共同注意とは?発達階層や種類を具体例でわかりやすく解説

2022-07-13

人間の神経発達を考えるうえで非常に重要となる現象に共同注意というものがあります。

今回は共同注意の種類や具体例、発達の階層をわかりやすく解説していきます。また、共同注意と自閉症の関係についても触れていきます。

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共同注意とは

一般的に共同注意とは「他者と事物」に注意を配分し、共有することを指します。

より具体的に解説すると、「対象物に関する対話的な社会的パートナーとの間で、対象物に対する意識を共有する注意の調整」のことです。

例えば、親子でお散歩をしているときに、母親が飛行機が飛んでいることに気づき、指さしたとします。

そして、子どもが対象物である飛行機に意識を向けなおすことによって、「飛行機が飛んでいるね」と母子間のコミュニケーションが成立するでしょう。

この時、相手の視線や指先を追って同じ対象物に目線を向け注意を共有しているのです。

このように、共同注意はコミュニケーションの基盤となりうる現象です。

共同注意の種類と例

共同注意は母子間のコミュニケーションにおいて生じる現象であり、大きく以下の2つの種類に分けることができます。

  • 始発的共同注意
  • 応答的共同注意

始発的共同注意

例えば、母親が花壇の花を見ていることに子どもが気づき、母親に笑いかけながら「お花が咲いているね」と話した場面を考えてみましょう。

この時、母親の「花壇の花を見る」という行為は、その後の子どもの行動を引き起こすトリガーとなるものです。

このように、共同注意の始発点となる、視線や指差しなどで注意を向ける対象を指示する行動を始発的共同注意と呼びます。

応答的共同注意

上記の母親の始発的共同注意を受け、子どもは母親に笑いかけながら「お花が咲いているね」と母親が注意を向けた対象に遅れて気づき、自分もその対象に注意を向けていることを示しています。

このように、始発的共同注意を受け、それに追従して注意を向ける行動は応答的共同注意と呼ばれます。

共同注意の発達階層

共同注意は生まれてすぐの乳幼児ができるものではありません。

主に母親との情緒的なコミュニケーションのなかで徐々に獲得されていくものであると考えられており、一般的に子どもが他者をしっかりと認識することのできる生後9か月ごろから始まると考えられています。

そして、共同注意の発達階層は次の5つに分類されています。

【共同注意の5発達階層】

  • 前共同注意
  • 対面的共同注意
  • 支持的共同注意
  • 意図的共同注意
  • シンボル共有的共同注意

前共同注意

新生児と子どもに寄り添おうとする母親との間にすぐさま共同注意が成立するわけではありません。

そして、母子間の共同注意の基盤となる関係活動こそが前共同注意なのです。

母親は抱き上げ、授乳、おむつ替え、入浴、話しかけなど様々な世話を通じて、新生児のふるまいのなかに気分や気持ちを読み取り、それに寄り添うように語り掛けます。

このような子どもの感情に母親が気持ちをすり合わせていくことは情動調律とも呼ばれており、これが母子間の心の世界の共有の第1歩となるのです。

対面的共同注意

生後2か月ごろとなると、外界からの刺激に対し、赤ちゃんが笑うことで反応する「社会的微笑」がみられるように、乳幼児は「乳児-人」、「乳児-モノ」という1対1の関係(二項関係)がみられるようになります。

そして、乳児の意識をより広げるための前段階となるのが対面的共同注意です。

対面的共同注意では、遊び場面において乳児の視野内におもちゃをもちこんだり、食事をとる際にスプーンをもちこむことなどが挙げられます。

これによって、それまでは乳児と人、もしくはモノという2項関係から「乳児と人とモノ」の関係性を全体的にとらえる三項関係への展開を推し進めると考えられているのです。

支持的共同注意

生後半年を過ぎると、乳児はより外界への関心を強め、母親から視線を外し、周囲にあるものに目線を向けるようになります。

そして、母親がそのような子どもの変化、様子に気づき、子どもの視線を追いながら、モノを共有しながら関わり、子どもの生活をサポートするようになります。

このような子どもの目線に合わせた共同注意を支持的共同注意と呼びます。

このときの乳児は母親よりも外界に対して興味を示しているため、母親に対し視線を向けていることは少なくなります。

一見すると共同注意が成立していないようにも見える光景ですが、それでも乳児は母親の動作やその背後にあるこころの動きには気づいており、この時期に特有の共同注意関係を保ちながら、発達を進めていくのです。

意図的共同注意

生後9か月ごろになると、乳児は母親と一緒にモノを見ながら、母親の顔にも視線を向け始めます。

この行動には乳児の注意配分の能力発達により、母親が意図的な主体であることの認識や自分と母親の心の世界に対する理解の始まりがあります。

このときの母子のやり取りは、母親がおもちゃの存在に気づいていないときに、母親へ近づき顔を見て微笑みながら指差しをするなどの行動がみられます。

これを受け母親は「おもちゃがあるね」と話しかけ子どもに接近し、一緒におもちゃを見ながら指差しや発声を共有するなどの行動をするでしょう。

このような意図的に共同注意を発生させるような行動が意図的共同注意です。

シンボル共有的共同注意

生後15か月となると、共同注意における交流の場にシンボルが登場します。

それまでの共同注意は現実世界に存在する、具体物を介して行われるものでした。

しかし、1歳半ごろになると子どもの認知機能は発達し、目の前になくても言葉や記号などを用いて表す象徴機能が発達します。

そのため、母子間でも実際にモノがなくても言語を介するなどして共同注意が成立するようになるのです。

共同注意の神経学的基盤

共同注意は母子間で自然に行われるものですが、よくよく考えてみれば阿吽の呼吸とも言うべき、相手の関心を瞬時に見抜き、それを共有するという高度な情報処理が行われています。

この時、いったい脳内ではどのようなことが起こっているのでしょうか。

共同注意が起こっているときの脳内の活動を調べた研究では、共同注意が発生するときに右島皮質と呼ばれる脳部位が活性化することが確認されています。

例えば、子どもがおもちゃを見ていることに母親が気づき、一緒に遊んであげるという場面を考えてみましょう。

この時、子どもの視線がおもちゃに向いていることに気づくこと、そして子どもの視線を向けるという鼓動が何を意図しているのか(遊びたいのだろう)ということを推測するという情報処理が行われています。

右島皮質はこのような視線方向の検出と意図性の検出の統合において重要な役割を果たすと考えられており、共同注意成立の神経学的基盤であると考えられているのです。

自閉症児と共同注意

共同注意は他者が注意を向けているものに気づき、それを共有するという観点で、相手の心を感じ取る共感や心の理論の基盤となるものであると考えられています。

しかし、自閉症児はウィングの提唱した3つ組の特徴により、心の理論が欠損していることが指摘されていました。

【ウィングの3つ組の特徴】

  • 社会的相互作用の特徴
  • (言語的)コミュニケーションの障害
  • 想像性の障害(常同行動)

またそれだけでなく、その前段階となる共同注意にも障害があることが指摘されています。

自閉症児は社会的相互作用つまりアイコンタクトや頷きなど非言語的なコミュニケーションが苦手であったり、創造性の障害つまり興味関心を示す対象が限定的などの特徴があります。

そのため、対象に対する注意を他者と共通する行動である共同注意も困難となってしまうのです。

自閉症児は、視線に対する共同注意に困難を示すこと、共同注意を示す行動である手や視線から方向を処理することに時間を要するために共同注意が困難であるということが研究で示されており、表情から相手の心を感じ取ることが苦手なこともこのことに起因していると考えられます。

そのため、まずは目に注意を向けるなどの支援を行うことで社会技能が向上する可能性もあるのです。

共同注意について学べる本

共同注意について学べる本についてまとめました。

初学者の方でも読み進めやすい入門書をまとめてみましたので、気になる本があればぜひ手に取ってみてください。

共同注意の発達-情動・認知・関係

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新曜社
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共同注意は母子間にみられる特徴的な現象ですが、子どもの発達に合わせ、共同注意はどのように変化していくものなのでしょうか。

ぜひ本書から共同注意の発達について詳しく学びましょう。

重度・重複障害児の対人相互交渉における共同注意―コミュニケーション行動の基盤について

自閉症など人とのコミュニケーションにおける基礎になりうる共同注意が難しいという特徴があります。

そのような人を支援するときに、共同注意をどのように考えていけばよいのか、ぜひ本書から学びましょう。

他者と共有することの重要性

人はだれかとコミュニケーションによりつながることで生きていくことのできる社会的動物です。

そして、そのコミュニケーションの第1歩となる、他者と注意を向けている対象を共有する共同注意は健全な発達や円滑な対人関係を築くうえで非常に重要となる概念なのです。

ぜひこれからも共同注意について詳しく学んでいきましょう。

【参考文献】

  • 常田美穂・陳省仁(2001)『乳幼児期の共同注意の発達:ダイナミックシステムズ論的アプローチ』北海道大学大学院教育学研究科紀要 84 287-307
  • 大藪泰(2019)『共同注意という子育て環境』早稲田大学総合人文科学研究センター研究誌 = WASEDA RILAS JOURNAL 7 85-103
  • 千秋紀子・大森慈子(2011)『自閉症における共同注意に関する検討』仁愛大学研究紀要. 人間学部篇 10 49-59

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    • この記事を書いた人

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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