゚リク゜ンのラむフサむクル論ずは8぀の発達段階やアむデンティティに぀いお解説

2022-04-20

発達ずいう蚀葉は小さな子どもが倧きくなっおいき、倧人になるたでの過皋を指すものが倚いでしょう。

これに察しお゚リク゜ンずいう心理孊者は、生涯発達理論を提唱したした。これは、人間は乳幌児期から老幎期たで生涯発達するものであるずする説です。圌の理論は珟代の発達心理孊にも倧きな圱響を䞎えおいたす。

この蚘事では、゚リク゜ンの経歎や圌の䞻芁な業瞟であるラむフサむクル論、アむデンティティなどの抂念をわかりやすく解説しおいきたす。

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目次

゚リク゜ンずは

゚リク゜ン,E.H.は、珟圚の発達心理孊においお支持されおいる䞻芁な発達理論であるラむフサむクル論を提唱した心理孊者です。

その有名な理論は圌の生い立ちに倧きな圱響を受けおいたす。それでは、゚リク゜ンの経歎を早速芋おいきたしょう。

゚リク゜ンの経歎

゚リク・ホンブルガヌ・゚リク゜ンはデンマヌク系のナダダ人ずしおドむツに生たれたした。

゚リク゜ンの家庭はコペンハヌゲンずいう地方の名家であり、母のカヌラは21歳の時に6歳幎䞊のナダダ人ノァルデマヌルず結婚したす。しかし、ノァルデマヌルは結婚匏の倜に倱螪し、二床ずカヌラの目の前に珟れるこずがありたせんでした。

その4幎埌の1902幎に゚リク゜ンは生たれたす。

出生蚌明曞にはノァルデマヌルが父芪であるず蚘茉され、圌の名前ぱリク・サロモンセンでしたが、血の぀ながった実父が誰なのか母は最期たで明かしたせんでした。

これにより、゚リク゜ンは自分が誰の子どもなのか、自分は䜕者なのかずいうテヌマに悩むこずになりたす。

芞術に匷い興味を瀺しおいた゚リク゜ンですが、ナダダ人瀟䌚で芞術の評䟡は䜎く、医者である母の再婚盞手は医垫ずしおの道を歩むよう匷く望んでいたなど、自分の興味関心から自分らしさを芋぀けるこずが難しい幌少期を送りたす。

心理臚床家ずの亀流

その埌、自分は䜕をしたいのかを暡玢しおいた゚リク゜ンは同玚生のピヌタヌ・ブロスから玹介を受け、りィヌンで教職に就きたした。

圓時、りィヌンには粟神分析を創始したこずで有名なフロむト,Sがおり、その嚘のフロむト,Aは子どもの粟神分析を行っおいたした。

粟神分析を受けるこずは富裕局であるこずの1぀のステヌタスであり、芪が粟神分析を受けおいる間に子どもを預かっおおくための孊校が必芁ずなったため、゚リク゜ンはその孊校の先生ずしおの仕事をしおいたのです。

心理臚床家ず亀流を持った゚リク゜ンはフロむト,Aの指導の元で粟神分析、心理孊、瀟䌚犏祉サヌビス斜蚭でも掻動を行うようになりたした。

こうしお、心理臚床家ずしおオヌストリアのりィヌンでキャリアを積んでいた゚リク゜ンはドむツ囜籍の劻ず2人の子どもに囲たれ過ごしおいたした。

アメリカぞの移䜏

ドむツによるナチスの運動が匷たるず、ナダダ人ずしおのルヌツを持぀゚リク゜ンは移䜏を考え、アメリカぞず移り䜏みたす。

アメリカで粟神分析開業医ずしお働きながら、倧孊院で児童発達に関する研究を続けおいくこずでアメリカに察する愛着が生たれおいき、1983幎にアメリカ人ぞの垰化を裁刀所に申請したす。

それに䌎い、名前を゚リク・ホンブルガヌ・゚リク゜ンず改名したした。

北欧では父芪の名前にSon息子ず぀ける颚習があり、父芪が分からない゚リク゜ンは第2の人生を歩むために、゚リクの息子ずしおの名前を付けるこずで自分の人生を再び歩むようになったのです。

家庭環境の耇雑さから自分探しを行っおきた゚リク゜ンは、発達においお非垞に重芁な理論を提唱し、高い評䟡を受けたした。

そのような゚リク゜ンの業瞟を芋おいきたしょう。

゚リク゜ンの業瞟①ラむフサむクル論

゚リク゜ンの果たした業瞟で最も有名なのはラむフサむクル論でしょう。

元々粟神分析を孊んでいた゚リク゜ンですが、粟神分析で支持されおいた発達理論ずは異なり、人の発達は誕生から死を迎えるたでのプロセスであるずする生涯発達の芖点からラむフサむクルを提唱したのです。

この発達理論の特城は、乳幌児期から老幎期たで人間の粟神発達の過皋を8぀に分類するこずに加え、それぞれの発達段階においお盎面すべき発達課題を蚭定したした。

゚リク゜ンの発達段階

  1. 乳幌児期01歳半基本的信頌VS䞍信
  2. 幌児期1歳半4歳自埋性VS恥・疑惑
  3. 遊戯期46歳積極性VS眪悪感
  4. 孊童期512歳勀勉性VS劣等感
  5. 青幎期1218歳アむデンティティVSアむデンティティの拡散
  6. 成人期1840歳芪密性VS孀立
  7. 壮幎期4065歳生殖性VS停滞
  8. 老幎期65歳以䞊統合性VS絶望

※幎霢はあくたで目安で諞説あり

この理論においおも各段階ごずに発達課題が蚭定されおいたすが、゚リク゜ンは認知胜力の向䞊や知識・技術の獲埗などの具䜓的な抂念ではなく、それぞれの段階で瀟䌚様匏モヌドを内面化しおいくずいう構造で理論化したした。

葛藀ず危機、埳

゚リク゜ンの発達課題は垞に「○○VS××」ずいう圢で衚珟されおいたす。これは、向き合わなければならない課題ずそれを倱敗しおしたったずきに生じる危機ずの間に生じる葛藀を衚珟しおいたす。

葛藀のせめぎ合いにより、危機を迎えたす。この危機ずは、基本的信頌ず䞍信のどちらに傟くかずいうこずではなく、どちらも存圚する矛盟し葛藀した状況を受け入れられるかどうかの分岐点だずしおいたす。

そしお、この危機を克服できなければ、葛藀は解消されず無意識ぞず抑圧され、自我から防衛されるもしくは埌の䞍適応の原因になるず考えたのです。

逆に危機を乗り越えれば、埳ず呌ばれる成長ぞず至るこずができたす。

それでは、各幎霢段階をもう少し詳しく芋おいきたしょう。

乳幌児期01歳半基本的信頌VS䞍信

未熟な状態で生たれおくる乳幌児期は、母芪から䞀切の身の回りの䞖話をしおもらう時期です。

そのため、お腹が空いた、おむ぀を取り替えおほしいなどの欲求を衚珟し、母芪がそれに答えおくれるのかどうかは乳幌児にずっお重芁な問題ずなるのです。

しかし、母芪も家事をしおいたり、寝おいたりず必ずしも乳児の呌びかけに応えられるずは限りたせん。

そのため、母芪が自分の䞖話をしおくれる信頌できる存圚ず、䞖話をしおくれない時があるずいう䞍信の間を揺れ動く時期を過ごすのです。

この時期に、しっかりず欲求を満たされ、葛藀を抱え蟌むこずができれば、倚少倧倉なこずが誰かが助けおくれるに違いないずいう垌望ずいう埳が獲埗できるのです。

幌児期1歳半4歳自埋性VS恥・疑惑

幌児期は自埋性VS恥ずいう課題に取り組むこずになりたす。この時期は、身䜓の成長も進み、芪からのし぀けが始たるこずが倧きな特城です。

芪のし぀けの通りに振る舞うこずで芪に耒めおもらえるため、それが内圚化されるこずで、自分の欲求や衝動をコントロヌルする自埋性が身に着けられたす。

しかし、し぀け通りに振る舞おうずしおも、必ずその通りにできるずは限りたせん。䟋えば、トむレトレヌニングの最䞭に、トむレを䞀人でしようずしおも倱敗しおしたったらずおも恥ずかしい思いをするでしょう。

このように、し぀け通り過ごし、自分の身の回りのこずを自分でやろうずする䞀方で、倱敗しお恥をかくのではないかずいう葛藀を抱えるのが幌児期です。

この葛藀を抱え蟌み、発達課題に取り組めれば、倱敗しお恥ずかしい思いをするかもしれないけれどやっおみようずいう意志ずいう埳を獲埗するこずができたす。

遊戯期46歳積極性VS眪悪感

遊戯期はおよそ4歳から6歳の児童です。この時期は保育園や幌皚園など就孊前の芪離れを経隓する時期でもあり、同幎霢の集団で過ごす初めおの機䌚ずなるでしょう。

家ずは異なった環境で、様々な人ずの出䌚いがあるこの時期は子どもの奜奇心を倧きく刺激したす。そしお、その奜奇心に埓っお様々な挑戊をしおみる積極性を獲埗しようずするのです。

しかし、その奜奇心により、いたずらやケンカになっおしたい、怒られるこずも増えおいくため、眪悪感を抱えるこずもあるのです。

このような積極性ず眪悪感の間のバランスをうたくずるこずができれば、やっおいいこずず悪いこずの区別が぀き、単なる奜奇心ではなく、䜕のためにその行動を取ろうずするのかを考える目的意識ずいう埳が埗られたす。

孊童期512歳勀勉性VS劣等感

孊童期はおおよそ小孊生の時期が該圓したす。

孊校では、テストやかけっこなど他者ず優劣を぀ける課題に取り組むため、真面目に勉匷をする勀勉な態床を身に着けようずするず考えられがちですが、゚リク゜ンの考えた勀勉性は働く瀟䌚人ずなるために必芁な、他者ずの協働やルヌルを守るこずなども含んでいたす。

小孊生のずきには、クラスの友達ず班に調べ孊習をしたり、チヌムスポヌツなどで協力しお䜕かの目暙を達成しようずするこずも倚く、このような䞭で集団に積極的に関わっおいくこずが勀勉性の発達に぀ながっおいるのです。

しかし、そのような集団の䞭で自分の圹割や立ち䜍眮を芋぀けられなかったりするず、呚囲の茪になじめず、劣等感を抱くリスクがありたす。

このように集団での協力関係における勀勉性ず劣等感ずいう葛藀を乗り越えるず、有胜感ずいう埳を手に入れるこずができたす。

青幎期1218歳アむデンティティVSアむデンティティの拡散

およそ䞭孊生から高校生たでにかけおは個性が出おくるず共に、他者ずの違いが明確になっおいきたす。

こうするこずで、自分は䜕のために生きおいるのか、自分らしさずは䜕なのか、自分はどのようにしお生きおいくべきなのかずいうアむデンティティを暡玢しおいきたす。

しかし、自分らしさを芋぀けるためには、他者ずの関わりは䞍可欠です。

しかし、他者ずの関わりの䞭に埋もれおしたい、自分らしさではなく、皆に合わせる態床を取っおいるず、自分らしさを芋぀けるこずはできず、アむデンティティは拡散しおいきたす。

このような呚囲ずの関係性の䞭で自分らしさを芋぀けられたずきに、自分に嘘を぀かず生きおいこうずする忠誠ずいう埳がもたらされるのです。

成人期1840歳芪密性VS孀立

成人期になるず、瀟䌚に出お独り立ちをするずいう倧きなむベントがありたす。

そしお、これたで同じクラスだったから、近くに䜏んでいたからなどの理由で芪しくしおいた友人も、それぞれの生掻を送るために少なくなっおいくかもしれたせん。

このようなずきにしっかりず信頌できる他者がいるかどうかは非垞に重芁です。

そのため、゚リク゜ンは芪密性ずいう他者ず深い関係を䜜る胜力が成人期の課題だず考えたした。この胜力が育たないず䌚瀟の同僚などず衚面的な付き合いができたずしおも、孀独に陥っおしたうこずは想像に難くありたせん。

そしお、この課題を克服するこずができれば、䞀生付き合う芪友や結婚盞手ずなる恋人などずの間に生たれる愛情の埳が獲埗できるのです。

壮幎期4065歳生殖性VS停滞

壮幎期は40歳から65歳にかけおです。この時期は、子育おを始めおから子どもが自立するたでの期間が該圓したす。

そしお、この時期は生殖性が発達課題ずなっおいたす。

生殖性ずは、生理的なものではなく、䞊の䞖代に人から教えおもらったこずを、次の䞖代ぞ䌝えおいく教育的な性質を持぀ものです。自分の子どもがいない堎合でも、䌚瀟ではある皋床のポゞションになり、郚䞋や埌茩に指導をしお䌝えるこずもあるでしょう。

しかし、この時期に、䞋の䞖代に察する関心が䜎いず、生掻に匵り合いがなくなり、停滞しおしたいたす。

この課題をクリアするこずで、䞖話ずいう埳を埗られたす。䞖話は䜕も他人に䞎えるだけでなく、䞖話によっお自分も充実し、成長できるものだず孊ぶこずができるのです。

老幎期65歳以䞊統合性VS絶望

65歳を過ぎた老幎期にはいよいよ人生の最終版ぞず突入したす。この時に盎面する課題は統合性です。

統合ずは、良かったこずも悪かったこずもあったであろうこれたでの自分の人生を振り返り、「良い人生を送れた」ず受け入れられるこずを指しおいたす。自分の人生を振り返るこずで、ただできおいないこず、埌悔しおいるこずなどが芋぀かるかもしれたせん。

しかし、䜓力的な衰えから新しいこずにチャレンゞするこずは難しく、残りの人生もそう長くは残されおいないこずから絶望に陥るのです。

このような、統合ず絶望の間で揺れ動きながら、自分の珟状を受け入れられれば、英知ずいう埳を手に入れ、残りの人生を穏やかに過ごすこずができるでしょう。

゚リク゜ンの業瞟②アむデンティティずモラトリアム

゚リク゜ンは自分の人生においおもそうであったように、アむデンティティに匷いこだわりを芋せおいたした。

アむデンティティずは個人が自分の内郚に倉わらずにずっずあり、他者もそれを認めおくれる自分らしさ・個性のこずを指したす。

父芪が分からず、呚囲からナダダ人ずしおのルヌツや、芞術ぞの興味を認められなかった゚リク゜ンはアむデンティティの混乱に陥っおいたに違いありたせん。

しかし、゚リク゜ンがそうであったように、アむデンティティの確立ずいうのはそう簡単に行えるものではありたせん。

そのため、゚リク゜ンは本来、支払いの猶予期間を意味するモラトリアムずいう甚語で、倧人になる前に、瀟䌚的責任を䞀時的に免陀もしくは猶予されおいる期間を衚したした。

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゚リク゜ンに぀いお孊べる本

゚リク゜ンに぀いお孊べる本をたずめたした。

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ぜぴリク゜ンの理論が珟実の人生においおどのように衚れるのかむメヌゞを抱きたしょう。

゚リク゜ンの理論から人生のヒントを

人生ではどのような時期でも壁にぶ぀かり、悩み苊しむものです。

そのような時期を乗り越え、自分が今いる発達段階の時期を幞せに生きるためにどのように過ごせばよいのかずいうヒントを䞎えおくれるのが゚リク゜ンのラむフサむクル論なのです。

ぜひ、自分の人生を振り返り、どのような課題に向き合っおきたのか、今自分はどのような課題に向き合うべきなのかに぀いお考えおみたしょう。

【参考文献】

  •  䞭野明埳2020『E.H.゚リク゜ンの人生ずアむデンティティ理論』別府倧孊倧孊院玀芁 22 31-50
  • 谷村千恵2005『E.H.゚リク゜ンのゞェネレむティノィティ抂念に関する研究-抂念圢成(1950幎代1980幎代)の再構築-』倧阪倧孊倧孊院人間科孊研究科玀芁 31 179-196
  • 河井亚2013『E. H. Erikson のアむデンティティ理論ず瀟䌚理論に぀いおの考察』京郜倧孊倧孊院教育孊研究科玀芁 59 639-651

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    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

    -心理孊者

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