協同遊びとは?その特徴や連合遊びとの違いを具体例でわかりやすく解説

2022-07-21

子どもは遊びの中で多くのことを学びます。そして、子どもは成長するにつれ遊び方も変化していくのです。

今回はその中でも協同遊びを取り上げます。協働遊びとはいったいどのようなものなのでしょうか。その特徴や表れる年齢、連合遊びとの違いについて具体例を挙げながらわかりやすく解説していきます。

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協同遊びとは

協同遊びとは、子どもが何らかの目的のもとに組織化されたグループにおいて、協力や役割分担を行いながら遊ぶことを指します。

協同遊びの表れる年齢

子どもはいきなり協同遊びができるようになるわけではありません。

社会的スキルや認知機能などの発達を伴い、おおよそ5歳ごろから協同遊びがみられるようになるといわれています。

協同遊びの特徴

協同遊びの特徴には、以下のようなものがあります。

  • ルールを導入し、コミュニケーションによって遊びを展開する
  • 目的のために役割を分担する
  • 集団を導くリーダーが登場する

個人がそれぞれやりたいことを好き勝手やっていては、協同遊びにおける集団の目的を達成することはできません。また、個人のやりたいこと、意見、主張などがぶつかり合う場にもなります。

そのため、遊びのなかにルールを導入し、そのルールのなかで子どもたちは楽しむという経験をするわけです。このルールから逸脱してしまうような欲求や感情、行動はコントロールしなければなりません。

また、一度作られたルールも状況によってはうまく働かないこともあるでしょう。

そのようなときに子どもたちは意見を出し合い、どのようにすればみんなで楽しく遊ぶことができるのかという他者の立場も考え、意見を出し合う思考力や創造性、コミュニケーション能力を育んでいきます。

役割分担をすることも協同遊びの大きな特徴です。

集団の中で皆を導くリーダーが登場するのもこの頃で、どのように集団にルールを適用するのかや、新しい遊びを提案するなど積極的に集団を導いていくリーダーシップの獲得も見られ、集団のなかの社会的地位についても学ぶことができるのです。

遊びの発達と具体例

子どもたちは、協同遊びをいきなり始めることはできません。

身体やこころが成長していくことに伴い、遊びも次のような過程を経て発達していくといわれています。

【遊びの発達】

  • 何もしていない状態
  • 一人遊び
  • 傍観
  • 平行遊び
  • 連合遊び
  • 協同遊び

この分類は子どもの自由遊び場面を社会的相互作用という観点から分類したパーテンらによって1943年に提唱され、現在も有力な子どもの遊びの分類であるとされています。

一人遊び

子どもの遊びはまず、一人遊びからスタートします。

この時は他の子に話しかけたり、一緒に遊ぶなどの行動は見られず、一人で音の出るおもちゃを使うなど、近くで遊んでいる子とは違うおもちゃを使って一人で遊びます。

傍観

この後、子どもの興味は周囲への子どもへと広がっていきます。

しかし、いきなりほかの子どもと一緒に遊び始めるのではなく、傍観という他児の遊んでいる様子を見たり、声をかける程度に留まります。

平行遊び

平行遊びから、徐々にほかの子どもと遊ぶ場を共有していきます

平行遊びは子どもはまとまって遊ぶようになりますが、集団の子どもたちはそれぞれ独自の遊びを行っており、おもちゃを用いて行う遊びは他児に影響されません。

このとき、ほかの子どもが行っている遊びを見て、同じような遊びをやってみる模倣がみられるようになりますが、あくまでその遊びは独立している状態なのです。

例えば、砂場で子どもたちが遊んでいる状況を考えてみましょう。

より遊びが発展してくると、みんなで協力して大きな砂山を作り、トンネルを掘る係、川に水を流す係など役割分担がみられますが、平行遊びの段階では、砂山を作っている子を見て、自分も砂山を別に作ってみるなどの行動がみられるのです。

あくまで近くにまとまり、別々の遊びをしているのが平行遊びなのです。

連合遊び

平行遊びの次の段階が連合遊びです。

平行遊びでは基本的に遊ぶ場の共有のみにとどまっていましたが、連合遊びへと発展すると他の子どもと一緒に遊ぶようになり、子どもたちの間で交流が生まれます

連合遊びと協同遊びの違い

連合遊びが協同遊びと大きく異なっているのは、役割分担やルールなどが存在しないことです。

例えば、おままごとという遊びを考えてみましょう。

連合遊びの段階になると、材料のおもちゃ、調理器具などのおもちゃがある場に子どもたちが集まり、各々が料理を作ったり、おもちゃの貸し借りが行われます。

この時には、お友達が何を作っているのか質問したり、おもちゃを貸してほしいから話しかけるなどの簡単な交流が行われる程度です。

これが協同遊びに発展すると、料理人の役割、ウェイターさんの役割、お客さんの役割などそれぞれが立場をもっておままごとという遊びの成立に関与するようになるのです。

それに伴い、子どもたちの交流もより活発になり、遊びを行ううえでのルールなどの社会性の発達も見られるようになるのです。

協同遊びについて学べる本

協同遊びについて学べる本をまとめました。

初学者でも読み進めやすい入門書をまとめてみましたので、気になる本があればぜひ手に取ってみてください。

集団遊びの発達心理学

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子どもは遊びの中で養育者や保育者などの大人とは異なり、自分と同じ立場の子どもたちとのかかわり方を学んでいきます。

そして身体やこころと同じように子どもたちの集団遊びも発達をしていくのです。

ぜひ本書から子どもたちの集団遊びの発達について学びましょう。

協同するからだとことば―幼児の相互交渉の質的分析 (認識と文化)

子どもたちはただ単に協同遊びを楽しんで時間を潰しているのではありません。

そこで行われる様々なコミュニケーションは社会的相互作用の能力を育む絶好の機会です。

ぜひ、子どもたちの「協同」がどのようなものなのかを本書から学びましょう。

幼児期の遊びの最終段階

協同遊びは役割分担やルールの適用、リーダーシップの発揮など大人になってから必須となる社会的スキルを育む場であり、子どもの遊びの最終段階であるとも言われます。

子どもたちが遊んでいる場面を目にするとき、それはどのような発達段階にある遊びなのか、遊びの中で子どもたちがどのような能力を育んでいるのかに着目すると、見えてくるものも違ってくるでしょう。

ぜひこれからも協同遊びについて深く学んでいきましょう。

【参考文献】

  •  藤塚岳子(2019)『幼児の協同遊びにおける共有の過程 ― 年長児の劇遊びを通して ― 』東海学園大学教育研究紀要 3 9-19
  • 保坂和貴(2008)『幼児の共同遊びの「ルール」に関する分析視座 』北海道大学大学院教育学研究院紀要 105 71-90
  • 茶座伊都子・田中悠(2013)『自由遊びから協同遊びへ 環境・援助を考える:段ボール遊び』東海学院大学短期大学部紀要39 9-17

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    • この記事を書いた人

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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