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共依存とは?特徴・原因とチェックリスト、克服法をわかりやすく解説

人間は他者と良好な関係を保ちつつ社会に適応をしています。しかし、中には歪んだ対人関係も存在します。

今回はその最たる例の1つである共依存を取り上げます。共依存には一体どのような特徴があるのでしょうか。その原因や克服法、チェックリストについてもご紹介します。

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共依存とは

共依存(Co-Dependency)とは、自分と特定の相手が相互に依存しあっている関係性のことを指します。

しかし、共依存は非常に複雑な概念であり、簡単に説明することが困難です。

そのため、共依存という用語が使われ始めた歴史的背景から見ていきましょう。

共依存の歴史的背景

共依存の誕生は、その名前にもあるように、アルコール依存症や薬物依存症など他の依存症と深い関わりを持っています。

アルコール依存症と共依存

1970年代のアメリカでは、アルコール依存症の問題が深刻となっており、それに付随して、アルコール依存症患者の家族や友人など親しい人物の社会不適応にも焦点が当てられるようになりました。

そして、他人の依存症に巻き込まれ、自らの人生をかき乱されてしまった人を説明する用語としてコ・アルコホリック(Co-Alchoholic)という用語が医療現場で散見されるようになったのです。

典型的な例を挙げれば、共依存者は「お酒さえ飲まなければこの人は良い人なのに…」などと言いながら、一生懸命にアルコール依存症患者の身の回りの世話をしたり、お酒の代金を肩代わりしたり、職場へ連絡をしたりします。

依存症患者は自分の生活の不利益が何の努力もせずに解消してしまうため、共依存者の努力もむなしく、ますますアルコールへのめりこんでしまうという悪循環へ陥ってしまうのです。

このようなアルコール依存症者の問題行動を意図しないものの、結果として支えてしまう人のことは「イネイブラー」と呼ばれます。

共依存という用語の広がり

しかし、この現象は何もアルコール依存症に限ったものではなく、他の依存症患者の周辺にも散見されることが指摘されるようになりました。

そして1970年代末から1980年にかけて、コ・アルコホリックに代わり、共依存という用語が用いられるようになったのです。

このような背景を受け、現在では一般の家庭や学校、職場などでも頻繁に起こりうる、特定の相手と過度に依存しあう歪んだ関係性を指す用語として広まっています。

共依存の定義

共依存の定義に関しては未だ確定したものが出てきていません。

というのも、共依存という概念が非常に曖昧なものだからです。

例えば、共依存的な人であったとしても、配偶者といるときの共依存度と友達といるときの共依存度は異なります。

このように共依存を連続体として捉える見方が現在の主流となっており、このような画一的な捉え方の難しさから、アルコール依存症やインターネット依存などと異なり、共依存は診断名として成立していないのです。

それでも日本で共依存という現象を定義づけたものの代表としては、次のようなものが挙げられます。

  • 他人に対するコントロールの欲求で、他人に頼られていないと不安になる人と、人に頼ることで、その人をコントロールしようとする人との間で成立するような依存・被依存の関係
  • 生きるうえでの安心感を維持するために、自分が求めているものを明確にしてくれる相手を一人ないし複数必要としている人間

共依存の特徴

様々な場面で見られる共依存ですが、それらにはいくつかの特徴的な共通点があることが分かってきています。

  • お節介なほど他人の面倒を見たがる
  • 自尊心が低い
  • 強迫観念にとらわれやすい
  • コミュニケーション能力が乏しい
  • 親密性回避行動をとる
  • 怒りの感情の希望が弱い
  • 行動が両極端

また、斎藤(1995)は共依存の特徴を以下の5点に集約し、まとめています。

  1. 否定的エンメッシュ:他人の世話を焼き、他人に頼られることで自分の存在を認めさせよう、それによって自己の安全も得ようとする態度
  2. 恨み:自分を犠牲にして世話をし、それが報われなかったときの「恨み」の感情が弱い
  3. スピリチュアリティの障害:いつも周囲の他者に対して、上か-下か、支配するか-服従するかという関係が生じてしまい、対等な関係が築けない
  4. 嗜癖と心身の障害:主な感情が、恨みと不安と他人の期待を裏切ることの恐れを除けば空虚
  5. 親密性からの逃走:誰かにまとわりついて世話や心配をするのは、自分のほうが優位、もしくは依存している関係にのみに限定され、相手が適度に温まるような親密性が形成・維持できない

共依存の原因

それでは共依存の原因とはいったいどのようなものがあるのでしょうか。

実はその原因は明確には特定されていません。

しかし、関連が指摘されている要因や仮説などをいくつかご紹介します。

機能不全家族

共依存者の成育環境を調べた研究では、その多くが機能不全家族で育ったとする報告があります。

機能不全家族とは、家族内で弱い立場にある人に対して、身体的あるいは精神的なダメージを与える行為が横行している家族状態のことを指します。

児童虐待やDV(ドメスティック・バイオレンス)などが機能不全家族で起こる代表例でしょう。

このような機能不全家族で過ごすことは、自己認識が歪んだり、対人関係がうまくいかないなどの生きづらさと繋がりやすいことが指摘されており、その一つとして共依存が含まれています。

機能不全家族と愛着形成

人間の発達過程において、人間関係に重要な影響を及ぼすのが愛着関係と呼ばれる、保護者との信頼関係です。

この愛着関係はのちの様々な人間関係のひな型となることが指摘されているのですが(内的作業モデル)、機能不全家族では幼少期に親から愛情を受けた経験が少なく、安定した愛着形成が困難となるでしょう。

そのため、共依存のような歪んだ人間関係を求めてしまうとも考えられます。

人格説

これは共依存傾向を持つその人のパーソナリティに原因を求める説です。

共依存者には世話焼きという特徴が確かにあるように、1940年代から50年代にかけては、配偶者などのパーソナリティから導かれる言動により、アルコール依存患者が作られるという考え方がなされていました。

しかし、依存症患者を作るような言動をしているのか、それとも依存症になりやすい素因のある人と付き合いやすいのかなどの明確な因果関係は特定されておらず、現在は人格説には疑問の目が向けられています。

ストレス説

これは人格説への反論として1950年代から60年代にかけて登場した説です。

この説では、共依存傾向を持つ人の言動が健全でないのは、依存症患者の起こす問題から生じるストレスによるものであるという説です。

この説が正しいとするならば、共依存という現象は外的環境からのストレスによって引き起こされたストレス反応に過ぎないため、依存症患者と離れることが出来ればストレッサーを取り去り、共依存から回復することが出来ることになります。

しかし、依存症患者だけでなく、共依存は様々な人間関係に広くみられる現象であるため、ストレスだけによって引き起こされていると考えるのはあまりにも乱暴でしょう。

家族システム説

1970年代から提唱されたのが家族を一つのシステムとしてみなし、家族システムの構成員が相互に影響を与えあうとする「家族システム説」が提唱されました。

この説では、依存症患者の問題行動が生じることは、家族システムの歪みからくるものであり、その問題行動が他の家族のメンバーの言動や思考に影響を与える相互作用が生じると考えます。

しかし、共依存が依存症患者の有無に関わらず生じることから、依存症は個人の病気であるとし、共依存の個人的疾患説が唱えられたり、脳の神経伝達物質の問題から説明する脳機能障害説など様々な説が提唱されました。

このように様々な説が唱えられていますが、現在も明確な共依存の原因は特定されていないのです。

共依存の克服法

共依存を克服するための方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

共依存状態の自覚

まずその第1歩は共依存という現在の関係性が歪んでいるものであると自覚することです。

しかし、悲しいことに共依存状態にある場合、自身の関係性が不健全であるということに気付くことは非常に難しく、下手に第3者が介入することで巻き込まれてしまうおそれすらあります。

そのため、共依存の疑いがある場合は医療機関の受診を進めるなど、専門機関へつなぐ必要があるでしょう。

カウンセリング等による介入

また、共依存では、相手に頼られる状況に依存しているのであり、相手に必要とされることで自分の価値を見出しています。

これは自尊心の低さに由来するものであり、幼少期から親に大事にされてこなかったため、相手を喜ばせ、機嫌を取ろうとする行動パターンが染みついた結果であると考えられます。

そのため、カウンセリング等で成育歴における問題について改めて見直し、人から評価される自分ではなく、ありのままの自分を好きになれるような介入が必要となるでしょう。

共依存のチェックリスト

先にも述べたように、共依存に陥っている人の多くは自分が共依存という不健全な関係性であることを自覚できません。

西尾(1998)は自身の言動に関し、「はい」・「いいえ」のどちらかで答えるチェックリストを作成しています。

1自らを犠牲にして相手を助けたり、世話したりする。はいいいえ
2相手の行動、感情、考え方、状態、結果を変えようとコントロールする。はいいいえ
3問題や危険が起こっているような人間関係に巻き込まれていることが多い。はいいいえ
4依存心が強く、一人でやっていけるという自信がなく、見捨てられるかもしれないという不安にかられる。はいいいえ
5ある特定の相手のことで頭がいっぱいで視野が狭い。はいいいえ
6自分の問題は大したことではないと思ったり、いやなことは見てみぬふりをしたり、表面では何でもないようにふるまう。はいいいえ
7相手とのバウンダリー(境界線)がはっきりせず、相手が落ち込んでいると自分も気分が落ち込んでしまったりする。また、他人の問題にのめり込んだり、相手からの精神的、性的、身体的侵入を許してしまったりする。はいいいえ
8罪の意識のおそわれやすく、相手の問題は自分のせいだと思い込んでしまいやすい。はいいいえ
9過去の人間関係の間違いから学ぶことが出来ず、同じ間違いを繰り返す傾向がある。はいいいえ
10被害者意識にとらわれ、自分は犠牲者だと思い込み、弱弱しくなる。はいいいえ
11自分のまわりに害があるのに、波風を立てぬよう、問題を明らかにしない。はいいいえ
12相手から離れられないでしがみついていることを、愛情と取り違えている。はいいいえ
13「こうあるべきだ」という社会の通年、または、「こうなるはずだ」というファンタジーにとらわれやすい。はいいいえ
14相手の気分を敏感に察して先へ先へと頭を働かせたり、心配したりする。はいいいえ
15「ノー」が言えず、何でもかんでも引き受けて疲れてしまったり、うらみが積もったりする。はいいいえ
16責任感が強すぎて、なんでもがむしゃらにやりこなす。はいいいえ

※西尾和美(1998)『アダルトチルドレン癒しのワークブック』より

作成者は、このチェックリストにおいて、5項目以上に「はい」がつくようであれば共依存の傾向があるとしています。

ぜひ、ご自身でこのチェックリストに回答し、自身に共依存傾向があるか考え直してみましょう。

共依存について学べる本

共依存について学べる本をまとめました。

共依存症 いつも他人に振りまわされる人たち (講談社SOPHIA BOOKS)

共依存は他人の世話をしていないとなぜか空虚な感じがし、その不安をぬぐい切れないために相手に頼られる状況に依存しています。

元々、自らも共依存に苦しんだ著者がどのように立ち直ればよいのかをアドバイスしている本書は、現在共依存に苦しんでいる方にぜひ読んでもらいたい1冊です。

共依存症 心のレッスン

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著者のメロディ・ビーティさんは幼い頃から家庭環境に恵まれず、虐待や依存症の経験を経て、ミネアポリス治療センターで支援グループをつくり、カウンセラーとして活躍された方です。

そんなメロディさんが推奨する12ステップグループは共依存の治療に効果があるとされており、共依存をこれから学ぶ人は必読の良書です。

他人に振り回されず、自分のありのままを受け入れるために

共依存傾向のある人は、自己像に明確な境界性が持てず、相手との境界が曖昧となっています。

そのため、他人に振り回されていても懸命にしがみつき、疲弊していってしますのです。

しかし、人間であれば誰しも、優れている部分-劣っている部分、良いところ-嫌なところを持っており、それぞれがそれを受け入れ、拒否しながら人間関係を築いています。

そのスタートはまず自分の良い・悪い点をまとめて受け入れることから始まります。

共依存に苦しんでいる人はまず自己の全体像について見直し、受け入れるよう努力できると良いでしょう。

【参考文献】

  • 柿澤暁(2020)『共依存症問題についての考察』人間学研究論集(9), 49-64
  • 川口由紀子(2017)『共依存における臨床哲学的考察』植草学園大学研究紀要 9(0), 5-16
  • 齋藤学(1995)『イネイブリングと共依存』精神科治療学,10(9),963-968
  • 西尾和美(1998)『アダルトチルドレン癒しのワークブック』,学陽書房

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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