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ソンディ・テストとは?開発までの歴史や解釈法、問題点についても解説

心理検査は数多くの種類がありますが、それぞれに独自の特徴を持っています。ソンディ・テストは数ある心理検査の中でも特にユニークな検査です。ソンディ・テストの歴史は長く、実際の心理臨床の現場でも用いられている検査ですが、問題点も指摘されています。その特徴や解釈法を解説します。

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ソンディ・テストとは

ソンディ・テストとは実験衝動診断法とも呼ばれる心理検査です。ソンディ・テストはハンガリーの精神科医であるソンディ,Lによって開発されました。

ソンディ・テスト開発の歴史

ソンディ・テストはソンディが提唱した衝動学説と運命分析理論と呼ばれる理論を実証するために開発されたという経緯があります。

衝動学説とは

衝動学説とは、人間の無意識は衝動ベクターと呼ばれる根本的な4つの衝動から構成されているという考えです。

  • 性衝動(S)
  • 発作衝動(P)
  • 分裂病(Sch)
  • 接触衝動(C)

これらの衝動ベクターは衝動因子衝動傾向によって構成され、遺伝的な影響を受けるとされています。

運命分析理論

ソンディは精神分析学派に属しており、フロイトが提唱した(個人的)無意識の理論及びユングが提唱した集合的無意識の理論を学んでいました。

そして、両者の提唱する2つの無意識の間に家族的無意識の存在を仮定しました。

家族的無意識は個人の行動傾向である「運命」に大きな影響を与えます。(これは強制運命と呼ばれます。)

つまり、ご先祖様の持っていた強い行動の傾向は子孫に遺伝されるということであり、個人の運命は次の5つの人生における重要なテーマにおける選択から明らかになるとされます。

  • 愛(なぜ多数いる人々の中から相手を選んだのか)
  • 友情
  • 職業(なぜその職業を選んだのか)
  • 疾病(なぜその病気になったか)
  • 死(死を選べるならどのような死を選ぶのか)

ソンディ・テストはこの運命分析理論を客観的に実証するために考案された心理検査であるということも大きな特徴です。

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ソンディ・テストの実施法

ソンディ・テストは48枚の顔写真を用いて実施します。

この写真は8種類の精神疾患(衝動因子)患者の顔が写っており、それは次のように4つの衝動ベクターに対応しています。

衝動ベクター衝動因子
性衝動(S)h(同性愛)・s(加虐愛)
発作ベクター(P)e(てんかん)・hy(ヒステリー)
分裂病(Sch)k(緊張病)・p(妄想病)
接触衝動(C)d(うつ病)・m(躁病)

実施の手順は次の通りです。

  1. 48枚÷8種類の6組のカード群を順番に被検者に提示し、その組の中で「好きな写真を2枚」と「嫌いな写真を2枚」選んでもらう。(この手続きを前景像VGPと呼ぶ)
  2. 1組目から6組目まで選び終えたら、残った4枚の写真の中から、「比較的嫌いな写真を2枚」を選んでもらう。(この手続きを実験的補償像EKPと呼ぶ)
  3. 上記の手続きを1セットとし、1日~1週間の感覚で10回繰り返す。

被検者によって差はありますが、初回テストで短い場合5分(最長でも30分)程度で終えることができるという特徴があり、無意識を測定する投映法にしては比較的簡便に実施できることが大きな特徴であるといえます。

ソンディ・テストの解釈

ソンディ・テストの解釈は選ばれた写真を次のように得点化することで行われます。

顔写真を好きと選んだ:<+>

顔写真を嫌いと選んだ:<->

欲求傾向に対してアンビバレントである場合:<±>

欲求傾向に対して充足されているあるいは未熟である:<0>

※これらに加え、好き・嫌いの度合いを表す<!>を付記し、さらに詳細な分析を行う。

これらの記号を衝動プロフィールにまとめることで解釈を行っていきます。

ソンディ・テストの問題点

ソンディ・テストは無意識を測定できる投映法にしては実施が簡便という利点を持っているにも関わらず、日本の心理臨床の現場で頻繁に用いられているとは言い難い状況にあります。

植松(2020)は、先行研究で指摘されているソンディ・テストの実証性の問題や強い侵襲性を持ち、「テスト自体に差別的な性質がある」ことなどの倫理面の問題に関して言及しています。

ソンディ・テストで用いられる図版の写真は精神疾患患者や犯罪者の写真であり、そのような人を検査道具として用い受検者に見せるということの倫理的問題や、ソンディの難解な理論が写真を振り分けるという簡単な作業によって示されるということへの不信感は未だ残っており、それが日本の心理臨床の現場で普及しにくい状況にある一因なのかもしれません。

ソンディ・テストについて学べる本

ソンディ・テストについて学べる本をまとめました。

ソンディ・テスト入門

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ソンディ・テストの実施から解釈までを解説してある本書は、ソンディ・テストの実施経験のない初学者におすすめの一冊です。

事例に加え、被検者にフィードバック(検査結果を開示すること)するための所見の書き方のポイントなども解説してあるため、ソンディ・テストに興味のある方は手に取って損はないでしょう。

運命病理学:ソンディ・テスト

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ソンディ・テストの基盤となっているソンディの心理学理論の解説から、検査・臨床と幅広くソンディ心理学に関して紹介してある一冊です。

もちろん心理検査の背景理論に関して学ぶことは重要ですが、ソンディ・テストの基盤となる理論は非常に難解であることが知られているため、ある程度ソンディ・テストに関する書籍を読んでから手に取ることをおすすめします。

理論が先で検証が後

ソンディ・テストはソンディの提唱した運命分析理論が先であり、その具体的な検証方法として開発された独特の心理検査です(代表的な投映法であるロールシャッハ・テストはその逆です)。

独特の理論から生まれたソンディ・テストはその方法論や実証性を疑問視する声から十分に普及しているとは言い難い状況にありますが、医療機関で診療報酬得点が定められているれっきとした心理検査です。

そのため、検査のための技術の研鑽に加え、科学的知見の積み上げにも注視していきましょう。

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続きを見る

  • 植松幸一(2020)『【研究ノート】ソンディ・テストにまつわる諸問題について―倫理的課題を中心に―』臨床心理学部研究報告 = Reports from the Faculty of Clinical Psychology Kyoto Bunkyo University (12), 125-138
  • 奥野哲也(2004)『ソンディ・テスト入門』ナカニシヤ出版

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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