日常生活への応用

ツァイガルニック効果とは?具体例とともに日常での活用方法を解説

ツァイガルニック効果とは、ヒトは完成している事柄よりも、未完成の事柄の方に感興を持ちやすいという心理傾向を指す用語です。

ここでは、心理学におけるツァイガルニック効果の意味・定義について具体例を交えた説明を行い、実際に活用をする際のヒントを紹介していきます。

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ツァイガルニック効果とは

この記事では、始めにツァイガルニック効果についての意味や定義について触れた後に、具体例や研究、実際に生活場面で活かす方法について説明していきます。

ツァイガルニック効果の意味・定義

ツァイガルニック効果(Zeigarnik Effect)とは、完了した出来事・事柄よりも、未完成の出来事・事柄に強い興味を惹かれる(記憶に残りやすい)傾向があるという、認知や記憶領域で取り扱われる心理学用語です。

端的にいえば、不完全の物事はヒトの感興をそそる。これがツァイガルニック効果です。

ツァイガルニック効果の具体例

ツァイガルニック効果は、私たちを取り巻く日常生活の様々な場面で活用されています。その実例と効果の影響をみてみましょう。

テレビ番組と広告

まずは、テレビ番組を視聴している場面を想像してみます。

あなたが、特殊な液体と粉を混ぜ合わせることによって爆発が起こる化学反応を実践してみせるバラエティ番組を見ていたとしましょう。液体を入れた容器を頑丈に固定し、混ぜ合わせる粉を荷積した特殊車両を用意して実験の準備を終えたとします。実践場面に移行し、画面に表示された爆発までの秒数が刻々とカウントダウンを始めます。

そして、粉が投下される場面を繰り返し、どのように爆発するのかと視聴者の注目を釘付けにしたタイミングで、番組内容に一切の関係のない車や洗剤の広告が流れ始めるのです。

そうした広告に興味がなかったとしても、番組の続きが気になるあなたは、CMを最後まで見続けてしまうでしょう。

こういった演出はバラエティに限りません。ドラマであれば、後少しで犯人が誰か分かる重要な場面では、必ずと言ってもよいほど広告が流されます。

また、クイズ番組であれば出場者が張り合い、逆転勝利の可能性も残された最後の一問へという場面で、回答者の回答に音声モザイク加工を施してCMに入るというのはお決まりのパターンです。

ツァイガルニック効果の影響

このように、番組視聴者がテレビ画面に集中しているであろうタイミングを敢えて狙い、視聴者から肝心な場面をお預けしてしまう。ここにツァイガルニック効果が使われています。

では、上記の場面でツァイガルニック効果はどのように役立っているのでしょうか。

番組に熱中している視聴者であれば、肝心な場面で中断された番組の続きが気になり、1秒たりとも見逃したくないので、広告があけるのを今か今かと待ち続けることでしょう。その僅かな時間で、視聴者には特別見る理由もない広告に触れてもらい、スポンサーの商品や企業に興味を持ってもらう広告効果を得るわけです。

後ほど紹介する、ツァイガルニック効果をマーケティングに応用する方法でも触れますが、広告にはツァイガルニック効果が用いられているものが非常に多いです。特にテレビでは、ツァイガルニック効果を利用した演出が頻繁に見られるため、実例に触れることができる最も身近な存在であるといえるでしょう。

この先の展開を早く知りたいという視聴者の気持ちに敢えて応えず、“未完のものほど魅力的に見える”心理を巧みに用いた演出によって、視聴者からの注目を惹くことを成功させているのです。

ツァイガルニック効果に関する研究

ここからは、実際にツァイガルニック効果を題材として実施された研究をご紹介します。

アナグラム名詞を用いた、不完全な物事の記憶が残りやすい現象の証明

ここで取り上げるのは、日本教育心理学会第31回総会発表論文集に掲載されている、高橋雅延(1989)の研究です。この研究では、ツァイガルニック効果が実際に生じるのか追試が行われるととともに、ツァイガルニック効果に影響を及ぼす要因について検討がされています。

実験の手続き

実験1

実験課題として、4文字のアナグラム名詞(例えば、「らやくみ」など)を36語呈示し、アナグラム処理前の元の名詞(くらやみ)への変換を被験者に求めています。

解読時間は10秒間に制限され、被験者は問題のアナグラム名詞と解読した答えをそれぞれ紙に記述しました。その後に解答が示され、正誤に関わらず、その解答も記述していきました。

一連の課題を終了後、被験者はアナグラム名詞36語のうち覚えているものを書き出す再生テストを受けました。なお、このテストは事前に予告されていませんでした(偶発自由再生)。

実験2

2つ目の実験では、被験者が解答を間違えやすくするために、1つ目の実験よりもアナグラム名詞の難読化を図っています。更に被験者が記憶へ記銘・保持しやすい要素となる用紙への記述手続きを省略して実施しました。

実験結果

上記2つどちらの実験結果においても、解読できなかったアナグラム名詞の方が、解読できたアナグラム名詞よりも記憶に残りやすいことが示されました。

このことから、この研究では、ヒトは“不完全である物事に対する感興が強まる(記憶に残りやすい)”生物であることが示され、ツァイガルニック効果の追試・存在証明に成功しているといえます。

また、実験2からは、名詞を自分で記述するような記憶しやすい手続きがない場合でも、ツァイガルニック効果が生じることも示されました。

ツァイガルニック効果の活用方法【ビジネス】

ここからは、ツァイガルニック効果を実生活に応用するヒントを、ビジネス場面で活用されている実例とともに紹介します。

マーケティング

ツァイガルニック効果が用いられる代表例は、具体例でも紹介した「広告」です。

ネットサーフィングをしている時に、ページ内容には関わりのない広告バナーが表示されているのを目にしたことはないでしょうか。広告バナーは、閲覧者に興味を持ってもらい、自社ホームページへアクセスしてもらうために、様々な工夫が凝らされています。

狭いスペースの中で、伝えたいことを全て記載することはできません。情報を詰め込みすぎると文字が潰れてしまい、広告バナーそのものが不恰好となってしまいます。

そこで、「秘密」「年収アップ」などといった言葉を用いて、閲覧者の興味を惹きつけます。そして、「続きはWEBで!」を付け加えることによって、広告バナーサイズに納めることができない商品情報の溢れる自社サイトへ巧みに招き入れることができるのです。

テレビCMも同様で、限られた短い時間の中ではテレビ視聴者へ伝えることができない情報の全てを伝えるために、「続きはWEBで!」や「◯◯◯◯ で[ 検索 ]」と、公式サイトへ誘う手法を用いています。

営業

ツァイガルニック効果を踏まえると、電話営業で商品に関する詳細情報を丁寧に事細かく説明するのは避けるべきです。

電話営業の段階では、何気ない世間話をしながら、売り込みたい商品に興味を持ってもらうことが大切です。そこで、商品についての情報を一通り説明しない選択をしてみましょう。

商品に対して興味を持ったのに、詳細が分からないという消化不良ともいえる状況に陥ると、「商品についてもっと詳しく知りたい」「実際に見てみたい」という心理から、その後のステップである訪問販売へ移行しやすくなります。

その場で売り込む必要のない営業場面であれば、文面だけをみると意地悪ですが、"お客様に完全な情報を渡さない"ツァイガルニック効果を活用してみるのはいかがでしょうか。

ツァイガルニック効果の活用方法【恋愛】

ビジネス場面に限らず、ツァイガルニック効果はプライペートな恋愛場面でも役立ちます。

片思い

繰り返しになりますが、ヒトは不完全なものに感興をそそられます。恋愛場面で不完全な存在、それは一方的な恋愛感情を抱く相手、つまり、片想いが一例として挙げられます。

片想いと両想いの恋愛を比較すると、将来的に記憶に残りやすいのは、自身の想いが完全には届かない・届いていない、未完の恋である片想いの恋愛であると考えられます。

そうであれば、もし今は切ない片思いをしていたとしても、思い出として大切な記憶にすることができるでしょう。

デート

恋心を抱く相手とデートに漕ぎ着けることができた時に、1度のデートで親睦を深めようと躍起になるのはやめましょう。

お互いを知るために多種多様なデートプランを1日に詰め込んだスケジュールにするよりも、例えば、買い物と食事だけといった手短なデートプランを用意し、自身の身辺に関する情報を与えすぎないことが大切です。

そうすることで、自身が相手にとっての"気になるあの人"の立場になる可能性を狙うことができます。

ツァイガルニック効果について学べる本

心理効果に興味を持った方に向けて、ツァイガルニック効果はもちろん、様々な心理学用語を幅広く学習することができる書籍を紹介します。

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心理学溢れる現代社会

記事内でも触れたように、ツァイガルニック効果はテレビや書籍など、様々な場面で有効活用されている心理効果です。

誰かが気を惹こうと意図的に不完全にしたものではない半開きになったドア、蓋が外れかけているゴミ箱など、中途半端な物の状態が気になって仕方がない人は多いでしょう。

それほど、ヒトは「未完・不完全な物事」に注意が引っ張られてしまうのです。

ツァイガルニック効果をはじめとして、世の中には、ヒトの注目を浴びるための心理学を用いた技術が豊富に有効活用されています。

たとえ小さな出来事だったとしても、「何故、自分はこの商品に興味を持ったのだろう?」「何故、この広告だけ気になってホームページまで見てしまったのだろう?」と疑問を持ってみると、何か新しい発見をできるかもしれません。

参考文献

  • アダム・ハート=デイヴィス(著) ・山崎正浩(訳) 「パブロフの犬ー実験でたどる心理学の歴史」(2016)創元社
  • 高橋雅延(1989) 記憶におけるツァイガルニック効果の基礎的研究(学習A) Japanese association of educational psychology, pp.302

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    • この記事を書いた人

    ねべあ

    学部で犯罪心理学を専攻していました。社会調査士資格を所有しています。研究補助やStudent Assistantの場で心理学同等に統計学を取扱う機会が多かったです。

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