心理学の用語 知覚・認知

サブリミナル効果の意味をわかりやすく解説:「洗脳ができる」は嘘なのか

サブリミナル効果とは、意識に上らないレベルの刺激が人間に何らかの影響を与える現象を指します。今回は、サブリミナル効果の意味を具体例を交えてわかりやすく解説していきます。

「洗脳ができる」「実は嘘」「CMでの使用は禁止されている」といった話は本当なのでしょうか。

このサイトは心理学の知識をより多くの人に伝え、
日常に役立てていただくことを目指して運営しています。

Twitterでは更新情報などをお伝えしていますので、ぜひフォローしてご覧ください。
→Twitterのフォローはこちら 

サブリミナル効果の意味

サブリミナル効果とは、無意識下に提示した刺激(サブリミナル刺激)が人間の認知や行動に何らかの影響を与えることを言います。

サブリミナル(subliminal)には、「意識に上らない」「潜在意識の」といった意味があります。

サブリミナル効果に関する代表的な実験

サブリミナル効果が広く知られるようになるきっかけとなったのが、ジェームズ・ヴィカリによる実験です。

彼は映画の上映中、スクリーンに1フレーム(つまり、意識に上らないほどごく短時間)のメッセージを繰り返し表示することで、ポップコーンとコカコーラの売り上げを劇的に伸ばすことに成功したと発表しました。

この実験は人々に衝撃を与え、サブリミナル効果は広く世間に知られることとなりました。しかし、実験の詳細を公表するよう求められたにも関わらず、ヴィカリは正式な論文を発表することはありませんでした。

後にヴィカリは実験結果が捏造であったことを認める発言をしていることから、サブリミナル効果の存在自体を疑問視する声もあります。一部では、サブリミナル効果は疑似科学であるとする説もあるようです。

サブリミナル効果は実在するのか

ヴィカリが主張したように、単純に商品名を無意識化で見せることによって、その商品の売り上げを伸ばすことは難しいです。ただし、これまでの研究で、ある一定の条件下ではサブリミナル効果が見られることが判しています。

実は、胡散臭い雰囲気を持つサブリミナル効果は、立派な心理学研究の対象となるテーマであり、長年研究が行われてきています。そして、無意識下に与えた刺激が人の認知や行動に影響を及ぼすことは、いくつもの研究で確認されています。

ここでは、サブリミナル効果の存在を裏付ける実験をいくつかご紹介していきましょう。

サブリミナル効果の存在を裏付ける実験

ある実験では、パソコンで課題を行っている時、画面に「Lipton Ice」という文字をサブリミナル刺激として繰り返し提示したところ、喉が渇いていた人の場合のみ、リプトンアイスティーを飲む人の割合が増えたという結果になりました。

また別の研究では、パズルを解く時にサブリミナル刺激でパズルの解答を見せた場合、パズルの解答を見ていない人よりもパズルを解く速度が速くなったという結果になりました。

さらに、男性に対して性的興奮を起こさせるような画像(女性の裸など)をサブリミナル刺激として混ぜた動画を見せたところ、男性の発汗量や皮膚電位が変化したという研究結果もあります。この場合、発汗量や皮膚電位の変化は男性が興奮したことを表しているため、無意識下に提示された女性の画像に影響を受けたと考えられます。

サブリミナル効果で洗脳は可能なのか

ここまででご紹介したように、サブリミナル効果はある一定の条件下では実在するということが判明しています。そのため、サブリミナル効果が完全なデマであるとは言えません。

しかし、その後の研究から、ヴィカリの主張ほど劇的な効果があるとは言えないことも判明しています。サブリミナル効果が知られるようになった当初多くの人が想像したような、サブリミナル効果を使った洗脳は行えないと考えられます。

カクテルパーティ効果とは?具体例・実験・仕組みをわかりやすく解説

続きを見る

サブリミナル効果の社会への影響や使用例

サブリミナル効果自体は、古くから心理学のテーマとして扱われてきたものであり、これまでに様々な研究が行われてきました。

そうした研究を踏まえると、サブリミナル効果は限定的な場面では効果が確認されているものの、人の行動をコントロールできるほどの影響力を持っているとはいえないということがわかります。

ただ、「サブリミナル効果」という言葉が社会や人々に大きな衝撃を与えたことは間違いないかと思います。サブリミナル効果が知られるようになり、社会や人々にどのような影響を与えたのかを少し見てみましょう。

サブリミナル効果を使った広告・CMが禁止に

日本やアメリカなどでは、サブリミナル効果を用いた広告や演出が今も禁止されています。

 視聴者が通常、感知し得ない方法によって、なんらかのメッセージの伝達を意図する手法(いわゆるサブリミナル的表現手法)は、公正とはいえず、放送に適さない。

(引用:日本民間放送連盟 放送基準)

これには、洗脳やマインドコントロールに対する人々の恐怖心が影響しているのかもしれません

しかし、何度か触れてきているように、サブリミナル効果によって人の行動や意思をコントロールすることができるという根拠はありません。

さらに、サブリミナル効果を題材にした映画・アニメ・小説なども、これまでに多数制作されています。こうした創作物では大抵、サブリミナル効果によって人を洗脳・マインドコントロールする場面が登場します。

こういったことが、サブリミナル効果に対する間違った認識を広める一因になったのかもしれません。

サブリミナル効果についてもっと知りたい方は、以下の本も参考にしてみてください。

created by Rinker
¥880 (2021/09/27 16:05:52時点 Amazon調べ-詳細)

サブリミナル効果を正しく理解しよう

サブリミナル効果は、ヴィカリの衝撃的な実験結果によって知られるようになったものの、それが捏造だったことが判明し、疑似科学として扱われることもあります。

しかし、最近の研究を見てみると、一定の条件下ではサブリミナル効果が確認できたという実験結果も多く報告されていることから、完全に「デマ」と決めつけることはできません。

その一方で、人の行動を操れるほどではないことも判明しています。洗脳やマインドコントロールなどを過剰に恐れる必要はないことがわかります。

サブリミナル効果はまだまだ解明されていない部分が多いといえます。これまでの実験から分かっていることを正しく理解して、今後の研究に期待しましょう。

カクテルパーティ効果とは?具体例・実験・仕組みをわかりやすく解説

続きを見る

参考文献

クリストファー・チャブリス&ダニエル・シモンズ著 木村博江訳(2011). 『錯覚の科学』文藝春秋

Karremans,J. C., Stroebe, W., Claus, J. (2006).  Beyond Vicary’s fantasies: The impact of subliminal priming and brand choice, Journal of Experimental Social Psychology, 42, 792–798

近藤 勲・河崎 雅人・山本 尚武・西野 麻由子・河原 美智子・前川 朋子(2001). 電気生理的反応の測定による視覚サブリミナル検証の一検討 : 皮膚電位並びに発汗量の測定をもとに 電子情報通信学会技術研究報告, ET, 101, 39-44

鈴木 宏昭・開 一夫 (2003).  洞察問題解決への制約論的アプローチ  心理学評論, 46, 211-232

西村 友・鈴木 宏昭 (2004). 洞察問題解決の制約緩和における潜在的情報処理 日本認知科学会第21 回大会発表論文集,42-43

一般社団法人 日本民間放送連盟 : よりよい放送のために 日本民間放送連盟 放送基準

関連記事

    • この記事を書いた人

    PsychoPsycho編集部

    心理学サイトPsychoPsycho編集部です。初学者の方にもわかりやすい解説を心がけ、より多くの方が心理学に興味を持っていただけるよう情報を発信していきます。

    -心理学の用語, 知覚・認知

    © 2020-2021 Psycho Psycho