パーソナリティ 心理学の用語

類型論・特性論とは?両者の違いや特徴、代表的な理論と性格検査を解説

みなさんの「パーソナリティ」の特徴はどのようなものでしょうか。実はパーソナリティを捉えるための心理学的な研究は古くから行われており、様々な理論が提唱されています。今回は「類型論」と「特性論」の2つを取り上げます。それぞれのメリットやデメリットを読みながら、ご自身はどのようなパーソナリティであるか改めて考えてみるのはいかがでしょうか。

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パーソナリティの理論:類型論と特性論

パーソナリティとは日本語で「人格」を意味します。

もともとはラテン語で仮面を意味する「ペルソナ」が語源とされており、演劇でそれぞれの役がつける仮面(ペルソナ)が社会の中でそれぞれの役割や特徴を示す状況と似ているため「パーソナリティ」と呼ばれるようになりました。

パーソナリティは、その人の全体的な特徴のことを指し、「能力」「性格」「気質」の3つから構成されます。

なお、性格は生まれた後に形作られる特徴であるのに対し、気質は遺伝的影響を受ける生まれ持った特徴です。

類型論の概要

類型論とは、いくつかの典型的なタイプに分けることで、その特徴を捉えようとする手法のことを指します。

例えば、血液型という類型に分類することで「A型の人は几帳面」のような性格を捉える血液型診断は類型論の一例といえるでしょう。

特性論の概要

特性論とは、人のパーソナリティが「特性」と呼ばれる要素の集合体であるとみなし、その特性の組み合わせ方によってパーソナリティ全体を捉えようとする方法です。

類型論と特性論の違い

類型論と特性論の違いを簡単にまとめたものが以下の表です。それぞれについて、詳しく説明していきます。

類型論特性論
長所全体的かつ直感的に把握できる個人の詳細な特徴が把握できる
短所詳細な把握が困難で、中間型・移行型の説明が困難直感的な全体像の把握が困難
代表理論クレッチマーの類型論(身体的特徴)

ユングの類型論(心理的特徴)

アイゼンクの特性論

ビッグファイブ

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類型論とは

性格を典型的なタイプに分けるのが類型論です。類型論の長所と短所をみてみましょう。

類型論の長所

血液型診断でもわかるように、それぞれの類型に当てはめるという特徴から直感的にパーソナリティの全体像を捉えることができます。

例えば、A型の人の性格を思い浮かべると「几帳面」という特徴がパッと思い浮かべることができるでしょう。

類型論の短所

しかし、類型論は現在のパーソナリティ研究でほとんど使用されていません。

それは類型論の長所であるタイプ分けがそれぞれの個人が持つ微細な違いを省略して類型を作るためです。たとえ同じ類型に該当する人が2人いたとしても、それぞれの性格は全く同じではないでしょう。

また、類型論では、それぞれの類型の中間に属する人の説明ができません(中間型の問題)。

他には、太っている人はおおらかで痩せている人は神経質という類型があった場合、体系の変化が起こったことと併せて性格も変化するとは言えないでしょう(移行型の問題)。

類型論の代表的な理論

類型論の代表的な理論についてまとめました。

クレッチマーによる分類

ドイツの精神科医であるクレッチマー,E.が活躍していた20世紀では「統合失調症(分裂病)」「躁うつ病(循環病)」「てんかん」の3つの精神疾患に注目が集まっていました。

そのため、クレッチマーは、それぞれの疾患の患者の体型や性格の関連を検討し、「体格ー気質類型」を提唱しました。

体格-気質類型では分裂気質(統合失調症)・循環気質(躁うつ病)・粘着気質(てんかん)という3つの気質の特徴を次のようにまとめています。

  • 分裂気質:やせ型の体型。まじめで繊細だが、非社交的で内気という性格
  • 循環気質:肥満体型。陽気で社交的だが、温和さと激高が交互に見られる。
  • 粘着気質:筋肉質体型。几帳面で粘り強いが融通が利かない。

シェルドンによる分類

アメリカの心理学者であるシェルドン,W.H.は、精神疾患と結びつけられた分類であるクレッチマーの類型論を健康な男性にも適用できるように「発生的類型論」を提唱しました。

  • 神経緊張型:細身(外肺葉型)で非社交的。心配性で、動きが固く焦りやすい。
  • 内臓緊張型:肥満(内肺葉型)で社交的。自分や生活に満足している。
  • 身体緊張型:筋肉質(中胚葉型)でエネルギッシュかつ大胆。競争心が強く自己主張が激しい。

ユングによる分類

スイスの精神科医であるユング,C.G.は「心的機能」と心的エネルギーの向きである「向性」の組み合わせによって8つの類型を示しました。

心的機能は次の通りです。

  • 思考:物事にはそれぞれ原因と結果があり、論理的に理屈でとらえようとするタイプ。
  • 感情:心に何らかの刺激が加えられると、その時に生じた感情を最優先とするタイプ。
  • 感覚:五感を通じて読み取った情報をその通りに受け取るタイプ。
  • 直感:物事の本質をとらえるのにひらめきや気付を用いるタイプ。

向性は次の2つに分かれます。

  • 内向性:自己の内的世界に心的エネルギーが向かいやすい
  • 外向性:周囲の外的世界に心的エネルギーが向かいやすい

これらの組み合わせにより以下の8タイプに分けることができます。

  • 外向的思考型:客観的事実を重視し、他人の間違いを厳しく追及する。
  • 内向的思考型:主観的判断を重視するため、頑固で融通が利かない。
  • 外向的感情型:流行を追い、対人関係が良好だが、深く考えない。
  • 内向的感情型:感受性豊かで、自身の内面を充実させることに関心が強い。
  • 外向的感覚型:現実を受け入れると共に快楽を求めがちな傾向が強い。
  • 内向的感覚型:物事の奥深くにあるものを感じ取り、独特の表現力を持つ。
  • 外向的直感型:現実的な可能性を追求する。実業家などに多い。
  • 内向的直感型:非現実的な可能性を追求する。芸術家に多い。

類型論に基づいたパーソナリティ検査

類型論に基づいたパーソナリティ検査は次の通りです。

MBTI

MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)とは1962年に開発されたパーソナリティ検査です。

開発者はキャサリン,C.B.とその娘イザベル,C.B.でユングが提唱した類型論を基にしています。

具体的には、次の4指標から性格を16のタイプに分類します。

  • ものの見方(感覚―直感)
  • 判断の仕方(思考ー感情)
  • 興味関心の方向(外向ー内向)
  • 外界への接し方(判断的態度-知覚的態度)

これらの指標によって分類された類型に示される特徴から、自己・他者の理解促進やカウンセラーのトレーニング、リーダーシップの開発など多岐にわたって利用されています。

エゴグラム

エゴグラムはアメリカの精神科医であるエリック・バーンの弟子であるデュセイ,J.によって開発された心理検査です。

もともとバーンが提唱した交流分析という心理療法が基となっており、交流分析では人の心が次の5つに分けられると考えます。

  • CP(批判的な親):責任感が強く厳格で、理想を持って行動する
  • NP(養護的な親):思いやりがあり、優しく、受容的
  • A(大人):現実的で理性的
  • FC(自由な子ども):感情を表出し、創造的。本能に基づいて行動する
  • AC(順応した子ども):感情を画し、遠慮がちで、他者の顔色をうかがう傾向にある

交流分析では「いま、ここ」でのクライエントのあるがままの姿を重視し介入し、感情や思考、行動の責任は自身にあることに気付くことで心身のバランスをとり、良好な対人関係を形成・維持することを目的として行われます。

エゴグラムは交流分析を行ううえで、被検査者のパーソナリティの偏りを調べるために開発されました。

日本においてもっとも用いられているエゴグラムはTEG(Tokyo University Egogram)でも、上述した5つの心を測定しグラフ化することで、それぞれのグラフの形(類型)に当てはまった性格傾向や行動パターンを捉えます。

日本人に一番多いとされるグラフの形は「への字」型とされ、NPが一番高くなるグラフです。周囲との協調性を重んじる日本人は、思いやりを持つNPが高くなるのは国民性ともいえるでしょう。

特性論とは

個人のパーソナリティを特性の集合体としてとらえることのできる特性論の長所・短所は次の通りです。

特性論の長所

特性論は、パーソナリティを構成する要素を詳細に把握するという特徴から、それぞれの個人が持つパーソナリティの特徴を量的に詳細に把握することができます。

また、量的に個人のパーソナリティを捉えるため個人間の比較がしやすく、エビデンスが重視される昨今の心理学研究で多用されています。

特性論の短所

特性論の短所としては、類型論と異なり、特性の集合を見てもそれが何を表しているか直感的にとらえるのが困難です。

特性論の代表的な理論

次に特性論の代表的な理論をご紹介します。

オルポートの理論

アメリカの心理学者であるオールポート,G.は人の性格特性が、普遍的で共通した「共通特性」とその個人に特有の「個人的特性」の2種類に分けられるとしました。

これにより、個人間の比較を行えるようになりパーソナリティ研究が一気に注目を集めるようになりました。

アイゼンクの理論

アイゼンク,H.J.は人の類型は特性から形成されるとして、類型論と特性論の統合を目指しました。

アイゼンクは因子分析と呼ばれる統計分析を行い、パーソナリティを「内向-外向」「神経症傾向」「精神病傾向」の3次元に分けました。

これを基に開発されたのがモーズレイ人格目録(MPI)です。

キャッテルの理論

人の知能が「流動性知能」と「結晶性知能」の2つに分けられるという主張をしたことでも有名なキャッテル,R.B.は、辞書にある性格を表す用語4500語を分析し、35ののまとまり(クラスター)に分類しました。これを外から観察可能な表面特性と名付けています。

そのうえでこれらのまとまりを因子分析したところ、複数の因子を抽出しました。これは根源特性と呼ばれます。

そもそもキャッテルは外から観察可能な表面特性だけではより深いパーソナリティの理解はできないと考え、表面的行動の背後にある要因を探るべく根源特性を巡る研究を行っています。

これに基づいて開発されたのが16パーソナリティ因子質問紙(16PF)です。

ビッグファイブ理論

現在最も支持されているパーソナリティ理論です。

これは人の特性を5つの基本的特性次元から捉えることが大きな特徴です。

  • 神経症傾向(N):落ち込みやすさなど感情・情緒の面での不安定さ
  • 外向性(E):外界への興味関心の度合い
  • 開放性(O):新しい経験への興味関心の度合い
  • 調和性(A):周囲と協調した行動をとる傾向
  • 誠実性(C):責任感があり、まじめな傾向

ビッグファイブは特性論の中でも特に信頼性(再現性)が高いとされており、世界各地で積極的に研究がなされているため、文化差など豊富な知見が蓄積されているという特徴があります。

特性論に基づいたパーソナリティ検査

特性論に基づいた心理検査は数多くあり、実際の心理臨床の現場でも頻繁に用いられます。

YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)

YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)はギルフォード,J.P.が作成した質問紙検査を矢田部達郎らによって日本版に改良がくわえられた質問紙です。

この検査では12の下位尺度に10の項目が設定されている全120項目で構成されています。

この検査は12種類の性格特性を測定するという特徴から多面的に性格を捉えることが可能であり、実施、採点も容易なため、臨床現場や基礎研究で用いられることも多いです。

しかし、虚偽尺度を有していないため、検査結果が真にクライエントのパーソナリティを反映しているかを慎重に判断しなくてはなりません。

そのため、受験態度なども記録に残すようする工夫が求められます。

MPI(モーズレイ人格目録)

MPI(モーズレイ人格目録)は独自の特性論を提唱したアイゼンク,H.J.によって開発されたパーソナリティ検査です。

MPIではアイゼンクが提唱したパーソナリティ理論に基づき、内向性-外向性(E尺度)と神経症傾向(N尺度)の2つの性格特性を測定します。

この検査の大きな特徴は虚偽尺度(L尺度)を設定している点が挙げられます。

そもそも質問紙法では、被検査者のテストに対する動機づけが低い場合、信頼性・妥当性に疑問が生じてしまいます。(選択式のアンケートで適当に丸をつけてしまうなどの場合、アンケート結果が測定したい内容を反映しているとは言えないでしょう)

そのため、通常であれば得点が高く(低く)なるはずのない質問項目をあえて組み込むことにより、被検査者の受験態度を測定し、検査結果が信頼できるものかチェックできるようになっています。

MPIは24項目と比較的項目が少なく、被検査者への負担も少ないため、基礎研究のほか、心理臨床や学校教育など幅広い領域で活用されています。

類型論と特性論の違い

ここまで解説してきた類型論と特性論の違いを再度まとめます。

類型論特性論
長所全体的かつ直感的に把握できる個人の詳細な特徴が把握できる
短所詳細な把握が困難で、中間型・移行型の説明が困難直感的な全体像の把握が困難
代表理論クレッチマーの類型論(身体的特徴)

ユングの類型論(心理的特徴)

アイゼンクの特性論

ビッグファイブ

 

類型論・特性論について学べる本

さらに深く知りたい方へ、類型論・特性論などパーソナリティに関して学ぶことのできる書籍をご紹介します。

初めて学ぶパーソナリティ心理学:個性をめぐる冒険

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この本では類型論・特性論に関する紹介はもちろんのこと、パーソナリティという目には見えないものを測定するためのデータに関する解説や遺伝と環境がパーソナリティに与える影響などパーソナリティに関して網羅的に解説してあります。

そこで、パーソナリティ研究に興味のある方の入門書としておすすめです。

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パーソナリティ論の歴史について触れつつ、心理検査や発達におけるパーソナリティの形成プロセスについても丁寧に解説を加えているなど、網羅的にパーソナリティを学ぶことができます。

パーソナリティを捉えることは自己・他者理解のきっかけに

パーソナリティを学ぶことはこれまで漠然としていた人間の性格を明確にとらえるために役立ちます。

そのような理解は深い自己理解・他者理解につながるため、日常生活でも役立つと感じられる機会も多いはず。

今回ご紹介した書籍でパーソナリティに関してさらなる理解を深め、より充実した生活を送りましょう。

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参考文献

  • 吉川眞理(2020)『よくわかるパーソナリティ心理学 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)』ミネルヴァ書房
  • 一般社団法人日本MBTI協会『MBTIとは』

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    • この記事を書いた人

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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