心理学の資格の種類一覧|カウンセラー資格や仕事で活かせる資格を解説

2020-12-05

プロの心理カウンセラーと言ったら、一般的には臨床心理士や公認心理師を指します。この資格を習得するには大学院を卒業し、心理相談支援を行う必要があります。しかし、心理学に関連する資格は多くあります。高卒の方や社会人の方、大学在学中の学生は独学、または通信でどのような心理資格を習得できるのでしょうか。

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心理学の資格を習得するメリット

心理学の資格は履歴書に書けるのはもちろんのこと、心理学関連の資格を習得することで多大なメリットが考えられます。

まず、第一に、心理学関連資格は多くの職場で重宝されます。

対人関係での心理的な支援、ストレスフリーな職場作りへの力添えが出来るのが心理学関連資格者の最大の強みです。この強みを不要だとする会社は少ないでしょう。

例えばサービス業では、お客様の満足度を高める為に心理学的にどの様な工夫が考えられるか。お客様からのクレームにはどの様な対応が望ましいか。これらサービス業では往々にある疑問に、心理学を専門とする人は適切に助言をすることも可能でしょう。

では、対人コミュニケーションの機会が少ない工場などでの作業でも心理学を活かすことはできるのでしょうか。

可能です。工場では、従業員に対しどの様な仕事の割り振りをするとより生産的になるのか。事故を減らすためには、工場内の環境整備をどのように行っていけば良いのか。

こうした疑問にも、心理学を専門とする人は適切に答えを導いていく事が出来るでしょう。

この様に、対人コミュニケーションの多いサービス業などの職場はもちろんのこと、普段人と接する機会の少ない工場などのライン業務を主とする職場でも、心理学を専門に学んでいる事は大いにアピールポイントとなります。

キャリアアップや転職を考えている方には、心理学資格を習得し、自分はどの業種でも応用の効く知識を持っているのだと言うことをアピールできるでしょう。

心理学の資格を習得する方法

心理学の資格は、大学や大学院での資格習得はもちろんのこと、通信や独学でも習得していく事が可能です。以下、心理学の資格を習得する方法を3つほどご紹介します。

大学・大学院などの専門機関で学ぶ

心理学資格習得のまさに王道と言えるでしょう。心理学系の大学に進学し、決められた専門分野の単位を修得することで「認定心理士」資格を習得することが可能です。

この資格は、心理学の基本を一通り学んだことを示す資格であり、認定心理士資格の習得を入会条件とする学会も存在しているため、公的にも認知度の高い資格の一つと言えるでしょう。

さらに、大学院に進学することで「臨床心理士」の資格を習得することが可能となります。臨床心理学系大学院は主に2種類に分けられています。

第一種指定校と呼ばれる大学院には、大学院内に臨床心理的業務が出来る場が確保されており、最短2年で卒業することが出来ます。

第二種指定校は、大学院内には臨床心理的業務が出来る場が確保されていないため、2年間の履修を終え、1年間学外の心理相談援助を専門とする施設に実習に行かなくてはなりません。

こうして、大学院を卒業すると、臨床心理士資格試験の受験資格を得ることが出来ます。

臨床心理士資格は、習得までの道のりが長く、非常に敷居の高い資格です。しかしその分、高い専門性が確保されており、心理士資格の中では最も認知度の高い資格の一つです。

民間のセミナー・講座を受講する

セミナーや講座、通信などの方法で心理カウンセラーの資格を習得することが可能です。

通信講座のユーキャン

通信講座で有名なユーキャンでは、「生活心理学」「アンガーマネジメント」「メンタルトレーニング」などの心理学系講座や資格が充実しています。

ユーキャンの資格は、対人援助というよりも、自身がより良く生活していくには、心理学の知識をどのように利用することが可能だろうかという点について充実した内容となっています。「心理学の知識で自らの生活をより良くしたい」という方にはオススメです。

専門性の高いキャリアカレッジジャパン

株式会社キャリアカレッジジャパンでは、「メンタル心理カウンセラー」「上級心理カウンセラー」といった、カウンセラーと名の付く資格を発信しています。

ユーキャンよりも少しだけ専門性が高いですが、一般の方も分かりやすいビデオ教材で学びを深めていく事が出来ます。「心理学の知識で、人を助けたい」という方には、こちらの資格がオススメです。

スマホ・オンラインで資格が取得できるSmart資格

Smart資格では、オンライン心理カウンセラー資格という資格の取得が可能です。この資格は、現在需要が伸びている電話やオンライン相談に特化しています。

スマホのみ・オンラインで心理学知識の勉強から資格の取得までを行えるため、資格取得が非常にしやすいという点も特徴です。

まずはとにかく資格を取ってみたいという方には、こちらの資格がおすすめです。

>スマート資格のオンライン心理カウンセラー資格

独学で学ぶ

独学で心理学をしっかり学びたいという方には、「心理学検定」がオススメです。

2008年に、日本の複数の心理学関連学会が結託して、日本心理学諸学会連合会(通称「日心連」)を結成し、こちらが発行している検定です。

民間のセミナーで紹介した心理学資格よりは大きく専門性が高まりますが、大学受験や大学院入試でも、心理学検定の習得は大きなアピールポイントとなります。

また、日心連が出版している、心理学検定の公式問題集や教科書も、非常に著名な学者が編著しているもので、充実した内容となっています。

「独学で心理学を真剣に学びたい」という方は、ぜひ心理学検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。

カウンセラーになるために必要な資格

「カウンセラー」とは、何かしらの資格を指す言葉ではないため、あなたも今日からカウンセラーを名乗ることは可能です。

しかし、心理相談援助を生業とし、日夜、人の心を支え研究し、悩まされる「プロのカウンセラー」とは、日本では主に以下二つの資格を持つ者を指します。

心理学の国家資格

「公認心理師」は心理学関連資格で唯一の国家資格です。2015年9月に国会で成立し、2年間の準備期間を経て、2017年9月に施行され、各大学の養成プログラムは2018年4月にスタートしています。

・「心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること」

・「心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」

・「心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」

・「心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を図ること」

の4つを目的としています。

日本唯一の心理系国家資格であり、近年はクリニックや教育機関の求人情報においても、習得の有無が最も重要視されている資格です。

代表的な民間資格

「臨床心理士」は日本で最も歴史の古い心理学関連資格の一つであり、最も専門性の高い資格とも言われています。公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。

1988年に認定が開始され、現在「カウンセラー」と言ったら、一般的には「臨床心理士」を指すほど、認知度の高い資格です。

臨床心理士の業務や目的として、

①各種本人情報のヒアリングや心理テストを用いて、人格や気質を把握していく「査定」

②心理療法技法を用いて、クライエントや患者の心理的援助を行っていく「臨床心理面接」

③個々人で構成されるコミュニティに対し、コンサルテーションや心理教育を用いて介入を行っていく「臨床心理学的地域援助」

④主に職能団体・学術研究団体・各種研修会などにおいての研究活動全般を指す「臨床心理学的調査・研究」

の4つが挙げられています。

資格習得後も、研修や学会に参加することで資格を更新していかなくてはならないため、非常に「習得が難しく、習得後も大変」な資格と言えます。しかし、それ故に、臨床心理士は高い専門性を持ち、心理相談援助の現場では高い信頼を集めています。

心理学の資格の種類一覧

前述の通り、心理学の代表的な資格と言えば「公認心理師」と「臨床心理士」の二つが真っ先に説明されますが、これ以外にも心理学関連の資格は多分にあります。いくつか資格の名称と簡単な説明を挙げてみます。

また、一般の方からも人気のある「ポジティブ心理学」「アドラー心理学」「色彩心理学」などに関連する資格はあるのでしょうか。

ポジティヴ心理学に関連する資格

ポジティヴ心理学は、「健康な一般人がより幸福になるためには」という命題を追求して生まれた分野です。ポジティヴ心理学の資格は、カウンセリングというよりは実生活をより良くするために役立つ資格と言えます。

現在、アメリカを筆頭に日本でも秘かにブームとなっているポジティヴ心理学ですが、この領域に関連した資格として「ポジティヴ心理学実践インストラクター」という資格があります。

一般財団法人 日本能力開発推進協会が行っている講座を受け(36,000円で受講できます)、在宅でも受けられる簡単な試験に合格することで資格が習得できます(受験料は5,600円です)。

また、ヒューマンアカデミーでも、オンライン講座を受講することで「ポジティブ心理学プラクティショナー」という資格を取得することができます。こちらはカリキュラム中に実践ワークが含まれているため、学んだ知識をすぐに実生活へ取り入れたいという方におすすめです。(→資料請求 )

アドラー心理学に関連する資格

ベストセラー「嫌われる勇気」で大流行を泊したアドラー心理学ですが、残念ながら、アドラー心理学関連の資格はありません。

しかし、アドラー心理学をより実践的に学びたいという方には、「一般社団法人 日本アドラー心理学協会」の協会ホームページを以下から跳んでみることをおススメします。講座が充実しており、より実践的な学びを深めることが出来ます。

色彩心理学に関連する資格

初学者の方でも比較的理解しやすく、日常生活にも応用しやすい色彩心理学ですが、ユーキャンで「カラーセラピスト」の資格を習得することが可能です。心理学の入り口としておススメです。

>ユーキャンのカラーコーディネート講座

行動心理学に関連する資格

やや専門性が高くなってしまいますが、よりカウンセリングに近い実践性を持つ行動心理学に関連する資格はSARAで習得することが可能です。

「行動心理カウンセラー」や「行動主義心理アドバイザー」の資格があり、またコースも選べるので、自分のペースで学習を深めることが出来ます。これからカウンセラーとして活躍したいという方には、一つの武器として持っておくと良いかもしれません。

発達心理学・児童心理学に関連する資格

子育てに心理学を活かしたいママ・パパさんには発達心理学や児童心理学に関連する資格を習得しておくとよいでしょう。

楽学ネットが紹介する「幼児心理アドバイザー養成通信講座」は、児童心理学や青年心理学を専門とする菅野幸恵教授が監修していますので、信頼できる講座です。

犯罪心理学に関連する資格

犯罪心理学に関連する資格は残念ながらありません。

社会人が仕事で活かせる心理学の資格

「別にプロのカウンセラーになりたいわけではないが、自分の仕事に心理学を活かしたい」と思われる方も多いかもしれません。

こういった方には、初学者でも学びやすく、日常生活にも応用しやすい「色彩心理学」に関連する資格の習得がやはりおススメです。

デスク周りに少し緑を加えるだけで生産性がアップする。集中したいときは青色を上手く利用することで集中力が研ぎ澄まされる。等々、色彩心理学は、知っておくと少しの工夫で仕事の能率をアップさせることが出来ます。

資格のユーキャンは誰にでも学びやすく講座が開設されております。また資格習得としては比較的安価です。ぜひこの機会に心理学への第一歩を踏んでみてはいかがでしょうか。

>ユーキャンのカラーコーディネート講座

心理学の資格を習得するのにおすすめの方法

心理学の資格を習得する時、まず何より「プロのカウンセラーを目指すために資格が欲しい」のか、「プロカウンセラーを目指すわけではないが、実生活をよりよくするために資格が欲しいのか」のどちらなのかをまずハッキリさせるべきでしょう。

「プロのカウンセラーを目指すために資格が欲しい」という方は、何より大学・大学院へ進学することが第一の条件です。

通信講座で習得できる資格ではプロのカウンセラーとして臨床の現場に立てる機会はほとんどないというのが現実です。(資格習得サイトでは「この資格を取れば現場で働くカウンセラーになれる」と銘打っているものも多いですが、現実はそう甘くありません)

しかし、大学受験・大学院受験でも唯一オススメ出来る資格は、やはり「心理学検定」です。プロのカウンセラーを目指すために資格が欲しいという方は、まず心理学検定の習得を目指しましょう。

「プロのカウンセラーを目指すわけではないが、実生活をよりよくするために資格が欲しい」という方は、当記事で紹介している資格でも十分おススメです。自身の用途や興味に合わせて、資格習得への道を歩み始めてみましょう。

心理学の資格を習得するときに気をつけるべきこと

カウンセラーと言ったら、「心理士」や「心理師」を言います。しかし、これは「臨床心理士」と「公認心理師」が名称独占しているため、実は通信講座では○○カウンセラーといった資格は多いですが、○○心理士といった資格はありません。

ではなぜ、臨床心理士や公認心理師の団体は、わざわざこの「心理し」の名称を独占したのでしょうか。それは、この二つが「我こそは」と高い専門性を持っていることをアピールし、他のアマチュアカウンセラーと明確な線引きを付けるためでもあります。

アマチュアのカウンセラーになることは当記事でも紹介している資格を取ることで可能です。しかし、「心理し」を名乗ってはいけません。プロのカウンセラーである「心理し」を名乗るのならば、大学・大学院に進学し、学会にも参加して、論文を書いて、カウンセリングの実習を受けなければなりません。

また、精神科病院の医師や看護師、臨床心理士はしばし、「自称カウンセラーのアマチュアがカウンセリングをすることで患者さんの状態が悪化する」と口にしています。

通信講座でカウンセラーの資格を取ったからと言って、「私はカウンセリングが出来る」などと奢らない事に注意しましょう。何かあったらすぐに専門機関を紹介するなど、自身がどこまで出来るのかという線引きをわきまえることが肝心です。

アマチュアカウンセラー資格も実は肝心な第一歩

ここまで当記事を読むと、「なんだ。じゃあ通信講座で資格を習得してもカウンセリング出来ないし、ほとんど意味ないのか」とお思いになる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。

もちろん、通信講座資格でカウンセリングをすることは実際問題難しいです。しかし、持っていて無駄な資格はありません。通信講座でも十分に学びを深めることは出来ます。

そして何より、資格を習得することで自信を持ち、プロカウンセラーへの次の一歩に繋がる可能性があります。これこそが資格よりも重要なものです。

実生活で心理学を活かしたいという方は勿論、通信講座での資格習得はオススメですが、プロのカウンセラーになりたいという方も、最初の第一歩として、次へのステップアップとして資格を習得してみることは、大いにオススメできます。

参考文献

・なりたい‼ カウンセラー よくばり◇情報源・・・取り方&活用法. (1996). 大栄教育出版. 大栄教育システム(株).

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    • この記事を書いた人

    こっけ

    臨床心理学学科大学卒業後、臨床心理学研究科の大学院に在学。恋愛をテーマに研究。19歳で上級心理カウンセラー資格習得。20歳で心理学検定10領域全領域を合格し、心理学検定特一級を習得。

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