集団心理とは?意味と具体例、メリット・デメリットについて解説

2022-02-23

集団心理とは、人が集まったときに生じる特殊な心理状態のことを指します。

例えば、清掃活動や募金活動などを一般的に望ましいと思われる行動でも、1人だと不安や恥ずかしさから実行できないことはあると思いますが、これが集団になると実行しやすくなったりします。

このように、1人では行わないことでも集団でなら実行できる(してしまう)といった集団心理の作用は、協力関係が生まれたり、善意の行動が促進されたりするなど様々なメリットをもたらします。

しかし、その半面、行動が過激になったり、冷静な判断ができなくなったりする場合もあり、いじめの発生・維持につながるなどリスクやデメリットも存在します。

今回は、集団心理とは何か、具体例を挙げながら整理していくとともに、集団心理のメリットやデメリット・リスクについて解説していきます。

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集団心理とは

集団心理とは、人が集まったときに生じる集団特有の(1人のときとは異なる)心理状態を指します。

社会的に望ましい行動が促進されるなど、良い方向に作用することが期待される半面、合理的な判断が難しくなり、集団全体として極端な行動を引き起こしたりする場合もあります。

集団ができると、集団内のメンバーが共有する思考・行動パターンが形成されます。個人はそれに沿った言動をしようとする中で、思考や判断、感情などに影響を受けるとされ、集団心理が働いている状態にあるとも言えます。

さらに、集団内の価値観やルールから逸脱しないようにとの働き掛けから、個人の意見・行動を集団に合わせるといった同調が生じることも集団心理によるものと言えます。

「日本人と集団心理」

日本人の民族性について、集団行動を重視し、いわゆる「空気を読む」といった周囲の状況や雰囲気に自分の行動を合わせていくことを重んじるなどと表されることが少なくありません。

自身の言動が他者からどのように思われるかを気にしやすく、異質だと思われたくない、ネガティブな評価をされたくないとの心理から、集団心理の影響を受けることが考えられます。

なお、日本人は集団主義的な民族であると評されることが多いですが、複数の実証的研究によれば日本人が他に比べて集団主義的であるとは言えず、集団心理の影響において文化差はないことが示されています。

 

集団心理が作用することで生じる現象

集団心理が働くことで、どのような現象が生じるのか、匿名性暗示性の高まり、力の錯覚などいくつか例を挙げていきます。

匿名性が高まり、自己の言動に対する責任感が薄れる

不特定多数の中に混ざり、集団の一人となることで、自己の言動に対する責任感が薄れてしまい、ともすれば社会的モラルが低下しやすくなることが挙げられます。

1人であれば個人の責任が問われるところ、大勢でやること(匿名性の高い状況)によって、誰の責任か分からなくなる、つまり責任の分散が生じやすくなると言えます。

例えば、SNSのように大勢の利用者が匿名で発言できる場においては「どうせ誰か分からない」などと責任感やモラルが低下しやすくなり、過激な発言が起こりやすいことが指摘されています。

また、心理学者のジンバルドは、匿名性の高く、責任が分散されている状況下において、人間は攻撃的になりやすいことを実験から示しています。

被暗示性が高まり、その場の雰囲気に従った言動となりやすい

集団の中の1人になると、被暗示性(暗示のかかりやすさ)が高くなり、その場の雰囲気に従った言動を取りやすいとも言われています。

大勢が同じ言動をしていると、「周りがしているからそうなのだろう」と考えて、判断力が鈍くなり、簡単に誰かの意見に乗ったり、その場の雰囲気に合わせた言動を取りやすくなったりします。

例えば、大して魅力を感じなかった商品でも、周囲がこぞって購入している様子を見ると、「周りが欲しがるならば良い商品だろう」と考えて購入してしまう現象(バンドワゴン効果)が挙げられます。

「バンドワゴン効果」

多くの人が支持しているから自分もしようという集団心理を反映したものであり、多数と思われる意見に個人の意見が引きずられることで、多数派への支持が一層高くなる現象を表しています。選挙活動やマーケティング、株やFXなどの投資などで活用されている心理現象です。

また、感情の影響も受けやすいと言われており、1人でいるときよりも感情的になったり感情の起伏が大きくなったりします。

例えば、スポーツ観戦において、チームのサポーターが感情的に叫ぶなど興奮した状態になっていると、1人だけ冷静でいることは難しく興奮した状態に陥り、感情的な判断をしやすくなります。

集団になると、自分が強くなったような力の錯覚を抱きやすい

大勢で集まると自分が強くなったと錯覚しやすく気が大きくなることも挙げられます。1人では出来ないことでも、集団になって力を実感することで大胆に振る舞うことができるようになります。

例えば、喧嘩が強い集団と行動を共にしていることで、自分自身が大して強くないにもかかわらず自分も強者であると錯覚し、気が大きくなるといったことが挙げられます。

集団心理のメリット

集団心理の個人の言動に良い面にも悪い面にも影響を及ぼしています。まずは集団心理がもたらすメリットについて例を挙げてみます。

集団の結束力が強くなる

集団心理が作用すると暗示性が高まり、個人の思考や判断に影響します。そして、集団で同じような言動を取ることで連帯感が高まり、集団内の結束が強くなることが挙げられます。

例えば、チームスポーツにおいては、集団心理が働くことで意識や行動が統一されると、チームプレイが生じやすくなり、1人のとき以上の力が出せるなど良い影響を与えることが期待されます。

善意の行為に積極的に取り組みやすくなる

1人では不安だったり、恥ずかしいと感じたりしてなかなかできないことでも、集団であれば実行しやすくなります。

例えば、街頭での募金の呼びかけや清掃活動など1人だけでは気後れしてしまうことでも、周囲から呼びかけられたら、参加する人も少なからずいることと思います。

集団でいると大胆になり、1人ではできないことにも挑戦できるといった集団心理を望ましい活動に向けることができれば、その活動が広がっていき、結果として良い影響をもたらすことにつながります。

 集団心理のデメリット

メリットがある半面、集団心理の働きがいじめにつながったりするなど、デメリットやリスクも存在しています。

集団によるいじめなど間違った行為につながる

集団心理が働くと、自己の言動への責任感が薄れたり、冷静な判断ができず集団に流されたりしやすくなります。集団によるいじめが生じたり、維持されたりする様子は、集団心理が悪い方向に作用する代表的な例と言えます。

1人であれば、いじめの是非を判断できる人でも、集団心理が働くと、モラルや罪悪感が低下したり、力を持ったと錯覚したりして、いじめ行為に及ぶことがあります。

また、いじめている集団にいる中で、客観的に見ればやめるべきことだとしても、次第にそれが多数派で普通のことだと考えて疑問に思わなくなることで、いじめが維持されていきます。

そして、いじめているのは自分だけではないと責任感が薄まる中で、行為が次第に大胆になり、いじめがエスカレートしていくことも懸念されます。

判断や言動が極端・過激に傾くことがある

集団で何かを決める場面において、集団で討議をすると、個人で判断するときよりも極端な意思決定になる傾向があると言われており、この現象は集団極化と表されます。

特に、集団での意思決定が個人のものよりも過激な方向に向かうことをリスキーシフトと呼びます。

集団でいることで、自分が強くなった錯覚から大胆で過激な発言をしたり、責任の所在が曖昧となるため極端な発言をしたりと、極端で過激な発言が飛び交う中で意見が攻撃的になることもあり得ます。

また、1人では言えないことでも周りが言うならと同調したり、集団の雰囲気に流されたりする現象も生じると、どんどんリスキーな方へと歯止めが掛からなくなることが懸念されます。

社会的な事件に発展することもあり、テロ行為(テロ行為に対しての報復)や戦争などもこうした集団極化の影響が考えられます。

集団心理について学べる本

最後に、集団心理について詳しく学ぶ上で参考になる書籍を紹介します。

集団の中で人はどのように行動するか、社会現象と人間の心理との関係性などについて、イラストを交えながら分かりやすく紹介されています。

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心理学の観点から、集団の中で人はどのように生活しているのかについて述べられています。具体的な事例が多く含まれており、分かりやすく理解できます。

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フランスの社会心理学者であるギュスターヴ・ル・ボンによって1895年に著された書籍であす。集団に属することで個人の思考や言動が異なるといった集団心理の作用などについて示されています。

集団心理は良い方向にも悪い方向にも作用するものです

集団心理は、人が集まれば必ず生じるものと言えます。集団心理のメリットやデメリットも示しましたが、集団心理は良い方向にも悪い方向にも作用するものです。

なので、集団心理は必ず起こるものと理解した上で、自身の言動をコントロールすることが肝要です。

例えば、集団心理の力を借りて、これまで踏み出せなかったことに挑戦してみたり、社会貢献活動を広げていったりするなど良い方向に活用することができます。

また、他人に流されやすくなったり、言動が極端で衝動的になったりする場合があるなど、集団心理のリスクを日頃から意識しておくことで、悪い方向に進まないよう立ち止まることも重要です。

参考文献

  • 山岸俊男 監修(2011)『徹底図解 社会心理学―歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』新星出版社
  • ギュスターヴ・ル・ボン 著・桜井成夫 翻訳(1993)『群衆心理』講談社
  • 池田謙一・唐沢穣・工藤恵理子・村本由紀子 著(2019)『社会心理学 補訂版』有斐閣

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    • この記事を書いた人

    blue_horizon

    民間企業在職中に心理カウンセラーを志し、心理学を学び始める。臨床心理士指定大学院卒業後は、司法及び産業領域の心理職として稼働。公認心理師・臨床心理士。

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