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プロカウンセラーに必要な資格とは?国家資格・民間資格の違いや仕事の内容を解説

カウンセリングを生業とするカウンセラー。そのプロとアマチュアの線引きはどこにあるのでしょうか。プロのカウンセラーになるためには、どういった資格が必要なのでしょうか。カウンセラー唯一の国家資格「公認心理師」についてご紹介します。また、高卒でも、通信講座でカウンセラーになる方法についても解説します。

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心理カウンセラーとは

そもそも、心理カウンセラーとは何でしょうか。さらに言えば、心理カウンセリングや心理療法とは何でしょうか。大切なところなので、まず最初に詳しく説明します。

心理カウンセラーの仕事内容

心理カウンセラーは、その名の通り、心理カウンセリングを生業としています。しかし、心理カウンセリングとは何でしょうか。ただ、話を聞いているだけなのでしょうか。よく耳にする「心理療法」とは何が違うのでしょうか。

心理カウンセリング(Psychological counselingu)とは、教育学部に属し、ロジャーズ(Rogers,C.R.)が提唱した人間性を重視する活動として、心理学に拘らない、広い領域に開けた人間援助の総合学を目指します。比較的健康度の高いクライエントの問題解決の援助がテーマとなっており、異常心理学やアセスメントは、あまり重視されません。また、専門性よりも人間性が重視されるといった特徴があります(下山, 2009)。

よって、「心理カウンセリング」とは、「比較的健康な人が、より良く生きて行くためのお手伝いをする。」と換言できるかもしれません。一方で、「心理療法」とは、以下の様に定義されています。

心理療法(Psychotherapy)は、精神分析などの特定の理論を前提として、その理論に基づく実践を行うことを目指すものです。したがって、信奉する学派の理論と技法を習得し、それを適用することが重視されるので、アセスメントでは、その学派の技法が適用できるかどうかの判別が重要となります。また、特定の学派の理論の習得訓練が必要になるので、大学のような学術的な場ではなく、私的な研究所での教育が中心となります。その学派の技法をいかに適用するかが中心テーマであるので、技法の適用を検討する事例研究は盛んに行われるものの、学術的な研究にはあまり関心が払われません(下山, 2009)。

以上から、「心理療法」を「心理カウンセリング」と対にして換言してみると、「あまり健康的でない人が健康に生きるため、理論や実践的技法に基づいて援助していくこと。」と言えるでしょう。

上述の定義のように、「心理カウンセリング」と「心理療法」には、

  • 誰を対象としているか
  • どれほど高い専門性があるか
  • 特定の学派による理論に基づいた実践か

という大きく3つの違いがあると言えるでしょう。(ただし、区分の仕方は人によって異なるため、こうした分け方には賛否両論あるかもしれません。ここでは便宜上、上記の分け方で解説していきます)

心理カウンセラーとは、この「心理カウンセリング」「心理療法」のいずれか、またはどちらもを生業としている者を言います。

心理カウンセラーとして働くために必要な資格

プロのカウンセラーになるためには、「公認心理師」「臨床心理士」のいずれかが必要であるとされています。それぞれどのような資格なのか、見ていきましょう。

公認心理師

公認心理師は、心理学関連唯一の国家資格です。平成27年に成立した公認心理師法に基づいています。詳しくは厚生労働省の公認心理師のページに記載されていますので、興味のある方は一度読んでみることをおススメします。

臨床心理士

臨床心理士は、日本で最初に出来た心理学関連の資格であり、民間資格でありながら高い専門性を有する資格です。詳しくは公益社団法人日本臨床心理士資格認定協会のホームページに記載されていますので、興味のある方は読んでみて下さい。

※カウンセラー以外の心理資格については、以下の記事で解説しています。

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心理カウンセラーの国家資格・公認心理師とは

日本で唯一の国家資格である公認心理師は、プロのカウンセラーであることの証の一つです。現在、病院や学校と言った心理カウンセラーの就職先においても、「必要な資格」の第一に、こちらの資格の名前が書かれています。心理カウンセラーを目指す方は、必ず知っておくべき資格ですので、ここで詳しく説明していきます。

公認心理師の概要

公認心理師は、2015(平成27)年9月9日に成立し、同年9月16日甲府、2017(平成29)年9月15日施行の、公認心理師法という法律に基づいています。

法律第一条には、以下のように定められています。

「この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。」

また、公認心理師は、法律第二条において定義されており、公認心理師の名称を用いて、各分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって行うべき業務を以下の4項目で示しています。

①心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

②心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導、その他の援助を行うこと。

③心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導、その他の援助を行うこと。

④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

つまり、この4つの業務を行うことを目的として成立された資格が、公認心理師です。

公認心理師の受験資格と難易度

公認心理師の受験資格は、以下8つの方法で習得が可能です。

  • 区分A: 4年制大学において省令第一条で定める科目を履修した後、大学院において省令第二条で定める科目を履修した者。
  • 区分B: 4年制大学において省令第一条で定める科目を履修した後、省令第五条で定める施設で省令第六条で定める期間以上の実務経験を有する者。
  • 区分C: 第一号及び第二号と同等以上の知識及び技能を有すると認定された者。
  • 区分D1: 施行前に大学院において省令附則第二条で定める科目を履修した者。
  • 区分D2: 施行前に大学院に入学し施行日以降に省令附則第二条で定める科目を履修した者。
  • 区分E: 施行前に4年制大学において省令附則第三条で定める科目を履修(又は履修中)の後、施行後に大学院において省令第二条で定める科目を履修した者。
  • 区分F: 施行前に4年制大学において省令附則第三条で定める科目を履修(又は履修中)の後、省令第五条で定める施設で省令第六条の定める期間以上の実務経験を有する者。
  • 区分G: 実務経験5年を経た後、講習を受講した者。

これらいずれかの方法で、受験資格を得た後、公認心理師試験を受験します。試験に合格すると、晴れて公認心理師の資格を手に入れることが出来ます。

参考までに、公認心理師試験の第一回試験(平成31年実施)の合格率は79.1%でした。翌年の第二回試験での合格率は46.4%と、年々難しくなっていることが分かります。

公認心理師と臨床心理士の違い

公認心理師と臨床心理士は、前述の通り「国家資格か。民間資格か。」という違いが特に知られている大きな差の一つですが、実は何より重要なこととして、その資格の目的に差があります。

公認心理師は、前述した通りの4つを目的としています。一方で、臨床心理士の目的は「①臨床心理査定」「②臨床心理面接」「③臨床心理的地域援助」「④上記①~③に関する研究・調査」です。それぞれ簡単に説明していきます。

臨床心理査定: 診断(diagnosis)ではなく、査定(assessment)と表記します。相談に訪れた個人の主訴(何に困っているのか)、来談経緯(どうして相談に来ようと思ったのか)、生活歴(その人はどの様な人生を送って来たのか)等、目の前のクライエントを多角的・包括的に理解することを目指します。

臨床心理面接: クライエントに対する適切なアセスメントに基づいた支援を行うことです。また、心理士とクライエントで「共感」「受容」「再生」に基づき、信頼関係(ラポール)が構築されていく過程であり、必要に応じて、適切な理論に基づいた技法を用いた実践的相談援助を行います。

臨床心理的地域援助: 特定の個人(クライエント)のみならず、その周囲の方々に対しても、カウンセリング・コンサルテーション・コーディネーションを通して支援を行っていくことも目的としています。また、災害時の支援活動を行うことも目的としています。

④上記の①~③に関する研究・調査: 心理的問題を扱っていくために、理論・技法・知識を確実なものとするために、臨床心理学的調査や研究を行い、最新の専門的知識を更新していき、高い専門性を維持することも目的の一つとされています。

心理カウンセラーの代表的な民間資格

代表的な民間資格として「臨床心理士」をご紹介しましたが、その他にも心理カウンセラーの資格はあるのでしょうか。高卒でも通信講座での受講により習得可能なカウンセラー資格をご紹介します。

メンタル心理カウンセラー

資格習得のキャリカレにて、心理カウンセラーの資格が習得可能です。以下のURLから、キャリカレのホームページに飛べます。心理カウンセラーとしての第一歩に、どうぞ一読してみることをおススメします。

メンタルケア心理士

ヒューマンアカデミーでも、心理カウセラー資格が習得でき、講座も充実していています。こちらのホームページのURLも貼っておきますので、キャリカレと見比べてみると良いかと思います。

心理カウンセラーの資格を習得する方法

心理カウンセラーの資格は主に以下のルートで習得することが可能です。

大学・大学院で学ぶ

心理系大学卒業後、心理系の大学院に進学することで「公認心理師」「臨床心理士」の資格が習得可能です。プロカウンセラーへの王道ルートです。大学院には、第一種指定校と第二種指定校の二種類が存在します。

第一種指定校では、二年制の大学で心理学を学び、学内にある相談施設で、実際のクライエントを相手にカウンセリングを行います。こうした実習を経て、卒業後に受験資格を習得できます。

第二種指定校では、二年間心理学を学び、学内に相談施設がないため、病院や相談機関等で一年間の実践実習を積みます。こうして卒業後に、受験資格を習得できます。

専門学校で学ぶ

心理系の専門学校でも、心理学を学ぶことが可能であり、公認心理師・臨床心理士の資格試験に必要なカリキュラムの一部を受けることが可能です。しかしながら、実際に上述の二つの受験資格を得るためには、4年制大学への編入が必要です。

講座・セミナーを受講する

心理学系の学会におけるワークショップをはじめとし、一般の方でも受講できる講座・セミナーは多く存在します。

まずは「ポジティヴ心理学」「子育て」「アドラー心理学」など、ご自身の興味のある分野で検索して、心理学講座・セミナーを受けてみると良いでしょう。

通信講座を利用する

通信講座では、資格のキャリカレや、ヒューマンアカデミアでの通信講座があります。詳しくは、ぜひホームページをご覧ください。

心理カウンセラーの資格習得に関するQ&A

心理カウンセラーについて気になるところをQ&A方式で分かりやすく解説していきます。

資格なしで心理カウンセラーになることは可能?

「心理カウンセラー」とは、資格の名前ではなく、何らかの団体が名称独占しているものでもありません。誰でも「私は心理カウンセラーです」と名乗ることは可能です。Twitterやブログで広告を打つことで、実際にカウンセリングを行うことも可能かもしれません。

しかし、気分障害や統合失調症など、ある特定の精神疾患・障害を有する者に対しては、カウンセリングを行うことで逆効果となってしまう場合もあります。十分に注意し、自分の技量をしっかり見極めた上で行っていく必要があるでしょう。

たくさんの種類がある心理カウンセラーの資格、どんなものを取ればいい?

カウンセリングや心理療法を生業として、プロのカウンセラーになるためには、やはり「公認心理師」「臨床心理士」の二つが外せません。しかし、これらの資格を習得するには、並大抵でない時間とお金と努力が必要です。

まずは、アマチュアカウンセラー資格ではありますが、「メンタル心理カウンセラー」「メンタルケア心理士」といった通信講座での資格習得を第一歩としてみると良いかもしれません。

独学で心理カウンセラーの資格は習得できる?

先ほど述べた、通信講座によるカウンセラー資格は、独学でも習得は十分可能です。しかし、プロのカウンセラーになるには、実習等が必要なため、独学での習得は不可能です。心理学系大学に入学することが必要です。

また、カウンセラー資格ではありませんが、「心理学検定」は独学で習得可能な心理学系資格であり、こちらを習得しておくと、大学受験で有利になります。

高卒でもカウンセラー資格は習得できる?

高卒でも習得が可能なカウンセラー資格は多くあり、通信講座を利用することで習得が可能です。しかし、こうした独学での習得が可能な資格は、やはりアマチュア資格であり、実際のカウンセラーとしての就職には結びつきません(個人でやっていくことは可能かもしれませんが)。

プロのカウンセラーになり、実際に相談機関や精神科病院等に就職し、カウンセリングを生業にしていくには、大学・大学院の卒業が必要です。

プロのカウンセラーになるために必要なもの

プロのカウンセラーになるためには、先に述べた様に、資格が必要だというのはもちろんのことですが、資格を得るために現実的には何が必要なのでしょう。

まず第一に、「お金」です。現実問題、大学・大学院の卒業が必要なため、どうしてもお金はかかります。また、プロのカウンセラーになったあとも、学会への参加や、スーパーヴィジョン(先輩のカウンセラーから指導を受けること)等、出費がかさむというとのが現実的なところです。

次に必要なものは、「知識欲」です。大学受験・大学院受験は学校にもよりますが、非常にレベルの高いものであり、資格試験も同様です。また、晴れて臨床心理士の資格を取った後も、学会へ参加したり、論文を執筆することでポイントを更新し、資格を更新し続ける必要があります。高い専門性を維持するために、プロのカウンセラーは常に学び続ける知識欲が必要です。

そして、最後に必要なものは、上述の二つを実現するための「時間」です。大学・大学院の卒業だけでも、最低6年の月日を要します。

プロのカウンセラーになり、人を支援するということは、最低でもこれだけのものが必要です。しかし、それでも人を助けたい、人の人生という物語に伴走したいという方は、ぜひプロカウンセラーへの第一歩を踏み出してください。辛く、苦しく、大変でも、やりがいのある仕事。それが心理カウンセラーです。

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参考文献

・よくわかる臨床心理学 改訂新版. 下山晴彦(編). 2017. ミネルヴァ書房.

・公認心理師 現任者講習テキスト 2018年版. 一般財団法人日本心理研修センター(監修). 2018. 金剛出版.

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    • この記事を書いた人

    こっけ

    臨床心理学学科大学卒業後、臨床心理学研究科の大学院に在学。恋愛をテーマに研究。19歳で上級心理カウンセラー資格習得。20歳で心理学検定10領域全領域を合格し、心理学検定特一級を習得。

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