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ロールシャッハ・テストとは?目的・実施法・解釈法について学ぶ

今回は、ロールシャッハ・テストについて学びます。ロールシャッハ・テストの目的や特徴、実施方法、解釈について見ていきます。また、ロールシャッハ・テストの実施における注意点も、考えていきましょう。

なお、ロールシャッハ・テストを受ける予定のある方は、検査結果に影響を及ぼす可能性があるため、本記事をお読みにならない事をお勧めいたします。

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ロールシャッハ・テストとは

ロールシャッハ・テストとはどのようなものなのでしょうか。その目的と特徴について見ていきましょう。

ロールシャッハ・テストの内容

ロールシャッハ・テストは、スイスの精神医学者であるロールシャッハ(Rorschach, Hermann)によって考案された、投影法による心理検査です。

インクのしみで作られた曖昧な模様に対する被験者の反応から、病状や性格を分析しようとするものです。

結果の解釈に臨床家の主観が入り込むため、高い習熟度を要する上、その実効性については疑問を投げかける専門家もいます。

ロールシャッハ・テストの目的

町沢(1988)によると、ロールシャッハ・テストは次の5つの状況で使うといいます。

  1.  診断困難例に対して何らかの診断的資料を得るため。
  2.  治療上の行きづまりの打開の糸口を探るため。
  3. 退院の可否の判断の資料とするため。
  4. 疾病の予測、潜在的可能性を知るため。
  5. 本人がテストを希望するため。

ロールシャッハ・テストの特徴

ロールシャッハ・テストは、投影法のパーソナリティテストであり、意識によって歪められにくいという特徴があります。

解釈は複雑であり、習熟にはかなりの訓練が必要です。

ロールシャッハ・テストの実施方法

ロールシャッハ・テストの実施方法は、大きく次の4段階に分けられます。

① 準備段階

被験者がテストに集中できる環境を整え、用具(図版、記録用紙、秒針付き腕時計、筆記用具)を揃えます。

ラポール形成とテストの説明が終わったら、図版を被験者に手渡し「これは何に見えますか?」という教示を行います。

② 反応段階

被験者が答えた言語、非言語全ての内容を逐語的に記録します。

被験者からの質問には、誘導的にならないように答えます。反応数が少なすぎないように、励ます必要がある事もあります。

③ 質問段階

10枚全ての図版への答えが終わったら、記録した答えを元にして、反応の内容を明らかにしていきます。

教示としては、「この絵のどこがそう見えたのか、どうしてそのように見えたのかを私に教えて下さい。」などとなります。

ここでも、検査者からの問いが誘導にならないように気をつけます。

④ 限界吟味段階

質問段階だけでは十分でなかった場合に限り、自由な質問を行う場合があります。

ロールシャッハ・テストの解釈

ここでは、いくつかあるロールシャッハ・テストの解釈の中で、実証性の側面が強調される(高橋ら,2007)包括システムを取り上げます。

包括システムでは、コード化された反応から、以下の8つの要素について解釈を行います。

①感情、②統制とストレス耐性、③情報処理、④認知的媒介、⑤思考、⑥対人知覚、⑦自己知覚、⑧状況関連ストレス

ロールシャッハ・テストの注意点

高橋ら(2007)は、ロールシャッハ・テストの実施に当たり、ラポール(心のつながり)の形成の重要性を述べています。

また、最近ロールシャッハ法の授業や研修会がオンライン上で行われる事も増えてきた事に鑑み、日本ロールシャッハ学会では、オンライン上での取り扱いに関するガイドラインを設けています。

ロールシャッハ・テストの学会・研修

ロールシャッハ・テストに間する学会としては、包括システムによる日本ロールシャッハ学会日本ロールシャッハ学会などがあります。

それぞれのサイトに、研修会情報も掲載されています。

ロールシャッハ・テストについて学べる本

ロールシャッハ・テストについて学べる本をご紹介します。

実施法について学ぶ「ロールシャッハ・テスト実施法」

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包括システムによる実施法が、初心者にも分かりやすく説明されたテキストです。

解釈法について学ぶ「ロールシャッハ・テスト解釈法」

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包括システムによる解釈を日本人に適用するための、実践的なテキストです。

ロールシャッハ・テストと過剰診断

東日本大震災における東京電力福島第1原発事故発生時に18歳以下の県民には、甲状腺がん検査が行われています。

早期発見、早期治療は必要だとする意見がある一方で、本来は治療の必要のない子供にまで「がん患者」としての人生を背負わせてしまった、として自分を責めておられる医師がいらっしゃいました。

病気を発見し相手に伝える者の責任感、診断によって相手の人生を傷づけてしまう恐ろしさが伝わってきました。

ロールシャッハ・テストの実施者も、自分の診断により、人の持つ健康な部分まで奪ってしまわないように、気をつけなければなりません。

参考文献

秋谷たつ子(監修)(1988) ロールシャッハ法を学ぶ 金剛出版

高橋雅春・高橋依子・西尾博行(2006) ロールシャッハ・テスト実施法 金剛出版

高橋雅春・高橋依子・西尾博行(2007) ロールシャッハ・テスト解釈法 金剛出版

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    • この記事を書いた人

    こころ

     臨床心理学・実験心理学等を学んだ後、心理カウンセラーとして勤務。現在はライターとして活動中。

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