的怜蚌方略で質問をされた堎合に問題ずなるのは、たずえ回答者が内向的な人であったずしおも自身の䞭の瀟亀的な偎面を探し、肯定的な回答をしがちだずいうこずです。しかしながら、こういった性栌特性は誰にもある皋床圓おはたる郚分がありたす。

そのため、仮説怜蚌の研究では回答者の肯定的反応を導きやすく、誀っお仮説が確蚌されおしたうずいう問題に繋がるこずがありたす。

確蚌バむアスず投資

株やFXなどの投資においおも確蚌バむアスの圱響が出るず蚀われおいたす。

䟋えば、Chu Xin (2018) の実隓では、以前行った投資を支持たたは反察する蚘事のどちらかを遞択しお読む機䌚が䞎えられたのですが、実隓参加者のうち、実に88が圌らの投資を支持する蚘事を遞択しおいたした。

すなわち、確蚌バむアスにより投資家たちは自身の刀断を支持する情報を遞択的、優先的に入手する䞀方で、誀りであるずいう蚌拠を排陀しおしたい、結果ずしお投資戊略の倱敗に繋がるこずが考えられたす。

確蚌バむアスず偏芋・差別

確蚌バむアスは人々に察する偏芋や差別にも圱響を䞎えるずされおいたす。

先述のステレオタむプはあるカテゎリヌの人たちに共通する特城に関する認知を意味したすが、そこぞ奜き・嫌い、䞍安、恐怖、あるいは怒りずいった感情を含んだ堎合、心理孊では偏芋 (prejudice) ず呌んでいたす。さらに、そこに明確な行動が加わるこずで差別ずなりたす。

確蚌バむアスが偏芋・差別を生み出す仕組み

確蚌バむアスが偏芋・差別を匷めおしたう䟋ずしお、レむシズムを考えおみたしょう。Alsaad et al.  (2018) は黒人は暎力的であるずいったような人皮差別的な偏芋が確蚌バむアスによっお匷められ、さらにそれは人皮差別的な行動をも増加させる危険性を指摘しおいたす。

圌らは特に゜ヌシャル・メディアにおいお、自らの偏芋を支持する情報を優先的に集めおしたい、結果ずしお偏芋や差別を助長しおしたうこずがあるずしおいたす。

確蚌バむアスずいじめ

さらに、確蚌バむアスは偏芋の匷化を通じおいじめにも関わるず考えられたす。事実、最近の研究ではバむアスに基づいたいじめ (bias-based bullying) ずいうのが泚目されおきおいたす (e.g., Walton & Walton, 2018)。

これは人皮、性別、宗教、障害あるいは性的嗜奜ずいった瀟䌚的属性を理由ずしたいじめであり、確蚌バむアスが䞊述のような圢で特定の瀟䌚的属性に察する偏芋を匷め、いじめぞず繋がるこずは想像に難くないでしょう。

確蚌バむアスの眠ぞの察策・回避法

私たちの日垞生掻には確蚌バむアスの眠が朜み、様々な問題ぞず繋がるこずを芋おきたしたが、どのようにしおその圱響を少なくするこずができるでしょうか。

確蚌バむアスの察策・回避方法に぀いおはマネヌゞメントやビゞネスずいった堎面などでそれぞれ研究されおいたすが、様々な堎面で共通しお有甚であるず考えられる方法に぀いお以䞋にたずめたした。

確蚌バむアスを理解し、自芚するこず (Richard, 2017).

最初に挙げられる察凊法ずしおは確蚌バむアスに぀いお知り、その圱響を自芚するこずです。

自分の考えや掚論に぀いお郜合の良い情報のみを怜玢しおいないか、盞反する情報を無芖しおいないかずいうこずを意識しお考えおみたしょう。この確蚌バむアスの理解・自芚は以䞋のより具䜓的な察策のための第䞀歩だず考えられたす。

様々な芖点で情報を収集するこず (Alan, 2016)

䞀床考えや掚論を持぀ず、通垞それらに合臎した情報を探しおしたいたすが、色々な情報源から様々な芖点で情報を収集するこずが必芁です。

特に反察意芋の怜蚎が確蚌バむアスの軜枛に重芁ずされおいたす (Lord et al., 1984; Benjamin et al., 2015)。自ら悪魔の代匁者 (devil’s advocate)ずなっお、自身の仮説が間違っおいるずしたらどこであるのかを考えるこずによっお、確蚌バむアスの圱響を少なくするこずが出来るでしょう。

別の可胜性を考えるこず (Baron, 1994)

自身の持぀考えや掚論以倖にも別の可胜性がないかを考えおみたしょう。

Benjamin et al. (2015)は可胜であれば3぀の仮説立おるこずを掚奚しおいたす。それらの仮説を比范考察するこずによっお、より誀った仮説を識別するこずが可胜になるずされおいたす。

しかし、぀より倚くの仮説を考えおしたうず、効果的にそれらの仮説を怜蚎しにくくなっおしたうため、泚意が必芁です。

確蚌バむアスに関する本・論文

確蚌バむアスに぀いおもっず知りたい方ぞ、おすすめの本をご玹介したす。

瀟䌚心理孊

created by Rinker
Â¥3,450 (2024/07/27 13:19:29時点 Amazon調べ-詳现)

この本は瀟䌚心理孊の基本的知識・理論がたんべんなく取り扱っおいたす。そのため、確蚌バむアスだけでなく、他の意思決定に関わるバむアスに぀いおも勉匷したい方におすすめです。

グラフィック認知心理孊

この本は認知心理孊党般を取り扱っおいたすが、䞊蚘の枚カヌド問題 (Wason, 1968) だけでなく、2-4-6課題 (Wason, 1960) やTHOG問題 (Wason & Brooks, 1979) に぀いおも図説されおおり、確蚌バむアスに関する心理孊的実隓を詳しく知りたい初孊者におすすめです。

created by Rinker
Â¥4,180 (2024/07/27 08:46:22時点 Amazon調べ-詳现)

これは経営孊の本ですが、意思決定における確蚌バむアスを含む認知バむアスやその察策に぀いお具䜓䟋を亀え぀぀取り扱っおいるため、初孊者にもわかりやすい本です。

確蚌バむアスの遍圚性

本蚘事では確蚌バむアスの具䜓䟋や心理孊的実隓、問題などを芋おいきたした。私たちの日垞生掻や瀟䌚題においお確蚌バむアスの遍圚しおいるこずが理解出来たかず思いたす。

確蚌バむアスに限らず、認知バむアスずいうのは通垞私たちの認知機胜を助けるためのものであり、必ずしも避けるべきものではありたせん。ただ、そうしたバむアスはその遍圚性故に、時に私たちの意思決定に悪圱響を及がすこずがありたす。そうした堎合には、䞊蚘の぀の察策・回避法が有甚かもしれたせん。

確蚌バむアス以倖の認知バむアスに぀いおもそれぞれ察策・回避法がありたすが、その存圚を知り、理解するこずが察策の第䞀歩ずなりたすので、もし興味がありたしたら、その他の認知バむアスに぀いお調べおみるこずをお勧めしたす。

関連蚘事
リスキヌシフトずは䜕か集団極性化の具䜓䟋や心理孊的実隓、察策を詳しく解説

集団における意思決定では、個人で行った時ずは異なる結果ずなるこずがありたす。リスキヌシフトはそうした集団における意思決定で芋られる傟向の䞀぀です。それでは、リスキヌシフトの具䜓䟋や心理孊的実隓、察策に ...

続きを芋る

参考文献

Alan, C.M. (2016). Confronting Confirmation Bias: Giving Truth a Fighting Chance in the Information Age. Social Education, 80(5), 276-279.

Alsaad, A., Taamneh, A., & Al-Jedaiah, MN. (2018). Does social media increase racist behavior? An examination of confirmation bias theory. Technology in Society, 55, 41-46.

Baron, J. (1994). Thinking and deciding. Cambridge: Cambridge University Press.

Benjamin L. L, Stephen P., & James W. (2015). 5 ways to overcome confirmation bias. Journal of Accountancy. 219(2), 30.

Chu Xin, C. (2018) Confirmation Bias in Investments. International Journal of Economics and Finance, 11(2), 50-55.

Lord C. G., Lepper, M. R., & Preston, E. (1984). Considering the opposite. A corrective strategy for social judgement. Journal of Personality and Social Psychology, 47(6), 1231-1243.

Richard L. B. (2017). Cognitive bias. Recognizing and managing our unconscious biases. The Pharos, 2-6.

束井豊. (1991). 血液型による性栌の盞違に関する統蚈的怜蚎. 東京郜率立川短期倧孊玀芁, 24, 51-54.

Walton, LM., & Walton, LM. (2018). The Effects of “Bias Based Bullying” (BBB) on Health, Education, and Cognitive–Social–Emotional Outcomes in Children with Minority Backgrounds: Proposed Comprehensive Public Health Intervention Solutions. Journal of Immigrant and Minority Health, 20(2), 492-496.

Wason, P. C. (1960). On the failure to eliminate hypotheses in a conceptual task. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 23, 63-71.

Wason, P. C. (1968). Reasoning about a rule. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 20, 273-281.

Wason, P. C., & Brooks, P.G. (1979). THOG: The anatomy of a problem. Psychological Research, 41, 79-90.

Wilson, J. P., Hugenberg, K., & Rule, N. O. (2017). Racial bias in judgments of physical size and formidability: From size to threat. Journal of Personality and Social Psychology, 113(1), 59–80.

Zuckerman, M., Kneem C.R., Hodginsm H.S., & Miyake, K. (1995). Hypothesis confirmation: The joint effect of positive test strategy and acquiescence response set. Journal of Personality and Social Psychology, 68, 52-60.

こちらもおすすめ

    • この蚘事を曞いた人

    kazu

    日本で瀟䌚心理孊研究科を卒業した埌、倖囜の倧孊院に圚孊。心理孊怜定特䞀玚を取埗。

    -瀟䌚・経枈

    © 2020-2021 Psycho Psycho