相手の心が分かったら良いのに、と思った事はありませんか?心は目に見えないので、私達は想像するしかありません。けれども行動は、目に見えて分かりやすいものです。目に見える行動やしぐさによって心を理解しようとする行動心理学は、ビジネスや恋愛にも役立ちます。今回は、行動心理学を学びたい方におすすめの本をご紹介していきたいと思います。
目次
行動心理学とは何か
行動心理学は、学習心理学や行動分析学などとも呼ばれます。心理学である以上、心を理解する学問ですが、対象とするのは目に見える行動です。
行動を対象とするため、動物も人間も対象となります。また、行動の原因を意志や能力のせいにもしません。
行動を増やす出来事などを好子(こうし)、行動を減らす出来事などを嫌子(けんし)と呼びます。つまり、ある行動を増やしたければ好子を与え、ある行動を減らしたければ嫌子を与えれば良い、というのが行動分析学の基本的な考え方です。
スキナー(Burrhus Frederic Skinner)による鳩を用いた実験から始まった行動分析学は、現在では人の行動にも用いられています。
例えば、「子供が歯磨きをしたらシールをあげる」とします。子供にとってシールが好子であれば、歯磨き行動は増えるでしょう。先生に叱られることが嫌子になるのであれば、ある行動の後に先生に叱られる事により、その行動は減っていくはずです。
ビジネスや恋愛においても、増やしたい行動、減らしたい行動に着目し、好子や嫌子を見つけ出す事で、行動分析学を活かす事ができます。
【初心者向け】行動心理学を勉強したい人におすすめの本ランキングTOP4
まずは、初心者も理解しやすい行動心理学の本をランキング形式でご紹介します。
第4位:コンパクトで分かりやすい有斐閣アルマシリーズ「行動分析学 行動の科学的理解をめざして」
行動分析学を初めて学ぶ人に向けて書かれた教科書です。
第1章では、心とは何かについて、行動分析学の視点から解説されています。第2章では、観察法と実験法という2つの方法について解説されています。第3章では、行動の分類について解説されています。
第4章と第5章ではそれぞれレスポンデント条件付けとオペラント条件付けについての説明がなされています。第6章以降は、行動を変えるための法則などが解説されています。
各章の終わりには演習問題も載っているので、理解を確認する事ができます。
第3位:ウソを簡単に見抜く方法「メリットの法則 行動分析学・実践編」
行動心理学の基本的な解説に加え、日常生活での具体的な例が多く挙げられています。
ダイエットを成功させるのが難しいのは何故でしょう?行動を変えるためには、好子や嫌子が行動の直後に伴う必要があります。行動の直後に体重が減る訳ではないので、難しいのです。ダイエットにつながる行動の直後に、何らかの好子を得られる工夫が必要です。
一目惚れをした人に会うためにいつもより早い電車に乗っていた女性が、ある日を境にその電車では彼の姿を見かけなくなってしまいました。しばらくして、彼女はもう早い電車に乗らなくなりました。これは行動の消去のお話です。
さらに、「お腹が痛いから学校に行きたくない」と言い始めた子の主張が真実かどうかを見抜く方法も書かれています。ウソを責めるのではなく、行動を丁寧に観察する事によって、子どもにとって適切な対応をしていく事が可能になると言います。
以上のように、日常的な出来事と共に、行動心理学を分かりやすく学べる1冊です。
第2位:意志が弱くても禁煙はできる「行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由」
スキナーが創始した行動分析学について、できる限り分かりやすい解説が試みられている本です。
第1章では、行動分析学がどのようなものなのか、行動とは何かといった基本的な事が述べられています。第2章では、行動が増えたり減ったりする原理について説明されています。
新年の誓いははぜ破られるか?という話題から始まる第3章は、行動を変えるための具体的な手法が記載されています。
行動心理学の基本的な仕組みを学べる1冊です。
第1位:まずは自分の行動を変えてみる「使える行動分析学 じぶん実験のすすめ」
じぶん実験は、自分の行動を変える実験です。実際に大学生が行った自分実験のレポートに基づいて、事例が紹介されています。
1人の女性は、部屋を片付けられない事で悩んでいました。部屋が散らかっているのは自分の性格のせいだと諦めていました。しかし、じぶん実験をしていく中で、行動が変わっていく事を実感していきます。
1人の男性は、好きな女の子を海に誘えるように腹筋をする事を行動目標にしました。夏までに割れた腹筋を作りたいけれど、なかなか思うように行きません。さて、その後じぶん実験によって行動はどのように変わったのでしょうか?
自分の行動を実際に変えて行く事を目的としたじぶん実験について、わかりやすく理解できる本です。あなたは、自分のどのような行動を変えて行きたいでしょうか?
ビジネス・マーケティングに役立つ行動心理学を学びたい人におすすめの本
次は、ビジネス・マーケティングに役立つ行動心理学を学びたい方におすすめの本をご紹介します。
絵が多く分かりやすい「図解雑学 行動経済学」
ビジネスやマーケティングには、経済知識と共に人の行動についての理解も必要となります。経済学上、理論的には正解でも、人の行動は合理性だけでは理解できないからです。
数字上では金額の多少は簡単に比べられます。けれども同じ金額でも人にとっての価値は異なる場合がある、という話からこの本は始まります。
その他、‘夕暮れのレースはなぜ大穴狙いが多いのか?」(目標設定の話)「提示した手がかりに判断が引きずられてしまう」(意図的に回答が歪められるという話)など、ビジネスに役立つテーマが取り上げられています。
左ページに文章、右ページにイラストという形式も読みやすいです。
顧客の心理を理解しさらに売れる「行動経済学で人を動かす モノは感情に売れ!」
「売る人」と「買う人」という関係に、行動経済学がどのように活かせるのか、を解説した本です。
行動経済学は、経済学と心理学の間の学問でです。顧客に行動を起こさせる事を目的としているため、人の行動を対象とした心理学である行動心理学を、ビジネスやマーケティングに活用するのに有益な学問と言えるでしょう。
コカ・コーラ、ナイキ、デアゴスティーニ、コストコなど、身近なブランドを例に、行動経済学でどのように人を動かすのかを具体的に分かりやすく解説しています。
恋愛に役立つ行動・しぐさを学びたい人におすすめの本
次に、恋愛に役立つ行動・しぐさを学びたい方におすすめの本をご紹介します。
それは「好き」のサインかも?「面白いほどよくわかる!見ため・口ぐせの心理学」
直接見る事ができない心理は、見ためや口ぐせにどのように現れるのか?を分かりやすく解説した本です。各テーマごとに見開き2ページを使いイラストと共に解説されているので、読みやすいです。
PROLOGUEでは第一印象の重要性がテーマです。服装からその人の様々な情報が読み取れる事を理解すれば、自分が与えたい印象も服装で作っていける事になります。第1章は、顔や表情からその人を理解する方法が書かれています。本当の気持ちは顔の右、左どちらに表れやすいのか、笑い方から性格を読み取る、目の動きから考えている事が分かるなど、恋愛にも使えるテーマが様々です。
第2章はファッションに表れる性格がテーマです。派手なファッション、セクシーなファッション、高級ブランドにこだわるファッション、靴やバッグなどから、どのような心理が読み取れるのでしょうか。
第3章はしぐさや態度に隠されている本音、第4章は口ぐせの裏に潜む心理、第5章はウソから分かる心理が書かれています。
第6章は男と女の見ためから分かる恋愛心理がテーマです。一目惚れがなぜ起こるのか、「好き」のサインにはどのようなものがあるのか、などについても書かれています。
そのしぐさの意味は?「FBI捜査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407」
25年にわたりFBI捜査官を務めてきた著者によるしぐさの辞典です。体の部位を頭から足までに分け、それぞれに関連するしぐさの意味を解説しています。
例えば頭に関しては、頭を飾る、髪をいじる、うなずく、頭を掻く、頭をなでるなど、18項目について解説があります。
周囲の人のしぐさで気になったものを調べる事もできますし、読んで行く事で自分のしぐさから自分を理解する事にも役立つでしょう。
動物の行動・心理について学びたい人におすすめの本
最後に、動物の行動や心理について学びたい方におすすめの本をご紹介していきます。
動物も人間も愛おしく思える「ネコはどうしてわがままか」
雑誌『ゆたか』(法研)1998年4月号から2001年3月号に連載された「いきもの博物誌」と、雑誌『ヴァンテーヌ』(アシェット婦人画報社)1992年1月号から12月号に連載された「ちょっとエソロジー」を再編集した本です。
様々な動物達の持つ様々な行動は、1つ1つにちゃんと意味があるのです。第一部は春夏秋冬に見られる生き物の博物誌として、各生き物ごとの生態が書かれています。
第二部は「すねる」「きどる」「落ち込む」「誇る」など、普段は私達人間だけに使うような言葉を動物に当てはめて書いています。すねる猫?きどるクジャク?落ち込むイサザ(魚)?誇るセージライチョウ(鳥)?
一生懸命な動物達の行動にクスッと笑いながら、人間への愛おしさを改めて感じられる1冊です。
動物の心が覗ける「動物たちは何を考えている?ー動物心理学の挑戦ー」
日本動物心理学会が監修した、最新の動物心理学の本です。
行動心理学を始めとする心理学も、ネコやチンパンジー、犬、ネズミ、ハトなど動物の研究が元になっているものが多くあります。動物心理学は、このような研究に始まり、近年では感情も含めその領域を広げています。
本書では、動物たちの心の働きを、複数の著者が各トピックを書いています。色や形だけではなく、音楽や絵が分かるのか?足し算や推理ができるのか?時間は分かるのか?喜怒哀楽はあるのか?など、動物の心に迫ります。
多様な視点から動物の心を理解していくうちに、人間の心だけが特別なものではないと思えてくる1冊です。
行動心理学から分かるSNSの不確かさ
今回は、行動心理学の本を紹介してきました。手に取ってみたいと思う本に出会えましたか?
行動心理学を学んでいくと、言葉だけでは人を理解するのにどれほど不十分なのかが実感できると思います。表情やしぐさなどに助けられて、言葉の本当の意味は伝わるのです。自分や人の行動を変えるためにも、言葉だけでは難しい事も分かるでしょう。
人と直接会えず、SNSなどに頼りながらコミュニケーションを取らなければならない現代です。けれども、行動心理学を学んだ後には、文字の背後に隠された相手の表情やしぐさを想像しながら相手と関わって行く事が可能になっていくでしょう。
文字だけでは相手の気持ちは分からない事を認識していれば、不必要に傷付け合う事も減って行くのではないでしょうか。