今回は、色彩心理学を学びたい方におすすめの本をご紹介していきます。合わせて、色彩心理学の勉強は仕事や恋愛に活かせるのか、関連した資格にはどのようなものがあるのかについても解説しています。大学や大学院でも学べる色彩心理学にも触れていますので、参考にしてみてください。
目次
色彩心理学とは?
色彩心理学と聞いて、どんな事をイメージしますか?占いと似ているような気がする方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、色彩心理学は科学的手法によって研究されている心理学の一分野です。
色の見え方は、動物によって様々です。同じ色彩でも人と犬とでは異なって見えるのです。人間が色彩をどのように見ているのか、色彩は人間の心にどのような影響を与えるのかを研究する学問が、色彩心理学です。
色彩心理学の歴史と成り立ち
色に関する考察はギリシャ時代に遡るとされています。ギリシャ時代の哲学者プラトンは、混色して新しい色を作ることは「神への冒涜」としたのに対し、その弟子のアリストテレスは『色彩論』の中で「色は白と黒の間に生じる」と述べました。
17〜19世紀にこのようなギリシャ時代からの通説を覆したのは、イギリスの物理学者ニュートンでした。ニュートンは著書『光学』で、物理学的側面から光と色についての見解を発表しました。現在の色彩心理学の基盤を作ったのは、色の生理・心理的作用に言及したドイツの詩人ゲーテとされています。
さらに、ヤングによる光の三原色説、ヘルムホルツによる色覚の三原色説、ヘリングによる反対色説など、色覚についての理論も発表されました。
現在の心理学において、色は多様な領域で扱われています。知覚心理学や認知心理学では、色彩という刺激をどのように人間が処理するのかを扱います。また、臨床心理学においても、ロールシャッハ・テストや描画テストなどのように色の分析を取り入れた心理テストもあります。
色彩心理学を学ぶメリット
私達は日々色に触れていますから、常に色の影響を受けているとも言えます。そのため、色が心に与える影響を知る事は、生活を豊かにする手段に役立てる事ができます。
臨床心理学で専門的に活かすため以外にも、仕事に役立てたり恋愛に役立てる事も可能です。建築・インテリア、マーケティング、ファッションだけでなく、色彩心理学で心身の状態を良くし、人生を豊かにするための研究を行なっている方々もいらっしゃいます。
もっと身近な所では、アニメのキャラクターへの理解を色からも深める事ができます。「鬼滅の刃」は色のイメージをキャラクターの特徴と結びつけた典型とも言えるでしょう。
煉獄さんの赤そのものが正義感や行動力、炭治郎の緑そのものが平和主義と礼儀正しさを発信する色である事が分かると、色彩心理学をもっと身近に感じられるかもしれません。
初心者の勉強におすすめな色彩心理学の本ランキング5選
まずは、初心者の勉強におすすめな色彩心理学の本をランキング形式でご紹介します。
第5位 色彩心理学者による心のケア「『色彩セラピー』入門 心を元気にする色のはなし」
色彩心理学者である著者は、「色彩学校」の主宰者です。画家としての経験を経て子供の絵の研究をして来られた著者は、「色への欲求は心理的バランスを保つための人間の本能のようなもの」と言います。
本書では、赤・黄・緑・青・紫・ピンク・無彩色の心理が述べられています。それぞれの色にまつわる歴史的イメージや著名な画家と色、色彩学校での実例など多岐に渡ります。
その人のその時の絵になぜその色が使われたのか、深層心理に想いをはせる著者の考察は、色彩心理学の奥深さを感じささてくれます。
最終章は日常に活かす色彩心理として、暮らしの中で色を取り入れるセラピー効果の実践例が紹介されています。
第4位 コンパクトに色彩心理学の内容をカバー「ポケット図解 はじめて読む色彩心理学」
まずは色の名前や配色の基本がコンパクトにまとまっています。
第3章色彩心理では、色ごとの持つ感情や暖色・寒色の効果、色彩と照明などが書かれています。第4章の色彩心理を生かしたイメージづくりでは、パーソナルカラーやコーディネート例、お洒落のコツ、お化粧、色彩効果を活かしたプロジェクト等が書かれています。
色彩心理学の基本がコンパクトにまとまった1冊です。
第3位 色神様のキャラクターと楽しく学ぶ色の世界「本当に役立つ色の使い道 色神さまと色のひみつ」
父親の遺品を整理していた主人公が見つけたのは、奇妙な生き物のイラストが書かれた資料。そこには父のコメントが次のように書かれていました。
「色は偶然でき上がっているものではない。色はその色を決めて、作っている存在がある。どうやらその存在は『イロガミサマ』と呼ばれているらしい」
不思議に思いながらもイロガミサマの研究を始める主人公。主人公と共にイロガミサマが伝える色の本当の使い道を探る本です。
第2位 マンガページやイラストで分かりやすい講義形式「色のパワーで心も体も元気になる! 人生が豊かになる色彩心理」
心理学者の宮田先生が講義形式で説明してくれる本です。内容は、豊富な図解と共に見開き2ページ毎にまとめられていて読みやすく工夫されています。
同じ「ピンク」という言葉でも、思っている「ピンク」は人によって違う、という個人差の話から始まります。
心理学の正しい知識を根拠にしつつ、親しみやすいテーマや実例、イラストを取り入れた本書は、知識と読みやすさのバランスが絶妙です。
色彩心理学初心者の方に安心しておすすめできる1冊です。
第1位 入門から専門までわかりやすく解説「決定版 色彩心理図鑑」
幅広い色彩心理学のほぼ全域が網羅されているにも関わらず、初心者にも読みやすく見ていて楽しい本です。
第1章の「色彩心理効果」では、色と感情、色と性格、色が五感に及ぼす影響などを通して、色彩心理学の世界に楽しく親しむ事ができるようになっています。
第2章の「色の基礎・色とは何か」では、色彩心理学の歴史から、色の物理的生理的特徴などの基本的な事が学習できるようになっています。
さらに、第3章「色と文化」、第4章「色の由来」、第5章「単色、配色とイメージ」、第6章「色の可能性」と続きます。
特定の分野に偏る事なく、まずは色彩心理学の全体を理解したい方におすすめの1冊です。
仕事で色彩心理学を利用したい人におすすめな本3選
次に仕事で色彩心理学を利用したい方におすすめの本をご紹介します。
色の力で楽しくスムーズに仕事をしたい方へ「色はビジネスの武器になる あなたの仕事効率が劇的にアップする55の方法」
カラーコンサルタントとして20年以上活動し、3万人をコンサルティングした著者は、色にはとても大きな力があると言います。
コミュニケーション力を高めるには?なりたい自分になるには?朝が弱い人におすすめの色は?残業したくない時に使う色は?など、55の方法が載っています。
プレゼンや商談で色を味方につける「人を動かす『色』の科学 1杯のコーヒーから始まる身近で不思議な世界」
カラーコンサルタントの研修講師としても活動をしている著者による色の世界の案内です。
色とは何か、その不思議についての話から、ダイソンのカラー戦略等の企業の仕掛けについての記載が載っています。また、視線を誘導するカラー配色や差し色効果など、色の組み合わせの高等テクニックが使われている事例も紹介されています。
さらに、伝わるプレゼンの資料の3色配色、謝罪会見のスーツの色等、成功に導く色の法則についても述べられています。
文庫サイズで持ち歩きやすく読みやすい1冊です。
自分の“勝ち色“を見つけてパフォーマンスを最大化する「一流になりたければ、その『色』を変えなさい。」
心理学者ではなくパーソナルトレーナーという肩書きの著者による本で、伝統的な色彩心理学の本ではありません。しかし、色の効果を人のパフォーマンス向上に活かすという意味では、新しい色彩心理学とも言えるのではないでしょうか。
パーソナルカラー等、色彩心理学の使い方には、それぞれの色が持つ多くの人にとって共通の特徴を活用しようとするものが多く見られます。けれども著者の提唱する「勝ち色」は、その人自身のパフォーマンスを向上させる色だと言います。
多様な分野のアスリート達に「勝ち色」を取り入れたトレーニングを指導してきた著者による、新しい色彩心理学の本です。
恋愛で色彩心理学の知識を利用したい人におすすめな本3選
恋愛に色彩心理学を利用する事ができるとされている本をご紹介します。
五感が判断に影響を及ぼす「赤を身につけるとなぜもてるのか?」
もしあなたが相手から「温かい人」と思われたかったら、その人とホットコーヒーを飲みますか?それともアイスコーヒーを飲みますか?
温度、手触り、重さ、色、光、匂いなど、日頃無意識に感じている五感がどのように私達の判断に影響を及ぼすのかを、実験結果と共に解説した本です。恋愛、ビジネス、子育てに使える身体化された認知の本です。
書き込み式で楽しくワーク「自分でできるカラーセラピーワークブック:『こころパレット』で、本当のワタシが見える!人生を彩る!」
カラーセラピストであり認定心理士である著者によるワークブックです。
感情、物事、人物等に対して抱くイメージカラーを塗って分析します。カラーパレットを使う事で、自分の気持ちに気づいたり気になる人との相性チェックをしたりしながら、ハッピーな恋愛を目指せる1冊です。
あなたはもっと幸せになっていい「幸運を引き寄せるはじめてのカラーセラピー」
今の自分をもっと知るためのカラーワークから始まり、セルフセラピーや自分の枠を広げる色のパワー等についても説明がされています。
Lesson5の恋愛で幸せになるカラーワークでは、あなたと合う男性のタイプを知るカラーワークと、あなたの彼の性格タイプを知るカラーワークが載っています。
色彩心理学の資格を取りたい人におすすめのテキスト・参考書4選
色彩心理学は様々な分野に活かされるので、色彩心理学に関連する資格も多様にあります。心理療法系では、カラーセラピスト・色彩心理学療法士・色彩心理療法士など。デザイン系ではカラーコディネーター・色彩検定などです。
色彩に関する資格や仕事が見渡せる「色彩のスペシャリストになる!?」
色彩に関する資格や仕事手引き集です。カラーコディネーターが活躍するファッションビジネス・建築・インテリア・デザイナー・カラーセラピストなどの仕事内容となるための方法が書かれています。
また、カラーコディネーターになるための資格として、A・F・T色彩検定試験・東商カラーコディネーター検定・色彩資格パーソナルカラー検定試験等の内容等も書かれています。
色彩に関する各種の資格試験を目指す人にも有益な参考書「色と色彩の心理学」
色の物理学的性質、色覚の生理学的基礎から始まり、色の命名、色の感性情動的性質、カラーコディネート等、色彩心理学に関する学術的な内容を学ぶ事ができます。
共著者は全員、大学・短期大学・専門学校等で色彩心理学及び色彩学の講義や実習を担当して来られた方々です。そのため、どのような学校でどのような先生に色彩心理学を学ぶ事ができるのかについての情報を得るのにも有益でしょう。
カラー図解でわかりやすい「史上最強カラー図解 色彩心理のすべてがわかる本」
心理カウンセラーである著者が、読者が自分の心のために色を使えるように、芸術療法やイメージ療法を元にした「セルフセラピー」を分かりやすく解説しています。
色彩学の基本的な内容から、色を使ったテスト、色の歴史とイメージなど、色彩心理学の内容を網羅的に分かりやすく学ぶ事ができる1冊です。
合格率の高い色彩検定の公式テキスト「色彩検定公式テキスト3級編」
色彩検定は学生に人気の歴史のある検定試験です。色を日常生活で役立てる事ができるようになる3級も、公式テキストが独学での合格に最短でしょう。
色彩心理学は大学・大学院でも学べるのか?
色彩心理学は様々な学問に取り入れられています。そのため、大学や大学院で学ぶ事は可能です。
例えば色彩心理学を建築に活かしたいのなら建築学科、色彩心理学をファッションに活かしたいのなら服飾大学等で学ぶ事ができます。人の知覚に関する研究は知覚心理学、アートセラピーであれば臨床心理学の中で学ぶ事ができるでしょう。
色で心と対話をする
もしも100色もある色鉛筆を渡して、「虹の絵を描いてください」と言ったら、人によって何通りの虹ができるのでしょう。この違いが、あなたの個性であり、他の人の個性です。
言葉に現れにくい「その人らしさ」が、色を使う事によって見えてきます。モヤモヤしていた心が、色と向き合ううちに癒されてくる事もあるかもしれません。
人と会えなかったり遊びに行けなかったり、我慢をする事が多い時こそ、色の世界に触れてみるのも良いかもしれません。もしも、自分自身を色の力で少しでも癒す事ができたあなたなら、今度は大切な誰かを色の力でハッピーにする事ができるかもしれませんよ。