心理学の歴史

構成主義・要素主義とは?機能主義との違いや構成主義への批判を解説

今回は、心理学の誕生にまで遡ります。ヴントの構成主義がどのようなものであったのか、その弟子のティチナーはどのような研究を行なったのか。

また、機能主義とは何かを学び、構成主義との違いについても見ていきましょう。

最後に、構成主義に対する批判を、行動主義・精神分析・ゲシュタルト心理学という3つの視点から見ていきます。

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心理学における構成主義(要素主義)とは

まず、心理学における構成主義(要素主義)とはどういうものなのでしょうか。

ヴントによる構成主義(要素主義)

心理学の誕生は、1879年とされています。その年に、ヴント(Wilhelm Max Wundt;1832-1920)がドイツのライプツィヒで開設した心理学実験室が公認されたのです。

「実験心理学」という言葉を初めて使ったのもヴントです。それまで哲学として扱われていた心を実験の対象として扱おうとしたのです。

ヴントは、意識は感覚や単純感情から構成されると考えました。これが構成主義(要素主義)です。

そして、内観(自己の精神状態の観察)という方法で、学生達に実験を行ったのです。

ティチナーの研究

ヴントの心理学を承継し、後に独自の研究法を開発したのがイギリス出身のティチナー(Edward Bradford Titchener;1867-1927)です。

ティチナーはヴントの弟子で、当時アメリカで主流だった機能主義や行動主義心理学からは孤立した存在でした。

ヴントの内観が量的なものに限定されていたのに対し、ティチナーの研究で用いられた内観では、回想によるものなど質的なものも認められていました。

ティチナーは、「実験心理学の目的は精神の構造を分析すること」であるとし、心的要素の1つである「感覚」に相当するものだけで、44,435種類あるとしました。

構成主義と機能主義

ここでは、構成主義と機能主義の違いを見ていきましょう。

機能主義とは

機能主義は、その名の通り、心を要素に分解するのではなく心の働きを研究するものです。

アメリカ心理学の生みの親とされるジェームズ(William James;1842-1910)は、意識は絶えず変化してゆく川の流れのようなものと捉えました。

一旦通り過ぎた意識は二度と再現されないのですから、一時点を切り取り要素に分解する事にも意味はないと考えたのです。

ジェームズに学んだエンジェル(James Rowland Angel;1869-1949)は、心の働きの目的を環境への適応と考えました。

進化論の影響もあり、機能主義の心理学では動物実験が多く行われ、後の行動主義に受け継がれていく事になります。

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構成主義と機能主義の違い

構成主義と機能主義の違いについては、機能主義的アプローチは時期尚早として、自らは構成主義の立場に立ったティチナーの説明がわかりやすいです。

ティチナーは、心理学の研究には心は何であるかを明らかにする構成主義と、心がなぜ、どのように働くかを研究する機能主義があるとしました。

構成主義への批判

科学として人の心を扱う試みの第一歩となった構成主義ですが、これに対する批判から心理学の歴史が動いていきました。

行動主義

行動主義と構成主義の対立点をわかりやすくまとめると、目に見える行動VS目に見えない意識となります。

内観によって報告される意識の要素は、内観をしている本人にしか分からない主観的なものなので、これは科学とは言えないというのです。

行動主義では、あくまで客観的に観察可能な行動だけを実験対象とすべきと考えました。

精神分析

精神分析と構成主義の対立点をわかりやすくまとめると、無意識VS意識となります。

構成主義の研究手法は内観によるものである以上、扱える心は内観をする人が意識できるものに限られます。

ところが、精神分析で扱う心は、意識・前意識・無意識までを含みます。そして無意識こそが、人間が基本的欲求を満たす行動を起こさせるエネルギーを持っていると考えました。

このような考え方をする精神分析からは、構成主義は心の全体を扱っておらず、不十分だと考えられました。

ゲシュタルト心理学

ゲシュタルト心理学と構成主義の対立点をわかりやすくまとめると、全体VS部分となります。

構成主義では、感覚はまず要素として存在し、それが経験によって連合する事で知覚が成立すると考えました。

ところが、ゲシュタルト心理学では、知覚は経験に関係なく成立すると結論しました。つまり、人の知覚は、初めから全体を捉えようとすると考えたのです。

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心理学の始まり

今回は、心理学の誕生を見てきました。構成主義は、それまでの哲学から独立して、心を科学として捉えようとした貴重な第一歩でした。

ヴントの理論自体は今ではもうほとんど活かされてはいませんが、構成主義への批判が多様な心理学の理論を育てていったのです。

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参考文献

ナイジェル・C・ベンソン(2001) マンガ心理学入門 現代心理学の全体像が見える 講談社

大芦治(2016) 心理学史 ナカニシヤ出版

東北文教大学心理学研究会(2016) 心理学のエッセンス 日本評論社

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    • この記事を書いた人

    こころ

     臨床心理学・実験心理学等を学んだ後、心理カウンセラーとして勤務。現在はライターとして活動中。

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