内向性(内向型)とは?意味や特徴、外向型との違い、診断方法を解説

2022-03-07

人間の性格は大きく内向型と外向型という二つに分けることができます。内向型とはいったいどのような意味なのでしょうか。

内向的な性格の人の特徴や具体例、内向的・外向的かどうかを判別する診断検査、内向的な人に向いている仕事などについてを解説します。

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内向性(内向型)とは?

内向性や内向型とは人の性格のタイプを示す用語です。人間の性格をいくつかのタイプに当てはめて捉えようとする試みのことは類型論と呼ばれています。

類型論における内向と外向

内向的と外向的という類型論を提唱したのはユング,C.Gという精神分析家です。

ユングは、こころのエネルギーであるリビドー自分の内側を向いているのか、外側に向いているのかということに注目し、分類を行いました。

特性論における内向と外向

その後、様々なパーソナリティに関する研究が行われ、性格はいくつかの要素から構成されるとする特性論においても採用されています。

アイゼンク,H.J.が開発したモーズレイ人格検査では、人間のパーソナリティを構成する最も基本的な要素は神経症傾向(情緒の不安定さ)と内向-外向の2次元であると指摘しています。

また、現在、パーソナリティ研究において最も支持されているビッグファイブ理論では、人間の性格を次の5つの因子から説明しようとしています。

【ビッグファイブ理論の5因子】

  • 神経症傾向:不安や抑うつなど情緒の不安定さ
  • 外向性:社交的で活動的な程度
  • 開放性:新しいもの、珍しいものに興味を示す程度
  • 調和性:他者への共感性や優しさの程度
  • 誠実性:まじめ、不真面目な程度

このように、現在の心理臨床や心理学研究で重視されているパーソナリティ理論においても内向性は最も基本的な’パーソナリティ特性の一つであると考えられているのです。

内向型の意味

内向型というものは、当初精神分析に基づき、リビドーの方向性から説明がなされましたが、現在での内向型とは一般的に次のような意味で用いられています。

【内向型の意味】

思慮深く、控えめで、感情を表に出しにくく、外界よりも自分自身に興味や関心が向けられやすい性格のこと

外向型との違い

内向性と必ずと言っても良いほどセットで現れるのが外向性です。

そして、内向性と外向性は対を成しており、外向性が低いことを内向性だと判断することが現代のパーソナリティ研究の主流となっています。

外向性は、内向性と正反対なので「周囲の物事に対して興味を示し、社交的で活発な性格」のことを指しています。

性格検査における内向性と外向性の定義

ただし、性格検査の背景となる理論ごとに若干外向性(それに付随する内向性も)の定義は異なっています。

主要な性格検査における外向性の定義は次の通りです。

【主要な性格理論における外向性の定義】

性格理論名称定義
ユングのタイプ論外向主体の関心が積極的に客体に向けられている状態
ロールシャッハテスト外角型紋切り型化した知能、再生産性、外へ向かう生き方、変動しやすい情動性、現実への順応能力の豊かさ、拡張的な関係の持ち方、興奮した、不安定な運動性、巧妙と器用さ
Y-G性格検査社会的外向社会的、対人接触を好む傾向
思考的外向おおざっぱでのんき(深く物事を考えない)
MPI外向性社交性・衝動性・活動性・快活性・興奮性
NEO-PI-R外向性温かさ・群居性・断行性・活動的・刺激希求的・良い感情

内向型の人の特徴

内向型の人は、その定義にもあるように控えめで思慮深く、細かな点にも気がつきやすいと言われています。

しかし、そのような特徴は実際どのように表れるのでしょうか。

川原・松岡(2007)はこのような内向型の人と外向型の人の特徴の違いとして、注意機能特性と情報処理スタイルという点から検討を行っています。

内向型の人と外向型の人の、注意機能や情報処理スタイルの違いを検討したところ、以下のような傾向がみられました。

  • 内向型の人は、意志決定場面で合理性という観点から判断を行う傾向がある
  • 外向型の人は、意志決定場面で経験に基づいた意思決定を行う傾向がある

このような傾向の違いは認知的な処理の速度や質に大きく影響すると考えられます。

内向型の人の認知処理

内向型の人は、1つの刺激に注意を集中し、その注意を切り替えることで複数の刺激を含む総合的な判断を行う情報処理を行う傾向がある

と考えられます。

例えば対人関係においては、相手がどのような人物かを判断するために、相手の持っている特徴1つ1つをじっくりと吟味し、仲良くなれそうか、信頼できる人物かを見極めてから意思決定を行います。

外向型の人の認知処理

対して、外向型の人は複数の事物に注意を向け判断を行う傾向があると考えられます。

しかし、人間が一度に注意を向けることのできるリソースは限られており、複数の事物を同時にじっくりと吟味することは難しいでしょう。

そのため、経験から培われた所謂「勘」や「フィーリング」に基づき、素早く意思決定を行うのです。(このような経験に基づき素早く意思決定を行う方略のことをヒューリスティックと呼びます)

内向型を診断する性格検査

内向型を診断する心理検査の代表例としては次のようなものが挙げられます。

モーズレイ人格検査

MPIとも呼ばれるモーズレイ人格検査は、「神経症傾向」と「内向-外向」の下位尺度から構成される心理検査です。

人間の性格を構成する最も基本的な要素として、初めて内向性-外向性を取り上げた心理検査であり、この下位尺度の結果から自分は内向型なのか銅貨を判断することができるでしょう。

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NEO-PI-R

現在最も支持されている主要な5因子から性格を説明しようとするビッグファイブ理論に基づいた心理検査です。

下位尺度に設定されている外向性尺度が低いと内向性が高いことを意味しているのですが、NEO-PI-Rの外向性尺度は次の要素から構成されており、ご自身の内向性がどのような特徴を持っているのかを詳細に知ることができるでしょう。

【NEO-PI-Rの外向性尺度】

  • 温かさ
  • 群居性
  • 断行性
  • 活動性
  • 刺激希求性
  • よい感情
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Y-G性格検査

Y-G性格検査は性格心理学研究で有名なギルフォードの性格検査を参考に日本の矢田部達郎が日本人向けに標準化した性格検査です。

この検査の下位尺度には、思考的外向性を測定するT尺度と社会的外向性を測定するS尺度が含まれています。

T尺度の得点が高いと思慮に欠け、おおざっぱな考え方をする傾向が、S尺度の得点が高いと人間関係において社交的だということを表します。

Y-G性格検査では、外向性を2つの要素に分けて捉えているため、内向型の人は思慮深く、慎重に考えという思考的な特徴と、社交的ではないという対人関係における特徴を分けて自信が内向的かどうかを測定することができるでしょう。

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内向型の人に向いている仕事

多くの仕事において、コミュニケーション能力は高く評価される傾向にあり、所謂「コミュ力」に長けている外向型の人は優れていると思われがちです。

しかし、どのような性格も長所もあれば短所もあります。

今回は内向型の人の性格特徴を生かせるような仕事の例をいくつかご紹介します。

一般事務・総務

会社において、スケジュールを管理したり、期日までに書類を作成したりする事務職は内向型の人に向いている仕事の一つでしょう。

内向型の人は、思慮深く、1つのタスクに注意を集中させるしっかり者です。

そのため、期日を忘れて書類が出来ていない、スケジュールをしっかりと把握できていないなどの失敗は起きにくく、見知った社内の人とのコミュニケーションに限られるため内向型の人の特性を生かしやすい仕事であると言えるでしょう。

経理

金額的なミスを起こすことができない経理職もしっかり者の内向型の人に向いている仕事でしょう。

特に、給与計算や経費管理など数字が1桁違うだけで大きな問題が起きてしまいますが、しっかりと確認を取り着実に仕事を進める内向型の人は自分の能力を存分に生かしやりがいを感じながら働くことができるでしょう。

研究職

研究職は、事前の研究目的や研究デザインをしっかりと構築することが何よりも大切です。

注意深さと1つのことを深く掘り下げて考える内向型の人のすぐれた分析力は研究職で周囲の人に役立つ結果を導き出すことができるでしょう。

飽きっぽい人には粘り強く1つのテーマを熟慮することが苦痛となってしまいますが、自分の興味関心や疑問などの内面に向き合う傾向のある内向型の人には働きやすさを感じることのできる仕事です。

プログラマー

IT化が進み、現代社会で不可欠となったプログラマーも内向型の人に向いている仕事の1つです。

プログラミングは、途中のコードが少し間違っているだけでエラーが起こるなど、細部まで注意を払いコードを書いていくことが求められる業務です。

そのため、多くの人とコミュニケーションをとる必要が無く、プログラミングに没頭することのできるプログラマーという仕事は内向型の人におすすめの仕事であり、これからも人材の需要が高まっていくことでしょう。

内向型について学べる本

内向型について学べる本をまとめました。

初学者の方でも手に取りやすい入門書をまとめてみましたので、気になる本があればぜひ手に取ってみてください。

ユング心理学でわかる「8つの性格」

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内向型・外向型というタイプ論を初めて提唱したユングの性格理論を解説した一説です。

精神分析のリビドーが自分自身に向かいやすいという点で内向型を捉えたユングの理論ですが、その特徴は現在の内向型・外向型という性格の捉え方の基本になっています。

ぜひ、内向型の原点から学び始めましょう。

もう内向型は組織で働かなくてもいい 「考えすぎるあなた」を直さず活かす5ステップ

コミュ力が重視される現代社会で、内向型の人は自分の強みに気づくことができず、悩んでしまうこともあるかもしれません。

しかし、弱みと強みは表裏一体であり、自分の個性を活かす場所にいければ内向型の人でも輝くことができるでしょう。

ぜひ、考えすぎてしまう内向型の人が自分の個性を活かすための方法を学びましょう。

思慮深く、細部まで気遣いのできる才能

内向型の人は、社交的で派手な外向型の人に比べ、控えめで人見知りのように見えてしまうかもしれません。

しかし、思慮深く、細部まで気遣いのできるという長所があることを忘れないでおきましょう。

重要なことは、どのような性格にも長所と短所があることを自覚することであり、その長所を活かすことのできるよう過ごすことが求められるのです。

【参考文献】

  • 山下竜一・横山恭子(2016)『外向性・内向性の概念に関する文献的考察 : Jung, Rorschach, YG, 16PF, MPI, NEO-PI-Rに記述された外向性の定義からの考察』上智大学心理学年報 40, 9-18
  • 下仲順子・中里克治・権藤恭之・高山緑(1998)『日本版NEO-PI-Rの作成とその因子的妥当性の検討』性格心理学研究 6(2), 138-147
  • 川原正弘・松岡和生(2007)『外向型・内向型における注意機能特性と情報処理スタイルの関連性』現代行動科学会誌 (23), 1-10

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    • この記事を書いた人

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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