SDS(自己評価式抑うつ性尺度)とは?特徴や結果のまとめ方をわかりやすく解説

2021-12-11

抑うつを測定する方法にはいくつかありますが、被検者が自己評価を行う質問紙尺度の代表的なものとしてSDS(抑うつ性自己評価尺度)が挙げられます。

それでは、このSDSはどのような特徴があるのでしょうか。その質問項目や結果の点数のまとめ方なども詳しくご紹介します。

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SDS(自己評価式抑うつ性尺度)とは

SDSとはSelf-rating Depresion Scaleの頭文字を取ったもので、日本語では抑うつ式自己評価尺度と呼ばれます。

この尺度は1965年にツァング,W.W.K.によって開発されました。

SDSの特徴

SDSの特徴は何と言っても簡便に抑うつに関する様々な症状の把握ができることです。

SDSの質問項目は全部で20問であり、質問項目の内容は次のような多彩な症状を捉えられるものとなっています。

【SDSの質問項目分類】

  • 抑うつ主感情:2項目
  • 身体的症状:8項目
  • 精神的症状:10項目

また、質問項目の表現は、被検者が自身の症状を訴えるときのようにネガティブな表現でなされたものが10項目(例えば、「気が沈んで憂うつだ」など)と、それとは逆に肯定的な表現で記述された逆転項目(例えば、「朝方はいちばん気分が良い」など)が混在しています。

各選択肢には1点から4点までの点数が割り当てられており、(逆転項目の採点は点数の対応が真逆になります)、それぞれの質問項目に記載された症状が起こる頻度について最も当てはまるものに〇をつけることで回答を行います。

最大80点から最小20点のSDS得点を算出し抑うつの状態の程度を捉えることが大きな特徴です。

SDSの結果の点数のまとめ方

SDSでは質問項目に対する回答を集計し、合計の点数を算出します。

20ある質問項目にはそれぞれ1点から4点の点数が割り振られているため、SDS得点は80点から20点の間で算出されることになり、その点数の高さから抑うつの重篤度を把握することができます。

SDSでの得点の評価に関する評価基準は次の通りです。

【SDS得点の評価基準】

  • ~49点:正常
  • 50~59:軽度のうつ状態
  • 60~69:中等度から高度のうつ状態
  • 70点以上:極度のうつ状態

SDSに関する心理学的研究

SDSは簡便ながら抑うつの重篤度を正確に捉えられる測度として定評があり、1990年から2003年までに行われた日本での抑うつ研究でもっとも用いられた尺度であるという報告があるほど有名な尺度です。

今回はその尺度について取り上げたものをいくつかご紹介します。

SDSの因子構造に関する研究

SDSは抑うつを測定する尺度ですが、抑うつと一言で言っても、身体症状や感情、気分、認知の歪み、妄想など様々な症状を内包しています。

それでは、SDSで測定する抑うつにはどのような内容に分かれるのでしょうか。

SDSの因子構造を調べている研究の中には、感情に関する否定的な項目が因子としてまとまり、認知に関する肯定的な項目がまとまるということが指摘されています。

永田(2020)はSDS日本語版の因子分析を行い、因子構造の確認を行っていますが、その結果、「異性と一緒にいると楽しい」、「痩せてきたことに気がつく」、「便秘している」の3項目を除き、逆転項目である肯定的な認知に関する因子と否定的な感情に関する因子の2因子構造であることが確認されました。

つまり、SDSで測定することのできる抑うつとは、「肯定的な認知の低さ」と「否定的な感情の高さ」によって構成されていると考えることができます。

応答バイアスの検証

SDSは信頼性と妥当性が高い尺度として心理臨床の現場でも多用されていますが、研究者の中には、質問の内容ではなく、順項目と逆転項目が混在しているために、項目の表現に関連した応答バイアスが生じる可能性が指摘されています。

質問紙検査では、自分の抱える症状が社会的に望ましくないもの、重症であるほど自分を良くみせようとしたり、逆に症状に引きずられ自身の価値をより低く見積もってしまうような偏りが生じる可能性があります。

特に抑うつを伴う疾患、うつ病などでは、罪業妄想(自分は罪深い、生きる価値が無い)、貧困妄想(自分は貧しくて、卑しい)、心気妄想(何か重大な病気にかかっているのでは)というような自分の価値を低く見積もる傾向にあります。

これまでの、SDS研究でも上述したSDSの2因子において、逆転項目の得点が高くなる、つまりポジティブな刺激文に対し否定を行う傾向がより強く出ることが指摘されていました。

太谷・佐藤(1999)はこのような理由として、応答バイアスの存在を指摘しており、実際に因子分析や高校生における抑うつ状態との関連を検討した結果、ポジティブな内容の因子とネガティブな内容の因子は抑うつの尺度であるSDSの回答に影響を与えうるが、良く売るの状態とは直接に関連していない心理的要因、すなわち応答バイアスの存在を指摘しています。

SDSについて学べる本

SDSについて学べる本をまとめました。

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SDSは抑うつ状態やうつ病の程度を測定する質問紙ですが、そもそもうつとはどのようなものなのかご存知でしょうか。

検査で測られているものが何であるかを事前に知っておくことは非常に重要です。

ぜひ本書で「うつ」について詳しく学びましょう。

公認心理師のための「心理査定」講義 (臨床心理フロンティア)

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SDSは心理臨床の現場でも用いられることの多い検査ですが、心理検査はクライエントの不適応の状態像を捉えるアセスメント、心理査定の一部として行われます。

それでは、SDSのような質問紙法は心理査定のなかでどのような流れで実施されるのでしょうか。

初学者に向け心理査定の流れや、代表的な心理検査、うつの脳神経科学的解説や介入のポイントなどが記載された本書で詳しく学びましょう。

質問紙検査を実施する意味

心理面接の段階でクライエントと対話をしているとうつが重い人なのかどうかは感覚的にわかるものです。

そのような分かっていることに対し、いたずらにSDSを実施してもクライエントの負担が増えるだけであり、どのような意図をもって実施するかは非常に重要です。

例えば、自分の考えているクライエントの状態像を確認するために実施する、初回だけでなく継続的に実施し、治療経過を視覚的にフィードバックするために行うなど心理臨床の現場でどのように用いるかは事前にしっかりと考えておきましょう。

また、川上・小泉(1986)は、会社員など大人数を対象に抑うつ状態のスクリーニングテストとしてSDSを実施することの有効性を指摘しています。

このように、簡便に状態像を捉えられる質問紙法のメリットをどのように活かすかも含めSDSに関する学びを深めましょう。

【参考文献】

  • 臼田謙太郎(2013)『臨床研究で使用する自己記入式抑うつ評価尺度の特徴』武蔵野大学心理臨床センター紀要 (13), 55-65
  • 永田正明(2020)『SDSの因子構造の検討』研究報告 (32), 85-88
  • 太谷明・佐藤学(1999)『SDS(Zungの自己評価式抑うつ尺度)の質問文の表現に関連した応答バイアスの検証』行動計量学 26(1), 34-45
  • 川上憲人・小泉明(1986)『職場における自己評価式抑うつ尺度の妥当性について』産業医学 28(5), 360-361

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    • この記事を書いた人

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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