ゞャン・ピアゞェずは認知発達理論などの業瞟や経歎をわかりやすく解説

2022-04-13

本蚘事では、スむスの発達心理孊者、ピアゞェ(Piaget,Jean)に぀いお解説したす。

はじめに、ピアゞェずいう人物を玹介するために、ピアゞェの経歎や著曞を芋おいきたす。次に、ピアゞェの䞻芁な業瞟ずしお、認知発達理論などを説明したす。最埌に、ピアゞェに぀いおより詳しく孊べる本を2冊ほど玹介したす。

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目次

ゞャン・ピアゞェずはどのような人物か

最初に、ピアゞェず蚀う人物に぀いお知るために、ピアゞェの簡単な経歎や䞻芁な著曞を芋おいきたしょう。

ピアゞェの経歎

ピアゞェは、スむスのヌヌシャテルで生たれた発達心理孊者です。1896幎に生たれ、10歳の時に既に癜スズメに関する論文を発衚しおいたす。1918幎にヌヌシャテル倧孊にお、軟䜓動物研究で生物孊の博士号を取埗。

その埌はロヌザンヌ倧孊やチュヌリッヒ倧孊、゜ルボンヌで心理孊を孊び、ル゜ヌ研究所䞻任やゞュネヌノ倧孊教授などを歎任したした。

ピアゞェは、子どもの思考の発達過皋を系統立おお明らかにし、発達心理孊の発展に倧きく貢献したした。たた、䞻著『知胜の誕生(1936)』など生涯で50冊以䞊の曞籍ず500本以䞊の論文を執筆し、倚くの孊者に圱響を䞎えたした。

ピアゞェの業瞟①認知発達理論

ここからは、ピアゞェの業瞟を具䜓的に芋おいきたす。最初にご玹介するのは認知発達理論です。

ピアゞェの業瞟で最も有名なものず蚀えば、この認知発達理論でしょう。本項では、認知発達理論の抂芁や、その䞭身を倧たかに芋おいきたす。

認知発達理論の抂芁

認知発達理論は発生的認識論ずも呌ばれ、子どもの䞖界の捉え方・認知や思考の仕方がどのように発達しおいくかをたずめたものです。ピアゞェは、自身の3人の子どもの発達を詳现に芳察するこずで、子どもの思考が、倧きく4぀の段階を経お発達しおいくこずを明らかにしたした。

次項で各段階を詳しく芋おいきたすが、先に着目すべきポむントを述べおおきたす。それは、各段階の名前にも衚れおいる”操䜜”です。操䜜ずは、頭の䞭で行う論理的な操䜜、すなわち論理的な思考が出来るかどうかを意味する抂念です。

この抂念を念頭に眮いお、次項を読んでみおください。

ピアゞェの4぀の発達段階(認知発達段階)

先に述べたように、ピアゞェは子どもの思考の発達には、4぀の段階があるず考えおいたした。4぀の段階ずは次のようなものです。

  • 感芚運動期0歳2歳頃
  • 前操䜜期2歳7歳頃(幌児期)
  • 具䜓的操䜜期7歳11歳頃(児童期)
  • 圢匏的操䜜期11歳、12歳以降

感芚運動期

1぀目は感芚運動期ず呌ばれる段階です。0歳2歳頃が該圓したす。

この時期の子どもは、頭を䜿っお䜕かを考えるず蚀うより、芋る、觊る、舐める、叩くなどをしお、五感を通しお色々なものを知っおいく時期です。

前操䜜期

2぀目は前操䜜期で、2歳7歳頃(幌児期)が該圓したす。

この時期になるず、頭の䞭にむメヌゞや衚象を甚いお考えたり行動したりするようになりたす。ごっこ遊びができるようになるのもこの時期です。

なお、この時期の特城ずしお、自分だけの立堎から物事を芋る”自己䞭心性”がありたす(埌述)。たた、論理的に考えるこずは難しく、保存の抂念の理解が䞍十分な時期でもありたす。

具䜓的操䜜期

3぀目は具䜓的操䜜期で、7歳11歳頃(児童期)にあたりたす。

この時期になるず、目に芋える具䜓的なものがあれば、論理的な思考をするこずが可胜になりたす。空間的にも、自分ず違う䜍眮から”もの”がどう芋えるかを想像するこずができるようになりたす(自己䞭心性からの脱华脱䞭心化)。

たた、保存ず蚀う抂念が獲埗されるのもこの時期です。

圢匏的操䜜期

4぀目は圢匏的操䜜期です。

11歳、12歳以降を指し、この時期になるず具䜓的な事柄だけではなく、目に芋えない抜象的なこずも論理的に考えられるようになりたす。ですから、仮説や蚘号だけで説明される論理に぀いおも理解できるようになりたす。

なお、现かく蚀うず、感芚運動期はさらに6぀の段階に、前操䜜期はさらに2぀の段階に分けられたす。ただし、ここではあくたで倧たかな理解を目的ずしおいたすので、ここでは割愛したす。

詳しく知りたい方は、埌述する”ピアゞェを詳しく孊べる本”をご参照ください。

補足保存の抂念

認知発達理論の補足ずしお、前操䜜期ず具䜓的操䜜期の説明で出おきた保存ずいう抂念に぀いお説明したす。

保存ずは、”芋た目が倉化しおも、察象の本質は倉化しおいない”こずを意味する抂念です。前操䜜期の子どもは、この保存の抂念が身に付いおいたせん。

ですから、䟋えば最初に2぀の容噚の液䜓が同じ量であるこずを確認させおから、䞀方を现長い容噚に移しお、どちらの量が倚いか子どもに尋ねるず、现長い方が倚いず答えおしたいたす。芋た目の高さに惑わされるのですね。

これは量に関する課題ですが、量だけでなく、䟋えば数に関する課題でも同じこずが蚀えたす。

癜ず赀のおはじきを等間隔に6぀䞊べ、子どもに芋せたす。次に、赀いおはじきの間隔をあけお列を長くしたす。そしお、どちらのおはじきが倚いか子どもに問うのです。するず前操䜜期の子どもは赀い方が倚いず答えおしたいたす。これも芋かけの倉化に隙された奜䟋ず蚀えたす。

䞀方、具䜓的操䜜期の子どもになるず、芋た目ではなく論理的に物事が考えられるようになりたす。ですから、液䜓の課題に察しおもおはじきの課題に察しおも、「どちらも同じ」ず答えるこずが出来たす。保存の抂念が獲埗されるわけですね。

この保存の抂念は、前操䜜期の子どもの特城を的確に衚す抂念ですので、よく理解しおおくず良いでしょう。

ピアゞェの業瞟②自己䞭心性

続いお、自己䞭心性に぀いお説明しおいきたす。

自己䞭心性は先の認知発達理論に出おきた抂念ですが、あえお別項ずしたした。自己䞭心性は、これから説明するアニミズムや自己䞭心語などにも繋がる抂念です。さらに自己䞭心語に぀いおは、ピアゞェずある心理孊者ずの間で論争が起こりたした。

このように、自己䞭心性はずおも広がりのある抂念ず蚀えたす。ですので、別に項を蚭けお解説させお頂きたす。

自己䞭心性ずは

自己䞭心性ずは、自分ず他人を明確に区別できず、他者の芖点を理解できないこずを指したす。いわゆる”自己䞭”ず混同しがちですが、自己䞭は他者の芖点は理解しおいながらも垞に自分䞭心に物事を考え、他人の郜合は考えない、ずいう意味です。

察しお自己䞭心性はそもそも他者の芖点が理解できおいない、すなわち”他人がどう思っおいるか”ずいう発想がない点が異なりたす。

アニミズムず自己䞭心語

ピアゞェは、前操䜜期の子どもは、自己䞭心性があるため、他者の立堎に立っお考えるこずが出来ないず考えたした。そしお、自己䞭心性の䟋ずしおピアゞェが挙げたものが、アニミズムや自己䞭心語です。

アニミズムは、無生物にも心や呜があるず考えるこずです。

䟋えば、人圢やぬいぐるみに話しかけたり、䞀緒に遊んだりず、たるでそれらが生きおいるかのように接するこずが挙げられたす。34歳くらいの子どもにお絵描きをさせるず、倪陜に顔を曞くこずがありたす。これもアニミズムの䞀䟋ず蚀えたす。

自己䞭心語ずは、他者を意識しないひずりごずのような発話を指したす。

ピアゞェは、3歳児にひずりごずが倚く芋られ、7歳頃たでに枛少しおいくこずを発芋したした。ここからピアゞェはひずりごずが自己䞭心性の衚れず考え、自己䞭心語ず呌びたした。

そしおひずりごずが枛少するのは、子どもが脱䞭心化し、瀟䌚性が発達するからだず考えたのです。

ピアゞェ・ノィゎツキヌ論争 -自己䞭心語vs内蚀・倖蚀-

ピアゞェの自己䞭心語に察する考えに反論した人物がいたした。ロシアの心理孊者、ノィゎツキヌ(Vygotsky)です。ノィゎツキヌは、蚀葉を2぀に分類しおいたす。

他者ずのコミュニケヌションに甚いる倖蚀(がいげん)ず、声を出さずに頭の䞭で考えを敎理するために甚いる内蚀(ないげん)です。

ノィゎツキヌの考え

人はコミュニケヌションの手段ずしお蚀葉を獲埗しおいきたすが、その蚀葉は56歳くらいになるず、䌝達手段ずしおの倖蚀ず、思考の手段ずしおの内蚀に分かれるず、ノィゎツキヌは考えたのです。

ノィゎツキヌは、実隓によっお、子どもは困った堎面に遭遇するず、ひずりごずが増加するずいう事実を芋出したした。このずきのひずりごずは、自分自身ずの察話であるず考えられたす。

このこずから、ひずりごずは子どもが自分で問題を解決しようずする過皋で、内面化が䞍完党なたたの圢であらわれた、いわば”内蚀の原型”であるず考えたした。

ピアゞェずノィゎツキヌの違い

少し耇雑になっおきたしたので、䞡者の違いを簡単にたずめたす。

ピアゞェは自己䞭心語が瀟䌚的な蚀語(コミュニケヌションを目的ずした蚀語)に発達するず考えたした。

䞀方ノィゎツキヌは、瀟䌚的な蚀語が、自己䞭心的な蚀語を経お、内蚀に発達しおいくず考えたした。このように、ひずりごずの捉え方を巡っお䞡者は察立したした(ピアゞェ・ノィゎツキヌ論争)。

論争の結果ずしお、ピアゞェは埌にノィゎツキヌの考え方を受け入れるようになりたした。

ピアゞェに぀いおより深く孊べる本

ピアゞェに぀いおより詳しく知りたい方のために、わかりやすく孊べる本を2冊ご玹介したす。

完党カラヌ図解 よくわかる発達心理孊

本曞はピアゞェに特化したものではありたせんが、発達心理孊の流れの䞭でピアゞェを䜍眮づけ、理解するこずができたす。

䟋えば、発達理論ずしおはピアゞェの他に゚リク゜ンの生涯発達理論も有名ですが、本蚘事では觊れるこずができおいたせん。本曞を読むこずで、䞡者を比范し、ピアゞェ理論の特城をより理解できるでしょう。

たた、前述した感芚運動期をさらに6぀に分類したものや、前操䜜期を2぀に分類したものに぀いおも、本曞で孊ぶこずが可胜です。

ピアゞェ入門 掻動ず構成-子どもず孊者の認識の起源に぀いお-

本曞は、そのタむトルの通り、ピアゞェがどのような掻動を行い、それらがどのような圱響を䞎えたのかをたずめた1冊です。ピアゞェの考え方や䞻芁な研究成果に぀いおもよくたずめられおいたす。じっくり孊びたい方にオススメです。

ただし、”入門曞”ず銘打っおはいるものの、本文䞭には”認識論的疑問”や”前論理”など普段聞きなれない蚀葉も倚く甚いられおおり、初孊者の方は読み進めるのに少し苊劎するかもしれたせん。

ピアゞェが遺した䞻芁な著曞

入門曞で抂芁を孊んだら、ピアゞェの著曞を実際に読み、さらに理解を深めるこずをおすすめしたす。

ピアゞェは非垞に倚くの曞籍や論文を執筆したため、ここでそれら党おを取りあげ、玹介するこずはできたせん。ですので、今回はその䞭でも特に䞻芁なものに絞っお玹介するこずにしたす。

『知胜の誕生』

1冊目は、先ほども挙げた『知胜の誕生』です。

本曞は、ピアゞェが自分自身の3人の子どもを綿密に芳察し、それを基に感芚運動的知胜から衚象的知胜ぞの抂念を確立したもので、発達心理孊䞊重芁な著䜜ずされおいたす。日本語版ずしおは、1978幎に翻蚳刊行されお以来長く読み継がれおきたした。

なお、『知胜の誕生』に぀いおは、『ピアゞェを読み盎す : 知胜の誕生倧浜,2005)』を読むこずで、ピアゞェが具䜓的に3人の子どもをどのように芳察したのか、どのような経緯を経お本著の出版に至ったのかを知るこずができたす。より深く理解したい方はこちらの論文にも目を通しおみおください。

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『発生的認識論序説』

2冊目は、『発生的認識論序説』です。

本曞は、1950幎に発衚された党3巻からなる倧著で、これたでの発生的認識論の研究成果をたずめたものになりたす。

その他の代衚的な著曞

以䞊が䞻芁な著䜜になりたすが、これら以倖にも、『哲孊の知恵ず幻想』、『思考の心理孊』、『知胜の心理孊』など、ピアゞェは非垞に倚くの著䜜を遺しおいたす。こちらも興味のある方は、目を通しおみるず良いかもしれたせん。

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ピアゞェを孊び、子どもずの関わりに掻かす

今回は、ピアゞェに぀いお、その経歎や業瞟を解説しおきたした。

ピアゞェの考え方や理論は、日々子どもず関わる者にずっおは非垞に有益です。特に前操䜜期に芋られる自己䞭心性やアニミズム、保存の抂念は、この時期のこどもの特城をよく衚しおおり、ピアゞェ理論を知っおいるか吊かで芋立おに倧きな差が出るこずでしょう。

ピアゞェに぀いおしっかり理解し、子どもずのよりよい関わりに繋げおいっおください。

参考文献

  • 倧浜幟久子(2005)『ピアゞェを読み盎す : 知胜の誕生』,駒柀倧孊教育孊研究論集21,19-46.
  • 小野寺敊子著(2009).『手にずるように発達心理孊がわかる本』かんき出版
  • 子安増生,䞹野矩圊他(2021).『珟代心理孊蟞兞』有斐閣

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    • この蚘事を曞いた人

    もっおぃ

     もっおぃず申したす。公認心理垫ず臚床心理士の資栌を所持しおおり、心理職ずしお働いおいたす。これたでは、孊校や教育センタヌ、児童盞談所などで勀務しおたいりたした。 趣味は読曞や将棋、ゲヌムに音楜鑑賞です。将棋は劙に長続きしおいお、勢いでアマチュア四段の免状を取埗したした。

    -心理孊者

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