ピアカウンセリングとは?意味や方法、効果と関連する資格を解説

心理療法やカウンセリングというと、専門的な知識を持っているカウンセラーが、心理的に問題を抱えている病人に対し援助を行うというイメージが強いでしょう。

しかし、中には社会不適応から脱するための支援として、そのような形式を取らないものも存在します。ピアカウンセリングはそのような手法の1つです。

それではピアカウンセリングとはいったいどのようなものなのでしょうか。その意味や方法、効果、資格に加え、具体的な事例を挙げてご紹介していきます。

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ピアカウンセリングとは

ピアカウンセリングは、1972年、イギリスの若者たちの間で広まったグレープパイン運動と呼ばれる市民運動から、アメリカ本土へと移り、その後、カナダ、ラテンアメリカへと広がりを見せた支援活動です。

ピアカウンセリングの意味

ピアカウンセリングは、Peer-Councelingと書きますが、この「Peer」とは仲間や同じ立場の人々という意味を持っています。

つまり、ピアカウンセリングは、仲間同士、同じ立場の人々が集まって行われるカウンセリングです。

有名な定義では、「人間の成長と心の健康に関する知識とともに、アクティブリスニング(積極的傾聴)と問題解決スキルを用いて、年齢、社会的地位、抱えている問題などにおいて立場が同様である人々に、ピアの意識をもって行うカウンセリング」とされています。

一般的なカウンセリングでは、専門的な知識を持った有資格者が個室において1対1で、専門的な技術を活かしクライエントを支援するという形式を取りますが、ピアカウンセリングでは専門家はおらず、グループ形式でお互いに傾聴したり、経験からの話を行うという点で大きく異なります。

また、よく似た支援に自助グループ(セルフ・ヘルプ・グループ)が挙げられますが、嗜癖や依存症の回復プログラムなどに基づき、特定の問題を抱えた対等な当事者のみが集まるものであるため、すこしピアカウンセリングとは性質が異なると言えるでしょう。

ピアカウンセリングの方法

ピアカウンセリングの実施において大切なことは、一般的なカウンセリングと大きく異なるわけではありません。

基本になるのは、相手が語ることに共感し、傾聴することであり、同じ立場におり、困りごとを抱えつつ暮らしてきたピアカウンセラーだからこそ理解と共感を示すことができるケースもあるでしょう。

ピアカウンセリングの実施には「自分のペースで打ち解けていくこと」、「守秘義務を守ること」、「話すときは自分の経験から話すこと」、「決めるつけないこと」などが大切であり、安心して参加できる環境づくりが求められます。

なお、池田(2011)は、ピアカウンセリングを行ううえでの基本姿勢として次の8つの誓約を掲げています。

【ピアカウンセリングにおける8つの誓約】

  1. 批判的にならない、決めつけない
  2. 共感を示す
  3. 個人的なアドバイスは与えない
  4. 詰問調にならない
  5. 相談者が抱える問題の責任はとらない
  6. 解釈をしない
  7. 現状と現時点に視点を据える
  8. まず感情と向き合い、感情について話し合う

ピアカウンセリングの効果

ピアカウンセリングは同じ境遇の人に対してだからこそ自由に心を開き、その援助を受けることのできるという利点が挙げられます。

そのため、問題解決能力を育んだり、自己決定を促すという効果が見込めます。

より詳細にピアカウンセリングの効果を説明すると、大きく次のような2つに分かれます。

【ピアカウンセリングの効果】

  • 精神的なサポート:お互いを尊重し合い、ありのままの自分を受け入れることができるよう寄り添い、サポートする
  • 自立のための情報提供:住居や収入、仕事、余暇など自立生活に関わるあらゆる情報の提供や相談

ピアカウンセリングの事例

それでは、実際にピアカウンセリングとはどのように行われるものなのでしょうか。

今回は槌谷ら(2008)が中学生に対して行ったピアカウンセリングの実践報告をご紹介します。

中学生という思春期は他者への自己開示がなかなか難しかったり、自己の身体の変化が著しい時期でもあります。

そのような時期に、学校の先生から性教育を受けたとしてもなかなか受け入れることが難しく、より良い教育効果は見込めないかもしれません。

そのため、中学3年生女子54名を対象に看護学科の学生12名が、性感染症の基礎知識や現状、感染経路や予防法に対する情報提供を目的として情報提供を行うピアカウンセリングを行いました。

【ピアカウンセリングプログラムの流れ】

  1. 自己紹介・導入:学習目標について皆で確認をしたり、参加メンバーに名札(ニックネーム)をつけ、参加者同士が誰なのかをわかる状況を作る。
  2. ラポールゲーム:いきなり本題に入るのではなく、参加者が打ち解け、こころを開けるよう、皆で協力して行うゲームを実施する。
  3. グループワーク:ピアカウンセリングで必要な、自他の感情、気持ちを大切にする姿勢を養うため、グループ内で意見を交換し、話し合う機会を設ける。
  4. 性感染症レクチャー:性感染症に関する知識を司会者やピアカウンセラーが説明する。
  5. グループワーク:性感染症のリスクが高い状況を例示し、その時にどう感じるか?どう行動するか?について自由に意見を交換し、共有する。
  6. まとめ:学習内容と大切にしてほしいことを振り返りとしてのまとめで伝える。

このような介入を行った後にピアカウンセリングの参加者に調査を行ったところ、性に関する正しい知識を持つことができた他、自分の意見を持ち、それを相手に伝える重要性が育まれたことが見受けられたそうです。

このような、人前で口にしづらい性に関するテーマにはピアカウンセリングは有効なのかもしれません。

ピアカウンセリングの資格

ピアカウンセリングは、臨床心理士や公認心理士のような専門知識を保証する資格認定制度はないものの、人の悩みに触れる行為であるため、一定の知識が求められます。

例えば、日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会では、会が設けている養成講座を修了した者に認定証を授与するという資格認定制度を設けています。

日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会が認定しているピアカウンセリングの資格は次の通りです。

  • ピアカウンセラー
  • ピアカウンセラー養成者
  • ピアカウンセリング・コーディネーター
  • 子育てピア支援者

ピアカウンセリングについて学べる本

ピアカウンセリングについて学べる本をまとめました。

ピア・カウンセリング実践マニュアル 改訂新版: 主体的な生き方を支える (教育単行本)

本書は、性問題、他に健康教育、様々な悩みなどについて、その解決の指導・アドバイスなどをするカウンセラーを目指す、大学などの看護学部学生たち向けの本です。

ピアカウンセリングの実践に興味のある方は、ぜひ手に取って学びを深めましょう。

ピア・サポート実践ガイドブック Q&Aによるピア・サポートプログラムのすべて

ピアカウンセリング・ピアサポートは専門的な知識を有している必要が無いため、実践しやすい支援の一つでしょう。

しかし、実際の支援の場では、どのようにするべきなのか迷い、悩むことも多いはずです。

そのようなときには、Q&Aをまとめた本書に目を通し、日頃の実践を振り返ってみるのはいかがでしょうか。

仲間だからこそ言えること

社会不適応に陥っている時こそ、自分に寄り添ってくれる仲間がいてくれることは心強いものです。

だからこそピアカウンセリングはとても有効であると言えるでしょう。

ぜひ、ピアカウンセリングの学びを深め、一般的な心理療法以外のアプローチも実践できるようにしましょう。

【参考文献】

  • 池田優子(2011)『ピアカウンセリングの理論と実際 : 自尊感情を高め,仲間の輪を広げよう (心身に効く技術と理論の統合) -- (心と身体に効く技術)』日本保健医療行動科学会年報 26, 78-82
  • 槌谷亜希子・篠木絵里・松島可苗・横井寿之・阿保順子(2008)『中学生を対象とした思春期ピアカウンセリング実践報告』北海道医療大学看護福祉学部紀要 (15), 59-64
  • 日本ピアカウンセリング・ピアエデュケーション研究会『資格・認定』http://www.jpcaea.net/sikaku.html

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    臨床心理士指定大学院に在学していました。専攻は臨床心理学で、心理検査やカウンセリング、心理学知識に関する情報発信を行っています。

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