アドラー心理学という言葉を聞いたことはあるでしょうか?岸見一郎氏の「嫌われる勇気」という本でアドラー心理学に興味を持った方もいらっしゃるかもしれません。今回は、初心者でも読みやすいアドラー心理学の入門書から、アドラー心理学を真剣に学びたい方におすすめの本、さらに子育てに役立つアドラー心理学の本をご紹介していきます。
目次
アドラー心理学とは
アドラー心理学(個人心理学)を創始したアルフレッド・アドラー(Alfred Adler)が生まれて、2020年で生誕150年でした。オーストリア=ハンガリー帝国のウイーンに近いルドルフスハイムに生まれたアドラーは、病弱で5歳で肺炎にかかった際死の淵をさまよう体験をしました。
その体験から医師となったアドラーは大きな遊園地の側に開院しました。遊園地で働く曲芸師や道化師を診ていたアドラーは、彼らは元々身体的な問題を抱えており、それを克服すべく曲芸師や道化師になったと知ります。
同じ劣等感でも、その人の捉え方により神経症の原因にもなる一方で、優れた才能を開花させる要因にもなるという考え方は、アドラー心理学の大きなテーマの1つです。
アドラー心理学の特徴
アドラー心理学の特徴は、過去の経験ではなくこれからどうしたいかという未来を重視することです。どんなに悲惨な出来事があったとしても、その意味づけをするのは「自分」です。
例えば、「コロナ禍で人に会いにくいから引きこもりになった」という人に対して、アドラーだったら、「あなたは今引きこもりたいから、その理由づけとしてコロナ禍を使っているだけだ」というでしょう。
今の自分の行動を正当化する事で人は安心する事ができます。過去や変えられない事実のせいにする事なく未来を切り開いて行くには、だから勇気が必要なのです。
【入門】初心者でも読みやすいアドラー心理学の本おすすめTOP5
まず、初心者でも読みやすいアドラー心理学のおすすめの本をランキング形式でご紹介します。(後述の人気なアドラー心理学の本ランキングについては除きます)
第5位 自分の魅力を自信につなげる「アドラー流『自信』が生まれる本」
アドラー心理学に基づくカウンセリング及びセミナーを行っている著者。自分らしさという魅力に気づき、元気と自信を取り戻す事を目的とした本です。文庫サイズなのでバッグに入れてどこでも手軽に読む事ができます。
第4位 カバンに携帯していつでもアドラーの言葉に触れられる「人間関係の悩みを消す アドラーの言葉」
悩みで押しつぶされそうになった時にも、自分の可能性を信じ、仲間の存在を信じ続ける事ができるアドラーの言葉が80個紹介されています。
「待つな、期待するな、動き出せ」「人生は自ら選びとるもの」「逃げるな、今を本気で生きろ」「他人の目より自分の目を信じよう」など、力強い言葉が沢山載っています。
人それぞれ、今の自分に響く言葉を見つけられる1冊です。
第3位 5つのキーワードでアドラー心理学がわかる「超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本」
「劣等感」「ライフスタイル」「共同体感覚」「3つの課題」「一歩踏み出す勇気」という5つのキーワードを章ごとにまとめ、アドラー心理学をわかりやすく学ぶ事ができる本です。
イラストや図が豊富なので、初心者でも気軽に手に取る事ができる1冊です。
第2位 NHK番組を漫画で読む「まんが!100分de名著 アドラーの教え『人生の意味の心理学』を読む」
都内の営業所に勤める主人公は、田舎への突然の辞令に「飛ばされた」と不満を募らせます。そんな主人公が通うようになった喫茶店「アゴラ」のマスターの愛読書はアドラーの『人生の意味の心理学』。
マスターからアドラー心理学の話を聞きながら、主人公や「アゴラ」のマスコットガールマミなど、それぞれの人生はどう変わっていくのでしょうか。
NHKの教養番組「100分de名著」で取り上げられたアドラーの代表的著者「人生の意味の心理学」をマンガで気軽に読む事ができる、初心者におすすめの1冊です。
第1位 図解でわかりやすく学べる「図解ポケット アドラー心理学がよくわかる本」
アドラー心理学から何を学ぶのか、「劣等感」へのアプローチとその活用、自己実現のための「人生の三つの課題」、人生の意味とは何かなど、7つのテーマに分かれています。
分かりやすい図と、Question?で学んだ事の確認をしながら、わかりやすくアドラー心理学を学んでいける1冊です。
アドラー心理学を真剣に学びたい人におすすめの本4選
次に、アドラー心理学を真剣にに学びたい方におすすめの本をご紹介します。
「嫌われる勇気」の著者による読書案内「アドラーをじっくり読む」
誰にでも理解しやすいように書かれた「嫌われる勇気」の出版により、アドラー心理学は広く知れ渡りました。それと同時に誤解も生まれるようになったと著者は感じるようになったそうです。本書は、アドラー心理学の原著に立ち還る事で正しくアドラー心理学を理解できるとする著者による、読書案内です。
「個人心理学講義ー生きることの科学」「生きる意味を求めて」「人生の意味の心理学」など、アドラーの代表作の概要が紹介されています。
症状には目的がある「なぜ心は病むのか いつも不安なひとの心理」
神経症の症状は、患者の行動を制限し患者は不自由に見えます。けれども実は、神経症の症状こそが患者の優越感を守っているのだ、とアドラーは言います。立ちはだかる課題を回避し、失敗をしない事により優越感を守るのです。
神経症の他にも、天才はどうして生まれるのか、性役割における劣等感、愛と結婚について、夢の解釈など、様々なテーマについて記載されている著作となっています。
劣等感を正しく活用する「生きるために大切なこと」
劣等感は精神的な問題の原因にもなり得る一方で、成功への原動力にもなる、とアドラーは述べます。だからこそ、劣等感がプラスに活かされるような教育が必要なのです。
人に貢献する事は、個人としては弱い自分の劣等感を生きる勇気に変える事につながるのです。
超訳でアドラーの言葉を自分に取り込む「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉」
原著を読んでいて疲れた時の気分転換になる本です。アドラーやその弟子達の言葉をわかりやすい言葉に置き換えた名言集なので、スーッと心に響きやすくなっています。気が向いた時や心が疲れた時に、パラパラとめくってその時の自分にしっくりくる言葉を読むのも良いでしょう。
子育てに役立つアドラー心理学の本3選
最も身近な対人関係である親子の問題にも、アドラー心理学は役立ちます。子育ての場面に役立つアドラー心理学の本をご紹介します。
叱らない事の大切さがわかる「叱らない子育て」
叱らないで子育てが出来たらどんなに楽だろうと思う親は多いでしょう。アドラーは、人の感情は何らかの目的のために使われるとしています。
つまり、相手に言うことを聞かせるために怒りの感情を使っているのです。エネルギーを消耗し、効果が持続しない「叱る」という行為をしなくても、子どもの行動は変化します。
叱ることもほめることもやめた時、子どもは自らの力に自信を持って成長していく事ができます。親子関係が良好になり、やる気のある子に育てたい方におすすめの1冊です。
子育ての悩みをアドラー心理学で解決「アドラー式『しない』子育て」
子育て中の8人のお母さん達の実際の悩みに向後氏が対話形式で答えています。「外ではおとなしく優しいのに家では大暴れ!」など多くのお母さんが経験する悩みについて書かれているので、親近感を持って気軽に読む事ができます。
読んで気持ちが明るくなれる、アドラー式子育て本です。
子どもを見る目が変わる、親子関係が変わる「子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気」
「嫌われる勇気」の著者によるアドラー心理学を子育てに活かす本です。「子どもには子どもの目標があります」「子どもたちに必要なのは生きる勇気です」「親は親で自分の人生を楽しみましょう」など、子どもとの良い関係作りに役立つ言葉が沢山載っています。
Amazonで人気なアドラー心理学の本ランキングTOP3
最後に、アドラー心理学の本の中からAmazonでの人気ランキングTOP3をご紹介します。
第3位 職場で疲れたあなたへ「もしアドラーが上司だったら」
リョウの新しい上司はアメリカ支社から戻ってきたドラさん。仕草もギャグも昔風で憎めないキャラのドラさんとの対話から、リョウは勇気づけられます。やる気が続かず、山積みの仕事に苦しみ、同期より成績の悪い自分を責めていたリョウは、どのように変わって行くのでしょうか。
アドラー心理学のテーマである勇気づけから、共同体感覚という言葉の意味までが物語を読み進めるだけで自然と理解できる1冊です。
第2位 勇気の二部作完結編「幸せになる勇気 自己啓発の源流『アドラー』の教え」
アドラー心理学のブームを起こした「嫌われる勇気」の続編です。3年前に哲人からアドラー心理学を学んだ青年は、理想を胸に教師の職に就いていました。けれども、教育の現場に青年の身につけたアドラー心理学は通用せず、失望してしまいます。
「アドラーの思想は、現実社会では何の役にも立たない、机上の空論」と哲人を責める青年。哲人はどう答えていくのでしょうか。
第1位 アドラー心理学にブームを起こした本「嫌われる勇気」
「世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる」と説く哲学者に反論する青年。
過去に囚われない生き方があるのか、人生は他者との競争ではないのか、本当にそれは自分の課題なのか、自分に価値があると思うためにはどうすれば良いのか、等々。
哲人との対話によって、青年はどう変わるのでしょうか?
アドラー心理学が注目される理由
冒頭で、アドラー心理学の特徴は過去ではなく「これからどうしたいか」に目を向ける事だとお話ししました。災害やコロナウイルスなどのために、これまで続けてきた生活が脅かされています。これらがなければ、今まで通り平和な生活が出来ただろうというのは、誰でも思う事です。
けれども、このような困難な状況を克服しようとする試みも多くなされています。テイクアウト、オンライン授業、マスクをしての合唱など。困難な状況を理由とせず、「これから」をどうするかを考える必要のある今だからこそ、アドラー心理学が必要とされているのでしょう。
また、アドラー心理学では「人間関係の悩みは全て対人関係の悩みである」とされています。
SNSなどで薄く広い人間関係が増えた事により、人目を気にしやすい日本人が受ける対人関係のストレスも増大しています。自分に向けられる意見は物理的にはどんどん入ってきてしまいますから、心理的に距離を置く必要性が高まっています。
嫌われる自分に責任を感じるのではなく、嫌うという行動は相手の課題として、自分が関わる義務はないと考えます。このような課題の分離ができた上で他者とつながっていられる感覚(共同感覚)を持てる事が、今の時代に求められているのでしょう。
あなたも幸せになれる
このような言葉を聞くと、不快に思われる方もいらっしゃるかもしれません。宗教ではなく心理学の記事を読んでいるのに、と。けれども、アドラーは言うのです。
ー人は3日で変われるー
ただし、変わるには勇気をもたなければなりません。変わる勇気には、心地の良い今を断ち切る痛みが伴います。
不満はあっても安心できる今のままでいるのか、苦痛は伴ってもこれまでのライフスタイルを変えて幸せに生きるのかは、私達一人一人の自由です。自分自身を成長させられるのは自分ですが、孤独に思う必要はありません。
アドラー心理学を少しずつでも実践していけば、仲間とつながっている感覚を持ち、共に勇気づけ合う事ができるからです。
今回ご紹介した本の中に、あなたが幸せへの1歩を踏み出す勇気が持てる本が見つかる事を願っています。