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サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)とは?あなたにもできる心の応急処置

皆さんはサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という用語を耳にしたことはありますか?身体をケガした際にするように、心もまたケガをしてしまうと応急処置が必要となります。それでは、心の応急処置であるサイコロジカル・ファーストエイドについてご紹介します。

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サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)とは

サイコロジカル・ファーストエイドとは、危機的状況に陥り、助けを必要としている人へ適切な人道的・支持的な支援を行う活動のことを指します。

また、Phychological First Aidの頭文字をとって、PFAと呼ばれることもあります。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)の目的

災害や紛争、犯罪などの危機的状況に陥った人は、急性ストレス障害(ASD)など心のケアが必要な状態に陥ることがあります。

サイコロジカル・ファーストエイドではそのような状態に陥った人がこれ以上の心理的被害に陥ることを防ぎ、日常生活を取り戻すために必要な様々な支援を受けるための適応行動・対処行動を促進することを目的としています。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)の特徴

サイコロジカル・ファーストエイドの大きな特徴は、その人の自己決定を尊重するという点です。

そもそも、災害などトラウマティックな出来事に巻き込まれた時点ですべての人が大きな心理的混乱に陥り、必要な行動をとれなくなってしまうわけではありません。

これは、ストレス耐性やレジリエンス(精神的な回復力)など、それぞれの個人が持つ心理的要因が異なるためです。

参考

レジリエンスについての詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。

レジリエンスの意味と鍛え方|「鬼滅の刃」を例にビジネスや教育での重要性を解説

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支援を必要としていない人に対し支援の手を差し伸べようとすることは、その人のプライドを傷つけ、お節介だと捉えられてしまう可能性すらあります。

そのため、サイコロジカル・ファーストエイドでは困難な状況にある人のニーズを丁寧に聞き取り、落ち着きを取り戻して自分の力で立ち直っていけるようサポートする姿勢を重視します。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)の実施方法

サイコロジカル・ファーストエイドは3つの基本的な活動原則に則って実施されます。その3つとは次の通りです。

見る

まずは、支援を必要としている人を安全な場所へ誘導すると共に、その人の状態を見極めましょう。

ポイント

  1. 安全を確認する
  2. 明らかに急を要する基本的ニーズがある人の確認
  3. 深刻なストレスを示す人の確認

聞く

支援を必要としている人の安全を確保し状態を見極めた後は、その人へ近づき、語られる内容に耳を傾けましょう

ポイント

  1. 支援が必要と思われる人々に寄り添う
  2. 必要なものや気がかりなことについてたずねる
  3. 人々に耳を傾け、気持ちを落ち着かせる手助けをする

つなぐ

何も自分の力だけで支援を完結させる必要はありませんし、かえって危険な場合すらあります。聞き取ったニーズに沿ってその人が最適のサービスを得られるよう専門家へと託しましょう。

ポイント

  1. 生きていく上での基本的なニーズが満たされ、サービスが受けられるよう手助けする
  2. 自分で問題に対処できるよう手助けする
  3. 情報を提供する
  4. 人々を大切な人や社会的支援と結びつける

してはならないこと

サイコロジカル・ファーストエイドを行ううえで、支援をする立場が気を付けなければならないことは次の通りです。

サイコロジカル・ファーストエイドの基本的姿勢は、支援を押し付けず、その人にとって最適となる支援を提供できるよう寄り添うことですので、被支援者を第一に考えていない行動がNGとなっています。

注意ポイント

  1. 支援という立場を悪用しない
  2. 支援の見返りを求めない
  3. 出来ない約束をしたり、誤った情報を提供しない
  4. 自分にできることを誇張して伝えない
  5. 支援を押し付け、でしゃばらない
  6. 無理に話をさせない
  7. 聞いたことを他言しない
  8. 行動や感情から相手を決めつけない

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)に必要な資格

上述した基本的な活動原則を見て、自分でもできるかもしれないという思いを抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

サイコロジカル・ファーストエイドを実施する人は何も医療の専門家や心理士だけとは限りません。

WHOが発表しているサイコロジカル・ファーストエイドの手引きは、防災、教育、治安、行政、産業などの一般的な職業や、NGO・NPO、ボランティア関係者を想定して作られています。

身体のケガで応急処置をしなければならないときも、救急車に乗って医療の専門家につなぐまで一般の方が処置を行いますよね。

それと同様に心のケガで苦しんでいる人への緊急的な支援は、手引きに則りさえすれば一般の方でも十分に行うことができるでしょう。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)と新型コロナウイルス

未曽有のコロナ禍において、こころの健康を維持することは急務になっています。

日本赤十字社では「新型コロナウイルス(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」を策定しています。

特にコロナ禍は長期化しているため、医療従事者の消耗が深刻な問題となっています。そのような支援者支援という観点でもサイコロジカル・ファーストエイドは有用だと言えるでしょう。

専門家につなぐことが緊急時において重要な支援活動です

サイコロジカル・ファーストエイドは医療や心理の資格を持っていなくても行える心の応急処置です。

インターネットで手引きが参照できるため、いざというときに備えて目を通しておくと役に立つでしょう。

また、サイコロジカル・ファーストエイドの支援者も活動により、少なからず負担がかかります。支援者が消耗してしまっては適切な状況判断ができず、かえって状況を悪くしてしまうこともあるため、セルフケアも適切に行う必要があります。

災害など全ての人にとって大変だからこそ、それぞれができる範囲の支援を行えるよう、ボランティアと専門家が手を取り合うことが大切です。

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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