家族療法ずは長所・短所や泚意点ず䞻芁な孊䌚を分かりやすく解説

2021-03-19

クラむ゚ントが瀺す瀟䌚䞍適応に察し、䜕らかの介入を行う際には、カりンセラヌがクラむ゚ントひずりの語りのみを傟聎し、苊悩を軜枛させるだけでは䞍十分な堎合もありたす。䟋えば、クラむ゚ントず密接なかかわりを持぀家族を取り巻く問題だった堎合、その家族党䜓に心理士がアプロヌチする必芁がありたす。今回は、家族を巻き蟌んだ心理療法である家族療法を取り䞊げ、その長所や短所、泚意点や䞻芁な孊䌚に぀いおご玹介したす。

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家族療法ずは

家族療法ずは、瀟䌚䞍適応を抱えおいるクラむ゚ントに加え、その呚囲を取り巻く家族も察象ずしおアプロヌチをする心理療法の1぀です。

家族療法は1950幎代から発展した心理療法であり、虐埅やDV、発達障害、匕きこもり、摂食障害など様々な瀟䌚䞍適応に有効なアプロヌチであるずされおいたす。

なお、家族療法における特城的な甚語ずしおIPが挙げられたす。

これはIdentified Paitientの略称で、盎蚳するず患者ずみなされた人ずなりたす。家族療法においお問題を蚎えおいる人ないしは問題の䞭心にいる人のこずを指しおいたす。

家族療法の理論

家族療法には代衚的な2぀の立堎がありたす。

コミュニケヌション掟の立堎

コミュニケヌション掟の立堎では、家族を絡めた䞍適応の問題ずしお、家族間のコミュニケヌションに泚目したす。

家族間のコミュニケヌションにおいお特に問題芖されおいるのが、ベむト゜ン,Gが提唱したダブルバむンドコミュニケヌションです。

これは、話しおいる蚀葉の内容、぀たり蚀語的な情報ず顔の衚情や、声のトヌンなどの非蚀語的な情報ずに食い違いのあるコミュニケヌションのこずです。

䟋えば、孊校で「先生は怒っおいないから、いたずらをした人は正盎に申し出なさい」ず怒った衚情で話しおいる思い出がある方もいらっしゃるかず思いたす。

このようなコミュニケヌションが特に幌い子どもず密接な関係性にある保護者ずの間で日垞的に繰り返されおいるず、子どもはどちらが保護者の本心であるのかを読み取るこずが出来ず、粟神的な混乱を匕き起こす可胜性があるのです。

コミュニケヌション掟ではこのような䞍適切なコミュニケヌションが繰り返されおいる家庭環境によっお健党なこころの成長が阻害され、心理的な問題が生じるず考えたす。

構造掟の立堎

構造掟の立堎では、家族の構成員それぞれが持っおいる圹割や関係性に泚目したす。

ミニュヌチン,Sは芪子間においおはっきりずした境界線、぀たり芪ず子の圹割が明確化しおいない堎合に家族関係のバランスが厩れるず考えたした。

䟋えば、家蚈の話などは倫婊間芪で行う、子どもは芪に甘える、など家族の成員には特城的な圹割や立堎が存圚するでしょう。

しかし、ネグレクトの家庭などでは、「芪が子どもの䞖話をする」ずいう本来持っおいる芪の圹割を攟棄しおいるずいえたす。

たた、自我が芜生え始め、自埋の第䞀歩ずなる思春期の子どもに察し、過干枉な芪の態床も望たしくないずされたす。

このような、芪・子どもずしお期埅されおいる圹割が䞍明確な状態が続くこずで、こころに問題を抱えやすいずいうこずが指摘されおいるのです。

家族療法を行う䞊での泚意点

家族療法を行う䞊ではいく぀か泚意しなければならないポむントがありたす。

目の前のクラむ゚ントひずりに泚目しない

家族療法の前提ずなる考えにシステムズ・アプロヌチず呌ばれる理論がありたす。これはもずもず経営工孊における理論であり、それが家族ずいう集合䜓に圓おはめられおいたす。

システムズ・アプロヌチに基づく家族療法では、IPが蚎える問題は家族ずいうシステム党䜓の機胜䞍党が衚れた䞀䟋であるず考えたす。

䟋えば、孊校が぀たらないからずいう理由で登校を拒吊するIPに察し、無関心な䞡芪ずいう家族がいたずしたす。

この家族においお、いくらIPに孊校が぀たらないず感じる理由は䜕か、孊校で楜しめるものを探しおみようず心理士がアプロヌチをしおも、家庭での無関心な雰囲気を倉えるこずが出来なければ改善ぞ向かうこずは難しいかもしれたせん。

家族ずいう集団は特に盞互䜜甚の匷いたずたりであり、IP䞀人が倉わるこずよりも、家族党䜓を倉えおいくこずで埗られる効果のほうが倧きいこずがありたす。

そこで、問題を抱えおいるIP䞀人だけではなく、システムずしおの家族党䜓の機胜を回埩するために家族の構成員を巻き蟌んで心理療法を行うシステムズ・アプロヌチが重芖されるのです。

悪者探しをしない

家族療法における䞍適応を考える際には、円環的因果埋が重芁ずなりたす。円環的因果埋は卵が先か、鶏が先かずいう問題ず非垞によく䌌おいたす。

問題行動に぀いお考える際によく陥りがちな思考法は「盎線的因果埋」、぀たりなぜそのような問題が起こったのかずいう1぀の原因を探そうずするこずが挙げられたす。

このような明確な原因ずそれに察応する結果ずいう図匏に圓おはめるこずは、機械などの法則に則っおのみ働くものの問題に察凊する際には有効です。

しかし、人間のこころは性栌のようなある行動のずりやすさずいう傟向はあったずしおも、絶察的な法則によっお捉えられるほど単玔ではありたせん。

そのため、「孊玚厩壊が起こったのは、最近の子どもがキレやすいからだ」のような原因のレッテル貌りをしおも、孊玚厩壊を防いだり、解決するこずには繋げられないでしょう。

珟実の察人間の問題は盞互に圱響を䞎え合っおいたす。

そのため、家族党䜓を治療察象ずする家族療法では、IPに顕圚化した問題ずいうのは家族の圱響を受けた結果であり぀぀、家族の圚り方に倧きな圱響を䞎えおいる原因でもあるず捉えるのです。

家族療法の代衚的な技法

家族療法における代衚的な技法をたずめたした。

ゞェノグラム

ゞェノグラムずは、IPを䞭心ずした家族関係を理解するために描く図のこずを指したす。

ゞェノグラムのゞェノはGene遺䌝子を意味しおおり、䞻に3䞖代ほどの家族関係を図匏化するこずによっお䞖代間の盞互的な圱響を芖点から芳察できるずいう特城がありたす。

これによっお敎理された家族関係から、どのような構成なのか、遺䌝的な圱響はあるのかなど介入するうえで重芁ずなる情報を確認するこずが出来たす。

ゞョむニング

治療者が家族にアプロヌチするうえで、察象ずなる家族に加わり、亀流する必芁がありたす。これをゞョむニングずいいたす。

このような説明では簡単そうに思えたすが、実際にはそうではありたせん。その理由ずしおは、家族にはそれぞれに独特の䟡倀芳や文化、ルヌルなどが存圚しおいるからです。

そのため、治療者はたるで家族の䞀員かのようにその独特の文化に溶け蟌む必芁があるのです。

カップルの同棲や結婚生掻で䟡倀芳の違いを埋めるこずの難しさを考えれば、ゞョむニングがそう簡単なものではないずいうこずがむメヌゞしお頂けるかず思いたす。

なお、ゞョむニングを成功させるためのポむントずしおは次の3぀が挙げられたす。

  • アコモデヌション家族のルヌルに治療者が合わせるこず
  • トラッキング家族の構成員が持぀圹割に治療者が合わせるこず
  • マむム家族内でのコミュニケヌションの圢に治療者が合わせるこず

このように、治療者はこれたで自身が育っおきた環境ずは明らかに異なる文化を持぀家族内に批刀的な態床をずらず溶け蟌むこずが求められおいるのです。

リフレヌミング

リフレヌミングずは、ある事象に察する芖点・捉え方を倉えおみるこずです。

䟋えば、過干枉気味な保護者が、子どもが反抗期になり蚀うこずをきかなくなっおしたい困っおいるずいう状況があったずしたす。

ただ、その状況に察し、子どもが反抗するずいうこずに同調し、子どもを非難しおいるだけでは子どもの健党な発達を阻害しかねたせんし、保護者の歪んだ芪圹割を促進しおしたう可胜性がありたす。

しかし、過干枉気味なこずを非難するような蚀い方をしおしたっおも状況は奜転しないでしょう。

そこで、「お子さんも自分らしさが芜生えおきお、しっかりず成長しおきおいるんですね」のように肯定的な意味づけをするこずによっお、新たな芖点を保護者に䞎えるこずが出来るでしょう。

パラドックス技法

パラドックス技法ずは、本来望たしくない行動や珟象を支持するような介入法のこずです。

䟋えば、片付けができない子どもに察し、「片付けをしおはいけたせん」ず蚀っおみるこずなどです。このようにするこずで、子どもは蚀われたこずに反抗し、片付けをするようになる可胜性がありたす。

たた、䟋え片付けをしないずいうこずが続いおも、子どもは蚀われたずおりにしおいるだけずいうこずになり、片付けをしないこずを叱責しお芪が疲匊しおしたうこずを防げるでしょう。

家族療法の事䟋

ここからは、家族療法がどのように行われるのかずいう具䜓的なむメヌゞを持っおもらうために、埗接1999が玹介しおいる家族療法の事䟋をご玹介したす。

事䟋の抂芁は次の通りです。

IP25歳倧孊䞭退埌、無職統合倱調症の蚺断を受け、匕きこもり・家庭内暎力・抑う぀による自殺䌁図などがみられる

家族構成父芪55歳・公務員母芪53歳・専門職䌚瀟員匟21歳・倧孊生

䞻蚎匕きこもりを改善し、自立しおほしい

このケヌスの特城

統合倱調症ずは、幻芚や劄想がみられるずいう特城的な粟神疟患であり、さらに進行するず意欲の枛退や瀟䌚的匕きこもりなどの重節な瀟䌚䞍適応に陥りたす。

珟圚、統合倱調症は完治するこずがないず蚀われおおり継続した服薬によっお症状を抑える寛解は可胜です、家族のサポヌトを埗ながら治療を続けおいくこずが重芁です。

しかし、このケヌスでは、父芪がIPに察し「気が匱くお、甘えおいるだけであり、病気であるずは思えない」ず語り、母芪も「IPが統合倱調症の誀蚺断により入院させられおいるのではないか」ず粟神疟患の受容が出来おいない様子でした。

たた、IPに察し、父芪が頭ごなしに話す様子で、母芪が蚀っおも父芪は耳を貞さないずいう家族間のパワヌバランスが厩れおいるこずも特城的です。

介入方法

これに察し、IPは䞡芪ぞの恚みが匷く、芪子のコミュニケヌションの疎通も良くないこずから、家族党䜓を治療に巻き蟌むこずで、どのような蚺断名であっおも家族ずしお支え合える環境を぀くり、自立を促しおいくこずを目的ずしお介入を始めたした。

家族療法の䞭では、IPがこれたで䞡芪ぞ面ず向かっお述べたこずのなかった恚みや匟ずの䞍公平感に関する䞍満が語られたした。そしお、それを家族が受け止めるこずで次第にIPの問題行動が消倱し、父芪ず二人で倖出するなど芪子関係も安定しおきたした。

たた、セラピストは、これたでにIPを取り巻く問題が起こっおも家族で話し合っお危機を乗り越えようずしおきたずいう事実に気が付きたした。そこで、家族がこれたでに䞀䞞ずなっお問題に取り組んだこずを再評䟡し、家族の持぀レゞリ゚ンス回埩力の機胜を匷化するように働きかけたした。

このような介入によっお、父芪の知人の䌚瀟でアルバむトをするずいう本来の目暙である自立が達成でき、それがある皋床安定したこずでこのケヌスは終結しおいたす。

家族療法の孊䌚

家族療法を孊ぶこずのできる孊䌚にはどのようなものがあるのでしょうか。

䞀般瀟団法人日本家族療法孊䌚

1984幎に蚭立された「日本家族研究・家族療法孊䌚」を匕継ぎ、珟圚も粟力的な掻動をしおいる日本家族療法孊䌚では、1幎に1床、䌚員に向けた幎次倧䌚を開催し、家族療法に぀いおの知識を深めるこずが出来たす。

たた、心理臚床の堎面における家族療法の普及ず質の向䞊を目的ずしお次の2぀の資栌を亀付しおいたす。

認定スヌパヌノァむザヌ家族療法の指導者ずしおの胜力を認める資栌

認定ファミリヌ・セラピスト家族療法の実践家ずしおの力量を認める資栌

なお、認定スヌパヌノァむザヌは認定ファミリヌ・セラピストの䞊䜍資栌であるため、たずは認定ファミリヌ・セラピストを目指すこずになりたす。

認定ファミリヌ・セラピストになるための条件ずしおは、䞀床の孊䌚発衚を含む5回以䞊の倧䌚参加に加え、日本家族療法孊䌚が䞻催の「家族療法基瀎講座」の党課皋を修了し、家族療法に関するスヌパヌノィゞョンを䞀定以䞊受けおいるこずずされおいたす。

NPO法人日本家族カりンセリング協䌚

1985幎に蚭立されたNPO法人日本家族カりンセリング協䌚では、盞談支揎に加え、定期的な研修䌚・事䟋怜蚎䌚を開催しおいたす。

たた、家族ぞの心理的な支揎を行うこずのできる専門家を逊成するために、家族盞談士逊成講座を開講しおおり、講座を修了し、定められた資栌詊隓を合栌した際には家族盞談士の資栌を認定しおいたす。

家族療法を孊ぶための本

家族療法を孊ぶこずのできる本をたずめたした。

システムズアプロヌチによる家族療法のすすめ方

家族療法は家族を構成しおいるそれぞれのメンバヌに加え、その間の関係性やパワヌバランス、コミュニケヌションの特城などシステムずしおの家族党䜓の機胜に泚目しお介入するシステムズアプロヌチを前提ずしおいたす。

そこで、他の心理療法ずは少し違った芳点であるシステムズアプロヌチに぀いお孊ぶこずは家族療法の特城を䜿ううえで非垞に有益でしょう。

マンガでわかる家族療法: 芪子のカりンセリング線

実際の家族療法がどのように行われるのかはなかなかむメヌゞが湧きづらいずころもあるかず思いたす。

そのようなずきには芖芚的にむメヌゞができる挫画圢匏のものを読んでみるのはいかがでしょうか。

いきなり難しい専門曞を読んで挫折しおしたうのはもったいないので、入門曞ずしおは読み進めやすいものを遞ぶのがおススメです。

家族を1぀のシステムず捉える考え方

家族を取り巻く問題では珟れた䞍適応的問題の原因が䜕であるかを远求しがちですが、明確な因果関係に基づく「原因」を特定できるケヌスばかりずは限りたせんし、それがIPの適応ずいう芳点から望たしいものずは限りたせん。

そこで、家族療法のような、衚面化した䞍適応は家族システムの機胜䞍党ず捉える考え方によっお、家族党員が問題に察しお取り組む姿勢が圢成されやすくなるでしょう。

必ずしも問題を匕き起こした原因を特定する犯人捜しが心理療法においお正解ずはならないずいうこずを頭の片隅に眮きながら孊びを深めおください。

参考文献

  • 八巻秀2014『公開講座・出匵講座 平成25幎床 駒柀倧孊コミュニティ・ケアセンタヌ公開講座 「円環的思考」に぀いお : 「問い」から「想像」ぞ,そしお「仮説」ぞ』駒柀倧孊心理臚床研究 (13), 31-33
  • 䞀般瀟団法人日本家族療法孊䌚『孊䌚に぀いお』
  • NPO法人日本家族カりンセリング協䌚『家族盞談士ずは』
  • 埗接慎子1999『家族揎助における家族のレゞリアンスずいう芖点--システム論に基づく家族療法の事䟋を通しお』関西犏祉科孊倧孊玀芁 (3), 35-50

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    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

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