心理学の用語 臨床・心理療法

反動形成とは?恋愛や人間関係を例にして代表的な防衛機制を解説

私たちは自分のこころの全てを把握しているわけではなく、望ましくない感情や欲求は無意識から出てこないよう閉じ込められています。このような自分のこころを守るための防衛機制の中から今回は反動形成を取り上げ、恋愛における表れ方など具体例を交えながらご紹介します。

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反動形成とは

反動形成は精神分析の創始者であるフロイト,Sが提唱した防衛機制です。

最も基本的な防衛機制の中に抑圧というものがあります。

これは、自分の認められないものを意識に上ってこないよう無意識に抑え込んでしまうことで自分のこころを守る防衛です。

しかし、あまりに強い欲動や感情を押さえつけようとすると疲弊し、いつの日か抑え込めなくなってしまう恐れがあります。

そこで、望ましくこと、つまり嫌なこととは正反対のものに自分から乗っていくことで効果的に抑え込もうとします

これが反動形成のメカニズムです。

反動形成の具体例

反動形成はさじ加減次第で適応的とも不適応ともいえる防衛です。具体的にはどのように表れるのでしょうか。

敵意への反動形成

敵意は不必要なものではありませんが、上司や親、親友など重要な人物に対してそのまま敵意を表現してしまうと人間関係が壊れ、社会適応に支障をきたしてしまいますね。

そこで敵意という非常に強い欲求を抑え込むために反動形成を用いる場合があります。敵意とは相手を攻撃する想いであり、人間関係を断つという効果があります。

それと逆の方向に自分から乗っていくと人というのは、過剰なまでに相手にへりくだる人です。

過剰なまでに礼儀正しく、下手に出る、腰が低いといった人は敵意を自分の欲求として認めることができず抑え込むためにしているのです。

依存性と反動形成

依存性も強い欲求です。

しかし、人間は成長するにつれ自分でやらなければならないことが増え、人に頼らず自分で何とかしなければならない場面に直面するでしょう。

このような際、過剰に依存性、つまり他者に頼りたい、代わりにやってほしいといった依存欲求を反動形成で抑え込もうとした場合は、人の手を借りたがらない独立的な人になります。

社会生活を送るうえである程度の自立は必要ですが、これが過剰になってしまうと他人の親切を受け取ることができず社会適応に支障をきたしてしまいます。

恋愛における反動形成

気になっている異性ほど意地悪をしてしまうという人が周囲にいたことはありませんか。

反動形成の代表的な例として、好きな人と本心では「仲良くしたい」と持っていても、それとは正反対のそっけない態度をとってり、嫌がることをしてしまったりすることがあります。

相手に対して抱いている好意をそのまま表現したとして恋が成就するとは限りません。

そのため、相手に対する行為が表面化してしまうと、理想とする恋の成就が実現しないかもしれないという不安を生んでしまいます。

そのため、反動形成によって正反対の行動をとり、相手への好意を抑え込み不安が生じないよう対処しているのです。

反動形成を用やすい人の特徴

それでは反動形成を用いやすい人はどのような特徴を持っているのでしょうか。

山本(2001)は基本的な性格特性を測定するY-G性格検査と防衛機制の関連を検討するため、大学生に対し質問紙調査を行いました。

その結果、Y-G性格検査の抑うつ性(D)の高い人は反動形成を用いやすいことが示されました

Y-G性格検査における抑うつの下位尺度は情緒的特性のことを示しており、得点の高低は次のような性格傾向を示します。

【得点が低い】

性格が明るい・楽天的・充実感・明朗

【得点が高い】

憂鬱・陰気・無気力・悲観的・罪悪感

Y-G性格検査の得点が高い人、つまり、暗くて、悲観的な性格の人は望ましくない感情や欲求に反動形成を用いて対処しやすいのだと考えられます。

発達段階における反動形成

反動形成はフロイトの提唱した心理性的発達理論における肛門期(2歳ごろ)で重要な役割を果たすことが知られています。

この時期の幼児が直面する重要な発達課題としてトイレット・トレーニングがあります。

今まで養育者に排泄の世話をしてもらい、いつでもどこでもしたいときにオムツに排泄していた環境と異なり、トイレの仕方の躾をうけることになります。

このときの幼児は、しつけをする養育者に対する敵意や好きなとき、好きな場所で排泄をして汚してしまいたいという欲求に対処しなければなりません。

そこで、反動形成によって真逆の行動を好んで行うようにするのです。

しかし、これが行き過ぎてしまうと、過剰なきれい好きなどの強迫症状不潔恐怖に繋がってしまいます。

反動形成について学べる本

反動形成について詳しく解説している書籍をまとめました。

精神分析的人格理論の基礎-心理療法を始める間に

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精神分析の人格理論は専門用語が多く、難解な印象を受けがちですが、日本における精神分析の大家である馬場禮子先生が易しく解説を加えているため、これから反動形成などの防衛機制を学びたい方にはぜひ手に取っていただきたい一冊です。

防衛機制の心理分析: 心理分析法中級シリーズ第5巻

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防衛機制についてもう一歩踏み込んで学びたい方へおすすめの一冊です。

様々な種類がある防衛機制の中で、どれに頼りやすいのかを測定する心理テストも付属しているため、ご自身の防衛の傾向を改めて見つめ直すきっかけになるかもしれません。

適応的な自我によって現実に即した反動形成を

どのような防衛機制にも言えることですが、自分のこころを守るために過剰な防衛を行ってしまうことで社会適応を犠牲にしたり、精神障害を発症することとなってしまいます。

反動形成でいえば、きれい好きまでは望ましい特徴と言えますが、不潔恐怖や強迫まで発展してしまうと日常生活に支障をきたしてしまいます。

防衛機制について学びを深め、様々な防衛を適切に用いているか振り返ってみるのはいかがでしょうか。

参考文献

  • 馬場禮子(2008)『精神分析的人格理論の基礎-心理療法を始める前に』岩崎学術出版
  • 山本都久(2002)『自我防衛機制と性格特徴の関係』富山大学教育学部紀要 (56), 137-143

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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