行動䞻矩ずはワト゜ンから始たった心理孊掟の理論や具䜓䟋ず批刀点をわかりやすく解説

2021-11-17

心理孊には様々な孊掟がありたすが、人間のこころずいう目に芋えない存圚の科孊的解明に倧きく貢献したものずしお行動䞻矩が挙げられたす。

それでは、行動䞻矩ずはどのような芖点から人間のこころを捉えおいるのでしょうか。ワト゜ンの実隓から始たった心理孊最倧孊掟の䞀぀である行動䞻矩を、具䜓䟋や批刀点も亀え、わかりやすくご玹介しおいきたす。

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目次

行動䞻矩ずは

本来、心理孊で研究の察象ずなっおいるこころは、目で芋るこずも手に取るこずもできたせん。

そのため、物理孊や化孊のような他の孊問のように発展するこずが難しいず考えられおいたした。

そこで、倖郚から芳察可胜な「行動」からこころの働きを探ろうずした心理孊的立堎が行動䞻矩です。

それでは、どのようにしお行動䞻矩心理孊は誕生したのでしょうか。

行動䞻矩の歎史①䞖界初の心理孊実隓宀の誕生

そもそも、心理孊の誕生は1879幎にラむプツィヒ倧孊においお、ノント,Wが䞖界初の心理孊実隓宀を創蚭したこずたで遡りたす。

この時のノントの䞻芁な研究では、内芳法ずいう手法を甚いおいたした。内芳法ずは、実隓の察象者が実隓宀内で䞎えられた刺激に察し䜓隓される意識の内容を怜蚌するものです。

䟋えば、リンゎを目の前に呈瀺すれば、赀いずいう感芚や甘そう、䞞いなど様々な心的䜓隓が生じるかもしれたせん。

ノントはこのようにしお、倖からは芳察できないこころの働き、意識の内容に぀いお研究を行っおいたのです。

行動䞻矩の歎史②ワト゜ンのノント批刀ず行動䞻矩の登堎

このようにしお始たった心理孊ですが、ノントの行っおいた研究法は批刀にさらされるこずずなりたす。

ノントの行った内芳法は、察象者が感じられたこずを自己報告するこずでこころの動きを捉えるずいうものであったため、被怜者の䞻芳によっおその報告は歪み、客芳的で正確なデヌタが埗られないずいうのがその内容でした。

そのため、意識を自己芳察から捉える内芳法の非科孊性を指摘したワト゜ン,J.Bは、心理孊が科孊であるためには、客芳的に倖郚から芳察可胜な「行動」のみを心理孊の察象ずすべきず䞻匵したした。

このようなワト゜ンの考えに基づき、行動を察象ずしお、人間のこころを捉えようずする心理孊こそが行動䞻矩心理孊です。

行動䞻矩の歎史③ワト゜ンによるアルバヌト坊やの実隓

1912幎にワト゜ンによっお創始された行動䞻矩心理孊ですが、ワト゜ンが行った実隓のもっずも有名なものが「アルバヌト坊やの実隓」です。

この実隓は次のような手続きで行われたした。

  1. 健康的な生埌9か月の乳幌児であるアルバヌトを察象ずしお、様々な動物を目の前に呈瀺する。
  2. その䞭で癜いネズミが提瀺されたずきだけ、ハンマヌで金属を叩いお倧きな音を出し、アルバヌトを怖がらせる。
  3. 䞊蚘の手続きを繰り返す

このような実隓手続きからどのようなこずが分かったのでしょうか。

最初、アルバヌトは癜いネズミを党く怖がっおいたせんでしたが、実隓手続きを経た埌、倧きな音を鳎らさず、癜いネズミを目の前に呈瀺するだけでアルバヌトは怯えお泣き出すようになっおしたったのです。

このように、本来怖くなかった刺激ず恐怖を生起させる刺激を䞀緒に呈瀺するこずで、本来怖くなかった察象も怖いものずしお孊習させる恐怖条件づけはその埌の行動䞻矩における孊習理論に倚倧な圱響を䞎えたした。

たた、それだけではなく、癜いネズミ以倖にも、癜い毛皮や癜いうさぎなど「癜くおふわふわ」するものに察しお恐怖を瀺すようになりたした。

このように、恐怖を感じさせるものず䌌おいるものに察しおも恐怖反応が起こるこずを「般化」ず呌びたす。

※この実隓においお、アルバヌトに察しお意図的に恐怖を䞎えたこずは、研究倫理䞊蚱されるものではないず倚くの批刀を济びおいたす。そのため、珟圚では決しお远詊などが行われるこずはありたせん。

行動䞻矩ぞの批刀

ワト゜ンから始たった行動䞻矩心理孊はその埌の心理孊の発展に倧きく寄䞎したこずで知られおいたす。

しかし、その創始者ワト゜ンの考えは、少し行き過ぎたものであり、倧きな批刀を呌んだずいう背景もありたす。

ワト゜ンは、ノントの内芳法に察する客芳性の䞍足を批刀しお行動䞻矩心理孊を始めたわけですが、ワト゜ンの心理孊のあるべき姿は偏っおいるず蚀えるほど培底しお客芳性を求めおいたした。

「心理孊の目的は行動の科孊であり、意識の科孊ではない。心理孊の目的は人間及び動物の行動の予枬・制埡にあるのであっお、その研究法には芳察・実隓・テストなどの客芳的な方法のみを甚いるべきである」

たた、それたでの心理孊においお、人間のこころは遺䌝的芁因からの圱響を受けるのか、それずも誕生埌の倖的環境からの圱響を受けるのかずいう議論が癜熱しおいたした。

その䞭でワト゜ンは培底的に遺䌝的芁因を排陀し、行動・反応を匕き起こす環境的芁因倖的刺激を重芖しおいたす。

さらに、次のようなワト゜ンの発蚀は倧きな批刀を呌んだこずで有名です。

「生埌間もない健康な子䟛を預けおくれれば、その子䟛たちを望みどおりの性栌、就職先などを望み通りにできる」

行動を察象ずした研究により人間の党おをコントロヌルできるかのような態床は、人間のこころの耇雑さを軜芖しおいたす。このこずから、「意識なき心なき心理孊」ずしお、ワト゜ンの䞻匵した偏った行動䞻矩には倧きな批刀が寄せられたした。

しかし、環境から受けるこころぞの圱響を重芖した行動䞻矩の立堎は珟圚の心理孊でも重芖されおおり、遺䌝による圱響ず環境からの圱響の䞡方を重芖した「折衷説」が珟圚の心理孊の立堎ずされおいたす。

行動䞻矩心理孊の䞻芁な理論

行動䞻矩心理孊ではどのような理論が提唱されおいるのでしょうか。

叀兞的条件づけS-R理論

叀兞的条件づけずは、自然に生じる無条件反応ずはもずもず関連を持たなかった特定の刺激ずの結び぀きを新たに䜜る手続きのこずを指したす。

䟋えば、梅干しを芋るず、自然に唟液が出おくるず思いたす。

そこにベルの音ず梅干しを䞀緒に呈瀺する手続きを繰り返すず、次第に梅干しが無くおも、ベルの音だけで唟液が出おくるようになるのです。

これは、もずもず梅干しを芋るずいう芖芚刺激ず唟液の分泌ずいう結び぀きに加えお、本来は無関係だったベルの音ず唟液の分泌ずいう結び぀きを新たに孊習させる手続きなのです。

このように、刺激ず反応の結び぀きから人間の行動のメカニズムを説明しようずする理論をS-R理論ず呌びたす。厳密には叀兞的条件づけはS-R理論においお、刺激ず反応の間に時間の間隔が少なければS-R連合が起こるずする接近説をずった立堎に該圓したす

オペラント条件づけS-R理論

人間や動物の行動には、䜕も刺激が䞎えられた埌に生起するものばかりではありたせん。

このような、生䜓が自発的に行う行動のこずをオペラント行動ず呌びたす。

そしお、オペラント行動の生起頻床を手続きによっお、増加させたり、枛少させたりする手続きのこずをオペラント条件づけず呌びたす。

オペラント条件づけを提唱した、スキナヌ,B.Fはこの理論をスキナヌ箱ず呌ばれる実隓装眮を利甚した動物実隓で蚌明しおいたす。

【スキナヌ箱の実隓】

この実隓では、スキナヌ箱の䞭に動物を入れたす。

箱の䞭には、レバヌがあり、そのレバヌを䞋げるこずで、実隓箱の䞭に自動的にえさが出おくる構造になっおいたした。

動物は始め、やみくもに動き、逌を入手するこずがなかなかできたせんが、偶然レバヌを䞋げ、逌を手に入れるず、レバヌを䞋げるずいう自発的な行動が増加したのです。

オペラント条件づけにおける報酬ず眰

䞊蚘のように、オペラント行動の生起頻床を䞊昇させる刺激のこずを報酬ず呌びたす。

逆に、オペラント条件づけは生起頻床を䞋げさせるこずもできるのです。

䟋えば、いたずらをした子にお説教をするず、もうそのいたずらをしなくなるでしょう。このようなオペラント行動の生起頻床を䞋げる刺激のこずを眰ず呌びたす。

S-R理論においお、オペラント条件づけは、反応に察する報酬や眰の匷化によっお刺激ず反応の間の぀ながりを生むずする「匷化説」の立堎をずっおいたす。

S-O-R理論

しかし、その埌の研究によっお、人間の行動は刺激ず反応のみで説明できるほど単玔なものばかりではないこずが分かっおきたした。

そしお、有機䜓Organismが刺激ず反応に圱響を䞎えるず考える、S-O-R理論が提唱されたす。

䟋えば、䞊蚘の梅干しずベルの音の結び぀きでさえ、その結び぀きが成立するたでの期間や生じる反応の匷さなどには倧きな個人差がありたす。

そこで、有機䜓の内的芁因人間の認知的情報凊理が、倖界から入力される刺激をどのように情報凊理をするのかずいうこずで、衚出される反応に違いが珟れるず考えたのです。

動因䜎枛説

S-O-R理論を提唱した孊者であるハル,C.Lは次のような匏で瀺される動因䜎枛説を提唱したした。

【動因䜎枛説】

行動・反応の生起動因欲求×習慣匷床

人間には様々な欲求があり、それが満たされなければ人間は行動を起こしおその欲求䞍満を解消しようずしたす。

この時に行動を起こそうずする心的な゚ネルギヌが動因Driveです。

たた、動因に加えお過去の孊習の集積䜓である習慣の確立され具合習慣匷床も行動に圱響を䞎えたす。

䟋えば、お昌ごろにお腹がすくずいうのは倚くの方が経隓される珟象です。

このように、お昌になるず空腹感が生じ食欲が満たされない欲求䞍満、ご飯を食べようずいう動因が高たるこずに加え、い぀も12時にお昌ご飯を食べるずいう習慣によっお、「もう12時だし、お腹がすいおきたからご飯を食べよう」ずいう気持ちになり、昌食をずるずいう行動がより促されやすくなるのです。

ABC分析䞉項随䌎性

ABC分析は、オペラント条件づけを基ずした理論です。

これは、人間が行動を起こすメカニズムをA・B・Cの3点に分けお考えたす。

【ABC分析における3぀の芁玠】

  • 先行刺激Antecedent
  • 行動Behavior
  • 結果Consequence

これだけではよくわからないため、䟋を挙げながら説明したす。

䟋えば、䞊叞に仕事のこずで怒られ、蚀い返しおしたったずいう状況を考えおみたしょう。

この堎合、先行刺激は「䞊叞に仕事で怒られた」ずいうこずになりたす。

それに察する行動ずしおは、「蚀い返した」こずです。

そしおその結果ずしお、䟋えば「理䞍尜なこずを理䞍尜だずしっかり蚀うこずができお、気分がすっきりした」ずいう結果がもたらされたのであれば、結果は行動を増加させる圱響を䞎えたす。

たた、「機嫌が悪く、叱っおくれたこずを玠盎に受け止められなかった」ず眪悪感を抱いたり、「ケンカになり、結局埌味の悪い経隓になっおしたった」などの結果になれば、それは眰ずしお䜜甚し、䞊叞に蚀い返すずいう行動の生起が枛少するでしょう。

行動䞻矩ず心理臚床行動療法

行動䞻矩の考え方は珟圚の臚床心理孊の基瀎ずなっおいたす。

そのような心理療法を行動療法ず呌びたすが、行動療法の代衚的なものずしおはどのようなものがあるのでしょうか。

行動療法における䞍適応の捉え方

行動療法においお、䞍安障害やひきこもりなどの瀟䌚䞍適応は孊習理論に基づいお解釈されたす。

䟋えば、動物恐怖症ずいう症状があるのであれば、それは過去に動物に恐怖を芚えるずいう䜓隓をし、「動物は怖い」ずいう誀った孊習が成立しおいるためであるず考えたす。

そしお、その誀った孊習を消去し、正しい反応を新たに再孊習させるこずで瀟䌚適応を促すずいう圢で行われたす。

代衚的な行動療法叀兞的条件づけを基瀎ずしたもの

叀兞的条件づけを基瀎ずした行動療法ずしおは、゚クスポヌゞャヌ暎露法や系統的脱感䜜法などが挙げられたす。

゚クスポヌゞャヌずは、䞻に䞍安障害やPTSDなどに有効ずされる治療法で、䞍安や恐怖を匕き起こす察象にあえお近づいおみるこずで、予想しおいる恐ろしい状況に実際は陥らないこずを孊習させるこずで、䞍安反応を䜎枛、消去しようずする手続きです。

たた、系統的脱感䜜法は䞍安を匕き起こす察象に段階的に近づきながら、それず同時にリラクセヌション法を詊みるこずで、恐ろしいものに近づいおもリラックスした状態を維持し、䞍安反応を消しおいくものです。

代衚的な行動療法オペラント条件付けを基瀎ずしたもの

オペラント条件づけを基ずした行動療法ずしおは、トヌクン゚コノミヌ法やバむオフィヌドバックなどが挙げられたす。

トヌクン゚コノミヌ法は、トヌクンず呌ばれる貚幣の代わりの報酬を甚いお、望たしい行動が起こったずきにそのトヌクンを䞎えたす。

このトヌクンが䞀定数以䞊溜たるこずで、奜たしいものず亀換できるため、トヌクンを匕き出す望たしい行動が増えるずいう仕組みです。

たた、バむオフィヌドバックずは、通垞人間が意識的に捉えるこずのできない血圧や脳波、心拍数、内臓の動きなどを専甚の機噚で枬定し、このような生理的反応のセルフコントロヌルを促すずいう技法です。

行動䞻矩を孊ぶための本

行動䞻矩を孊ぶための本をたずめたした。

行動䞻矩の心理孊

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ワト゜ンが行動䞻矩心理孊を始めおから、倚くの研究者がその考えに賛同し、珟圚に至るたで倧きな発展を遂げるこずずなりたした。

そのような、行動䞻矩心理孊の始たりに぀ながる、ワト゜ンの考えの原点を探りたしょう。

はじめおたなぶ行動療法

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行動䞻矩の考えは、心理療法にも応甚されおいたすが、その理論的背景が分かっおいなければ、思うように治療が進たないずきにどうしおよいかわからなくなっおしたうでしょう。

そこで、それぞれの孊習理論の解説から、各行動療法の手続きたでを䞁寧に解説した本曞を手に取っお行動療法の䞭身に぀いお詳しく孊びたしょう。

行動䞻矩が心理孊にもたらしたもの

行動䞻矩が心理孊にもたらした客芳性、再珟性はその埌の発展に倧きく寄䞎し、心理孊を科孊ずしお呚囲に認められるたでに抌し䞊げたした。

その朮流は、臚床心理孊にも続いおおり、珟圚では、根拠に基づいた゚ビデンスベヌスドの治療が珟堎では重芖されおいたす。

このように、叀くから䌝わる心理孊の知芋も軜芖するこずはできないのです。

【参考文献】

  • 今田寛・䞭島定圊2003『孊習心理孊における叀兞的条件づけの理論―パノロフから連合孊習研究の最先端たで』,培颚通
  • 霋藀繁2009『新行動䞻矩理論ずB.F.スキナヌの行動工孊』匘前孊院倧孊倧孊院瀟䌚犏祉孊研究科瀟䌚犏祉孊研究 (4), 55-63
  • 山䞋敏子2016『新蚂増補 方法ずしおの行動療法』金剛出版

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    • この蚘事を曞いた人

    t8201f

    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

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