日常生活への応用

やる気が出ない時の原因と対処法とは?うつや更年期障害の無気力についても解説

やらなければいけないのにどうしてもやる気がでない。このような状況に陥った方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのとき、皆さんのこころの中で何が起きているのか、どうして起こっているのか、どのように対処すればよいのか。今回はそのような疑問にお答えしていきます。

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仕事も勉強も手につかない…やる気がでない原因とは

どうしてもやる気がでない、その原因はいったいどのようなものがあるのでしょうか。

身体が疲れている

やる気が出ない原因の代表的なものとしては疲労がたまっていることが挙げられます。

仕事終わりに身体に疲れがたまっているような状況では頭がぼーっとして家事などをついつい後回しにしてしまう経験がある方も多いのではないでしょうか。

やる気を出して、良いパフォーマンスをするためには体調を万全に整えておく必要があります。

睡眠が不足している

日中の活動で脳は様々な情報を処理したり、思考、記憶などの作業を行っています。

昼間にフル稼働させた脳の休息の場となるのが睡眠です。

睡眠不足の状況では、脳が十分な休息を得られていないため、十分に機能を果たせずやる気が出ていないのかもしれません。

具体的な目標・ゴールがない

例えば、家事や子育てには具体的なゴールがない状況も考えられます。

明確な終わりが見えていれば、「そこまで耐えればよい」という気持ちが湧いてきたり、終わりまでに何をしなければならないか考え、順番に行動を起こすことができます。

しかし、毎日のようにやらなくてはいけないにもかかわらず、終わりがない課題に直面するとやる気が削がれ、行動を起こせなくなってしまいます。

やり方がわからない

どのように取り組んでよいかわからない。

これは、こころの中に大きな不安と苦手意識を呼び起こします。

不安という反応は「逃げる」という行動と密接なつながりを持っていることが心理学的に知られており、やり方がわからない苦手な仕事や勉強はつい後回しにしてしまいがちです。

また、不安は逃げてしまうと次の機会にさらに強い不安を呼ぶことでも知られているため、「やり方がわからないから、やる気が出るまで後回しにしよう」といつまでたっても着手できないという悪循環に陥ってしまいます。

同じことの繰り返し

人間は好奇心が旺盛な動物です。何か新しい刺激が加えられれば、精神的にとても豊かな体験をすることができます。

そのため、同じことの繰り返しは苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

毎朝同じ時間に起きて、同じ電車に乗り、ルーティーンワークのように仕事をこなして…といった生活では刺激がなく、マンネリ化しがちです。

やらなくてはいけないことが多い

何か行動を起こす前にあれこれ考えすぎてしまっていませんか?

やらなくてはいけないことがあまりにも多いと、思考が混乱し、本来一つずつ処理をすればなんてことないものでも、やる気が出なくなってしまいます。

「銀行の支払いに行って、家の掃除をして、買い物もやって、犬の散歩にもいかなくては…」とやらなくてはいけないことを考えているうちに頭がパンクしてしまって、結局何一つ終わっていないという状況に陥ってしまっているかもしれません。

頑張りすぎてしまった反動

大事なプロジェクトから解放された、一年に一度の資格試験が終わったなどこれまで全力を出して取り組んでいた課題から解放されたとたんにやる気が出なくなってしまうことがあります。

これは燃え尽き症候群(バーンアウトシンドローム)とも呼ばれ、頑張り屋さんほど陥りがちです。

また、頑張っていたにも関わらず、その努力が報われず心が折れてしまい何もやる気が起きなくなってしまうというパターンも考えられます。

ストレス反応

一般的に使われる「ストレス」いう言葉は、心理学的に「(心理・社会的)ストレッサー」と呼ばれます。

そして、人間がストレッサーにさらされたときに起こる反応こそがストレス反応です。ストレス反応はストレッサーに対する自然な反応であり、心理・行動・身体と3側面でその反応は起こります。

そして心理的なストレス反応において、意欲が湧かない無気力状態が挙げられます。

「五月病」と呼ばれるやる気の出ない状況をストレスの観点から考えてみると、3~4月には転職や入学、引っ越しなど慣れない環境への変化が求められることが多いです。

そして新しい環境へ適応するまでに多くのストレッサーにさらされることで5月の連休ごろまでにストレス反応が出て、やる気が出なくなってしまったとも解釈することができます。

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やる気が出ない時に考えられる病気

やる気が出ないという状況が長く続いたり、あまりにも広範囲にわたって生じるため生活に支障をきたす場合などは何らかの疾患を患っている可能性も否定できません。

うつ病

広く知られている精神障害の一つである「うつ病」は重度の気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続くという特徴を持つ精神障害であり、食欲の減退、睡眠障害、倦怠感、絶望感など様々な症状が現れます。

うつ病は明確なストレス因が特定できないという特徴があり、脳内物質であるセロトニンの働きの異常との関連が指摘されています。

うつ病での気分の落ち込みや意欲の低下から、仕事や家事、人間関係の維持などといったことにもやる気が起きず、生活リズムが大きく乱れ、引きこもり状態になってしまう場合もあります。

うつ病の治療の原則はとにかく焦りは禁物で投薬と休息が必要とされます。

そして、症状が完全してきてからリワークなどの社会復帰プログラムに取り組む場合が多いです。

抑うつ神経症

先述したように、うつ病は脳内物質のセロトニンの機能の異常から起こると考えられており、何らかのストレス因が(引き金となり発症することはあっても)原因にはなりません。

これに対し、本人以外の人にも理解できる悩みや葛藤といったストレスが原因となっている精神疾患は心因性の疾患に該当します。(うつ病は現時点でその原因は特定されておらず、内因性の疾患に該当します)

そして、心因性のうつ症状を呈する疾患の代表例として挙げられるのが抑うつ神経症です。

抑うつ神経症でもうつ病とよく似た症状を呈するため、意欲の低下による無気力状態に陥ることも少なくありません。

ちなみに、うつ病と抑うつ神経症の違いは次の点が挙げられます。

  • 脳の機能異常ではなく、心因性の精神障害であること。
  • 朝から夕方にかけて症状が軽くなる(日内変動)が抑うつ神経症では見られない。
  • 中途覚醒や早朝覚醒はほとんど見られず、入眠困難を呈する。
  • 自分ではなく、ストレスフルな状況を生み出した周囲を責め、他者に対する依存性も強い

抑うつ神経症での「やる気が出ない」原因はうつ病とは異なり、ストレスによるものであるため、改善には投薬ではなく、ストレスフルな環境の調整やストレス対処の方法を身に着けることが有効とされます。

アパシーシンドローム(無気力症候群)

アパシーシンドロームとはある特定の領域において慢性的な意欲の減退・無感動・無関心を示す状態のことです。

主にみられる領域としては、社会人にとっての「仕事」や学生にとっての「勉学」などです。

例えば一度は強く志望して学校へ入学したとしても、意欲がめっきり失せてしまい、なぜその学校へ入学しようと思ったのかという動機すらわからなくなります。

症状が長引くと登校拒否や出社拒否などに陥ることもあります。

しかし、アパシーシンドロームの大きな特徴として、意欲の減退を示すのは特定の領域のみに限られることが挙げられます。

例えば、仕事に対して意欲が減退し、出社拒否にまで陥ったとしても、趣味の集まりや社会活動などほかの活動に関しては意欲を持ち、積極的に活動するという特徴があります。

ただ、アパシーシンドロームはうつ病や統合失調症のように、明確な病気とは考えられておらず、あくまでいくつかの症状を示す状態のことである「症候群」として扱われます。

更年期障害

更年期障害が示す症状の一つに意欲の減退が挙げられます。

女性に起こる更年期とは閉経を約10年間を指し、平均的には45歳から55歳前後の期間とされます。

この期間では、卵巣の機能低下が進行することにより、女性ホルモンの分泌量が減少してしまい、自律神経が乱れることから次のような症状が起こります。

  • 冷え
  • のぼせ・のぼせ
  • 不眠
  • 倦怠感
  • 抑うつ気分(意欲低下を含む)
  • 不安感
  • 疲労感
  • 腰痛・筋肉痛
  • 消化器症状

更年期障害はホルモンの分泌以上による自律神経の乱れが原因とされるため、生活環境を整え、規則正しい生活をお送るよう心掛ける必要があります。

自律神経失調症

手や足が自分の思い通りに動かせるのは、脳から発せられた命令を神経を通じて手や足に伝えているからです。

これに対し、神経の中には自分の意思とは関係なく、身体をコントロールする役割を持った神経が自律神経です。

自律神経はさらに「交感神経系」と「副交感神経系」に分けられます。

それぞれの持つ機能は次の通りです。

【交感神経系】

活動しているとき、緊張しているとき、ストレスを感じているときなどに活性化します。

身体をすぐに動かせるようにすることが主な役割であり、交感神経系が優位になると心拍数や血圧の上昇、呼吸が浅くなるなどの状態になります。

【副交感神経系】

休んでいるとき、安心しているとき、リラックスしているときに活性化します。

身体を休ませることが主な役割であり、副交感系神経系が優位となると、心拍数や血圧が下降し、深くゆっくりとした呼吸、消化器の活性といった状態になります。

自律神経失調症では慢性的な疲労感、片頭痛、不眠といった身体症状やイライラ、意欲減退、憂鬱感などの精神症状が現れます。

自律神経失調症の原因はストレスや生活リズムの乱れ、環境の変化など様々であるとされています。

やる気が出ない時の対処法

やらなきゃいけないのはわかっているのに…。

やる気が出ないそんなときにどのような方法が良いのかをご紹介します。

ゆっくりと休む

心身の疲れによってやる気が出なくなってしまうときがあるでしょう。

そんな時は思いきってしっかりと休むことが重要です。

仕事がきついときは有給を申請したり、学校に行く気が起きないときは周囲に相談して休んでいるときの授業内容を教えてもらい休むなどをして、しっかりと休む時間をとりましょう。

しっかりとリフレッシュができれば自然とやる気が戻ってくるかもしれません。

運動する

運動することは全身の血の巡りを良くします。

また、アドレナリンが分泌され、肝臓に貯蔵されていた糖分が血中に放出されるため、脳の施行に必要な糖分も補給されることで脳の働きも良くなりやる気が出るようになるという効果もあります。

ご褒美を用意する

課題に対するやる気、つまり動機づけは内発的動機づけ(課題そのものに楽しみや意味を感じやる気が起こること)と外発的動機づけ(課題をこなすと何らかのご褒美がある、褒められるなどによってやる気が起こること)の2種類があることが分かっています。

当初、内発的動機づけが低くても何か外的な報酬を用意し、外発的動機づけを高め課題に取り組むことで、次第に内発的動機づけが高まるといわれています。

これはエンハシング効果と呼ばれ、心理学的にも証明されています。

そのため、どうしてもやる気が出ない時は、この仕事を終えたら旅行に行く、このテキストを終わらせたら、飲みに行くなど自分なりのご褒美を用意することでその課題に対する内発的な動機づけを高めることができるかもしれません。

新しいことをしてみる

人間は好奇心が旺盛でマンネリに陥るとやる気が出なくなることをご紹介しました。

それでは、それを逆手にとって新しいことを始めてみるのはいかがでしょうか。

新しいことといっても大それたことをする必要はありません。

例えば普段学校へ行くときのルートを変えてみる、会社に行く時間を少し早くして、途中でカフェに寄ってみるなど少しの変化でもやる気には大きな変化が起こるかもしれません。

とりあえず取り組んでみる

誰しもが経験していることだと思いますが、いざ取り組んでみたらあっという間に時間がたっていた、仕事に行くのが嫌だと思っていても、いざ行ってみたらすんなりと一日が終わった。

あなたのやる気をそいでいるのが不安であった場合、その不安を引き起こす環境に思い切って身を投じてみると大したことが無いことも多いはずです。

脳科学的には作業興奮と言われる現象であり、行動を起こすことでやる気を引き出すことができるかもしれません。

課題を細かく分けてみる

仕事のプロジェクトを任されたがやる気が出ない。

そんなときは何から手を付けていいかわからず、迷ってしまってやる気が出ないのかも。

しかし、具体的に紙に書き出してみると、やらなければならないことが明確になり、取り組みやすくなります。

臨床心理学的なアプローチの一つにスモールステップという技法がありますが、これによって課題を小さな段階に分け、一つづつ取り組んでいくことで達成感を養うことができます。

時間を区切る

時間は有限です。

しかし、その事実に気付くことがなかなか難しくてやる気が出ないことも多々あります。

そのようなときは、強制的に時間の区切りをつけてしまうのが良いかもしれません。

例えばスマートフォンのタイマーをかけ、「この時間までに、掃除を終わらせる」などの目標を設定すればゲーム感覚で取り組むことができるでしょう。

マンネリ化した生活にメリハリをもたらすためにも有効だと考えられます。

いつもと違う環境に身を置いてみる

自宅で勉強していると眠くなってやる気が出ない。

そんな時は環境を変えてみるのも有効です。

例えば、隣町のカフェで勉強をしてみるなど、普段と違う環境下で行うだけで、同じ作業に対する取り組みも大きく変わることがあります。

目標を下げる

完璧主義の人は高い理想を掲げるために挫折しがちです。

しかし、高すぎる目標を掲げてしまうと達成できず、かえってやる気を削いでしまうかも。

そんな時は思い切って目標を下げ、その目標を達成できた自分のことをほめてあげましょう。

この時のコツとしては、低い目標を掲げた自分のことを軽視しないこと。

こうすることで成功体験が増え、自分にはできることがたくさんあるんだと自己効力感を上昇させるきっかけになるかもしれません。

ライバルを作る

自宅で受験勉強をするなど、ひとりで孤独に取り組む課題はどうしてもやる気が出ず、さぼりがちになりやすいでしょう。

そんな時はライバルを見つけることで自分の闘争心を掻き立てることができるかもしれません。

ライバルよりも良い結果を残せたときは達成感が残り、次の取り組みの時には新たなライバルを探すようになるなど自然とやる気がでるようになるかもしれません。

やる気が出ない時にやってはいけないこと

やる気が出ない時にしてはいけないNG行為についてまとめました。

やる気の出ない自分を責める

やる気が出ない自分が「ダメな人間だ」、「価値がない」など自分を責めるのはやめましょう。

また、自分を責めたとしてもやる気が出るようにはならないでしょう。やる気が出ない、そんなときは自分が疲れていることを示すサインかもしれません。

そういうときこそ、自分を大切に、「やる気が出ない時があっても良いじゃないか」と寛容な精神を持つことが大切です。

暴飲暴食をする

やる気が出ない時だからこそ時間を持て余し、暴飲暴食をしてしまうかもしれません。

しかし、身体が資本であり、暴飲暴食によって体調を崩してしまっては元も子もありません。規則正しい生活を心掛け、食事やお酒をたしなむ範囲にとどめるようにしましょう。

暇つぶしをする

いつかやる気が出るだろうと、暇つぶしをしてしまう。

やる気が出ない時にやりがちですが、その暇つぶしを心から楽しめていますか?

暇つぶしという行為は心から楽しむことができず、かえってやらなければいけないのに、後回しにしている自分に罪悪感を抱いてしまうことも多いでしょう。

そのため、やる気が出ない時こそスマートフォンのアプリや動画サイトにはアクセスしないほうが良いでしょう。

無気力を巡る心理学的研究

意欲が低下した無気力は心理学の研究分野でも取り上げられています。

下坂(2001a)では中学校~大学という青年期の段階でみられる無気力の特徴について調査を行っています。

学生における無気力の代表的な例としてスチューデント・アパシーと呼ばれる概念があり、不登校や引きこもりなどといった概念と関連して注目されてきました。

下坂によれば、青年期の無気力状態は、次の3つの要素が確認できると報告しています。

  • 自己不明瞭:現在から将来にかけての自分自身が把握できないこと
  • 他者不信・不満足:他者に対し、不信感や不満足を抱くこと
  • 疲労感:日常生活での身体的・精神的な疲労感のこと

このように、青年期の無気力感の中身を詳しく見てみると、自分の内的な要因(自己不明瞭・疲労感)と外的な要因(他者不信・不満足)という2つに分けることができます。

さらに、内的な要因である自己不明瞭はある程度長期的な視点での無気力感であるのに対し、疲労感は短期的に感じられる無気力感であるなどそれぞれに違いがあることがわかります。

やる気が出ないというメッセージ

やる気が出ない原因は様々ですが、あなたのこころにそのような反応が出ているということにまずは気付くことが重要です。

そして、そのやる気が出ない原因、つまり自分の生活の中で満ち足りていなかったり、障害となっていることに気付くためのメッセージであると捉えなおすこともできます。

やる気が出ない自分をただ責めて、罪悪感を抱いても前には進めません。

やる気が出ない時こそ自分を見つめなおす良いきっかけであると思えるようになりましょう。

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参考文献

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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