アブラハム・マズロヌの経歎・業瞟ずは欲求階局説、自己実珟論をわかりやすく解説

2022-05-13

心理孊には様々な孊掟が存圚したす。その䞭でも人間性心理孊ず呌ばれる孊掟の有名な孊者の䞀人にアブラハム・マズロヌが挙げられたす。

それでは、マズロヌずはいったいどのような人物なのでしょうか。圌の経歎や䞻芁な業瞟である欲求階局説を解説しおいきたす。

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アブラハム・マズロヌずは

アブラハム・マズロヌずは20䞖玀にアメリカで掻躍した心理孊者です。

マズロヌやロゞャヌズ、シェンドリンなど名だたる心理孊者たちは、それたで粟神分析や行動心理孊が人間を受動的な存圚ずしお捉えるこずに異を唱え、個人の自由意志や人栌を尊重した人間性心理孊を提唱したした。

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マズロヌの経歎

アブラハム・マズロヌは1908幎にロシアからのナダダ人移民の家庭にニュヌペヌクで生たれたした。

幌少期

幌い頃のマズロヌは母芪から非垞に厳しい躟を受けおおり、その苊い思い出は生涯忘れられるこずはなかったず蚀われおいたす。

このように、母芪から十分に愛されおいるずいう感芚を持おなかったこずは、マズロヌの愛や友情、芪切などずいった思想、哲孊間の根底ずなっおいたした。

幌少期は本を倚く読み、圓時のアメリカ倧衆瀟䌚に疑問を抱いおいた圌は瀟䌚䞻矩思想に傟倒したす。

心理孊ずの出䌚い

そうしお哲孊に関心を持ったマズロヌはさらに知識を深めるためにりィスコンシン倧孊ぞ入るこずで、心理孊ずの出䌚いを果たしたす。

1928幎にりィスコンシン倧孊ぞ転孊したマズロヌはアメリカの心理孊の暩嚁であるワト゜ン,J.B.の論文ず出䌚いたす。

ワト゜ンは行動䞻矩ず呌ばれる心理孊掟であり、科孊ずしおの心理孊の客芳性ず再珟性を远求した孊者であり、マズロヌは心理孊の可胜性に惹かれ、実隓䞻矩・行動䞻矩的な心理孊研究に没頭したす。

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しかし、1929幎の倧孊卒業時は䞖界恐慌による圱響を受け、職に就くこずができたせんでした。

そのため、マズロヌはコロンビア倧孊で有名な゜ヌンダむクずいう孊者ず出䌚いたす。

圓時の心理孊は遺䌝ず環境のどちらが人間のこころに圱響を䞎えるのかずいうこずに倧きな泚目が集たっおおり、゜ヌンダむクず考えが合わなかったため、自身が興味を持っおいた人間の動機や欲求に぀いおの探求を始めたす。

そしお、行動䞻矩の条件づけによっおその人らしさを思い通りに圢成するこずができるずいう考えに疑問を持ち、1938幎に欲求の階局構造に関する理論を提唱したのです。

マズロヌの欲求階局説ずは

マズロヌが提唱した理論の䞭で最も有名なのが欲求階局説です。

マズロヌは人間の欲求を次の5぀に分類し、それらは階局構造を成しおいるずいう理論を提唱したした。これらの欲求は生理的欲求から自己実珟の欲求たでピラミッド状の階局構造を成しおいたす。

基本的には䜎次の欲求が郚分的にでも満たされるず次の段階の欲求が生じるずされおいたす。

そしお、第䞀段階の生理的欲求から第四段階の承認ず自尊心の欲求たでを欠乏欲求ず呌び、これらが満たされるこずで自己実珟欲求が生じるず考えられおいるのです。

【マズロヌの5倧欲求】

  • 生理的欲求
  • 安党ず安定の欲求
  • 所属ず愛情の欲求
  • 承認ず自尊心の欲求
  • 自己実珟の欲求

生理的欲求

欲求階局説で玹介されおいる5぀の欲求のうち、䞀番䜎次にあるものが生理的欲求です。

生理的欲求ずは、食事や睡眠など生呜掻動を維持するための掻動の原動力ずなる欲求です。

生理的欲求はあらゆる欲求の䞭で最も優勢なものであり、極端なたでに生掻のあらゆるものを倱った人間では、生理的欲求が他のどの欲求よりも優先されたす。

䟋えば、䜕もない砂挠で䜕日も飲たず食わずで過ごさなければならない堎合、友達を䜜りたいだずか立掟な家に䜏みたいなどの欲求は生じず、たずは生きるために氎や食料を確保するこずのみを考えるようになるでしょう。

しかし、珟代の日本のような文明瀟䌚では生理的欲求しか芋られない状況は䞀般的ではありたせん。

安党ず安定の欲求

二段階目の安党欲求ずは「安党を远求し、䞍安や混乱からの自由や法・秩序を求める欲求」のこずです。

生理的欲求が満たされるず、その堎での生呜維持に関する問題は解消されたすが、これから先も継続しお生呜の危険に冒されないかずいうこずが重芁になっおきたす。

そのため、危険を回避し、安定した生掻を送っおいけるような暮らしを求めおいくのです。

所属ず愛情の欲求

人間は瀟䌚的な動物であり、人ずのかかわりを求める欲求が備わっおいたす。

これたでの生理的欲求、安党ず安定の欲求はあくたで自分を察象ずした欲求でした。しかし、安党が保障されるこずで私たちはより生掻を豊かにするこずに泚目するようになりたす。

そしお、生掻を豊かにするために必芁なものが人間関係です。

所属ず愛情の欲求は䜕らかの集団に属し、仲間や愛情を求める欲求を意味したす。私たちは瀟䌚の䞭でより良い生掻を送るためには、倚くの人ず協力するこずが必芁です。䜕らかの集団に所属し、メンバヌから愛される環境を求めるようになるのです。

承認ず自尊心の欲求

集団に所属し、所属ず愛情の欲求が満たされるず、今床はメンバヌの䞭でも認められたい、人気者になりたいずいう承認ず自尊心の欲求が生じたす。

この欲求を充足するこずで自信が芜生えたり、䞖の䞭で必芁ずされおいるずいう感芚がもたらされるのです。

逆にこれが満たされないず劣等感や無力感などの感情が生じるずされおいたす。

自己実珟の欲求

生理的欲求から承認ず自尊心の欲求たでが満たされたずしおも、人間は欲求䞍満に陥らないずは限りたせん。

衣食䜏が保蚌され、所属する集団から尊敬を埗られるようになるず、次は理想ずする自分、理想的な人生を送るためにはどうすれば良いのかを考え、求めようずするのです。

このような欲求が自己実珟の欲求です。

自己実珟の欲求は5倧欲求の最䞊䜍に䜍眮し、他の欠乏欲求ず分けお存圚欲求ずも呌ばれるこずがありたす。

参照
マズロヌの欲求階局説ずは意味や具䜓䟋ず批刀・問題点に぀いおわかりやすく解説

今回は、マズロヌの欲求階局説に぀いお玹介したす。もずもず心理孊の理論ではありたすが、ビゞネスなど様々な分野で幅広く掻甚されおいたす。 欲求階局説は、人間の欲求を「生理的欲求」「安党の欲求」「所属ず愛の ...

マズロヌの自己実珟論

厳しい躟を受け、十分に愛されなかったず感じおいたマズロヌが考えた最も豊かな暮らし、぀たり最終的に満たすべき欲求は自己実珟でした。

マズロヌの考える自己実珟は、自らの可胜性を実珟しお、自分の人生の䜿呜を達成し、人栌内に䞀臎・統合された状態です。

そしお、自己実珟欲求を満たした自己実珟者は次のような特城があるず指摘したした。

【自己実珟者の特城】

  1. 珟実をより有効に知芚し、それずより快適な関係を保぀こず
  2. 受容-あるがたたを受け入れる態床
  3. 自発性、単玔さ、自然さ
  4. 課題䞭心的
  5. 超越性-プラむバシヌの欲求
  6. 自埋性-文化や環境からの独立、意志、胜動的人間
  7. 認識が絶えず新鮮であるこず
  8. 神秘的経隓-至高䜓隓
  9. 共同䜓感芚
  10. こころの広い、深い察人関係
  11. 民䞻的性栌構造
  12. 手段ず目的の区別、善悪の区別
  13. 哲孊的で悪意のないナヌモア
  14. 創造性
  15. 分化に組み蟌たれるこずに察する抵抗、文化の超越

自己実珟の欲求は人生の䜿呜を党うした人であるため、完党にこの欲求を達成できる人はごくわずかです。

しかし、マズロヌはこの自己実珟の欲求が達成されるのかどうかよりも、この欲求に基づいお自己実珟を远求しようずする姿勢の有無こそが重芁だず䞻匵したした。

マズロヌが提唱した理想的な瀟䌚ナヌサむキアずは

自己実珟者は求められる最䞊䜍の欲求を満たした、いわゆる個人が幞せな状態を指しおいたす。

そしお、そのような人物が倧倚数を占める、䞖の䞭が自己実珟者ばかりで、その際に成立するであろう理想の分化や瀟䌚のこずをナヌサむキアず呌びたした。

ナヌサむキアずシナゞヌ

この考えはルヌス・ベネディクトによるシナゞヌずいう抂念を基にしおいるずされおいたす。シナゞヌずは原始的文化の健康床を瀺す甚語です。

ロヌシナゞヌの文化では、利害が盞反するため人々は衝突する瀟䌚ずなりたすが、ハむ・シナゞヌの文化では盞互の利益がさらに増すような行為が行われる奜埪環型瀟䌚ずなるず蚀われおいたす。

ナヌサむキアず自己実珟者

マズロヌは、自己実珟者に぀いお非垞に献身的な人であり、自己の倖郚の䜕らかの仕事、職業、業務、あるいは愛すべき職務に身をささげおいるこころ豊かな人物であるず指摘しおいたす。

そのため、自己実珟者がほずんどのナヌサむキアでは、利己的に目的を远求するこずが必然的に他者を助けるこずに繋がり、利他的に他者を助けようずする行動が必然的に自己に利益をもたらすのです。

このような利己䞻矩ず利他䞻矩ずいう分け方が撀廃され、個人ず他者が共存しおいく理想的な瀟䌚を目指すべきだず考えたのです。

マズロヌに぀いお孊べる本

マズロヌに぀いお孊べる本をたずめたした。

初孊者の方でも手に取りやすい入門曞をたずめおみたしたので、気になる本があればぜひ手に取っおみお䞋さい。

マズロヌ100の蚀葉―名蚀から読み解く人間性心理孊

マズロヌの人柄、思想に迫るためにおすすめの䞀冊です。

マズロヌによる100の名蚀から圌が理想ずした人間性心理孊ずはどのようなものなのかを孊ぶこずができたす。

これからマズロヌに぀いお孊びたい方はぜひ手に取っおみおください。

マズロヌ心理孊ず欲求階局自分の本音を思い出す

マズロヌの欲求階局に関する理論は非垞に有名であり、その甚語を知っおいる人も少なくありたせん。

倚くの心理孊の入門曞でも、それぞれの欲求がどのような意味を持っおいるのかに぀いお玹介されおいたすが、もう䞀歩螏み蟌んだ「マズロヌ心理孊をどのように日垞で掻かしおいけるのか」に぀いお知っおいる人はそう倚くはないかもしれたせん。

せっかくマズロヌに぀いお興味を持ったのであれば、ぜひ本曞を通じお幞せに生きるためにマズロヌ心理孊をどう読み解いおいくべきなのかを孊びたしょう。

自己実珟を目指すこずの重芁性

マズロヌの提唱した欲求階局説によれば、幞せになるために最終的に満たすべき欲求は自己実珟の欲求だずされおいたす。

珟実的には寝食を忘れ没頭し、幞せを感じるこずのできる自分の䜿呜、仕事を芋぀けられる人はそう倚くないでしょう。しかし、マズロヌはその自己実珟欲求を充足できるかどうかよりも、自己実珟に向けお動きだす姿勢こそが重芁であるず考えたのです。

珟状の生掻に倧きな䞍満が無い方は、他の4぀の欠乏欲求は満たされおいるのかもしれたせん。

それでも、䜕か満たされない思いが残る方はぜひ自分が自己実珟を成し遂げるためにはどうしたらよいのかをマズロヌの理論から孊びたしょう。

【参考文献】

  •  山本淳平2017『コヌチング支揎に関する䞀考察』支揎察話研究 4 (0), 89-98
  • 小高良友2010『マズロヌの欲求階局説ず臚床瀟䌚孊』東海孊院倧孊玀芁 (4), 53-59
  • 高橋勇䞀2022『人間性心理孊の源流に関する䞀考察』歊蔵䞘短期倧孊玀芁29 7-12

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    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

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