パーソナリティ障害について分かりやすく学べるおすすめの本10選

2022-05-20

パーソナリティ障害とは、思考様式や行動が属する文化や社会の平均より著しく偏っており、周囲の人や本人が悩む状態のことを指します。

かつてはパーソナリティ(人格)は不変なもの、改善困難であると捉えられてきましたが、今日においては取り組みによって修正・改善が可能であると考えられるようになりました。

パーソナリティ障害への対応としては、日常生活や社会生活での困難を減らすために、本人や周囲がパーソナリティ障害の特徴や対応について正しく理解することがまずは重要となります。

今回は、パーソナリティ障害について学びたい人におすすめの本をいくつかご紹介します。

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パーソナリティ障害とは

※パーソナリティ障害についてはこちらの記事にて詳しく解説していますのでご参照ください。

パーソナリティ障害とは、思考様式や行動が属する文化や社会の平均より著しく偏っており、周囲の人や本人が悩む状態のことを指します。

なお、思春期を超えるまでは、パーソナリティが固まっていない場合があることなどから、パーソナリティ障害は18歳以上から認定されます。

パーソナリティ障害と言っても、その特徴は様々あり、以下のように3つのグループ、10種類のタイプに分類されます。

パーソナリティ障害への対応としては、パーソナリティの変容というより生活上の困難を減らすことに焦点を当て、偏りがあっても相手や状況に応じて柔軟に反応できるようになることが目的となります。

A群(奇異な、普通ではない行動を示す)

妄想型パーソナリティ障害:強い猜疑心があり、他人を信用しない

シゾイドパーソナリティ障害:感情が平板、孤独を何よりも優先する

統合失調型パーソナリティ障害:行動が奇異、独特の言語・信念

B群(派手な突飛な行動を示す)

反社会性パーソナリティ障害:違法行為を繰り返す、危険でスリリングな状況を好む

境界線パーソナリティ障害:見捨てられることへの過敏さ、情緒や対人関係の不安定さ、自傷行為など自分を損なう行為

演技性パーソナリティ障害:関心を引くために大袈裟な芝居がかった表現、身体的外見の利用

自己愛性パーソナリティ障害:自身の重要性に関する誇大な感覚、特権意識を持つ

C群(不安恐怖に関連する)

回避性パーソナリティ障害:失敗を極度に恐れ、責任の掛かる状況・対人交流を避ける

依存性パーソナリティ障害:心理的な支えを常に必要、他者からの有り余る助言を求める

強迫性パーソナリティ障害:完全主義で融通が利かない、規則細部にとらわれる

※各パーソナリティ障害について、詳細な記事があるものについてはリンクを貼っております。併せてご参照ください。

初心者にもおすすめの読みやすいパーソナリティ障害の本4選

まずは、これからパーソナリティ障害について学んでいこうとする方におすすめできる分かりやすい・読みやすい本を紹介します。

パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか

パーソナリティ障害研究に取り組む第一人者の一人とされる精神科医の岡田尊司先生の著書です。

パーソナリティ障害全体及び各パーソナリティ障害の特徴や背景、克服のポイントや周囲の接し方のコツについて、具体例とともに分かりやすくまとめられています。

見出しも各パーソナリティ障害のタイプの特徴を一言で表されており、全体としてパーソナリティ障害とは何かといった概要を掴むことができる1冊です。

ササッとわかる「パーソナリティ障害」

こちらも岡田尊司先生の著書となります。パーソナリティ障害の背景や要因、各タイプの特徴や接し方などがコンパクトにまとまっています。

見開きページの右側が文章による解説、左側が図やイラストなどによって視覚的にまとめられており、読みやすい構成となっています。

文字サイズも比較的大きく、図やイラストが多いので非常に分かりやすく、パーソナリティ障害の概要を理解するにあたっては、おすすめできる書籍です。

ウルトラ図解 パーソナリティ障害

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パーソナリティ障害の基礎知識や各タイプの特徴、診断のポイントや対処法などが丁寧にまとめられています。

図表やイラストによって、視覚的に分かりやすくなっていることもあって、パーソナリティ障害についてイメージが湧きやすい構成となっています。まず読んでみるにはおすすめできる1冊です。

マンガでわかるパーソナリティ障害 もっと楽に人とつながるためのヒント

マンガとなっているのですらすらと短時間で読みやすく、パーソナリティ障害について理解を深める取っ掛かりともなります。

内容としては、境界線パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害などをテーマにしたストーリーとなっており、それぞれの特徴について具体的なイメージを掴むことができます。

パーソナリティ障害をしっかりと学ぶのにおすすめの本3選

次に、ある程度はパーソナリティ障害について知っている、または上記の本を読んでもっと詳しく学びたいと思った方におすすめできる本もご紹介します。

医療現場におけるパーソナリティ障害―患者と医療スタッフのよりよい関係をめざして

パーソナリティ障害の定義や類型などについて理論的な説明に加え、医療現場における問題について具体的な症例も紹介されており、パーソナリティ障害への理解が深まります。

「よりよい関係をめざして」とのタイトルにも表れているように、パーソナリティ障害の影響で苦しむ人に対して、医療スタッフとしてどのように対応していくかについても述べられています。

専門家としてパーソナリティ障害の方と関わっていく上でも役に立つような内容となっています。

パーソナリティ障害の診断と治療

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精神分析の基礎概念を掴んだ上で、精神分析的な視点から各タイプのパーソナリティの構造について、丁寧かつ分かりやすく解説されています。

診断の考え方、アセスメントや症状の理解の仕方など、実際に見立てを行うにあたって非常に役に立つ内容であり、実践力を高めることができる1冊です。

SCID-5-PD: DSM-5パーソナリティ障害のための構造化面接

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パーソナリティ障害の診断を行うための構造化面接について、その特徴や施行方法、診断基準などについて解説されています。

実務者向けの内容とはなりますが、パーソナリティ障害を正しく理解する上では参考となる資料です。

境界線パーソナリティ障害に関する本3選

パーソナリティ障害の中でも、代表的なものとして境界線パーソナリティ障害が挙げられます。主な特徴としては以下のとおりです。 ※境界性パーソナリティ障害についてはこちらの記事にて詳しく解説していますのでご参照ください。

見捨てられ不安が強いため、相手の関心を惹く(見捨てられること避ける)ために、なりふり構わぬ努力(自傷行為や自殺企図、暴言や嫌がらせなど)をする

情緒や対人関係の不安定さがあり、物事が上手く行っているときは理想化し、上手く行かなくなるとこきおろすといった両極端に変動する

・根底にある自分は愛される価値が無いという自己否定感から、自己破壊的行動(自傷行為、自殺企図、薬物乱用、大量飲酒など)を衝動的に繰り返す

周囲の対応としては、本人の激しい衝動行為や対人操作に振り回されないことが肝要と言えます。一定の態度、長期間にわたり同じ態度で変わらない関心と共感を持って寄り添うことが重要とされ、そのために援助の枠組みや制限を設定することも有効と言われています。

最後にパーソナリティ障害の中でも、特に境界線パーソナリティ障害に関して学んでいこうとする方におすすめできる本を紹介します。

ササッとわかる「境界性パーソナリティ障害」

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講談社
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先に紹介した「ササッとわかるパーソナリティ障害」 と同シリーズの書籍であり、境界線パーソナリティ障害について絞って解説されています。

既にお伝えした通り、図やイラストが多く、文章もコンパクトに分かりやすくまとめられており、境界線パーソナリティ障害の特徴について理解しやすい内容です。

また、「境界性パーソナリティ障害の人を支えるために」といった周囲の接し方に関する章も立てられ、対話のテクニックや自傷行為・自殺企図への対応などが具体的に紹介されています。

境界線パーソナリティ障害で苦しむ本人はもちろん、家族やパートナーなど身近な存在の方にとっても役立つ1冊です。

境界性パーソナリティ障害は治せる! 正しい理解と治療法

イラストが多く読みやすい構成となっています。内容としても境界線パーソナリティ障害の特徴について、具体的なケースを例に挙げながらまとめられており、非常に分かりやすいです。

また、医療機関の受診など治療法について具体的に書かれている点は特徴的であるほか、気持ちや行動をコントロールするレッスンとして、セルフケアについても紹介されているなど実践的な内容となっています。

絆の病

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ポプラ社
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岡田尊司先生(精神科医)と境界性パーソナリティ障害を克服した当事者である咲セリさんの対話方式で展開されています。

テンポが良く読み進めやすいだけでなく、咲セリさんのリアルな心情やエピソードに、岡田先生の解説が加わることで、境界線パーソナリティ障害の特徴が具体的にイメージしやすくなります。

また、パートナーをはじめ周囲の関わりが、境界線パーソナリティ障害の克服に大きな影響があったとして、周囲のサポートについても詳細に語られています。

当事者としてどのように接してもらいたいか、どう接してもらえたことが良かったのかも振り返られており、サポートをする側への参考にもなる内容です。

 パーソナリティ障害の特徴を正しく理解しよう

対人関係の問題、うつ病や自傷行為、虐待、非行、依存症など様々な症状の背景にはパーソナリティ障害が関係していることは少なくありません。

そのため、パーソナリティ障害について知識が十分でないと、パーソナリティの問題が起こっていても、何が起きているのか分からないということもあろうかと思います。

また、困難があってもそれに対してどのように改善していけば良いのか、周囲はどのように接していけば良いのかを見出すことも難しくなります。

パーソナリティ障害の特徴や対処法を知ることで、自己理解や他者理解が進み、様々な症状や対人関係の問題などへの克服・対処の方法を考えることに役立ちます。

パーソナリティ障害に興味が湧きましたら、是非手に取って読んでみていただければと思います。

参考文献

  • 下山晴彦 監修(2012)『面白いほどよくわかる!臨床心理学』西東社
  • 岡田尊司 著(2010)『ササッとわかる「パーソナリティ障害」 (図解 大安心シリーズ) 』(講談社)
  • 岡田尊司 著(2012)『ササッとわかる「境界性パーソナリティ障害」 (図解 大安心シリーズ) 』(講談社)

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    • この記事を書いた人

    blue_horizon

    民間企業在職中に心理カウンセラーを志し、心理学を学び始める。臨床心理士指定大学院卒業後は、司法及び産業領域の心理職として稼働。公認心理師・臨床心理士。

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