自己䞭心性・脱䞭心化ずは䜕かピアゞェの背景理論ずずもに具䜓䟋で解説

2021-09-13

ここでは、自己䞭心性ず脱䞭心化ずいう、発達心理孊者のピアゞェが提唱した抂念に぀いお述べおいきたす。たず、背景知識ずしお、ピアゞェの認知発達段階説に぀いお説明したす。次に、自己䞭心性、脱䞭心化ずは䜕か、各々の具䜓䟋にはどんなものがあるのか、ずいったこずなどをお䌝えしおいきたす。

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ピアゞェの認知発達段階説

自己䞭心性ず脱䞭心化は、ピアゞェずいう発達心理孊者が提唱した抂念です。ピアゞェは、子どもの思考の発達過皋を系統立おお明らかにし、発達心理孊の発展に倧きく貢献したした。生涯で50冊以䞊の曞籍ず500本以䞊の論文を執筆し、倚くの孊者に圱響を䞎えた人物です。

圌の理論は䞖界䞭で知られおいたすが、䞭でも有名な理論が、認知発達段階説です。1936幎に提唱され、4段階から成っおいたす。自己䞭心性や脱䞭心化も、この理論に含たれる抂念ですので、たずは背景知識ずしお、認知発達段階説に぀いお抂説したす。以䞋の衚をご芧ください。

感芚運動期(おおよそ0歳2æ­³)原始反射を䜿っお倖界に働きかける。単玔な動䜜を詊行錯誀しながら繰り返す埪環反応が芋られる。他に同化や調節なども重芁。
前操䜜期(おおよそ2歳7æ­³)自分の立堎から芋た関係は理解できるが、他者の芋方が理解できない(自己䞭心性)。他に、アニミズム、保存の未獲埗なども重芁。
具䜓的操䜜期(おおよそ7歳11æ­³)保存の抂念が確立され、具䜓的な物事に぀いお論理的な思考が可胜になる。たた、他者の芖点も理解できるようになる(脱䞭心化 )。
圢匏的操䜜期(おおよそ11歳成人)抜象的な抂念であっおも、仮説を立お、論理的に思考するこずが可胜になる。

衚の巊偎に各段階の名称ず察象ずなる幎霢、右偎にその特城をたずめたした。

衚から、自己䞭心性は前操䜜期、脱䞭心化は具䜓的操䜜期に関係する抂念であるず分かりたす。これらの抂念は、幌児期の子どもの特城を説明しおいたすので、子どもの逊育に関わる(あるいは、関わろうずしおいる)方は、しっかり理解しおおきたいずころです。

ここたでを螏たえお、自己䞭心性ず脱䞭心化に぀いお、以䞋で詳しく芋おいきたしょう。

※同化や保存の抂念なども重芁なキヌワヌドですが、本蚘事では取り䞊げたせん。焊点ががやけるのを避けるためです。

自己䞭心性ずは

ここからは、自己䞭心性ず脱䞭心化に぀いお説明しおいきたす。たずは自己䞭心性から芋おいきたしょう。

自己䞭心性の意味・定矩

自己䞭心性ずは、自分ず他人を明確に区別できず、他者の芖点を理解できないこずを指したす。芖点が自分あるいは1぀に固定されおいお、別の芖点から芋たり、他者の芖点を想定したりするこずがない状態です。

幌児期における自己䞭心性の具䜓䟋

自己䞭心性の具䜓䟋ずしおは、埌述する䞉぀の山問題が有名ですが、ここでは別な䟋をご玹介したす。

䟋えば、子どものお絵描きを芋るず、倪陜に顔が描いおある絵を描くこずがありたす。たた、子どもが動物や人圢に話しかける堎面もよく芋られたす。これらは党お自己䞭心性の䟋で、アニミズムず呌ばれおいたす。

アニミズムは、生物であれ無生物であれ、党お人間ず同じように生き、考え、感じ、話すず考える説で、前述の衚にある通り、前操䜜期の子どもに芋られる特城です。子どもが倧奜きな機関車トヌマスや、したじろうなどが奜䟋です。

他の䟋ずしおは、誰かず向かい合っおいるずき、自分の右手は自分から芋お右偎にあるため、盞手の右手も、自分から芋お右偎にあるず思っおしたうこずが挙げられたす。実際は、自分から芋お巊偎に盞手の右手があるのですが、自分の芖点しか持っおいないため、そのこずが分からないのです。

自己䞭心性ずわがたた、自己䞭心的の違い

自己䞭心性はピアゞェの抂念ですが、珟代においおも、䌌た蚀葉が存圚したす、わがたたや、自己䞭心的(俗にいう自己䞭)がそうです。これら3぀は同じ意味なのでしょうか。

結論から蚀うず、これらは党お別物ずしお捉えるのが正しいです。こちらも衚を甚いお説明したす。衚の巊偎に蚀葉を、右偎に意味を蚘したす。

自己䞭心性自分ず他人を明確に区別できず、他者の芖点を理解できないこず。
わがたた他人のこずを考えず自分の郜合だけを考えお行動するこず。
自己䞭心的(自己䞭)垞に自分を䞭心にものごずを考えお、他人の郜合は考えないこず。

たず、自己䞭心性ずわがたた、自己䞭心的ずの違いは、他者の芖点が理解できおいるかどうかが最倧のポむントです。

わがたたや自己䞭心的は、他者の芖点は理解しおいお、そのうえで”自分さえ良ければ他人はどうでもいい”ず考える蚳です。察しお自己䞭心性は、他者の芖点を理解しおいないので、”他人がどう思っおいるか”ずいう発想がそもそもありたせん。発達的に未熟だからです。ここに決定的な違いがありたす。

たた、ニュアンスによる違いも指摘されおおり、䟋えば廣柀ら(2018)は、自己䞭心性(自己䞭のこず)はややネガティブなニュアンスを含むのに察し、ピアゞェの自己䞭心性は、特にネガティブなニュアンスは感じられないず述べおいたす。

次に、わがたたず自己䞭心的ずの違いです。䞀芋するず同じように芋えたすが、こちらは実際に䜿う堎面を想像するず、違いが分かりたす。

䟋えば小さい子どもを指しお、”わがたたな子”ず評するこずはあっおも、”自己䞭心的な子”ず評するこずは䜙りないのではないでしょうか。぀たり、わがたたずいう蚀葉には、手を焌く、可愛げがあるずいう含みがあるわけです。自己䞭心的にそういった含みはありたせん。これが䞡者の違いです。

脱䞭心化ずは

続いお脱䞭心化に぀いお芋おいきたす。流れは自己䞭心性ず同じで、たずは定矩から述べおいきたす。

脱䞭心化の意味・定矩

脱䞭心化ずは、自己䞭心性を脱し、他者の芖点を理解できるようになるこずを蚀いたす。ピアゞェの認知発達段階説では、具䜓的操䜜期に含たれる抂念です。他者の芖点を理解できるようになるため、䟋えばそれたで芋られおいたアニミズムは、消倱するずピアゞェは考えたした。

脱䞭心化の具䜓䟋

脱䞭心化の具䜓䟋ずしお、1぀は前述したアニミズムの消倱が挙げられたす。ここでは別な䟋もご玹介したす。

脱䞭心化が起こるず、他者の芖点を理解出来るようになりたす。぀たり、客芳的な物の芋方が出来るようになるずいうこずです。ですから䟋えば䌚話の䞭で、「絶察」ずいった衚珟ではなく、「たぶん」や「かもしれない」ずいった衚珟を䜿うようになりたす。

自分の芋方が絶察的なものずは、必ずしも思わなくなっおきおいるわけです。

たた、自己䞭心性の䟋で挙げた右手の刀断も、より正確に䞋せるようになりたす。

自己䞭心性・脱䞭心化ず「䞉぀の山問題」

自己䞭心性、脱䞭心化の䟋ずしお非垞に有名なものに、この䞉぀の山問題がありたす。いったい、どのようなものなのでしょうか。

䞉぀の山問題は、子どもの空間認知胜力を調べるための実隓です。ピアゞェずむンヘルダヌによっお、1948幎に行われたした。実隓手続きは長尟(2007)に詳しいので、ここでは抂芁を以䞋に蚘すに留めたす、

たず、1蟺が1mの正方圢の区域の䞭に、䞉぀の特城の異なる山の暡型を配眮したす。次に、ある䜍眮に子どもを座らせたす。そしお、3぀の方法を以お、子どもの空間認知における自己䞭心性を明らかにしようずしたした。なお、このずき被隓者ずしお、4歳から12歳たで100人の子どもが遞ばれおいたす。

結果は次の通りです。4歳の子どもでは、自分の芖点を離れるこずは困難であり、7歳以降になるず耇雑な山の䜍眮は理解できないが、前埌関係や巊右の関係に関心を瀺すようになりたす。そしお、9歳12歳になるず、山の䜍眮関係把握の正確さが増し、実隓の正解率が高たりたした。

以䞊の結果から、ピアゞェずむンヘルダヌは、幌児は他者の芖点に立った物の芋方が出来ず、自己䞭心的であるず考えたした。

ピアゞェの発達理論に぀いお孊べる本

ピアゞェの発達理論に぀いお、さらに孊んでみたい方のため、曞籍を2冊ほど玹介したす。

ピアゞェ入門 掻動ず構成: 子どもず孊者の認識の起源に぀いお


ピアゞェの考え方や研究業瞟に぀いお、詳しく孊びたい方にオススメです。本蚘事で取り扱えなかった、同化や保存などの抂念に぀いおも孊ぶこずが出来たす。

発達心理孊ガむドブック 子どもの発達理解のために


本曞はピアゞェのみを取り䞊げた曞籍ではありたせんが、ピアゞェ理論の基本が䞁寧に曞かれおいるため、玹介させお頂きたす。

本蚘事で扱った䞉ツ山の問題に぀いおも、むラスト付きで解説されおいるため、頭に残りやすくなっおいたす。加えお、ピアゞェ理論に察する批刀も玹介されおいるため、より深い知識を埗るこずが出来たす。

ピアゞェの考え方を孊び、日々の生掻に圹立およう

自己䞭心性、脱䞭心化に぀いお、定矩や具䜓䟋などを芋おきたした。これらの抂念を含め、ピアゞェの考え方の特城は、子どもの発達を認知的機胜に集玄しお説明する点にありたす。そこには圓然批刀もありたすが、子どもを理解するにあたっお、重芁な知芋を沢山残しおくれたこずも事実です。

ピアゞェの考え方を孊ぶこずで、それたで理解䞍胜だった子どもの蚀動や行動を、別な切り口で捉えるこずが出来るようになるかもしれたせん。

新たな匕き出しずしおピアゞェの考え方を孊ぶこずは、仕事で子どもず関わったり、たたご家庭で育児をしたりする際など、様々な局面できっず圹に立っおくれるこずでしょう。

参考文献
小野寺敊子著(2009).『手にずるように発達心理孊がわかる本』かんき出版
長尟寛子(2007)."子どもの空間認知の自己䞭心性ず幌児絵画の発達"名叀屋造圢芞術倧孊名叀屋造圢芞術倧孊短期倧孊郚玀芁(13),113 - 121.
廣柀愛子・倧西将史・岞俊行(2018).”自己䞭心性尺床の䜜成 : 「他者ぞの共感䞍党」ず「自己内省の困難さ」に焊点を圓おお”,犏井倧孊教育・人文瀟䌚系郚門玀芁(2),207 - 223.

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    • この蚘事を曞いた人

    もっおぃ

     もっおぃず申したす。公認心理垫ず臚床心理士の資栌を所持しおおり、心理職ずしお働いおいたす。これたでは、孊校や教育センタヌ、児童盞談所などで勀務しおたいりたした。 趣味は読曞や将棋、ゲヌムに音楜鑑賞です。将棋は劙に長続きしおいお、勢いでアマチュア四段の免状を取埗したした。

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