アンダードッグ効果とは?意味と具体例、関連概念や活用例を踏まえて解説

2022-02-11

今回は「アンダードッグ効果」について解説します。アンダードッグ効果とは、状況が不利な立場の側を応援したくなる心理効果を表しています。

例えば、強豪チームに立ち向かう弱小チームを応援したくなる、劣勢と報じられた候補者が街頭で投票を呼び掛けている姿を見ると票を入れたくなる。このような経験をされた方もいるかもしれません。

人間は不利な状況に追い込まれている存在を見ると、応援したくなるといった気持ちになることがあります。心理学では、こうした心理状態をアンダードッグ効果と呼びます。

この記事では、アンダードッグ効果とは何か、関連概念であるバンドワゴン効果と併せて整理するとともに、仕事や恋愛など日常生活における例を挙げながら解説していきます。

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アンダードッグ効果とは

「アンダードッグ効果(underdog effect)」とは、立場が弱かったり、不利な状況にある方を応援したくなる心理効果、そして、その心理効果によって同情や支援が集まることで劣勢から逆転する現象を指します。

日本では「判官贔屓(ほうがんびいき/はんかんびいき)」とも表現され、不遇な者や弱い者に同情して肩を持つという意味を持つといった同じような意味を持ちます。

アンダードッグ効果が起こる要因としては、弱い存在を守ろうとする人間が本能的に備えている感情が作用し、不利な状況に陥って立場が弱くなっている人に対して助けたくなることが考えられます。

例を挙げると、スポーツで強豪チームに立ち向かう弱小チームをつい応援したくなる、選挙で劣勢な陣営に票を入れたくなる、売れていないアイドルを応援したくなるといった現象などが当てはまります。

アンダードッグ効果が生じる条件

アンダードッグ効果は、弱い立場にある・不利な状況にある存在を応援したくなる心理であると説明しました。ただし、弱い・不利であるだけでは応援されにくく、アンダードッグ効果は期待できません。

真面目に・一生懸命にやっているのにうまくいかない、人はこういう面に同情心を抱き、つい応援をしたくなる傾向があります。つまり、弱い立場でも努力を続けること、不利な状況に追い込まれても一生懸命に頑張ることがアンダードッグ効果を発生させる、効果を高める条件と言えます。

アンダードッグ効果とバンドワゴン効果

アンダードッグ効果と比較して用いられる概念として「バンドワゴン効果」というものがあります。

バンドワゴン効果とは、多くの人が支持しているから自分もしようという集団心理を反映したものであり、多数と思われる意見に個人の意見が引きずられることで、多数派への支持が一層高くなる現象を表しています。

バンドワゴン効果は、いわゆる「勝ち馬に乗る」といった優位な方に立ちたいとの心理から、多数派を支持する動きであり、アンダードッグ効果とは反対の現象とも言えます。

バンドワゴン効果ついては、こちらの記事で詳しく解説されていますので、併せてご覧ください。

日常生活におけるアンダードッグ効果の具体例

アンダードッグ効果は私たちの日常生活の中に潜んでいる現象です。いくつか具体例を挙げていきます

仕事

ビジネスの世界においてもアンダードッグ効果が活用されている場面は少なからずあります。

例えば、営業マンが「今月は売り上げが少なくて大変です」と自身が劣勢の状況にあると伝えることで、顧客の同情心を引き出し、商品を購入してもらうという具合にセールストークに活用されます。

そのほか、発注ミスにより大量の商品を抱えた店が、仕入れを失敗したという理由を付けて安売りを行う場面においても、そこに同情心が生じて顧客の購買意欲に影響し、結果として売り切ったという例も見受けられます。

このように、弱みや失敗があったとしても、それを誠実に伝えることでアンダードッグ効果が生じ、劣勢を挽回することも期待されます。

因みに、アンダードッグ効果を示す材料として、「何も努力をしていないが業績が良い会社と一生懸命に努力しているが業績が悪い会社、どちらの商品を選ぶか」と調査したところ、後者の商品を選ぶ人が多いとの実験もあります。

つまり、多くの人が努力しているけれども劣勢である立場を応援したくなるという、アンダードッグ効果が生じていることが窺えます。

恋愛

また、対人関係や恋愛においてもアンダードッグ効果は活用されています。例えば、自分の弱点や悩みを打ち明けることで、相手の気持ちを惹きつけるといった方法が当てはまります。

弱点や悩みを話すことで、守ってあげたい、手を差し伸べたいといった感情を喚起させ、心を掴んでいくといった、アンダードッグ効果が期待されます。

特に、普段は気丈に振る舞っている人から打ち明けられたりすると、弱点や悩みを持ちながらも、健気にひたむきに頑張ろうとしている姿が浮かび、アンダードッグ効果が高まることが考えられます。

アンダードッグ効果について学べる本

最後に、アンダードッグ効果について詳しく学ぶ上で参考になる書籍を紹介します。

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行動心理学とは、行動パターンから心理を読み取っていくアプローチを指し、アンダードッグ効果やバンドワゴン効果もひとつの例として紹介されています。イラストも多く、分かりやすい内容です。

アンダードッグ効果やバンドワゴン効果などは、社会心理学の分野で紹介されることが多いです。集団の中で人はどのように行動するか、社会現象と心理の関係などが分かりやすく紹介されています。

アンダードッグ効果には誠実さやひたむきさが重要

劣勢な・不利な状況に追い込まれていても、アンダードッグ効果を活用することで、そうした状況から脱することができる可能性はあります。

ただし、たとえ劣勢な状況に追い込まれても、懸命に頑張ろうとする姿勢を示すことで応援や支援が集まる現象であり、アンダードッグ効果を引き出すためには誠実さやひたむきさが肝要と言えます。

参考文献

  • 山岸俊男 監修(2011)『徹底図解 社会心理学―歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』新星出版社
  • 阿部誠 監修(2021)『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学 (サクッとわかるビジネス教養)』新星出版社
  • 齊藤勇 著(2015)『今日から使える行動心理学 (スッキリわかるシリーズ) 』ナツメ社

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    • この記事を書いた人

    blue_horizon

    民間企業在職中に心理カウンセラーを志し、心理学を学び始める。臨床心理士指定大学院卒業後は、司法及び産業領域の心理職として稼働。公認心理師・臨床心理士。

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