ヴェブレン効果とは?関連概念や活用例を踏まえてわかりやすく解説

2022-03-10

ヴェブレン効果とは、高価であることに価値を感じる現象、そして価値が高いことによって見せびらかしたいという心理が働き、需要が増加する現象のことを指します。

人は誰しも他者に認められたいといった承認欲求を持っています。そして、承認欲求のひとつとして周囲から注目されたいといった自己顕示欲求というものがあります。

ヴェブレン効果は、高価な物やサービスを所有・消費していることを周囲に示すことで、自己顕示欲求を充足したいとの心理が作用し、高価であることに価値を感じ、手に入れようとする動機が高まる現象と言えます。

今回は、ヴェブレン効果について、関連概念(バンドワゴン効果・スノッブ効果)と併せて整理するとともに、マーケティングなど活用例を挙げながら解説していきます。

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ヴェブレン効果(顕示効果)とは

ヴェブレン効果とは、高価であることに価値を感じる現象を指します。そして、顕示効果とも呼ばれるように、価値が高いほど見せびらかしたいという心理が働き、需要が高まるという現象を表します。

一般的に商品を安く購入したいというニーズが多いですが、ヴェブレン効果においては、高価な買い物をすることで金持ちであることを誇示する顕示的消費であるため、価格が高いほど需要が高まります。

ヴェブレン効果の例としては、高級ブランドが売れる現象が挙げられます。有名な高級ブランドとなれば誰もが価値を認識できるため、所有することで自身のステータスを示しやすくなると期待され、需要が高まる仕組みです。

なお、名称の由来は、アメリカの経済学者ヴェブレンが、有閑階級(資産があり、労働に就かず、閑暇を娯楽や社交に費やす階級)の顕示的消費について言及したことに関係すると言われています。

ヴェブレン効果が起こる仕組み

ヴェブレン効果はどのようにして起こるのでしょうか。要因としては「承認欲求(他者から認められたい欲求)」「自己顕示欲求(周囲から注目されたい欲求)」といった心理的な働きが考えられます。

高級ブランドの商品を身に付けたり、街中で高級車を運転したりする背景として、周囲の注目や賞賛を集めたいといった承認欲求や自己顕示欲を満たしたいという動機が少なからず存在します。

この承認欲求や自己顕示欲求が強いほど、高価な物を所有していることをアピールするために、見せびらかしの消費(顕示的消費)が多くなり、ヴェブレン効果が働きやすくなると考えられます。

ェブレン効果の活用例

ヴェブレン効果は、消費者の購買意欲を高める戦略のひとつとして、マーケティング活動などで活用されています。

ヴェブレン効果は高価であるほど購入したくなる現象であり、価格設定を敢えて高くすることで、購買による自己顕示欲求が充足や優越感が得られやすくなり、需要が増すことが期待されます。

価格が低くなると、多くの人が手に入れやすくなるため、自己顕示欲が満たされにくくなってしまいます。そのため高級ブランドではヴェブレン効果を維持するため、価格を下げないものと考えられます。

そして、価値を感じてもらうためには高額なことに加えて付加価値を感じてもらうことが重要であり、素材や装飾に高級感を持たせたり、歴史的価値や希少価値をアピールすることも方略のひとつです。

ヴェブレン効果の関連概念

ヴェブレン効果はアメリカの経済学者ライベンシュタインが言及した概念です。ライベンシュタインは、自身の論文にて「バンドワゴン効果」「スノップ効果」という関連概念についても示しています。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、いわゆる「勝ち馬に乗る」といった優位な方に立ちたい、多くの人が支持しているから自分もしようという集団心理から多数派を支持する動きを指します。

そして、多数と思われる意見に個人の意見が引きずられることで、多数派への支持が一層高くなる現象を表しています。

ヴェブレン効果が自己顕示欲求によって起こることに対して、バンドワゴン効果は同調効果(自分の考えや行動を周囲に合わせる)が背景にあることが相違点と言えます。

流行している商品など、価値が広く認められているものに対しては、自分も同じように所有したいという欲求を抱きますが、その価格が高いほどに購買意欲が高まるというわけではありません。

バンドワゴン効果ついては、こちらの記事で詳しく解説されていますので、併せてご覧ください。

スノッブ効果

スノッブ効果とは、他の人が持っていないものが欲しくなる現象を指します。周囲との差別化を図ろうとする欲求が背景に存在し、他の人が持っているものに興味を失うといった特徴があります。

例えば、限定性・希少性の高いものを手に入れることで優越感を満たしたいとの心理にもスノッブ効果が働いていると言えます。

ヴェブレン効果も希少性に価値を感じる点は共通していますが、スノッブ効果は差別化したいとの欲求から生じている現象であり、価格が高いから価値を感じるといったヴェブレン効果とは異なります。

ヴェブレン効果について学べる本

最後に、ヴェブレン効果について詳しく学ぶ上で参考になる書籍を紹介します。

ヴェブレン効果など消費行動に関しては社会心理学の分野で紹介されることが多いです。集団の中で人はどのように行動するか、社会現象と心理の関係が分かりやすく紹介されています。

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行動心理学とは、行動パターンから心理を読み取っていくアプローチを指し、ヴェブレン効果やバンドワゴン効果などの消費行動についても触れられています。イラストも多く、分かりやすい内容です。

高額であることが満足感につながる

ヴェブレン効果は周囲から注目されたい、羨ましがられたいなどの自己顕示欲求を満たすための消費行動と言えます。

購入するという行為を周囲にアピールしようとする顕示的な消費行動であるため、商品の本質的な価値というよりも、高額であるかどうかが満足感につながります

消費者としては、自己顕示欲求を解消するには高額な商品を購入するほかにも方法があり、それらをバランス良く使っていくことが重要となります。

参考文献

  • 山岸俊男 監修(2011)『徹底図解 社会心理学―歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』新星出版社
  • 阿部誠 監修(2021)『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学 (サクッとわかるビジネス教養)』新星出版社
  • 齊藤勇 著(2015)『今日から使える行動心理学 (スッキリわかるシリーズ) 』ナツメ社

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    • この記事を書いた人

    blue_horizon

    民間企業在職中に心理カウンセラーを志し、心理学を学び始める。臨床心理士指定大学院卒業後は、司法及び産業領域の心理職として稼働。公認心理師・臨床心理士。

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