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ブリーフセラピーとは?カウンセリングの例や効果と学ぶ方法(資格・講座)

今回は、ブリーフセラピーについて学んでいきます。ブリーフセラピーはカウンセリングの中でどのような効果があるのでしょうか。解決志向アプローチを始めとしたブリーフセラピーのアプローチを解説します。ブリーフセラピーを学ぶための講座や資格認定を行なっている学会もご紹介していきます。

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ブリーフセラピー(ブリーフサイコセラピー)とは

まずは、ブリーフセラピーとはどのようなものなのか、その特徴や具体例を見ていきましょう。

ブリーフセラピーの意味と定義

ブリーフセラピー(Brief Therapy)のブリーフとは、「短時間の」「簡潔な」という言葉です。日本語では「短期療法」とも呼ばれます。

ホイトHoyt,M(2002)は、ブリーフセラピーを次のように定義しています。

心理的苦痛を緩和し、成長を促進するための時間に配慮した治療

つまりブリーフセラピーは、それまで時間がかかっていた心理療法に対して、即効性を重視した心理療法といえます。

今日では多様なアプローチ法を持つブリーフセラピーですが、元々は催眠療法家であるミルトン・エリクソン Erickson,M.H.の臨床に由来しているとされています。

ブリーフセラピーの特徴

ホイト(2002)によると、ブリーフセラピーには次のような6つの特徴があるといいます。

①素早く肯定的な同盟関係を構築すること

②特定の達成可能で計測可能な目標に焦点をあてる

③クライエントとセラピストの明確な責任の定義

④変化の期待と動機の高まりに伴う強さと能力の強調

⑤真新しいことを導入しクライエントを新たな感覚や行動に導くこと

⑥過去よりも現在と未来に焦点を当てること

つまり、ブリーフセラピーは、クライエントとセラピストが協働して、クライエントの健康的な面に目を向けていくという特徴を持っています。

ブリーフセラピーの具体例

今、あなたがこの記事を読んでいるのが朝でも昼でも夜でも、今日1日が終わると、あなたは眠りにつかれるでしょう。あなたが眠っている時、つまりあなたが気づいていない時に奇跡が起きたとします。そしてその奇跡によってあなたが今一番困っている事が解決しています。眠りの世界にいるあなたは、まだそのことを知りません。さて、明日の朝目覚めたあなたは、どんな事から奇跡が起きた事に気づくでしょうか?

また、奇跡が起きた事に初めに気づく人は誰でしょうか?その人は、あなたのどのような変化に気づくのでしょうか?

これを読んだだけで、起きた奇跡を想像し、自分の変化も想像するのは難しいかもしれません。もしできた方がいらっしゃったとしたら、素晴らしい想像力と強みをお持ちの方だと思います。

というのも本来の使い方は、対面の心理療法で、丁寧にクライエントの話を伺った後で行うものだからです。「ミラクルクエスチョン」というこの方法により、抱えている問題ばかりに向かっていた意識をポジティブな方向に向ける事ができたり、問題の解決につながる糸口を見つけられたりします。

ドラえもんの「もしもボックス」に似ているかもしれませんね。

ブリーフセラピーによるカウンセリングと代表的なアプローチ方法

1口にブリーフセラピーと言っても、現在では多数のアプローチ方法があります。今回はその中から、エリクソニアン・アプローチ、解決志向アプローチ、動作療法を見ていきましょう。

エリクソニアン・アプローチ

エリクソニアン・アプローチは、ミルトン・エリクソンの影響を受けた心理療法の総称です。エリクソニアン・アプローチには特定の理論がありません。

エリクソンは、クライエントの個別性を大切にしました。クライエントは一人一人違う以上、臨床家が特定の理論に当てはめるのではなく、そのクライエントや対人関係を観察し、クライエントが示した全てを治療に利用します。

さらに、クライエントがすでに持っている問題を克服する力やトランスに入る力を引き出す事が重要であるとしました。

解決志向アプローチ(Solution-Focused Approach)

1980年代、アメリカにあるBrief Family Therapy Centerのド・シェイザーde Shazer, S.とバーグBerg,I.K.らが開発した方法です。

問題やその原因に目を向けるのではなく、解決に役立つリソース(強みや可能性)を積極的に活用しようとするものです。ブリーフセラピーの具体例で挙げた「ミラクルクエスチョン」も、その手法の1つです。

心理臨床や医療のみでなく、産業や教育現場など幅広い領域で利用されています。

動作療法

気持ちが落ち込んでいたり悩みを抱えている時には、体も緊張し頭痛や肩こりなどの不調をきたしやすくなります。

動作療法では、このような心と体の結びつきを利用し、体の緊張を和らげる事を通して心の不調を改善しようとする心理療法です。

動作を課題とするので達成度合いを実感しやすく、トラウマ体験等も言葉にする事なく扱う事ができます。

ブリーフセラピーに関する心理学的研究【事例と効果】

ブリーフセラピーに関する事例を見てみましょう。

犬恐怖症の少女(エリクソニアン・アプローチ)

大型犬に噛まれてから外出ができなくなった少女を、エリクソンは「強くて健康な女の子」と捉え、その強みを引き出す会話をしました。そのうち、少女はエリクソンの飼い犬に会いたがるほどに回復しました。

座り方から「頑張りすぎ」に気づいた女性(動作療法)

家具の匂いなどが気になり吐き気や頭痛で悩む女性に、セラピストは「椅子座位肩上げ」「椅子座位の軸づくり」「立位軸づくり」「椅子座位腕上げ」の動作課題を行います。1回のセッションで、女性は肩こりが取れ、匂いについても気にならなくなりました。

ブリーフセラピーの学会・協会・センター

ブリーフセラピーの学会としては、日本ブリーフサイコセラピー学会があります。

ブリーフセラピーの協会としては、日本ブリーフセラピー協会があります。

トラウマケア専門のカウンセリングセンターとしては、ブリーフセラピー・カウンセリング・センターがあります。

ブリーフセラピーを学ぶ方法

ここでは、ブリーフセラピーを学ぶ方法をお伝えしていきます。

ブリーフセラピーの研修・セミナー・講座

実戦的なブリーフセラピーを身につけるためには、研修等を受ける必要があります。

日本ブリーフセラピー協会では、ブリーフセラピーの初学者のための養成講座、継続的なトレーニングのためのフォローアップ研修に加え、ビジネスや家族、教育に活かすためのブリーフコーチング研修も行われています。

ブリーフセラピーの資格

また、日本ブリーフセラピー協会では、ブリーフセラピストの資格を認定しています。

ブリーフセラピーについて学べる本

ブリーフセラピーについて学べる本をご紹介します。

「ブリーフセラピー入門ー柔軟で効果的なアプローチに向けて」

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日本ブリーフサイコセラピー学会の創立30周年記念として刊行された本です。第1部では、ブリーフセラピーの意味や歴史が述べられています。

第2部では、ブリーフサイコセラピーの多様なアプローチ法が紹介されています。以下の12個のアプローチについて、それぞれの臨床家が解説をしています。

エリクソニアン・アプローチ、システムズアプローチ、解決志向アプローチ、ナラティヴ・アプローチ、オープンダイアローグ、認知行動療法、エリクソン催眠、NLP(神経言語プログラミング)、条件反射制御法、EMDR、動作療法、TFTとEFT

第3部では、病院、クリニック、教育産業メンタルヘルス、司法、福祉、子供家庭福祉領域、コミュニティ支援、開業臨床におけるブリーフセラピーの使い方が紹介されています。

「ワークシートでブリーフセラピー(CDーROM付き!)ー学校ですぐ使える解決志向&外在化の発想と技法」

ブリーフセラピーを使って、子供達の力を引き出したいと思っている先生方へ。教育現場で活用しやすい解決志向ブリーフセラピーと問題の外在化の技法を学校場面に合ったワークシート形式にまとめてあります。

CDーROMのデータを使って、より自校に合ったシートにする事も可能です。

リソース探し、未来像・解決像の構築、問題の外在化、スケーリング・クエスチョン、コンプリメント、校内研修等が入っています。

ブリーフセラピーを教育現場で実践的に活かしたい先生方に有用な1冊です。

「催眠ガール」

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これは小説です。著者は短期療法を行うカウンセラーです。

主人公である高2の夏目は、家では両親から冷たい扱いを受け居場所がありません。学校の勉強も苦手です。そんな彼女がふとしたキッカケから催眠療法家のお師匠さんに弟子入りをします。

お師匠さんは冴えないサラリーマン風なおっさん。そんなおっさんとの出会いを通して、夏目は催眠を身につけ、日常を変えていけるのでしょうか。

勉強の息抜きに、主人公の目線で催眠を体験できる1冊です。

クライエントのニーズを大切にするブリーフセラピー

セラピーは常に、クラエントに役立つ事を第一に考えられるべきものです。けれども、丁寧に行う事とクライエントの時間的・経済的ニーズを尊重する事とのバランスを考える必要があります。

ブリーフセラピーは、より効果的・効率的なセラピーを行う事を目標とするものです。その分セラピストには、自分の経験や知識にとらわれず、目の前のクライエントをしっかりと観察する事が求められます。ある意味で、セラピストの集中力が最も試されるセラピーと言えるかもしれません。

ブリーフセラピーのどのアプローチを使うにしても、またはブリーフセラピー以外の方法でクライエントと関わるにしても、目の前のクライエントの強みを見つけ信じ続けようとする姿勢は、セラピストにとって最も大切なものと言えるのではないでしょうか。

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参考文献

日本ブリーフサイコセラピー学会(2020) 「ブリーフセラピー入門ー柔軟で効果的なアプローチに向けて」遠見書房

黒沢幸子(2012) 「ワークシートでブリーフセラピー(CDーROM付き!)ー学校ですぐ使える解決志向&外在化の発想と技法」ほんの木出版

ホイト,マイケル(2002) 「より効果的なブリーフセラピーを目指して」ブリーフサイコセラピー研究,11;7-12

大嶋信頼(2019) 「催眠ガール」清流出版

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    こころ

     臨床心理学・実験心理学等を学んだ後、心理カウンセラーとして勤務。現在はライターとして活動中。

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