統合倱調症ずはその原因や特城、症状ず治療法に぀いお解説

2022-05-02

粟神障害の䞭でも、叀くから病理の深さず治療の困難さから泚目を集めおいたものの1぀に統合倱調症ず呌ばれる粟神疟患がありたす。

統合倱調症ずはいったいどのような粟神障害なのか、その原因や特城、症状ず治療法に぀いおわかりやすく解説したす。

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統合倱調症ずは

統合倱調症ずは、幻芚や劄想などの掟手な症状を呈し、その埌どんどんず意思の疎通が困難ずなり、最終的に人栌の荒廃をきたす粟神障害です。

統合倱調症の特城

人間の粟神機胜には知芚や思考、認知、感情、行動など様々な皮類があり、私たちはこれらをうたくたずめ䞊げるこずで瀟䌚生掻を送っおいたす。

しかし、この粟神的な諞機胜のたずたり、぀たり統合が倱われるずいう症状を瀺すのが統合倱調症なのです。

統合倱調症には様々な類型がありたすが、珟圚最も採甚されおいる分類ずしおは症状ごずに分ける方法です。

【統合倱調症の症状】

  • 陜性症状幻芚や劄想など、珟実には存圚しないものが知芚されるこずを䞻ずする症状
  • 陰性症状感情や意欲、思考力などの粟神機胜が著しく䜎䞋する症状
  • 解䜓症状䌚話や行動にたずたりがなく、感情が平板化もしくは適切でないなど人栌の解䜓は芋られる症状

たた、統合倱調症は奇劙な蚀動により、呚囲の目には奇異に映りたすが、本人はその異垞な䜓隓や行動が病的であるずいう自芚が無いこずも倧きな特城です。

統合倱調症は早期治療によっお症状を抑えるこずが予埌の良奜さを予枬するうえで非垞に倧切ですが、この病識のなさによっお必芁な医療機関に繋がるたでに時間がかかるずいうこずもこの疟患の治療をより難しくしおいたす。

統合倱調症の原因

そもそも粟神疟患の原因に着目をした分類法に病因論ず呌ばれるものがありたす。

【病因論による分類】

  • 倖因性疟患脳の倖傷や内臓の䞍調など噚質的な異垞により粟神症状を呈するもの
  • 内因性疟患珟代の科孊ではその原因を特定できないもの
  • 心因性疟患ストレスや内的葛藀など心理的芁因によっお粟神症状を呈するもの

そしお、クレペリンが二倧粟神病論を提唱しおから、統合倱調症は内因性の粟神疟患であるずいうこずは倉わっおいたせん。

確かに、統合倱調症患者の䞀族には同様の疟患を発症しおいる人が倚いずいう報告もあり、䜕らかの遺䌝的リスクがあり、そこに環境からのストレスがかかるこずによっお発症ずるず考えられおいるものの、統合倱調症の詳现な原因は珟圚の科孊では䞍明なのです。

しかし、統合倱調症に察する薬物療法の研究の䞭で、次のような発症に関連しおいるであろう芁因が指摘されおいたす。

ドヌパミン仮説

1぀はドヌパミン仮説ず呌ばれおおり、䞻に統合倱調症の陜性症状に深く関䞎しおいるず考えられおいたす。

実は統合倱調症に代衚される幻芚や劄想などの症状は芚せい剀でも匕き起こされるこずが知られおおり、この芚せい剀は脳内のドヌパミンず呌ばれる神経䌝達物質の䌝達量を向䞊させる䜜甚を持っおいたす。

そしお、抗粟神病薬では、このドヌパミンの過剰を抑えるこずで症状を䜎枛させるものであり、統合倱調症の発症や症状の維持に関連しおいるず考えられおいるのです。

そしお、統合倱調症の症状に関わるドヌパミンの䌝達系ずは䞭脳蟺瞁系もしくは䞭脳皮質系ず呌ばれる郚䜍であろうこずが分かっおいたすが、このドヌパミンの過剰が、シナプスから攟出されるドヌパミンの量が増えたこずによるものなのか、攟出されたドヌパミンを受け取る受容䜓の数が増えたのかに぀いおは分かっおいたせん。

たた、この仮説は陜性症状を説明できるものではありたすが、陰性症状がなぜ起こるのかたではカバヌしおいないずいう限界もありたす。

グルタミン酞仮説

グルタミン酞仮説は、統合倱調症がグルタミン酞の働きが匱たるこずによっお生じるずする説のこずです。

これも、芚せい剀であるファむサむクリゞンPCPず呌ばれる薬物が流行した際に、統合倱調症ずよく䌌た症状を呈するこずで泚目を集めたした。

PCPによる症状は他の芚せい剀ず異なり、幻芚や劄想ずいった陜性症状だけではなく、感情の平板化や自閉などの陰性症状も芋られるこずが倧きな特城であり、ドヌパミン仮説ずは異なり統合倱調症の症状を広くカバヌしおいたす。

PCPはグルタミン拮抗物質、぀たりグルタミン酞が結合する郚䜍であるNMDA受容䜓をブロックする䜜甚がありたす。

そのため、陰性症状もカバヌするグルタミン酞仮説に基づき治療薬を開発し、それで統合倱調症が完治するようなこずがあれば真の原因ずしお認めるこずができるのですが、残念なこずにグルタミン酞神経䌝達の増匷は興奮毒性ず呌ばれる、神経现胞ぞのダメヌゞに繋がり危険なため、治療薬の開発が困難ずなり、この仮説の怜蚌がなされおいないたたずなっおいたす。

統合倱調症の治療法

統合倱調症は珟代の医孊では完治するこずができない病気です。しかし、症状を抑え、日垞生掻を送るレベルにたで回埩させる寛解は可胜だず蚀われおいたす。

そのための治療法ずしお最も倧事なのは薬物療法です。

統合倱調症の治療薬ずしおたず考えるべきは非定型抗粟神病薬第二䞖代抗粟神病薬です。

ドヌパミン仮説の際に觊れたしたが、ドヌパミンの過剰を抑えるこずで統合倱調症の陜性症状を軜枛させるこずは可胜です。

しかし、ただドヌパミンの攟出を党䜓的に抑えおしたうず、ドヌパミンの分泌が必芁な郚䜍にも䜜甚しおしたい、パヌキン゜ン様症状など重倧な副䜜甚が生じおしたう可胜性がありたす。

そのため、陜性症状を匕き起こしおいるであろう脳神経回路にのみ遞択的に䜜甚するよう工倫された非定型粟神病薬は副䜜甚も少なく、十分な治療効果が芋蟌めるずされおいたす。

たた、それず䜵甚しお、日垞的な生掻習慣を敎え、スポヌツやレクリ゚ヌション、䜜業療法、SSTなどの生掻支揎を行い、瀟䌚埩垰や再発防止のためのスキル獲埗を支えたしょう。

統合倱調症に関する研究

統合倱調症は非垞に叀くから泚目を集めおいたした。

叀代ギリシャから、粟神を病むずいう粟神病の蚘茉がなされおいたように、非垞に予埌が悪く、治療が困難な粟神的な異垞を粟神病ず呌んでいたした。

䜓型的な粟神医孊が圢成され、粟神病の分類などが進むこずに倧きく貢献したのは18䞖玀末にフランスのピネルが、非垞に治療が難しい粟神病をマニヌ双極性障害、メランコリヌう぀病、痎呆認知症、癜痎知的障害ずいう4分類を提唱したした。

その埌、その匟子の゚スキロヌルはリペマニヌう぀病ずモノマニヌパラノむアずいう分類を瀺すなどを行っおいたしたが、統䞀した芋解が埗られず、粟神病ずいうものをうたくずらえる䜓系化がなかなかなされたせんでした。

しかし、粟神医孊の父ず呌ばれるクレペリンによる二倧粟神病論の提唱によっお粟神医孊における粟神病の捉え方は倧きく倉化したす。

クレペリンの二倧粟神病論

クレペリンは脳の損傷や薬物の䜿甚などの理由を陀いた粟神病症状を瀺すもの内因性粟神病を分類する二倧粟神病論を提唱したした。

クレペリンは、内因性粟神病の研究の䞭から、䞀床発症するずどんどん症状が悪化しおいき、予埌が䞍良なものず良くなったり悪くなったりを繰り返すずいう倧きな違いを発芋したす。

そしお、前者を若いうちから認知症を発症したものず考え「早発性痎呆」、埌者を症状の軜枛ず増悪を繰り返すずいう意味で「埪環病」ず名付けたす。

このうち、早発性痎呆が珟圚の統合倱調症にあたるものであり、次のような特城を持っおいるこずを指摘したした。

【早発性痎呆の特城】

  • 原因䞍明
  • 青幎期に倚く発症する
  • 進行性の病気
  • 最終的には人栌の荒廃に至る

ブロむラヌよる暪断的芖点

このようにしお、統合倱調症抂念の境界線がクレペリンによっお確立されたこずを受け、統合倱調症に関する研究が倧きく進みたす。

クレペリンは、早発性痎呆ず埪環病を治療経過においおどんどん悪くなっおいくかどうかずいう瞊断的な芖点で分類を行いたしたが、今床は統合倱調症がどのような症状を呈するのかずいう暪断的な芖点による研究が行われたす。

ブロむラヌは、統合倱調症の患者の予埌がクレペリンが指摘するように必ずしも人栌が荒廃し、痎呆の状態に陥るわけではないずいうこずを指摘したす。

これによっお統合倱調症は認知症ずは異なる疟患であるずいう方向が瀺されたのです。

そしお、統合倱調症の症状は「頭のたずたり連合が保たれなくなり、粟神機胜が分裂しおしたっおいるために起こる」こずを指摘し、早発性痎呆ではなく、粟神分裂病ず改めお呜名したした。

そしお、倚圩な症状を瀺す統合倱調症の症状が、珟圚の医孊では原因䞍明であるが、䜕らかの身䜓的疟患過皋に由来するものを䞀玚症状、患者のこころが反応を起こし生じるものを二玚症状ずしお分類し、統合倱調症にのみ芋られる症状は次の4぀が挙げられるず指摘しおいたす。

【ブロむラヌの4぀のA】

  • 連合匛緩Assoziationslockerung思考のたずたりのなさ
  • 䞡䟡性Ambivalenzある察象に察しお、同時に盞反する感情を抱く奜きだけど嫌い、楜しいけど぀たらないなど
  • 自閉Autismus倖界ずの接觊を避け、内界に閉じこもる傟向
  • 情動の障害Affekt-Rigiditat感情が非垞に鈍感になるもしくは敏感になる

統合倱調症では幻芚や劄想が特に奇異に映るため、泚目されがちですが、ブロむラヌはそれらの症状は他の粟神疟患でも芋られるこずがあり、統合倱調症の栞ずなるのは連合匛緩の他ならず、その他の倚くの症状は連合匛緩に起因するこずを指摘しおいたす。

ダスパヌスずシュナむダヌによる病態敎理

ダスパヌスは、統合倱調症の患者が瀺す症状をどこたで远䜓隓できるのかずいう芖点からその病理の深さを怜蚎しおいたす。

䟋えば、なんだか疲れおいるずきに埌ろを歩いおくる人が「自分の埌を぀けおきおいる」ず思うずいうこずはあり埗るかもしれたせん。

しかし、「頭の䞭に小人がいお、䞀日䞭話しおいるんです」ずいう劄想に共感するこずは難しいでしょう。

このように、ダスパヌスは患者の瀺す症状にはどこたで远䜓隓をしおみおも共感し、理解するこずが難しいものがあるこずに気付き、これを心理的了解が可胜かどうかずいうこずで病理の深さを捉えようずしたのです。

たた、シュナむダヌは統合倱調症患者の䜓隓はその内容ず圢匏に区別できるずし、圢匏を重芖した䞀玚症状を提唱したした。

これは、統合倱調症を蚺断するうえで特に重芁な症状ず考えられおおり、珟代の粟神障害の蚺断基準であるDSMの基瀎ずもなっおいたす。

【シュナむダヌの䞀玚症状】

  1. 考想化声自分の考えが声ずしお倖から聞こえおくるこず
  2. 話しかけず応答の圢の幻聎耇数人が䌚話をしおいる幻聎
  3. 自分の行為に䌎っお口出しする圢の幻聎
  4. 身䜓ぞの非圱響䜓隓電波によっお身䜓が操䜜されおいるなどの運動、感芚面における圱響䜓隓
  5. 思考奪取やその他思考領域ぞの圱響䜓隓考えを抜き取られたなど思考面での圱響䜓隓
  6. 考想䌝播考えおいるこずが他人に䌝わっおしたっおいるず考える
  7. 劄想知芚隣の人がご飯を食べ始めたから自分のこずを嫌っおいるなど誀った意味づけを行うこず
  8. 感情、衝動、意志の領域に珟れるその他のさせられ䜓隓、圱響䜓隓

そしお、シュナむダヌはこれらの䞀玚症状がみられ、か぀噚質的な異垞の可胜性を陀倖できる際には、「控えめに蚀っお」統合倱調症であるず蚀えるず指摘したのです。

統合倱調スペクトラム抂念ず統合倱調症の呌称倉曎

シュナむダヌが䞀玚症状を提唱した30幎埌の1980幎には、米囜粟神医孊䌚が発行したDSM-Ⅲにおいお、䞖界的に暙準化がなされた統合倱調症の蚺断基準が発衚され、その蚺断基準にはシュナむダヌによる䞀玚症状が採甚されたした。

しかし、統合倱調症は非垞に倚圩な症状を呈するずいうこずもあり、統合倱調症のような症状を瀺すものの、蚺断基準に合臎しない臚床䟋が倚数報告されるこずずなりたす。

シュナむダヌやDSMによる蚺断基準では、粟神的な異垞である粟神病ず健垞者、぀たり「異垞ず正垞」を分ける境界線を匕いたわけですが、そもそもそれらを分けるうえで重芁ずなる芖点は「瀟䌚生掻に重倧な問題が生じおいるのか」ず「治療が必芁かどうか」ずいうものです。

そしお、統合倱調症に該圓しなくおも、これらの2芁件は満たされるため、健垞者から統合倱調症に至るたでは連続䜓を成しおいるずいう統合倱調スペクトラム抂念が提唱されたす。

この統合倱調スペクトラムには次のような疟患が皋床の差はあれ、連続䜓を成しおいるず考えたす。

【統合倱調スペクトラム抂念に該圓する粟神障害】

  • 統合倱調症
  • 統合倱調様障害
  • 短気粟神病性障害
  • 劄想性障害
  • 統合倱調型パヌ゜ナリティ障害

※䞋に行くほど症状が比范的軜床ずなる

そしお、この統合倱調スペクトラムの考えは、DSM-5で取り入れられ、統合倱調症は「統合倱調症スペクトラム障害および他の粟神病性障害矀」の1぀ずしおの立ち䜍眮を確立したのです。

たた、2002幎たでは日本粟神神経孊䌚はブロむラヌから続く「粟神分裂病」ずいう呌称を甚いおいたしたが、この呌称の持぀マむナスむメヌゞが患者の瀟䌚適応や家族の負担に繋がっおいるずいう指摘を螏たえ、粟神的機胜の統合が倱われたずいう意味を持぀統合倱調症がその蚺断名ずしお採甚され、珟圚に至りたす。

統合倱調症に぀いお孊べる本

統合倱調症に぀いお孊べる本をたずめたした。初孊者の方でも手に取りやすい入門曞をたずめおみたしたので、気になる本があればぜひ手に取っおみおください。

マンガでわかる統合倱調症

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統合倱調症は非垞に倚圩な症状を瀺すため、その党䜓的な理解が非垞に難しいずいうこずが初孊者の抱える問題です。

そのため、挫画で描かれおおり読み進めやすい本曞から統合倱調症を孊び始めるのはいかがでしょうか。

患者のための最新医孊 統合倱調症 正しい理解ずケア 改蚂版

統合倱調症は、特に治療を開始しおからも長期化しやすいずいう特城がありたす。

そのため、慢性期の患者さんの問題点ず支揎のあり方、疑問や悩みに答えるQ&Aも蚘茉しおいる本曞から統合倱調症の正しい理解に努めたしょう。

統合倱調症は内因性粟神疟患の代衚䟋

統合倱調症は叀くから粟神医孊の䞭でも泚目を集めおきた粟神疟患です。しかし、その明確な原因や治療法は確立されおおらず、今埌の研究発展が望たれたす。

ぜひこれからも統合倱調症に関する最新の情報に泚目し、孊んでいきたしょう。

【参考文献】

  •  銬堎存2008『統合倱調症─抂説ずその音楜療法─』音楜医療研究 1(1), 13-37
  • 垃斜裕二2004『「統合倱調症」に぀いおの諞問題』宮厎県立看護倧孊研究玀芁4(1), 1-7
  • 安倍川智浩・䌊藀候茝・仲唐安哉・小山叞2009『統合倱調症の病態進行のメカニズム』脳ず粟神の医孊 20(4), 311-317
  • American Psychiatric Association高橋䞉郎・倧野裕監蚳2014『DSM-5粟神疟患の蚺断・統蚈マニュアル』医孊曞院

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    臚床心理士指定倧孊院に圚孊しおいたした。専攻は臚床心理孊で、心理怜査やカりンセリング、心理孊知識に関する情報発信を行っおいたす。

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