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インテーク面接とは?目的や流れ、留意点を具体例でわかりやすく解説

インテーク面接は、所謂お見合いのようなものです。心理カウンセリングで初めてクライエントとカウンセラーが出会う場が大切なのは何故でしょうか?今回は、インテーク面接の意味や目的、心構えなどを学んで行きましょう。

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インテーク面接とは

インテーク面接(intake interview)は、クライエントとの1回目の面接の事です。初回面接と呼ばれる事もあります。インテーク面接を行う人をインテーカーと言います。

インテーカーとその後のカウンセリングを行うカウンセラーは同一の場合もあれば、別のカウンセラーが担当する場合もあります。

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インテーク面接の目的

インテーク面接を受けるクライエント側の目的は様々でしょう。困っている事を解決したい、楽になりたい、カウンセラーがどんな人なのか見てみたい等、クライエントの数だけ目的があると言っても良いかもしれません。

ではインテーカーにとっての目的は何でしょうか。2つの視点から見ていきましょう。

関係づくり

心理カウンセリングにおけるインテーク面接が他と最も異なるのが、関係づくりです。例えば骨折して形成外科に行ったリ、風邪をひいて内科に行った場合、医師に症状を聞かれて話すのもインテーク面接です。この場合、医師は患者との関係づくりよりも、患者に合った薬を処方する事を重視するでしょう。でも、心理カウンセリングにおけるインテーク面接では、クライエントとの関係づくりが重要な目的となります。

情報収集と提供

インテーク面接のもう1つの目的は、クライエントについての情報を得ると共に、カウンセラー及びカウンセリング機関についての情報を提供する事です。インテーク面接はお見合いのようなものですから、お互いの情報を提供しあった上で今後もその関係を継続するのか、どのような目的に向かってどこまで一緒に歩んで行くのかを判断します。

インテーク面接の方法とポイント

関係づくり情報収集及び提供という目的を達成するために、どのようにインテーク面接が行われるのか、その方法とポイントを見ていきましょう。

事前準備

お見合いのために、どのような準備をすれば良いのでしょう。

インテークでの関係づくりが良好に行われるためには、クライエントがなんでも話せる環境を整えておく事が大切です。クライエントと初めての時間を過ごす部屋の環境は重要です。明るさ、温度、湿度、広さ、プライバシーが守られる事など、全てがクライエントの居心地の良さに影響を与えそれがインテーク面接での話しやすさに影響を及ぼします。

椅子の配置や机の有無などもクライエントの心理に影響を及ぼすでしょう。この辺りはカウンセラーのこだわりが表れる所です。

例えば、クライエントとカウンセラーで全く同じ椅子を用いる事により、お互いが対等の関係である事を示すメッセージになるでしょう。また、椅子を3つ以上置けば、クライエントはどこに座るかを選ぶ所から、ここでは自分が尊重される存在であると感じる事ができるかもしれません。

環境作り以外の準備としては、事前に得られている情報があればそこからインテーク面接での展開を予想したり、チームで事前にシェアしておく場合もあるでしょう。

インテーク面接の流れ

カウンセリングルームあるいはカウンセラーによって流れが工夫されていると思いますが、次のような流れが一般的でしょう。

①クライエントが安心して話せるよう、挨拶や声かけを行う。

②カウンセラーやカウンセリングルームについて紹介をする。

③守秘義務を説明する。

④インテーク面接の目的と終了時間を伝える。

⑤インテーク面接の内容についてメモを取る事について許可を得る。

良いインテーク面接の例

インテーク面接の目的には、関係づくりと情報収集・提供の2つがあると書きましたが、そのバランスが取れているのが良いインテーク面接です。

例えば、クライエントがとても緊張している様子で席についたのに、いきなりインテーカーが「これからインテーク面接行います」というのは、どうでしょうか?これでは、必要な情報収集は出来たとしても関係づくりが上手く行かないでしょう。

目先の情報収集に捉われるのではなく、「緊張されていながら、今日は良くお越し下さいましたね。」など、クライエントの今の気持ちに寄り添う対応をする事で、関係づくりが出来ていきます。

インテーク面接で使用する質問用紙

インテーク面接で使用される質問用紙(インテークシート)は、カウンセリングルームによって様々です。クライエントについての情報をチームで共有し、方針を決定していくために必要な情報を記載します。

インテーカーの氏名、インテーク面接の日時、クライエントの氏名、年齢、性別、家族構成、生育歴、主訴(困っていること)、服薬、食欲、睡眠等です。

インテーク面接を行うインテーカーに必要なこと

インテーク面接を行うインテーカーに必要なことを3つの点から見ていきましょう。この3つは、来談者中心療法でカウンセラーに必要とされる態度です。

自己一致(self-congruence)

インテーカーが、自分自身に対して素直で誠実であろうとする事です。インテーカーが自己一致をしていないと、その不安定さがクライエントに不信感を与えてしまいます。

例えば、インテーカーが「学校を休むべきではない」という思いを持ちながら自分では気づいていない場合、不登校のクライエントに「学校に行きたくないよね」と言うと、インテーカーの中にザワザワとした感覚が生じるかもしれません。このザワザワが自己不一致です。

自己一致をしているためには自分の感覚や気持ちに気づいている事が必要です。

無条件の肯定的受容(unconditional positive acceptance)

受容するとは、ありのままを受けとめるという事です。クライエントは自己受容ができない状態で来談されます。

インテーカーのどんなクライエントも受容する態度に触れながら、クライエント自身も自己受容ができるようになっていきます。

共感的理解(empathic understanding)

インテーカーが、まるでクライエントの内面に入り込んで、クライエントが体験している世界を体験するような感覚です。クライエントの体験をインテーカーの似ている体験と比べて「分かった気になる」のとは違います。

また、クライエントの世界に巻き込まれてしまうのでもありません。クライエントの世界に入り込んだり出たりという事が自由にできる状態です。

インテーク面接を行う場合の留意点

インテーク面接を行う場合の留意点を2つ見ていきましょう。

守秘義務とその例外

クライエントとの信頼関係が築けていくと、クライエントは他の人には話せないような事も話して下さるようになります。

カウンセラーは守秘義務を負っていますから、クライエントが話した事をクライエントの同意を得ずに他の人に話す事はありません(スーパーヴィジョンと言って、カウンセラーが更に経験を積んだスーパーバイザーからアドバイスを受ける場合はあります)。

けれども、クライエントの状況によリ危機的状況に介入しなければならない場合には公的機関に通報しなければなりません。「死にたい」「殺したい」という気持ちが語られる場合には守秘義務が優先されますが、自殺の準備が具体的に語られ実行される可能性が高いと判断された場合などには、公的機関への情報提供が優先されます。

これらの事を、インテーク面接でクライエントに分かりやすく伝えておく事が必要です。

カウンセリングが害にならないか、専門機関との連携が必要かを考える

インテーク面接で重要な事の1つには、今後もクライエントと共に歩んでいけるのかどうか、カウンセリングがクライエントの役に立つのかという事があります。統合失調症やうつ病などの場合、投薬が必要な場合もありますし、カウンセリングにより妄想が悪化する場合もあります。

カウンセラーは医師ではない事を自覚した上で、だからこそ精神病の知識を謙虚に学ぶ必要があります。インテーク面接で出会ったクライエントが、面接により悪化する事のないようにしなければなりません。

カウンセリングよりもクライエントにとって良い方法があるのなら、それをクライエントが選択できるようにすべきです。勿論その場合でも、クライエントが「見放された」という感覚を持つ事のないように、インテーカーが持つべき3つの態度(自己一致・受容・共感的理解)を持って全力でクライエントと向き合います。

インテーク面接の重要性

インテーク面接は、クライエントとカウンセラーが初めて出会う場です。インテーク面接でインテカーが話を聴き、記載した記録は、今後のカウンセリングにおける方針決定の貴重な資料となります。

また、インテーク面接はクライエントが今後も来談したいと思える動機付けともなります。クライエントとの共通目標を立て、クライエント自身が納得の出来るカウンセリング契約を結ぶ事が大切です。

インテーク面接について学べる本

心理臨床の奥行き 帝塚山学院大学大学院<公開カウンセリング講座>③

学生の方向けのhow to本ではありません。インテーク面接について、河合先生が「初回面接について」で書いておられます。

カウンセラーとして歩み始めた方、迷ったり上手く行かなくて落ち込んだ時、逆に上手く行っていると感じた時にも、先生の優しく厳しい教えを感じ取れる本だと思います。

心理面接の方法 見立てと心理支援のすすめ方

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心理面接とは何か、心理面接で人や人の悩みをどう理解するのかなどが分かりやすく説明されています。インテーク面接については、第二部「初回面接と見立てについて」で書かれています。他機関との連携についても言及されています。

図解入門 よくわかる臨床心理学の基本と仕組み

臨床心理学分野全体が、簡潔にわかりやすくまとめられているので、臨床心理学をこれから学ぼうとされている方や学び始めた方におすすめです。インテーク面接については、6章「どんなカウンセリング方法があるか」に記載があります。

インテーク面接を身につけるために

人と人との出会いでは、第一印象がその後の人間関係に大きく影響する場合があります。カウンセリングはサービス業ですから、クライエントは物ではなく人間関係を買いに来ているとも言えるでしょう。

ですから、インテーク面接で「また話しに来たい」「この人との関係で何かが変わるかもしれない」と希望を持っていただける事が大切なのだと思います。

そのために、インテーカーとして身につけるべき態度、知識に加え、インテーカー自身がカウンセリングを受ける事も有用な場合もあります。店員自らが使っていない商品をお客さんは買いたいでしょうか?インテーカー自身がクライエントとしてインテークを体験する事が、インテーク面接を理解する一番の方法かもしれません。

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参考文献

河合隼雄・山中康裕・田嶌誠一・氏原寛・大塚義孝(2007) 「心理臨床の奥行き」 帝塚山学院大学大学院<公開カウンセリング講座>③ 新曜社

永井撤(2013) 「心理面接の方法 見立てと心理支援のすすめ方」新曜社

徳太英次(2010) 「図解入門 よくわかる臨床心理学の基本としくみ」 秀和システム

古賀和香子(2008) 「インテークと状況把握」 ユースアドバイザー養成プログラム 第5章第2節 内閣府

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    こころ

     臨床心理学・実験心理学等を学んだ後、心理カウンセラーとして勤務。現在はライターとして活動中。

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