心理学の用語 臨床・心理療法

呼吸法とは何か?そのやり方や効果、留意点と学べる書籍を紹介

ここでは、呼吸法についてお話をしていきます。まず初めに、呼吸法とはどんなものなのかを説明し、その後、呼吸法のやり方や効果などについて解説していきます。最後に、呼吸法を行う上での留意点について触れ、学習におすすめの本をご紹介します。

呼吸法はとてもシンプルで使いやすく、なおかつ効果的な方法です。ぜひ最後までお読みいただき、理解を深めて頂ければと思います。

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呼吸法とは

最初に、呼吸法とはどんなものなのかについて、簡単にお話ししていきます。

呼吸法とは、リラクセーション法の1つです。リラクセーション法は、”身体的・精神的にリラックスするための方法”くらいに理解してください。心理学においては、ここで紹介する呼吸法の他に、漸進的筋弛緩法や動作法、自律訓練法などがあります。

呼吸法といっても、何も考えずに呼吸をするわけではありません。今からお伝えするのは、いわゆる腹式呼吸です。呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸とがあります。胸式呼吸は肺や肋骨を広げて行う呼吸で、自然の中で胸いっぱい空気を吸い込む姿を想像してもられば、どんなものか分かると思います。

一方、腹式呼吸は、下腹部を膨らませたり凹ませたりする呼吸のことです。腹式呼吸は、眠っているときは自然に行っているのですが、起きて活動している間はあまり行われません。この腹式呼吸を意識的に行うこと、それが呼吸法です。

呼吸法の効果

腹式呼吸には、とても多くの効果があるとされています。1つ1つ説明すると、それだけで相当長くなってしまうので、以下にざっと列挙しておきます。

・腹式呼吸は横隔膜を連動させることで内臓をマッサージするため、血液循環が良くなる。
・内臓のマッサージを通して静脈の還流を助け肺に多くの血液を送るため、肺機能が向上する。
・代謝アップやダイエットにも効果的(ロングブレスダイエット)。
・呼吸法により心身がリラックスした状態になるので、余裕をもって自己をコントロールできる。そのため、ストレスや刺激に過剰反応せず対処できるようになる。 など

以上を見ていただくと分かる通り、呼吸法は身体にも心にも良い影響を与えるのです。

これだけ多くの効果が得られにも関わらず、呼吸法はとても簡単にできます。次は、呼吸法のやり方を見ていきましょう。

呼吸法のやり方

呼吸法の具体的な手順は以下の通りです。なお、ここでお伝えする方法は、あくまで一例です。

①姿勢を整える
・椅子に座る。その際、身体を締め付けているもの(ベルトなど)はゆるめ、めがねや時計は外す。
・お尻の位置は深からず浅からずにする。おなかに軽く手を当てて、静かに目を閉じる。

②口から息をゆっくり吐きだす

③鼻から静かに息を吸う
・3秒ほどかけて息を吸いましょう。

④4秒のところでいったん止め、口からゆっくり吐き出す
・今度は6秒ほどかけて息を吐きましょう。このとき、「日頃の緊張や疲れ、不安や不満などが気持ちよく吐き出される」と想像すると、より効果的です。

⑤③と④を繰り返す
これが一例です。とても簡単で、かつ短時間で出来ることがお分かりいただけたでしょうか。

なお、姿勢を整える段階(①)については、慣れれば省略することも出来ます。

※呼吸法で深いリラックス状態になると、頭がぼうっとしたり、身体がふらついたりすることがあります。そういう場合は、消去動作というものを行ってください。具体的には、両手をグーの形にし、グーパーグーパーを繰り返します。その後、肘の屈伸と、伸びを行いましょう。これでOKです。

呼吸法を行う際のポイント

呼吸法を行う上で大切な点をいくつかお伝えします。

①息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときに凹ませる。
息を吸うときは、お腹を膨らませ、横隔膜が下がるのを感じてください。
反対に、息を吐くときは、お腹をへこませ、横隔膜が上がるのを感じてください。

②吸う時間の2倍の時間をかけて、息を吐く。
この記事でご紹介した方法では、1回の呼吸で10秒費やしていることが分かると思います。ですが、絶対に10秒で行わなければならないわけではありません。”10秒でやらなきゃ”と思うと、緊張してしまうかもしれませんしね。ご自身にとって、無理のないペースとリズムと心がけてください。

ただし、吸った時間の2倍(以上)の時間をかけて息を吐く、これは押さえておきましょう。上述した方法でも、ちょうど2倍の時間かけて息を吐いているはずです。

呼吸法を行う際の留意点

ここまで述べてきたように、呼吸法はとてもシンプルなリラクセーション技法です。しかし、少ないながらも、落とし穴が全く無いわけではありません。

ここでは、呼吸法を初めてやる方がハマりがちな落とし穴を1つご紹介します。それは、”呼吸を荒くしない”ということです。…と、書かれても、よくわからないかもしれません。要するに、いきなり吸って、いきなり吐くことは避けましょう、ということです。

例えば、胸部X線検査などで、「大きく息を吸ってください」と言われたことはありませんか?これがそうです。検査のときはこの呼吸で良いのですが、呼吸法の呼吸としては良くありません。深く吸い過ぎるからです。

これを繰り返していると、だんだん呼吸が早く、浅くなっていきます。いわゆる過呼吸の状態で、これでは呼吸法としてはうまく行きません。手順のところでも書きましたが、”静かに”、”ゆっくり”が大切です。

呼吸法について学べる本

呼吸法について詳しく学んでみたい方向けに、いくつか書籍をご紹介します。

学校で使える5つのリラクセーション技法

created by Rinker
ほんの森出版
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参考文献にも挙げてありますが、大変実用的な内容となっているので、オススメ書籍として挙げさせていただきます。本書には、呼吸法だけでなく、全部で5つのリラクセーション法が掲載されています。平易な書かれ方で、ページ数も79ページとコンパクトな点もポイントです。

イラスト版 子どものストレスマネジメント: 自分で自分を上手に助ける45の練習


子ども用だからといって侮ることなかれ、です。本書では、ストレスへの対処法として、呼吸法を含め様々な方法を学ぶことが出来ます。ちなみに、著者の伊藤絵美先生は、認知行動療法を学んだ人なら誰しも名前を知っているであろうというくらい、有名な先生です。

呼吸法を使って、良いパフォーマンスを

以上、呼吸法について概説してきました。一言でまとめると、意識的に腹式呼吸を行うことで、様々な効果を得ることが出来る。それが呼吸法です。

呼吸法は、数あるリラクセーション法の中で、最も手ごろで効果的な方法といえるかもしれません。10秒あれば出来るうえに、面接や人前で話すときなど、日々の生活の中で、呼吸法が役立つ場面はたくさんあります。呼吸法を活用することで、こうしたときにもリラックスした状態を作ることができます。

人生の大事な場面でみなさんの役に立つであろう呼吸法を、ぜひ学び、身に付けてもらえたら嬉しいです。

参考文献
梅沢章男(2020)."呼吸法とリラクセーション‒心拍変動バイオフィードバックによる呼吸法の評価",バイオフィードバック研究 47(2), 43-48.
榊原雅人(2011)."呼吸法はなぜ健康によいのか? : 心拍変動バイオフィードバック法からみた自律神経メカニズムと心理学的効果",東海学園大学研究紀要 : 人文科学研究編 (16), 105-122.
藤原忠雄著 (2006).『学校で使える5つのリラクセーション技法』ほんの森出版

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    • この記事を書いた人

    もってぃ

     もってぃと申します。公認心理師と臨床心理士の資格を所持しており、心理職として働いています。これまでは、学校や教育センター、児童相談所などで勤務してまいりました。 趣味は読書や将棋、ゲームに音楽鑑賞です。将棋は妙に長続きしていて、勢いでアマチュア四段の免状を取得しました。

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