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ビッグ・ファイブ理論とは?世界で最も信頼されている心理テストの特徴と活用法

ビッグ・ファイブとは、5つの性格因子構造による特性論に基づいた心理テストであり、世界で最も信頼されている心理テストの一つです。そんなビッグ・ファイヴの理論的背景や、日常生活における活用、無料でテスト出来るサイトについてもご紹介します。

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ビッグ・ファイブ理論とは

ビッグ・ファイブはどのような理論に基づいているのでしょうか。分かりやすくご説明していきます。

ビッグ・ファイブ理論の背景

オールポート(Allport,G.W.)とアドバード(Odbert,H.S.)は、辞書に載っている性格表現用語(「優しい」「親切な」など)を約18,000語抽出し、これを整理・分類して、4,504語を主要な性格表現用語としてまとめました。

その後、ゴールドバーグ(Goldberg,L.R.)は「人間の活動において意味を持つ個人差とは、日常で使用している言語として符号化されている」とし、基本辞書仮説を提唱しました。これは、簡単に言ってしまえば、「人間の性格は、普段使っている言葉によって定義される」と言い換えることが出来るかと思います。

この基本辞書仮説を前提とし、過去のパーソナリティ研究や認知心理学研究で分かったことを整理した結果、人間の性格特性は5つの因子構造によって最もよく説明できると指摘しまし、これをビッグ・ファイブと名付けました。

性格特性論と性格類型論

心理テストは主に「性格特性論」と「性格類型論」のいずれかの理論に基づいています。

性格特性論」とは、行動傾向などを表す形容詞を因子分析にかけ、そこから抽出された因子を指します。例えば、「優しさ因子」「冷静さ因子」の2因子構造の心理テストを被験者に課した場合、被験者の優しさや冷静さそれぞれの程度を測ることが出来ます。

性格類型論」とは、人の性格をある基準に従って型に当てはめてとらえるものです。「○○さんの性格は、外向タイプ」「××さんの性格は内向タイプ」などと説明されます。血液型診断などはこの性格類型論に当てはまります。

ビッグ・ファイブは5つの因子構造に基づいた「性格特性論」に当てはまります。

ビッグ・ファイブ理論の特徴

ビッグ・ファイブに限らず、性格特性論の立場に依拠する心理テストはいくつもあります。パーソナリティ全体を把握するために多くの理論家や研究者が、いくつの因子構造が最も妥当であるかについて長く議論してきました。

ビッグ・ファイブ特有の特徴として、「あらゆる視点からビッグ・ファイブの妥当性が検討されてきた」とあります。ディグマン(Digman)とチョック(Takemoto-chock)は1981年に因子分析によりビッグ・ファイブの妥当性を検討しました。ノーラーら(Noller,et.al.)は1987年に多数の心理尺度や複数のテストを用いてビッグ・ファイブの枠組みで分析しています。

このように、長い歴史の中で多くの知見が積み上げられ、多くの検討がなされている点は、ビッグ・ファイブ理論の最大の特徴と言えるでしょう。

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ビッグ・ファイブ理論の5因子

それでは、ビッグ・ファイブが依拠している5つの因子について、それぞれどのような性格特性を表しているのか分かりやすく説明していきます。

開放性(Openness)

開放性とは、経験に対する一般的評価のことです。「新奇希求性」などと言われることもあります。

開放性が高い人の特徴として、知的好奇心が強く、自身の感情に対してオープンであり、芸術や自然体験を好む傾向があります。新しい体験をする機会に対し積極的で挑戦的な特徴があります。

一方で開放性が低い人は、いつものルーティンワークを好み、変化を嫌います。「変化」よりも「安定」を好み、伝統的な方法や決まった作業を好む傾向が強いでしょう。芸術的な活動よりも現実主義的な特徴を持っています。

誠実性(Conscientiousness)

誠実性とは、自身を律する律儀的行為をとる傾向を指します。「勤勉性」などと言われる事もあります。

誠実性の高い人の特徴として、高い目標を設定し、これを達成するために予定・準備を万端に行い、実行していく能力が高いです。また集団維持志向が高く、組織の中で働くことを得意としています。目標を達成できる自信(自己効力感)が高いといった特徴も持っています。

一方で誠実性が低い人は、衝動的で、目標を立て綿密な計画を練ることを苦手としています。長期的な努力や計画の実行を好まず、組織維持志向も低く、ワンマン的な活動を好みます。目標を達成できる自信(自己効力感)は低いといった特徴も持っています。

外向性(Extroversion)

外向性とは、外的な刺激や手段によって突き動かされる傾向を指し、外部との関連性を持つ程度を指します。

外向性の高い人の特徴として、他者とのコミュニケーションが上手く、人とすぐに仲良くなることができます。また退屈を嫌い、一日の予定が詰まっている状態を好みます。外的な価値基準を重視し、高い年収や昇格などを社会的に羨望される目標を持つ傾向にあります。

外向性の低い人の特徴として、他者とのコミュニケーションを余り好まず、決まった少人数の交友関係に限定する傾向が強いです。静かで平穏な日常を好みます。内的な価値基準を重視し、自身の趣味ややりたいことに対しお金や時間を投資する傾向を持ちます。

協調性(Agreeableness)

協調性とは、社会的な調和に対する価値感情や尊重の程度を指します。

協調性の高い人は、他人との調和を取れた関係性の形成・維持を重視します。親切で温かみのある人が多く、他者との対立関係を嫌う傾向にあります。自己中心的行動を嫌い、自己犠牲をしてでも集団としての調和がとれた状態を志向する傾向を持ちます。

協調性の低い人は、他者との対立も避けずに自分の意思や意見を第一に尊重します。また、自身の目的を達成するためにはあらゆる手段を想定し、他人を犠牲とすることもいとわないという傾向を持っています。愛他的な行動よりも、自身の満足に対しお金や時間を投資する傾向を持ちます。

神経症傾向(Neuroticism)

神経症傾向とは、怒りや不安、抑うつや悲嘆などの否定的感情に対する敏感性を指します。

神経症傾向の高い人は、ストレスを感じやすく、溜めやすい。他者に対して怒りっぽかったり、または自己否定的な感情に陥りやすい傾向を持ちます。自分の予定通りに物事が進まない場合に、ストレスを溜めやすく感情が激しく揺さぶられるという脆弱性を持つ一方で、他人に自分がどう見られているのかという他者評価に対しても敏感な側面を持ちます。

神経症傾向の低い人は、ストレスを感じずらく、精神的に安定し、健康な状態を維持することを得意としています。一日の時間をリラックスして過ごすことが出来、抑うつまたは憂鬱な気分になることはほとんどありません。ストレスに対し頑健性を持っているという特徴があります。

5つの因子の覚え方

この5因子構造派ドイツ・オランダをはじめ複数の言語圏についても同様の分析が行われており、微妙な相違は認められるものの、同様の分類が抽出されています。「開放性(Openness)」「誠実性(Conscientiousness)」「外向性(Extroversion)」「協調性(Agreeableness)」「神経症傾向(Neuroticism)」の頭文字を並べ「オセアン(OSEAN)」と覚えると、5因子を覚えるのに役立ちます。

ビッグ・ファイブに関する心理学的研究・論文

ビッグ・ファイブはその高い信頼性から多くの心理学的研究に用いられています。一つ犯罪心理学研究から研究を紹介します。

犯罪・非行の人格理論に関する初期の研究で、グリュック夫妻(Glueck,S. & Glueck,E.)は、犯罪を犯す人物の人格的特徴として、自己主張の高さ・高い攻撃性(破壊衝動)・情緒の不安定性・高い猜疑心などを挙げました。

こうしたグリュック夫妻の主張は近年のビッグ・ファイブを使った研究で裏付けられています。近年の研究のいずれも、犯罪者は協調性と誠実性の2つの因子において低得点を示しています。協調性が低いことで、自己中心的で、他者に対する敵対心が高く、他者に対して不誠実。誠実性が低いことで慎重さに欠け、衝動的な行為に及んでしまう。こうした人格特性と犯罪・非行の常習性がビッグ・ファイブを用いた研究で明らかにされています。

日常生活におけるビッグ・ファイブの活用

それでは、日常生活ではどのようにしてビッグ・ファイブを活用することができるのか考えてみましょう。

ビジネスの場での適職診断

雇用者側の視点としては、「会社の発展に誠実に寄与する人」「会社内で上手くコミュニケーションを取れる人」を必要としている可能性が高いです。特に近年ではビッグ・ファイブ診断を用いて、これらのパーソナリティ特性を強く有している人を就職採用する企業も増えてきました。ビジネスの場では、こうした「誠実性」と「協調性」が高く、「神経症傾向」が低い人が求められています。

パートナーを選ぶ際の相性診断

社会心理学では恋愛において「類似性の原理」と呼ばれるものがあります。人は自分に似た人を好きになり、相性が良いとするものです。よって、自身のビッグ・ファイブでの特性と似たパートナーを選ぶことで、ビッグ・ファイブを相性診断として取り入れることが可能です。

ビッグ・ファイブの診断方法

続いて、ビッグ・ファイブ診断を無料で受けられるサイトについてご紹介します。

無料テストが受けられるサイト

Direct Communicationというサイトでは、登録不要で無料でビッグ・ファイブの短縮版テストが受けられます。平均や全体の分布から自身の得点を相対的に見ることが出来るためおススメです。

結果を見る際の注意点

このサイトで受ける診断はあくまで参考程度としてください。また、ビッグ・ファイブテストは精神疾患や精神障害の診断やスクリーニングを目的としていません。「○○だから私は病気だ」といった解釈をしないようにご注意ください。

ビッグ・ファイブテストについて学べる本

より詳しくビッグ・ファイブについて学びたい方には以下2冊の本をおススメします。

性格の心理―ビッグファイブと臨床からみたパーソナリティ (著)丹野義彦

よりビッグ・ファイブについて詳しく学びたいという一般の方、心理学の初学者の方から大学院生まで幅広い方に楽しんで読んでいただける1冊かと思います。

「性格心理学」というものが、ビッグ・ファイブによってどう切り込めるのか必見です。

パーソナリティを科学する―特性5因子であなたが分かる  (著)ダニエルネトル

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ビッグ・ファイブの特性5因子(OSEANのことです)について、それぞれの因子が持つ特徴をより詳細に解説してくれています。ビッグ・ファイブで人の性格はどこまで分かるのか必見です。

ビッグ・ファイブを知り、その後...

ビッグ・ファイブ理論の最大の特徴は前述の通り、「多くの研究や知見が重ねられている」ことです。これは言い換えると、ビッグ・ファイブとその他の心理学的理論との関連性が検討されていると言えます。

つまり、ビッグ・ファイブによって「私は神経症傾向が高くストレスに弱い」「私は外向性が低く友達作りが苦手だ」と厳しい現実を目の当たりにしてしまったとしても、まだ希望を捨ててはなりません。「では、どうすればストレスに強くなるのか」「では、どうすれば友達作りを得意になれるのか」といった臨床研究との関連も多く積まれているのがビッグ・ファイブ最大の特徴でありメリットです。

ここで紹介した診断サイト等を通じて、あなたが自身のビッグ・ファイブから得意不得意を知ったら、どうかそのままにせず、次に活かしてみて下さい。自身の性格を理解し、そしてその後「短所を克服する」「長所を伸ばす」。これが出来て初めてあなたは真にビッグ・ファイブを理解したと言えるのではないでしょうか。

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参考文献

・パーソナリティを科学する―特性5因子であなたが分かる. (2009). (著)ダニエル・ネトル. 白揚社.

・性格の心理―ビッグファイブと臨床からみたパーソナリティ. (2003). (著)丹野義彦. サイエンス社.

・性格特性用語を用いたBig Five尺度の作成. 和田さゆり. The Japanese Journal of Psychology, 1996, Vol.67, No.1, 61-67.

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    • この記事を書いた人

    こっけ

    臨床心理学学科大学卒業後、臨床心理学研究科の大学院に在学。恋愛をテーマに研究。19歳で上級心理カウンセラー資格習得。20歳で心理学検定10領域全領域を合格し、心理学検定特一級を習得。

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