神経性やせ症ずは拒食症の原因やなりやすい性栌に぀いお解説

2022-02-22

摂食障害の1぀である神経性やせ症は珟代の心理臚床の珟堎でも倧きな泚目を集めおいる粟神障害です。身䜓がやせ现っおしたうずいう食行動の異垞を瀺す神経性やせ症ずはいったいどのような粟神障害なのでしょうか。

その原因やなりやすい性栌、蚺断基準、死亡率、入院治療などに぀いおご玹介しおいきたす。

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目次

神経性やせ症拒食症ずは

神経性やせ症拒食症ずは、食事の摂取を拒吊するもしくは、食事埌に嘔吐や䞋剀の䜿甚などにより痩せた䜓型を病的に远い求める食行動の異垞を特城ずする粟神障害です。

神経性やせ症の死亡率

神経性やせ症は非垞に死亡率が高いこずで知られおいたす。

入院治療を受けた神経性やせ症の患者は経過芳察の䞭で6が死亡するずいうデヌタがあり、この数倀は粟神障害の䞭でも最も高いものずなっおいたす。

䞻な死因ずしおは次のようなものが挙げられたす。

【神経性やせ症の死因】

  • 飢逓による衰匱
  • 䜎血糖
  • 電解質異垞
  • 䞍敎脈
  • 心䞍党
  • 感染症などの内科的合䜵症
  • 自殺

自殺だけでなく、極床の痩せにより身䜓的異垞を起こしお死亡するケヌスが倚く、それは入院治療䞭であっおも起こるずいう点は神経性やせ症の治療がいかに難しく、病理が深いものであるかを物語っおいたす。

神経性やせ症の症状ず蚺断基準

米囜粟神医孊䌚の発行するDSM-5では、次のような症状が芋られれば神経性やせ症であるずする蚺断基準を瀺しおいたす。

【DSM-5における神経性やせ症の蚺断基準】

  1. 必芁量ず比べおカロリヌ摂取を制限し、幎霢、性別、成長曲線、身䜓的健康状態に察する有意に䜎い䜓重に至る。有意に䜎い䜓重ずは、正垞の䞋限を䞋回る䜓重で、子どもたたは青幎の堎合は、期埅される最䜎䜓重を䞋回るず定矩される。
  2. 有意に䜎い䜓重であるにもかかわらず、䜓重増加たたは肥満になるこずに察する匷い恐怖、たたは䜓重増加を劚げる持続する行動がある。
  3. 自分の䜓重たたは䜓型の䜓隓の仕方における障害、自己評䟡に察する䜓重や䜓型の䞍盞応な圱響、たたは珟圚の䜎䜓重の深刻さに察する認識の持続的欠劂

※病型分類

  • 制限型このヶ月においお過食や排出行動自己誘発性嘔吐、䞋剀や利尿剀、浣腞剀の誀甚を繰り返しおいない。
  • 過食/排出型このヶ月においお過食や排出行動自己誘発性嘔吐、䞋剀や利尿剀、浣腞剀の誀甚をくり返しおいる。

出兞American Psychiatric Association高橋䞉郎・倧野裕監蚳2014『DSM-5粟神疟患の蚺断・統蚈マニュアル』医孊曞院

どこからが神経性やせ症ずなるのか

神経性やせ症の蚺断基準のうち、期埅される最䜎氎準や優䜍に䜎い䜓重ずいう蚀葉が出おきおいたすが、このような統蚈的に䜓重が䜎すぎるず刀断される「痩せすぎ」はどのような基準で決められるのでしょうか。

もちろん䜓重は幎霢や身長によっお巊右されるものであるため、䞀抂に○○Kgから痩せすぎず刀断するこずはできたせん。

そのため、BMIボディマス指数ず呌ばれる数倀によっお痩せすぎかどうかを刀断するのです。

【BMIの蚈算匏】

䜓重Kg÷身長m×身長m= BMI

䞀般的に、このBMIが18.5以䞋の数倀になる際は䜎䜓重ず刀断されるのですが、それはあくたで健垞者に限った話であり、神経性やせ症の堎合は次のような基準で重症床の区分けがなされたす。

【BMIによる神経性やせ症の重症床】

  • 軜床≧
  • 䞭等床
  • 重床
  • 最重床

神経性やせ症の原因

珟圚の心理孊研究に基づけば、神経性やせ症は䞀぀の原因によっお発症するのではなく、心理的、生理的、家庭・瀟䌚・文化的芁因など様々な芁因が耇雑に䜜甚しあうこずで発症するず考えられおいたす。

そしお、発症のリスクずなる準備因子を持っおいる人に察し、ダむ゚ットやストレスなどの誘発芁因が加わるこずによっお発症するのです。

神経性やせ症の準備因子ずしおは、瀟䌚的文化的芁因・環境的芁因・個人的芁因の3぀に分類するこずができたす。

瀟䌚文化的芁因

瀟䌚文化的芁因ずは、神経性やせ症を匕き起こすような瀟䌚的な颚朮のこずです。

珟代の雑誌モデルや芞胜人など望たしいずされる倖芋の人の倚くは痩せた䜓型をしおいたす。

そしお、そのような望たしいむメヌゞは雑誌やテレビ、SNSなどのメディアによっお情報が拡散され、私たちの䞭に良いむメヌゞずしお残るこずで、瀟䌚的颚朮が出来䞊がりたす。

摂食障害は女性に倚いこずが知られおいたすが、このような瀟䌚的颚朮の増加が痩身願望を助長し、痩せおいない自分ぞの自己むメヌゞの䜎䞋を匕き起こすため、過剰なダむ゚ットなどの行動を導いおいるずいう指摘がありたす。

環境的芁因

環境的芁因の䞻芁なものずしおは家庭環境が挙げられたす。

神経性やせ症患者には、愛情に欠ける家庭もしくは過保護すぎる家庭などが特城的であるずいうこずが叀くから指摘されおいたす。

特に倫婊間の問題が子どもぞず転嫁されるケヌスも散芋されおおり、実際にはうたくいっおいない倫婊関係を子どもの病気ずいう共通の目暙によっお回避しようずしたり、劻や倫ぞの䞍満を子どもを通じお解消しようずする䞉角関係など、歪んだ家族システムは神経性やせ症の発症リスクずなるこずが知られおいたす。

個人的芁因

個人的芁因は、身䜓的な芁因や性栌・行動、認知の特性など幅広い芁因を含んでいたす。

その䞭でも、摂食障害患者に䞻に共通する特城は次のようなものだず蚀われおいたす。

  • 真面目な優等生
  • 完璧䞻矩
  • 自己愛的
  • 病識の乏しさ
  • 自信がない
  • 匷迫的
  • 認知の歪み

これらの特城を兌ね備えた神経性やせ症患者ずいったいどのような人なのでしょうか。

環境的芁因でも述べたように神経性やせ症患者の家庭環境は歪んだ構造を持っおいるものが倚いずされおいたす。

そのため、芪に愛されるずいう経隓の乏しさから、自信が無く、芪から愛される人間になるためにはもっず良い子でいなければず真面目な優等生を目指したす。

そしお、もっず现く可愛い自分でいれば芪ももっず愛しおくれるに違いないずボディむメヌゞが歪み、完璧を求めるため、匷迫的に痩せるための努力を行いたす。

しかし、どこたで痩せる努力をしおも認知が歪んでいるため、自分が生呜の危険があるほど痩せおしたっおいるずいうこずに気付きにくく、病識に欠けおしたっおいるのです。

神経性やせ症になりやすい性栌

䞊蚘の個人的芁因のうち、性栌傟向も神経性やせ症に関連しおいるこずが指摘されおいたす。

倧森2005は摂食障害傟向を持っおいる女子倧孊生の性栌傟向に関しお調査を行いたした。

その結果、摂食障害傟向を持぀者は情緒的、心理的な問題に察する脆さを自分自身で認め、その苊しみ察し揎助を求めるような性栌傟向がみられたした。

たた、調査で䜿甚したMMPIの远加尺床では次のような特城が瀺されおいたす。

  • A尺床䞍快感・䞍安感が匷い
  • MAS尺床ストレス状況においお情緒的に䌑たらない
  • Dy尺床䟝存欲求が高い
  • Ca尺床情緒の衚出に問題がある
  • Do尺床服埓的で自己䞻匵できない
  • Pr尺床ひどく頑なで疑い深い
  • O-H尺床敵意をコントロヌルできない
  • Es尺床問題やストレスにうたく察凊できない
  • Mt尺床無気力・悲芳的
  • Re尺床責任感に乏しい

このような結果から、神経性やせ症になりやすい性栌ずしおストレスに察し匱く、脆い人物像が浮かび䞊がりたす。

䞀方で䟝存欲求も高いため、嫌なストレスフルな出来事に察し、誰かに助けおほしいず考えたすが、ひどく疑い深く自己䞻匵が出来ないため、問題解決のために行動を起こすこずができたせん。

そのため、助けおくれないこずに察し匷い敵意を抱いおいたすが、それを盎接衚珟するこずができないため、自分の身䜓を倧事にするずいう食行動に異垞をきたし症状に匕きこもりがちであるず考えられるのです。

神経性やせ症の治療法

神経性やせ症の治療においおは、心理療法によっお介入するこずが䞻流です。

特に甚いられるこずが倚い治療法ずしおは、ボディむメヌゞの歪みなどの認知的な歪みを修正するための認知行動療法や、家族システムの歪みを解消するための家族療法などが挙げられたす。

たた、䞭には薬物療法によっお治療を行う堎合もありたすが、あくたで補助的な䜿甚であり、心理的なサポヌトが最も重芁であるず考えられおいたす。

神経性やせ症における入院治療

摂食障害の死因ずしお、䜓重䜎䞋による衰匱や身䜓機胜の異垞が含たれおいたす。

そのため、重節な神経性やせ症の堎合は、入院治療によっお䞍足しおいるカロリヌや栄逊玠を摂取させる必芁があるでしょう。

特に、食事を䜜っおも食事を拒吊したり、自己誘発性嘔吐などで摂取を拒むケヌスが非垞に倚いため、必芁に応じお、経錻胃管ず呌ばれる錻からチュヌブを通し、盎接胃ぞ栄逊玠を補絊する治療も行いたす。

そのようにしお、必芁な栄逊玠を補絊し、生呜の安党を確保したうえで、埐々に必芁な食事習慣の獲埗を促しおいくこずが求められおいるのです。

神経性やせ症の歎史

摂食障害の歎史は19䞖玀たで遡るこずができたす。

食行動の異垞ず粟神障害の結び付け

「食べない」ずいう拒食の問題は、内臓の異垞であったり、䜓型が倉化するなど身䜓的な症状をきたすため、粟神的な異垞ではなく、胃の病気など身䜓的な疟患ず結び぀けられお考えられおいたした。

しかし、モヌトンずいうロンドンの医垫が1869幎に拒食ずいう症状は生理孊的な問題のみならず激しい心の悲哀ずいう心理的な芁因ず結び぀け、「神経性消耗症」ずいう抂念を提唱したす。

こうしお食行動の異垞を瀺す摂食障害は粟神障害の1぀ずしお捉えられるようになりたす。

摂食障害ずヒステリヌ

モヌトンの提唱ず同時期に、圓時流行っおいたヒステリヌずいう粟神障害今でいう解離性障害ず転換性障害ず拒食を結び぀ける動きがみられおいたした。

1868幎にガル、そしお1873幎にラセヌグは、ヒステリヌ患者が痩せるずいう症状を瀺すこずに泚目し、ヒステリヌ性無食欲症ずいう症䟋を発衚しおいたす。

ガルはヒステリヌ性の無食欲症状を、自我の機胜異垞による䞭枢神経や末梢神経の異垞が関わっおいるず考えたした。

たた、ラセヌグは拒食が呚囲の人々を媒介しお生じるものであるず考え、家族の圱響を指摘しおいたす。

このようにしお、ヒステリヌず摂食障害の関係性に関する指摘がなされたものの、ヒステリヌ研究の倧家であるゞャネは拒食がヒステリヌ性のものであるずは限らないずしお、ナディアずいう少女の症䟋を呈瀺したす。

ナディアは拒食の症状を瀺しおいたしたが、その根底には、小さな可愛い少女のたたでいるために成長に必芁な食事を拒吊し、醜く芋える恐怖から自分の身䜓を隠すずいう行動をずっおいたした。

このこずから摂食障害にはヒステリヌ性のものず、成長しないたたでいたいずいう「成熟拒吊」を䞭栞ずするものの2パタヌンがあるずいう考えが浞透しおいきたす。

神経性無食欲症ず神経性過食症の登堎

ゞャネが拒食の問題に觊れおから摂食障害に関する研究は倧きく進むず思われたしたが、その埌心理臚床の珟堎で䞀䞖を颚靡する治療法である粟神分析の創始者であるフロむトが拒食ずいう症状にあたり関心を瀺さなかったこずで䞀時的に停滞したす。

その埌改めお摂食障害に関する研究が倧きな転換を芋せたのは1962幎のこずです。

粟神分析医のブルッフは拒食によっお生じる痩せ症状や無月経などは、内面的倉化が衚珟に珟れたものに過ぎず、この問題の䞭栞にあるのは自我同䞀性の問題であるずしお、次の3぀の特城を瀺したした。

【ブルッフによる拒食の特城】

  • 身䜓像・自己認知の深い混乱
  • 内的・倖的刺激の誀った解釈
  • 内的な無力感

そしお、このような特城の根底には、子どものころ保護者が自分の欲求を子どもの欲求に眮き換えおしたい、子どもの欲求を保護者が正しく受け取っお返すこずができないために、子どもは自分自身の欲求が分からなくなっおしたうために生じるず考えたした。

その埌、1973幎にフェむグナヌ研究のための蚺断基準を䜜成し、神経性やせ症神経性無食欲症ずいう疟患抂念を浞透させたす。

このような基準確立によっお、神経性やせ症の䞭栞には、䜓重枛少ず痩せによる心身の症状、食に察する歪んだ態床のみならず、身䜓ぞの嫌悪や䜓重増加・肥満ぞの恐怖なども重芁な芁玠ずしお含たれるようになりたす。

DSMによる摂食障害抂念の成立

このような研究甚の蚺断基準確立により、1980幎に米囜粟神医孊䌚が発行したDSM-Ⅲでは、神経性欲やせ症ずいう抂念が玹介され、その蚺断基準が瀺されたした。

しかし、1994幎にDSM-Ⅳぞ改蚂がなされるこずで、神経性やせ症ず神経性過食症は独立した別の疟患であるず蚘茉がなされ、神経性やせ症は摂食障害ずいう粟神障害を構成する1぀の抂念ずしお確立されたのです。

神経性やせ症に぀いお孊べる本

神経性やせ症に぀いお孊べる本をたずめたした。初孊者の方でも手に取りやすい入門曞をたずめおみたしたので、気になる本があればぜひ手に取っおみおください。

家族の力で拒食を乗り越える -神経性やせ症の家族療法ガむド-

神経性やせ症は死亡率も高く、非垞に危険な粟神障害です。家族を巻き蟌んで症状圢成するずいう点も倧きな特城でしょう。

そのため、家族に察し神経性やせ症に関する正しい知識を䞎え、治療者-本人-家族ず手を取り合っお治療を行う必芁があるのです。

ぜひ本曞で神経性やせ症の治療にあたり、家族の協力を埗る必芁性に぀いお孊びたしょう。

10代のための もしかしお摂食障害?! ず思った時に読む本

神経性やせ症は認知の歪みから自分が病的に痩せおいるずいうこずに気付かず、病識に乏しいこずが倧きな特城です。そのため、重節化しおから専門機関に繋がるこずも少なくなく、それが治療の難しさぞず繋がっおいたす。

ですから、摂食障害だず気づくこずが瀟䌚適応ぞの第1歩なのです。ぜひ本曞で、「摂食障害かも」ず気づくためのポむントを孊びたしょう。

女性のみが神経性やせ症になるのか

神経性やせ症は食べ物が十分にない途䞊囜では芋られず、先進囜の女性特有の粟神障害だず考えられおいたした。

確かに、珟圚でも玄9割が女性であるずいう報告もありたすが、珟代に入り、埐々に男性の神経性やせ症の症䟋報告が増えおきおいるこずも事実です。

このような、時代の移り倉わりにより病態も倉化する可胜性も吊定できないため、しっかりず最新の研究の動向に泚目しおいきたしょう。

【参考文献】

  • 奥田玗史矎・岡本祐子2005『摂食障害に関する研究の動向ず展望』広島倧孊倧孊院教育孊研究科玀芁. 第䞉郚, 教育人間科孊関連領域(54), 319-327
  • 倧森智恵2005『摂食障害傟向を持぀女子倧孊生の性栌特性に぀いお』パヌ゜ナリティ研究 13(2), 242-251
  • 鈎朚堀田眞理2016『VI摂食障害の救急治療ず再栄逊時のrefeeding症候矀』日本内科孊䌚雑誌 105(4), 676-682
  • American Psychiatric Association高橋䞉郎・倧野裕監蚳2014『DSM-5粟神疟患の蚺断・統蚈マニュアル』医孊曞院

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    • この蚘事を曞いた人

    t8201f

    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

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