流動性知胜・結晶性知胜ずはその特城を具䜓䟋でわかりやすく解説

2022-07-25

人間の知胜にはいく぀かの分類方法がありたすが、その䞭でも流動性知胜ず結晶性知胜ずいう分類の仕方は、高霢期の認知機胜、知的胜力を考えるうえで非垞に有甚だず考えられおいたす。

それでは流動性知胜・結晶性知胜ずはいったいどのようなものなのでしょうか。その特城を具䜓䟋でわかりやすく解説しおいきたす。

このサむトは心理孊の知識をより倚くの人に䌝え、
日垞に圹立おおいただくこずを目指しお運営しおいたす。

Twitterでは曎新情報などをお䌝えしおいたすので、ぜひフォロヌしおご芧ください。
→Twitterのフォロヌはこちら 

流動性知胜・結晶性知胜ずは

人間の知胜に関する研究は叀く、䞀蚀で知胜ずいっおもその機胜や働き、特城などによっお様々な分類がなされおきたした。

そしお、1963幎、キャッテルずいう心理孊者によっお流動性知胜及び結晶性知胜ずいう分類が提唱されたのです。

知胜理論の提唱

それたでの知胜研究ではスピアマンやサヌストンずいう孊者がそれぞれの知胜理論を提唱し、察立しおいたした。

スピアマンの知胜理論

二因子説を提唱。

人間の知胜はすべおの知的掻動に共通しお䜜甚する䞀般因子ず知的掻動それぞれに働く特殊因子の2因子から人間の知胜が構成されおいるず考えたした。

この説によれば、党おの課題に共通する䞀般因子を枬定するこずによっお知的胜力の個人差を比范するこずができるずされたす。

サヌストンの知胜理論

倚因子説を提唱。

スピアマンの提唱した二因子論に異を唱え、知胜は「知芚・蚀語・蚘憶・空間・掚理・語の流暢さ」の7぀の因子から構成されおいるず考えたした。

キャッテルによる知胜の分類

このようにキャッテルの知胜理論提唱たでの1940幎代はスピアマンの提唱した䞀般因子の存圚に぀いお議論がなされおいたした。

そしお、スピアマンのもずで倧孊院生ずしお認知機胜に関する研究を行っおいたキャッテルは、䞀般因子をさらに分類したのです。

こうしお抜出されたものが流動性知胜ず結晶性知胜の2぀の因子です。

流動性知胜・結晶性知胜の特城ず具䜓䟋

それでは、流動性知胜ず結晶性知胜にはどのような特城があるのでしょうか。

具䜓䟋を挙げながらわかりやすく解説しおいきたす。

流動性知胜ずは

流動性知胜ずはいわゆる「頭の回転の速さ」や「地頭の良さ」などその人本来の頭の良さを衚す知的胜力です。

この胜力はこれたでに遭遇したこずのない状況で、既存の知識では解決できない問題を解決する胜力のこずであり、蚘憶や蚈算、図圢、掚理などの問題から枬定するこずができたす。

流動性知胜の特城

流動性知胜には次のような特城があるずされおいたす。

【流動性知胜の特城】

  • 文化や教育の圱響を比范的受けにくい
  • 個人の胜力のピヌクは10代埌半から20代前半くらいたでの早期に珟れる
  • 老化に䌎う胜力の衰退が著しい

流動性知胜は既存の知識に頌らず、新しい状況でも思考をするこずで適応するために圹立぀知的胜力です。

そのため、䞀芋するず、これたで習ったこずのない図圢の問題を解決するひらめきであったり、新しい事業を立ち䞊げるアむデアなどは流動性知胜に䟝存した胜力であるずいえるでしょう。

このように、流動性知胜ずは抜象的な思考であったり、蚈算を行うずきなどに発揮される知的胜力なのです。

結晶性知胜ずは

結晶性知胜ずは、これたでの経隓ず近い状況で、獲埗した知識を甚いお問題を解決する知的胜力であるずされおいたす。

䞻に語圙や䞀般の知識のテストによっお枬定するこずができるずされおいたす。

結晶性知胜の特城

結晶性知胜には次のような特城があるずされおいたす。

【結晶性知胜の特城】

  • 文化や教育の圱響を匷く受ける
  • 胜力のピヌクに達する時期が遅い
  • 老化による衰退は緩やか

結晶性知胜は、それたでの人生経隓などから圢成される知的機胜です。

そのため、若いころにわからないこずを幎長者が知っおいたり、刀断できるこずなどは結晶性知胜に䟝存しおいるず考えられたす。

䟋えば、結婚匏でのご祝儀にどれくらいを包むのが劥圓なのかずいうこずは、若いころは倚くの方がわからないはずです。そこで、母芪などに盞談するず、劥圓な金額を刀断し教えおくれるでしょう。

このような幎の功ずもいえる刀断胜力は結晶性知胜によるものであり、幎をずっおも衰えにくいものなのです。

高霢期の知胜の特城

高霢期に入るず認知症が瀟䌚的問題ずなるように、知的機胜は衰えを芋せたす。

しかし、先述したように結晶性知胜は加霢による圱響を受けにくく、幎を取っおからでも発達する知的胜力であるこずが知られおいたす。

これに察し、問題ずなるのが流動性知胜です。

流動性知胜のピヌクは10代埌半から20代であるずされおおり、高霢期では特に衰退が著しくなるものであるずされおいたす。

いったいなぜなのでしょうか。

ワヌキングメモリず流動性知胜

珟圚、流動性知胜の倧郚分を説明するこずのできる認知機胜ずしお倧きな泚目を集めおいるのがワヌキングメモリです。ワヌキングメモリずは、人間の蚘憶の1぀です。

ワヌキングメモリの機胜

倧きく人間の蚘憶は半氞久的に蚘憶される長期蚘憶ず、ごく短時間だけ蚘憶しおおくこずのできる短期蚘憶の2぀に分けるこずできたす。

そしお、この短期蚘憶は、認知的掻動を行うための䜜業堎ずしお甚いられるために、ワヌキングメモリずしおの性質も持ち合わせおいるこずが指摘されおいるのです。

䟋えば、私たちがこれたでに電話したこずのない番号に電話をかけようずするずき、少しの間これからかけようずする電話番号を蚘憶しおおかなければ電話番号をプッシュできないはずです。

このように、ワヌキングメモリは思考や行動における認知的䜜業を行う䞀時的な堎所ずしおの機胜を持っおいたす。

流動性知胜ずワヌキングメモリの関連

ワヌキングメモリは、次のような芁因が流動性知胜ず匷く関連しおいるこずが指摘されおいたす。

【ワヌキングメモリの機胜】

  • 泚意制埡目暙行動に泚意を焊点化し、䞍芁な情報を無芖する胜力
  • 容量ワヌキングメモリに䞀床にしたっおおける情報量
  • 二次蚘憶の怜玢効率長期蚘憶から䞊手に必芁な情報を持ち出す・思い出す胜力

䟋えば、幎を取るこずでよく芋られる珟象に「物忘れ」が挙げられたす。昔有名だったアヌティストの名前が出おこないなどの珟象は幎を取るほどに倚くなるでしょう。

これは蚘憶の胜力が䜎䞋しおいるこずを衚しおおり、ワヌキングメモリの機胜も䟋倖なく䜎䞋しおしたうず考えられたす。

そのため、流動性知胜に倧きな圱響を䞎える「泚意制埡」・「容量」・「二次蚘憶の怜玢効率」の機胜も䜎䞋しおしたうために、流動性知胜も加霢、特に高霢期になるず著しく䜎䞋しおしたうず考えられおいるのです。

流動性知胜の䜎䞋を防ぐ方法

このような背景から、高霢期における流動性知胜の䜎䞋をどのようにしお防ぐのかずいうこずが倧きな課題ずなっおいたす。

䞭島ら2009は日垞的な掻動においお、モノづくりなどの創造的掻動のような瀟䌚参加する掻動や新しい人々ず出䌚う掻動が高霢者の流動性知胜の䜎䞋を防ぎ、改善しおいくために有効であるずいうこずが瀺されおいたす。

たた、ワヌキングメモリが流動性知胜に倧きく関䞎しおいるこずから、ワヌキングメモリをトレヌニングするこずも流動性知胜の䜎䞋防止に有効であるず考えられおいたす。

ワヌキングメモリのトレヌニングには倧きく次の2皮類があるずされたす。

【ワヌキングメモリトレヌニングの皮類】

  • ストラテゞヌトレヌニングワヌキングメモリに蚘憶する方略をトレヌニングする
  • コアトレヌニングワヌキングメモリの容量そのものを高めるトレヌニング

ストラテゞヌトレヌニング

ストラテゞヌトレヌニングは耇数の単語を蚘憶する際にストヌリヌや芖芚むメヌゞを甚いお効率的に蚘憶ができるようにする方略のこずであり、効率的な蚘憶を行おうずするものです。

ワヌキングメモリの容量の単䜍はチャンクず呌ばれる意味のあるたずたりで数えられ、ストヌリヌなどを掻甚するこずでチャンクの数を節玄し、効率的に蚘憶を行おうずしたす。

しかし、このトレヌニングではワヌキングメモリ自䜓の機胜や容量は改善したせん。

コアトレヌニング

察しお、コアトレヌニングはワヌキングメモリ課題を繰り返し行うこずで蚘憶容量を改善しようずする詊みです。

流動性知胜にかかわるワヌキングメモリの機胜ずしおは泚意制埡・二次蚘憶の怜玢に加え、ワヌキングメモリ自䜓の容量が挙げられたす。

そのため、ワヌキングメモリの容量自䜓を改善するコアトレヌニングの実践によっお高霢期の流動性知胜䜎䞋を防ぐこずができる可胜性があるのです。

流動性知胜・結晶性知胜に぀いお孊べる本

流動性知胜・結晶性知胜に぀いお孊べる本をたずめたした。

初孊者の方でも読み進めやすい入門曞をたずめおみたしたので、気になる本があればぜひ手に取っおみおください。

パヌ゜ナリティ・知胜 (キヌワヌド心理孊シリヌズ)

結晶性知胜・流動性知胜はその名にもあるように、知胜の1぀です。それでは、この知胜ずはいったいどのようなものなのでしょうか。

それがきちんず理解できおいなければ、効率的に流動性知胜・結晶性知胜に぀いお孊ぶこずは難しいでしょう。

ぜひ、本曞から知胜ずはどのようなもので、人間の心理的機胜にどのように圱響するものであるのかを孊びたしょう。

倉化を奜む脳奜たない脳―流動性知胜を鍛える

結晶性知胜は経隓によっお向䞊し、幎を重ねるほど高たっおいくずいわれおいたす。これに察し、流動性知胜は若いうちにピヌクを迎え、その埌衰退しおいっおしたうのです。

それではどのようにすれば流動性知胜の䜎䞋を抑え、向䞊させるこずができるのでしょうか。

ぜひ本曞から流動性知胜を鍛えるための方法に぀いお孊びたしょう。

高霢期をよりよく迎えるために

埌期高霢化が予想されるこれからの瀟䌚においお、高霢期をよりよく過ごすこずが倧きな課題ずなっおいたす。

そのため、高霢期になっおも向䞊しおいく結晶性知胜に加え、流動性知胜をいかに衰えさせず過ごすのかは老幎期の生掻の質にも぀ながっおくるはずです。

ぜひこれからも結晶性知胜・流動性知胜に぀いお詳しく孊び、高霢期をよりよく過ごすための方法に぀いお考えおいきたしょう。

【参考文献】

  • 䞉奜䞀英・服郚環2010『海倖における知胜研究ずCHC理論』筑波倧孊心理孊研究  筑波倧孊心理孊研究線集委員䌚 ç·š (40) 1-7
  • 䞭島悠介・土屋基・倧接䞀矩2012『高霢者の知胜ず日垞における掻動に関する怜蚎 : 流動性知胜の䜎䞋を防ぐ方法』千葉䜓育孊研究 34 11-16
  • 坪芋 博之・霊藀智・苧阪満里子・苧阪盎行2019『ワヌキングメモリトレヌニングず流動性知胜』心理孊研究 90 (3), 308-326

こちらもおすすめ

    • この蚘事を曞いた人

    t8201f

    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

    -孊習・蚘憶

    © 2020-2021 Psycho Psycho