ユング心理学のおすすめ本10選:わかりやすい入門書から読んでおきたい専門書まで

今回は、ユング心理学を学びたい方におすすめの本をご紹介していきます。

ユング心理学とはどのようなものなのかを、分かりやすく知りたい初学者向けの本から、専門的に学びたい方向けの本まで、幅広く選んでみました。ユング心理学の第一人者である河合隼雄氏の本も取り上げていきます。

タイトル、表紙のイメージ、紹介文などから、ご自身の興味に合いそうなものを選んでみてください。

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ユング心理学とは

ユング心理学は、スイスの精神科医・心理学者であるC.G.ユングが提唱した心理学です。ユング心理学は、人間の心の働きにおける無意識の重要性を主張する深層心理学の1つです。

無意識の存在を主張する深層心理学と言うと、フロイトを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

ユング心理学では、フロイトの想定していた無意識よりも広く、個人的無意識だけではなく集合的無意識までを扱います。集合的無意識とは、国や民族、さらには人間以外の動物にも普遍的なものとして受け継がれていく無意識です。

ユング心理学を理解する上で基本となるのは、この意識と無意識を始めとする相対立したもの同士のやりとりです。相対立したもの同士が、お互いにぶつかり合いどちらかが正しいかを決めるのではありません。

一時的に表面に現れるのはどちらか1つだとしても、常に対立するものも存在し、お互いが支え合ってバランスを保っている状態こそが、健全な心の状態だと考えるのです。

初心者におすすめなユング心理学の入門書3選

まずは、初心者におすすめなユング心理学の入門書をご紹介します。

豊富なイラストで読み進めやすい「図解雑学 ユング心理学」

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ナツメ社の図解雑学シリーズは、どれも豊富なイラストが理解を助けてくれるため、分かりやすい入門書となっています。本書も、各テーマが見開き2ページでまとめられており、左側に文章、右側にイラスト、という構成になっています。

ユング心理学は多岐に及ぶのですが、著者は「対話」という一貫性を持たせる事で、幅広いユング心理学を分かりやすく紐解いていくことに成功しています。

本書の構成は、第1章「対話のためのユング心理学」、第2章「ユングの生い立ちと生涯」、第3章「病者との対話」、第4章「ユングが後世に与えた影響」となっています。

コンプレックス理論、元型論、夢分析、箱庭療法など、ユング心理学の最重要テーマを分かりやすく概観する事ができます。

ビギナーのためのビギナーによる著書「心のトリセツ ユング心理学がよくわかる本」

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分かりやすい入門書を書くことと、その分野の専門知識の量とはあまり関係がないのかもしれません。本書は、心理学者ではなく作家によるユング心理学の入門書です。

ともすると難しいユング心理学について、「面白そう」「もっと学んでみたい」という読者の興味を引き出すように、分かりやすく書かれた本です。

自分らしい生き方を見つける「ユング心理学でわかる『8つの性格』」

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幸せになりたいと思って、幸せそうな人の真似をしても、なんだかしっくりこない。そんな経験はありませんか?

ユングは、意識している自分も意識していない自分も含めた本来の自分を理解することが大切だとしています。そして、自分の本質にあった生き方をすることが、その人の幸せにつながるのだと考えました。

本書は、ユングの提唱したタイプ論に基づき、自分や周囲の人が8つのタイプのどれに当てはまるかを知り、それをより良い生き方につなげるヒントが書かれています。

まずは、「8つの性格別タイプ分け」判定テストをしてみましょう。テストの後には、それぞれのタイプについての説明が書かれています。そして、各タイプの弱点と強化策についても述べられています。さらに、そのタイプにあった生き方はどのようなものなのかについても書かれています。

特定の部分だけを取り上げたり、何かを切り捨てるのではなく、全てがバランスを保ちながら共存することの大切さを学べる本です。

ユング心理学のわかりやすい専門書4選

次に、ユング心理学のわかりやすい専門書を挙げていきます。

河合隼雄氏による歴史的書物「ユング心理学入門」

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岩波書店
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本書は、ユング心理学を日本に紹介した河合隼雄氏による処女作であり、日本におけるユング心理学の原点となるものです。初出は、1967年に培風館から出版されました。なんと半世紀も前のことです。

「入門」とあるように、本書は単に専門家でない人にも分かりやすい言葉で書かれています。

とはいえ、ユング心理学を深く学ぼうとする人が読んでも退屈などということはなく、むしろ臨床家を目指す人にこそ有益な本だと言えるでしょう。

本書では、ユング心理学について、タイプ、コンプレックス、個人的無意識と集合的無意識、夢分析といった主要な事項が深く解説されています。読者が自分自身の心を柔らかく使って読むことで、ユング心理学への理解を深めることができるでしょう。

16人の著者が描き出すユング「知の教科書 ユング」

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本書は、16人の著者によって執筆されています。ユングの生涯と思想に始まり、無意識、元型、個性化、コンプレクスといったユング思想のキーワードについて解説されています。

さらに、ユング心理学の技法としては、夢分析や箱庭療法の他に、風景構成法、拡充法、コラージュ療法、ファンタジーグループなどについても述べられています。

巻末のブックガイドにも豊富な良書が解説とともに挙げられているので、興味を広げるための本を見つけられるでしょう。

ユニークなイラストで専門知識への入り口に「マンガ ユング心理学入門 心のタイプ論、夢分析から宗教、錬金術まで」

ユング心理学は、分析心理学とも呼ばれます。ユングの分析心理学の特徴は、「人間固有のたましいを明らかにしようとした点」であると、訳者は述べています。ユングはその手段として、占星術や錬金術、心霊術といった、非科学的とも思われるものを用いています。

本書は、科学としての心理学を学ぼうとする人にとっては、一見怪しくも見えるこのような部分についても、詳しく紹介しています。

漫画の助けを借りながら、ユング心理学を専門的に理解する事が出来る本です。

とくに臨床心理士を目指しておられる方にとっては、ユングという、とてつもなく広範囲に活動した人物を、簡略につかむには本書は最高のテキストであると考える

(訳者まえがきより)

ユングという人を知る「ユング自伝ー思い出・夢・思想ー」

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学問は、当然それを作った人を映し出します。その人の生き方そのものが学問に現れるからです。ですから、ユング心理学について理解を深めようと思うのならば、ユング自身を知ることが役に立ちます。

1、2からなるユング自伝は、彼が80歳を超えてから書かれました。

1では幼年時代からフロイトとの出会いと決別、その後見失った方向性を模索するかのように曼荼羅を描き続けた時代までが書かれています。2では、錬金術との出会いにつながる夢から、北アフリカやケニアなどへの旅、死後の生命について書かれています。

付録として、フロイトからユングへの手紙などが載せられています。河合隼雄氏を始めとする訳者による本書を読むことで、ユング心理学への理解が高まるでしょう。

私が全く確実と思うことは何もない。確たる自信は何もないー実際何についても自信がない。私は自分が生まれ、存在したことのみを知っている。

(「ユング自伝2」追想より)

ユング心理学を学ぶ際に必ず読んでおきたい本3選

最後に、ユング心理学を学ぶ際に必ず読んでおきたい本をご紹介します。

河合隼雄氏の代表作「無意識の構造」

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ユング心理学に限らず、心理学を学ぶ人で河合隼雄氏を知らない人はおらず、河合隼雄氏を知っていて本書を知らない人はいない、というほどのベストセラーです。

無意識の働きに始まり、コンプレクス、夢、元型、個性化の過程まで、内容は盛り沢山です。

けれども、他書に違わず河合氏の柔軟で優しい眼差しとユーモアが散りばめられているおかげで、読者は安全に無意識の世界を旅することができるでしょう。

河合隼雄氏による昔話の研究「昔話の深層 ユング心理学とグリム童話」

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ユングは、個人の無意識だけではなく、人類に共通の集合的無意識(普遍的無意識)を提唱しました。それは、心理療法中に患者が話す夢や妄想の中にも、世界中の昔話や神話に見られる典型的なイメージが現れることに気づいたためです。

本書は、主にグリム童話を中心として、その中に見られる人間の成長に伴う内的な成熟過程を、読者の内的体験と照合しながら見ていく事を目指して書かれています。

各章では、グレートマザー、母親からの心理的自立、「怠け」と「創造」、影、思春期、トリックスター、父性原理、アニマ、アニムス、自己実現というテーマが、それぞれの童話とともに述べられています。

本書の後半には、該当するグリム童話が載っていますので、合わせて読むと本文の理解をより深められるでしょう。

河合隼雄氏と谷川俊太郎氏による魂の対談「魂にメスはいらない ユング心理学講義」

魂に響く詩を数多く残された谷川俊太郎氏と、日本人初のユング派分析家の資格を取得した谷川俊太郎氏による対話です。

詩も、心理療法も、医師がするような手術をする訳でもないのに、それに触れる人の心が丸ごと変わってしまうことがあります。そのような心との向き合い方をされているお二人が、心の病い、夢、箱庭療法と癒し、元型、死について、といったテーマについて語り合います。

何かに結論を出したり、善悪の判断をしたり、という単純な事ではなく、不完全な人間の不思議さと魅力に迫っていきます。最後には、谷川氏の詩について河合氏が解釈をしており、読者はとても貴重な体験をすることができます。

みんなが泣きみんなが怒りみんなが笑い、というふうにならないとだめなんだけど、どうしても偏るんですね。だからこそ、なおみんなが努力しなければ、よりよい地点に社会がたどり着くことはできないんじゃないでしょうか。

(本文より)

奥深いユング心理学の世界

2021年は東京オリンピック・パラリンピックが行われました。素晴らしい結果を残す選手がいる一方で、思い通りの結果が出せなかった、1位だと思ったのになぜ、という選手の悔しい思いを、テレビの前で共有しながら観戦したという方もいらっしゃるでしょう。

本番で実力以上の結果を出せることは稀ですが、実力が発揮できないケースはよくあります。何が起こるか分からないという緊張感と感動は、選手達がそれぞれの無意識という見えない相手と闘っていることの証なのかもしれません。

そうした奥深い深層心理の世界に関心を持たれている方は、ぜひこの記事を参考にユング心理学について学びを深めていただければと思います。

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    • この記事を書いた人

    こころ

     臨床心理学・実験心理学等を学んだ後、心理カウンセラーとして勤務。現在はライターとして活動中。

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