デジャブ(既視感)現象とは?その意味や心理学的な原因について解説

2022-03-16

初めて見た景色なのに、どこかで見たことがある気がする。このような不思議な現象のことをデジャブもしくは既視感などと呼びます。

それではこのような不思議な現象はどのようにして起こるのでしょうか。その意味や心理学的な原因などについて深く掘り下げていきます。

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デジャブ(既視感)とはどのような現象なのか

デジャブとは「過去との関連がない出来事に遭遇したときに生じる、全ての主観的で不適切な親しみ、なつかしさの感情」のことを指しています。

つまり、「初めて会った人のはずが、以前どこかであったことがある気がする」、「初めて来た場所なのに、なんだか懐かしい感じがする」など、これまでに経験のないことが既に経験しているように感じられる現象のことを指します。

デジャブの意味

デジャブとはもともとフランス語の用語です。

Dejavu(デジャブ)とは「Deja」と「vu」と分けることができるのですが、それぞれの部位は次のような意味を持っています。

【Dejavuの意味】

  • Deja:既に
  • vu:見て

これらを合わせると、デジャブとは「既に見ている」という意味をもっています。

このことから、初めて体験したことであるにも関わらず既に経験をしたことがあるように感じられるという不思議な現象を示す用語として用いられるようになったのです。

デジャブ(既視感)の原因とは?

それでは、デジャブはどのようにして起こるのでしょうか。

デジャブがどのようにして起こるのかという問いは非常に古くからなされてきました。

未だにどうして既視体験が生じるのかという明確な原因は特定されていませんが、心理学ではデジャブの原因に関して様々な説を提唱しています。

心理学研究以前

デジャブはの歴史は非常に古く、紀元前4世紀にまで遡ることができます。

その時代は、哲学者であり、数学者でもあるピタゴラスは、デジャブという不思議な体験に対して「その個人が前世に存在していた証拠」であると主張していました。

確かに、前世という超科学的なものが存在するのであれば、今の人間としての生の中で体験したことでなくてもなんだか経験したことがある気がすると感じてもおかしくないような気もしてきます。

また、文学作品の中においても、生まれ変わる前、つまり前世でも自分たちは恋人だったのではないかなどの記述が散見され、古くの既視体験は人間の力を超えた超自然的な現象であると捉えられていました。

記憶研究とデジャブ

デジャブを取り上げた心理学研究は19世紀から始まり、当時はこのような不思議な体験を「誤った記憶」や「誤った早期錯覚」などと呼び研究を行っていました。

つまり、体験したことが無いのに、なんだか初めてではない気がするという現象は、その体験したという記憶が誤っているために生じるとされていたのです。

このようなデジャブを記憶の障害と結び付け、初めて学問として位置づけたのは精神医学の父とも呼ばれるクレペリンです。

クレペリンによるデジャブは記憶の再生障害と想起内容の捏造が重なることによって生じる現象であるとされ、超自然的な現象としての要因から、学問的な立場を獲得したのです。

デジャブ(既視感)と脳

デジャブの原因に関する説は他にもあります。脳機能との関係から唱えられている説をいくつかみてみましょう。

脳神経学とデジャブ

先述した記憶システムの障害による説明とは別に、脳神経学者もこのデジャブという現象を取り扱っていました。

この立場では、脳の両半球の認識機能に時間差が生じることで既視体験が生じると説明する立場を取っています。

人間は左右の手において利き手があるように、脳にも右半球と左半球で優位となる個人差があるのです。ある説ではこの2つの分離した半球にはそれぞれに意識があり、両半球の認識機能に時間差が生じた際に既視体験が生じていると説明しています。

また、人間は何らかの情報を知覚し、脳で処理を行う場合は、非優位半球から優位半球へと情報が転送されます。

そのため、また別の説では、この非優位半球から優位半球への情報の転送に一時的な遅れが生じ、優位半球がまず情報を受け取り、その後非優位半球が遅れて情報を受け取るために引き起こされるとされています。

ただし、これらの仮説を裏付ける根拠はなく、あくまで仮説にとどまっています。

てんかんとデジャブ

てんかんとは、てんかん発作を主な特徴とする慢性の大脳疾患です。脳の部位が病的な興奮をしてしまうことにより、意識が消失したり、混濁するなどのてんかん発作が引き起こされます。

このてんかん発作は、特殊な精神状態を引き起こすことが古くから知られており、その状態はアウラと呼ばれます。そして、アウラを経験する患者の中には既視体験体験するものがいるのです。

てんかん発作は脳の病的な興奮によって脳波の異常が生じることが知られています。そこで側頭葉てんかん患者に対し、脳に直接電気刺激を与えたところ、214人中6人に親しみの感覚が生じたという報告があります。

このように、脳の異常を引き起こす疾患とデジャブの関連について様々な研究が行われていますが、このてんかん患者に人為的ななつかしさを生じさせる手続きでは、あくまでなじみのある感覚を生じさせるのみにとどまりました。

特定の場面や状況との結びつきを説明するに至っていないため、てんかんの作用機序のみでデジャブを説明することは難しいでしょう。

デジャブ(既視感)と精神障害の関係

デジャブは精神障害との関連も指摘されています。

離人症とデジャブ

離人症とは解離性障害の1種で、現実感が感じられなくなってしまったり、自分が自分でない感覚が生じる精神障害です。

そして、この離人症を呈する人の中にも既視体験が生じるという報告があります。

既視体験と離人症の関連を検討した研究では、それぞれが発生する条件が類似していることが指摘されています。

離人症とデジャブ発生条件の類似点

  • 感情的敏感さ
  • 気分変動の不安定さ
  • アパシー(無気力)の体験
  • 不規則な仕事のリズム

しかし、その後の追研究などでは、男性のみ離人症と既視体験に関連がみられた、もしくは全く関連がみられなかったという報告もあるように、既視体験と離人症を結びつける妥当性は未だ発見されていません。

精神病概念とデジャブ

統合失調症などの精神病は既視体験と関連が深いのではないかということは古くから指摘されていました。

確かに重度の既視体験は長く持続し、現実検討が失われ、時には妄想も呈するなど、精神病症状と類似した症状を呈します。

統合失調症の妄想の中には、社会的に地位の高い人物の生まれ変わりだと感じる誇大妄想や血統妄想などと呼ばれる妄想症状を呈する人もいます。

ある症例報告では、有名人の出演作を見て、以前自分が体験したかのような親近感が感じられ、それが発展したことによって誇大妄想を呈するようになったという報告があるのです。

しかし、既視体験には現実検討の喪失や妄想症状などは全く見られない軽度のものも存在するため、精神病概念の発生機序を調べるだけでは既視体験のメカニズムを特定することは難しいかもしれません。

情報処理過程におけるデジャブ(既視感)の発生

デジャブが生じる状況において、知覚する情報の量が関連しているという説があります。

例えば、同じ静止画でも、2次元静止画よりも奥行きの感じられる三次元静止画は情報量が多く、デジャブが生じやすいことが指摘されています。

このことを受け、中尾・小川(2016)は、より情報量の多い動画を用いてデジャブ体験の生じやすさを検討しました。

【動画と静止画の組み合わせ】

  1. 動画を呈示した後動画を呈示する
  2. 動画を呈示した後静止画を呈示する
  3. 静止画を呈示した後動画を呈示する
  4. 静止画を呈示した後静止画を呈示する

この4つの条件においてデジャブの発生率を調べたところ、3番の「静止画を呈示した後動画を呈示した群で最もデジャブの発生率が高かったという結果が示されました。

これはいったいどうしてなのでしょうか。

この静止画から動画を呈示するという順番は、情報量の多い刺激が後に呈示されていることになります。

ただでさえ、情報量の少ない刺激を呈示され形成され記憶に含まれる情報は忘却などによってさらに情報が少なくなり、鮮明な記憶として残りにくくなります。

そこへ情報量の多い新規刺激が提示されたことにより、過去の記憶を思い出したり、その類似性に気づきにくくなるためデジャブが生じたと考えることができるのです。

また、さらにデジャブの生起頻度を高めるには、この対呈示刺激を、何らかの社会的文脈という関係性を持たせることも効果的であることも指摘されています。

そのため、この研究の結果をまとめると、デジャブの発生を促進するのは「先行する刺激の情報量が少ないこと」と「先行刺激と目の前の刺激に共通する文脈情報があること」の2つが挙げられるのです。

デジャブについて学べる本

デジャブについて学べる本をまとめました。初学者の方でも手に取りやすい入門書をまとめてみましたので、気になる本があればぜひ手に取ってみてください。

なつかしさの心理学: 思い出と感情 (心理学叢書)

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デジャブは初めて対面した刺激に対して、なつかしさや親しみを感じる不思議な心理現象です。

それでは、そのなつかしさと記憶や思い出との関係性はどのようなものなのでしょうか。

ぜひ、なつかしさを深堀することで改めてデジャブについて考えてみてください。

時間の正体 デジャブ・因果論・量子論 (講談社選書メチエ)

デジャブは、過去の経験が無いはずなのに、既に経験があるように感じる現象であり、過去があり、現在そして未来という一般的な時間の法則に沿わない現象であるためにその神秘性が際立ちます。

主観的な時間の知覚に関して切り込んでいる本書を読めば、デジャブの不思議さがより鮮明になるでしょう。

経験が無いのに親しみを感じる不思議な現象

古くは超自然的な現象と考えられていたデジャブのメカニズムを解き明かそうと心理学でも様々な研究が行われてきました。

そして、その発生に関わるであろう要因はいくつも指摘されてきましたが、未だに明確な原因は特定されていません。

そのため、デジャブは神秘的な性質を持つ不思議な現象として今も注目されているのであり、これからもさらなる研究によってその発生のメカニズムの特定が求められるのです。

参考文献

  • 川部哲也(2004)『既視体験研究の歴史』京都大学大学院教育学研究科紀要 (50), 399-412
  • 川部哲也(2010)『日常場面における既視体験の特徴 : 初場面既視体験との比較検討』大阪府立大学大学院人間社会学研究科心理臨床センター紀要 (3), 17-24
  • 川部哲也(2010)『日常場面における既視体験の特徴 : 初場面既視体験との比較検討』大阪府立大学大学院人間社会学研究科心理臨床センター紀要 (3), 17-24
  • 中尾啓太・小川景子(2016)『情報の量と質に着目したデジャヴ現象の検討』東海学院大学研究年報(4), 31-36

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    • この記事を書いた人

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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