臨床心理学の代表的な用語・キーワード100選

2021-11-29

この記事では、臨床心理学に関する主なキーワードをまとめています。詳しい解説があるキーワードについてはリンクを貼っていますので、気になったキーワードがあればご参照ください。

キーワードが多いため「基礎理論」「アセスメント」「精神障害」「心理療法」に分けて構成しています。なお、臨床心理学という学問については「臨床心理学とは?歴史や特徴、代表的な学会から学べる大学と進路先まで解説」にて紹介されていますので、併せてご覧ください。

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基礎知識

生物-心理-社会モデル

人間は、生物・心理・社会という3つの側面が互いに関係しながら生活しているとの考えに基づき、疾病に対して生物学的要因だけでなく、個人の心理的要因や家族や社会との関係などの社会的要因の要素から総合的に判断するモデル。

エビデンスベイスト・アプローチ

科学的根拠(エビデンス)に基づいて心理的なサポートを行う考え方。カウンセラーが個人の経験や勘、特定の学派に頼り過ぎていると心理療法の効果への疑問が生じる中、科学的に効果があると認められた心理療法を提供しようとする動きから広まる。

ナラティブ・アプローチ

客観的な事実よりも、その出来事に対してクライエント自身が抱いている物語(ナラティブ)を重視し、クライエントの語る物語を通して解決策を見出そうとしていくアプローチ。

インフォームド・コンセント

クライエントに対して、治療を開始する前に、治療内容について説明を行い、クライエントが理解・納得した上での同意を得る手続き。

ケース・フォーミュレーション

問題解決のために仮説を立てることで、より適切な支援の計画を行っていくこと。アセスメントを通して問題を明確化した上で、問題の発生・維持の仮説を生成し、仮説を基にクライエントと話し合いながら目標の確認を行う流れで進められる。

コラボレーション

立場や職種が異なる人や機関が、共通の目的を達成するために対等な立場で協力する体制。複数の専門家がそれぞれの専門性を活かし、協働しながら問題解決にあたることで、相乗効果が生まれ、クライエントにより利益をもたらすことが期待される。

コンサルテーション

一人の専門家が抱えているクライエントの問題解決のために、他の分野の専門家が自分の専門知識に沿って情報を提供する関係。支援する側をコンサルタント、支援される側をコンサルティと呼ぶ。

リファー

他の適切な専門家や専門機関にクライエントを紹介する(引き継ぐ)こと。

コーディネーション

クライエントを他の専門家や専門機関に紹介する(=リファー)だけでなく、紹介先の専門家や専門機関と積極的に情報提供を行うこと。

スーパービジョン

熟達した指導者から教育を受けることを指し、指導する側をスーパーバイザー、指導を受ける側をスーパーバイジーと呼ぶ。

アセスメント

アセスメント(査定)とは、クライエントに関する情報収集や今後の治療方針を決定することを指す。情報収集の手段としては面接法・観察法・検査法が挙げられ、それぞれを組み合わせて総合的・多角的に分析を行う。

面接法

会話を通して情報を得る方法。クライエントの言葉は勿論、仕草や表情などからも情報を収集する。あらかじめ準備した質問項目通りに進める構造化面接、話の流れに応じて質問内容を変更しながら進める半構造化面接、自由に話してもらう非構造化面接に分類される。

観察法

対象となる人や行動を見て情報を得る方法。クライエントの自然な行動を観察する自然観察法、設定された環境下で観察する実験観察法、クライエントに関わって観察する参加観察法、クライエントには気付かれないように観察する非参加観察法の方法がある。

検査法

クライエントに何らかの課題に取り組んでもらい、その結果からパーソナリティや知能などの情報を得る方法。

質問紙法

質問文に対して選択肢の中から当てはまるものを回答する検査法。実施が比較的容易なこと、結果が数量化され客観的な比較ができるメリットがある一方、意図が読みやすく反応が歪められることが懸念される。

MMPI(ミネソタ多面人格目録)

ハサウェイとマッキンリーが作成。臨床尺度(10尺度)と妥当性尺度(4尺度)で構成されており、質問項目は55問。「はい・いいえ・どちらでもない」のいずれかに回答する3件法。

Y-G性格検査(矢田部-ギルフォード性格検査)

ギルフォードの作成したモデルを基に矢田部達郎が作成。質問項目は120項目で、「はい・いいえ・どちらでもない」の3件法。12個の下位尺度からパーソナリティ傾向を測定し、5つの類型に判別される。

MPI(モーズレイ性格検査)

アイゼンクが作成。質問項目は80項目で、「はい・いいえ・どちらでもない」の3件法。神経症傾向や外向性・内向性のパーソナリティ特性を測ることができる。

MAS(顕在性不安尺度)

テイラーが作成。MMPIの不安に関する50項目(日本版は虚偽尺度に15項目追加)を抽出して作成。身体的・精神的な兆候として表出される顕在性不安を測定することができる。

STAI(状態・特性不安検査)

スピルバーガーが作成。状態不安(特定状態での不安)と特性不安(いつもの不安)を測定することができる。質問項目は40項目(各20項目)。

TEG(東大式エゴグラム)

バーンの交流分析を基に東京大学医学部心療内科TEG研究会が作成。質問項目は53項目で「はい・いいえ・どちらでもない」のいずれかに回答。自我状態をCP(批判的な親)・NP(養育的な親)・A(大人)・FC(自由な子ども)・AC(順応した子ども)に分類し、その強弱からパーソナリティ傾向を把握。

CMI(コーネルメディカルインデックス)

ブロードマンが作成。身体的・精神的な自覚症状を把握することができる。質問項目は、男性211項目、女性213項目。

GHQ精神健康調査票

ゴールドバーグが作成。心身の健康状態を評価する検査であり、神経症症状の発見・把握のためのスクリーニングテストとして用いられることも多い。

BDI(ベック抑うつ質問表)

ベックが作成。過去2週間の気分や認知に関する状態についての質問項目(21項目)があり、抑うつ症状の重症度の評価を行う。

SDS(うつ性自己評価尺度)

ツァンが作成。抑うつ性の程度を評価する検査。質問項目は20項目で、「ない・ときどき・かなりのあいだ・ほとんどいつも」の4件法。

投影法

抽象的な刺激を提示し、それに対する反応からパーソナリティや深層心理などを測定する検査法。反応の意図的な歪曲が起こりにくいメリットがある一方、解釈が主観的になりやすく結果にばらつきが生じることが懸念される。

ロールシャッハテスト

ロールシャッハが作成。左右対称のインクの染みの図版10枚を呈示し、反応領域や決定因、反応内容から分析。パーソナリティ傾向のほか、知的側面、対人関係の特徴、病態水準などを把握できる検査。

TAT(主題統覚検査)

マレーとモーガンによって作成。絵画図版(場面設定が曖昧で、人によって受け取り方が異なるような)に関して、ストーリー(過去・現在・未来)を自由に語ってもらい、語られたストーリーからパーソナリティ傾向などを測る。

SCT(文章完成法テスト)

短い刺激文(書き出し)が呈示され、その後を連想し文章を完成させる検査。パーソナリティや対人関係などを把握することができる。自由に刺激文を構成することも出来るため応用しやすいことも特徴。

P-Fスタディ

ローゼンツァイクが作成。欲求不満を引き起こさせるような場面における反応をアグレッション(問題解決の企図・主張性)の方向(他責・自責・無責)などからスコアリングし、パーソナリティ傾向を把握する。

ソンディテスト

ソンディにより作成。8枚の顔写真のうち好きなものを2枚、嫌いなものを2枚選択させることを繰り返す手続きを取り、無意識の欲求や衝動など深層心理を分析。

バウムテスト

コッホが作成。1本の木を描くテストであり、パーソナリティ傾向や知能・発達水準などを測ることができる。言葉を用いないことや手続きが複雑ではないことなどから、幅広い対象に用いられる。

HTPテスト

バックが作成。家・木・人を描き、描画終了後に質問を行う流れで進められ、パーソナリティ傾向などを把握できる検査。描かれた人物に加え、違う性別の人物をもう1枚描く方法である「HTPPテスト」もある。

風景構成法

中井久夫が作成。画用紙に枠付けし、山→川→田→道→家→木→人→花→生物→石の順番で描いていく。空間構造から検査者を理解するとともに、コミュニケーション手段として用いられるなど、心理検査を兼ねた芸術療法としても位置付けられる。

作業検査法

一定の作業課題を与えて、その作業経過や結果に基づいてパーソナリティなどを理解する方法。

内田クレペリン検査

クレペリンの研究を基に内田勇三郎が作成。無作為に並べた1桁の数を2つずつ連続加算させる作業を繰り返し、作業速度の変化(作業曲線)から能力面・パーソナリティや行動の特徴を評価する方法。

ベンダーゲシュタルト検査

ヴェルトハイマーの研究から引用した9つの幾何図形を模写させ、模写した図形の形態から、視覚・運動形態機能や知的水準、病態水準などを把握する検査。

知能検査

知的・認知的機能を測定するための検査。ビネーが就学する子どもが授業についていけるかを判別するために開発した(ビネー式)検査から誕生。

ビネー式知能検査

ビネーが開発、ターマンが「精神年齢(何歳程度の知的能力があるか)」「知能指数(IQ)」の概念を取り入れてまとめる。年齢ごとに並べられた課題に取り組み、成績と実年齢を比較してIQ(比率IQ)を算出する。

ウェクスラー式知能検査

ウェクスラーが開発。知能は様々な能力の総体であると捉え、複数の構成要素に分けている点が特徴。同年齢の得点分布の中での位置からIQ(偏差IQ)を算出。年齢に応じて種類が異なり、幼児用のWPPSI、児童用のWISC、成人用のWAISがある。

K-ABC

カウフマン夫妻が開発。認知能力に加え、基礎学力を計る学習習得度を測定することができる点が特徴。経験不足なのか能力不足なのかを判断することも可能となるなど、教育的な働きかけにも役立てられる。

発達検査

主に乳幼児や就学前の子ども発達の状態を調べるための検査。幼い子どもに対しては、知能だけを検査することが難しいため、運動機能なども含めて発達を評価され、IQの代わりにDQ(発達指数)を用いる。

新版K式発達検査

姿勢や運動、情報処理や手指での対象操作、言語やコミュニケーションの3領域において発達状態を捉える検査。実年齢とどのくらい発達の度合いに差があるかを評価。対象年齢は幅広く、新生児から成人まで適応可能とされる。

精神障害

精神障害とは、心理機能の障害(精神症状)によって、日常生活や社会参加に困難をきたしている状態を指す。

DSM

米国精神医学会による精神障害の診断基準。現在はDSM-5が最新版として用いられる。

ICD

世界保健機関(WHO)による疾病の分類。現在はICD-11が最新版として用いられる。

病因(外因・心因・内因)

精神障害の原因は、外因(外傷や身体バランスの変化)・心因(ストレス・心の問題)・内因(外因でも心因でもない原因不明)の3つに分けられています。

病態水準

カーンバーグが提唱した精神症状の重篤さを分類した理論。現実検討能力(自己と他者・内界と外界が区別)、同一性統制度(記憶や思考の一貫性)、防衛機制(適切な防衛機制の使用)の点から、重い順に精神病・境界例・神経症に分類される。

統合失調症

心や考えがまとまりづらくなる状態が続く病気。症状は、陽性症状(幻覚や妄想など通常見られない体験)と陰性症状(感情の平板化など通常保持されている機能が減弱すること)に分けられる。

うつ病

気分の落ち込みの程度や期間が著しく、身体・精神症状によって生活に支障が出ている状態を指す。症状は、睡眠障害や食欲変化などの身体症状と興味関心の減退や自責感などの精神症状に分けられる。

双極性障害

気分の高揚(躁状態)と落ち込み(うつ状態)が繰り返し現れる状態を指す。うつ状態においてはうつ病と同様の状態となり、躁状態においては、過活動、怒りっぽい、誇大的などの特徴的な行動が見られます。

不安症群(不安障害)

不安感が症状の中心となっている精神障害。過度に不安や恐怖を感じてしまうことで、社会生活に支障をきたす状態。

パニック障害

不安障害のひとつであり、パニック発作(動悸・呼吸困難などの反応が突発的に起こる)が主症状。さらに、何度かパニック発作が起こると予期不安(また発作が起こるのではないかとの不安)が生じ、外出できなくなるなど生活に支障をきたすことがある。

全般性不安障害

不安障害のひとつであり、漠然とした理由の定まらない不安感が慢性的に続き、社会生活に支障が生じている状態。

社交不安障害

人から注目を浴びる場面において極度の不安を感じ、動悸や吐き気、赤面などの身体症状が生じる状態。不安を避けるために対人場面を次第に避けるようになり、社会生活に影響を及ぼすことがある。

強迫性障害

「強迫観念」(ある思考やイメージが繰り返し浮かんでくることによって生じた強い不安や苦痛)と「強迫行為」(不安や苦痛の低減を目的に何かしらの行為を繰り返し続けることの2つの症状から形成れることが特徴。

PTSD(外傷後ストレス障害)

事故や災害、犯罪被害など通常体験する範囲を超えた出来事(心的外傷)によって、強烈なストレスを受けた後に生じる反応。主症状としては、再体験(フラッシュバック)、回避・麻痺、過覚醒が挙げられる。

ASD(急性ストレス障害)

強烈なストレスを受けた直後に生じる反応のこと。PTSDと似たような症状が生じ、症状が4週間以上続くとPTSDへと診断が変わる。

解離性障害

(本来統合されている)意識や記憶の統合が失われ、生活に支障をきたす状態。ストレスや心的外傷などつらい体験を収めておくことができず、記憶や感情を切り離すことで自身へのダメージを避ける防衛反応と考えられる。

解離性健忘

心的外傷やストレスにより記憶を喪失してしまう状態。ある一定期間のみ忘れる場合とそれまでの記憶を全て忘れる場合がある。

解離性同一性障害

多重人格障害とも呼ばれるように、1人の中に2人以上の人格が存在する状態。複数の人格は異なる個性、感情を有しており、人格同士の交流は無く記憶は分離しているとされる。

身体症状症(身体表現性障害)

医学的な原因が見られないのにもかかわらず、苦痛を伴う身体症状が長期に持続している状態。

心気症(病気不安症)

重大な疾患への恐怖にとらわれて、微細な身体の違和感にも固執してしまうことで強い苦痛を感じている状態。

摂食障害

極端に食事を制限したり、大量に食事を摂取したりすることを繰り返すなど食行動の異常が特徴の精神障害。

神経性やせ症(拒食症)

太ることへの恐怖や痩せることへの願望が著しく強く、(実際は痩せていても)低体重を維持しようとする状態。不食などの極端な食事制限をする制限型と、飢餓の反動で過食した後に無理に嘔吐・下剤乱用によって排出する過食・排出型に分けられる。

神経性大食症(過食症)

むちゃ食い(摂食行動がコントロールできず、短時間に大量に食事を摂取すること)を繰り返し、食後に過食を埋め合わせる行為を行うこと。排出行為(嘔吐や下剤使用)を行う排出型と絶食や運動など排出以外を行う非排出型に分類される

パーソナリティ障害

思考や行動が、属する文化・社会の平均より著しく偏っており、周囲の人や本人に苦痛がもたらされる。A群(奇異・普通ではない行動を示す)B群(派手で突飛な行動を示す)C群(不安や恐怖に関連する)に分類される。

妄想性パーソナリティ障害

A群に分類。他人に対する極端に強い猜疑心を抱いている。他人の言動を悪意のあるもだと解釈し、妄想的な思い込みに囚われるなど対人関係に支障をきたすこともある。

シゾイドパーソナリティ障害

A群に分類。他人との関わりを避け、孤独を好む。感情が平板(喜怒哀楽が少ない)で、他者への関心や対人接触への欲求が乏しく、引きこもりの状態にある場合も少なくない。

統合失調型パーソナリティ障害

奇異な思考や行動が目立ち、独特な信念や魔術的思考、言語パターンを持つ。コミュニケーションが困難であり、安定した社会生活や対人関係を持つことが難しい。

反社会性パーソナリティ障害

B群に分類。他者への共感性に乏しく、違法行為を繰り返したり、自分の利益のために他人を騙したり傷つけたりすることを平気で行う。衝動性・攻撃性も強い。

境界性(ボーダーライン)パーソナリティ障害

B群に分類。相手を理想化とこきおろしの両極を揺れ動き、気分や対人関係が両極端に変動する。見捨てられることへの強い不安があり、見捨てられること避けるために、自傷行為や衝動的な行動を取ることもある。

演技性パーソナリティ障害

B群に分類。注目や関心を集めることに強い欲求があり、注目されていないと落ち着かない。関心を惹くために、派手な身体的外見を好み、大袈裟で芝居がかった表現をする。

自己愛性パーソナリティ障害

B群に分類。誇大な自信や万能感を抱き、特権意識を持ったり、周囲には過剰な賞賛を求めたりする。そのため、他人に対する共感性が乏しく、自分の利益のために他人を利用することを厭わない。

回避性パーソナリティ障害

C群に分類。自分に対する不安や緊張があり、責任やプレッシャーの掛かる状況を避ける。自己評価が低く、社会参加に消極的で、批判や拒絶を恐れて対人関係を回避しようとする。

依存性パーソナリティ障害

C群に分類。自己決定に困難さあり、些細な決定も常に他人からの助言や保証を求める。誰かに頼らないと生きて行けないとして、心理的な支えを常に必要とする。

強迫性パーソナリティ障害

C群に分類。一定の秩序を保つことに強いこだわりがあり、完璧主義で融通の利かない傾向が強い。自身の考えを他者に押し付けることが多く協調的な対人関係が結びにくい。

心理療法

心理療法とは、クライエントの症状や問題などの改善や解決を目的に、様々な理論や技法を用いて心理的な働きかけ・サポートを行うことを指す。

精神分析

フロイトが提唱、「無意識(抑圧されていて意識化出来ない心の部分)」の力が人の行動の多くを決定していると考え、抑圧された無意識の葛藤を意識化することで問題の解決を図る方法。

心的構造論

精神分析においては、人の精神機能を「イド(エス)」(本能的欲望の源動)・「自我」(現実に対処すること)「超自我」(良心や道徳的禁止機能)という3つの機能の相互作用と捉える。

防衛機制

欲求不満や強い葛藤に適応できない状態において、心の安定を維持しようとする無意識の働き。抑圧(不快な気持ちや考えを無意識に押し込む)、投影(受け入れ難い感情を排除し、あたかも相手のものであると位置付ける)が挙げられる。

転移・逆転移

クライエントが過去の重要な人物に抱いていた葛藤や欲求をセラピストに投げかけることを転移と呼ぶ。一方、逆転移はセラピストが無意識に自分の感情を向けてしまうことを指す。

自由連想法

精神分析で用いられる技法。横たわり目を閉じ、頭に浮かんできた考えを自由に語らせる中で、抵抗(抑圧されていた無意識が現れそうになると黙ったりすること)や転移を分析(解釈)し、クライエントに伝える過程を通じて抑圧を取り除く試み。

行動療法

学習理論に基づいて、問題行動を適応的な行動に変容させることを目標としてなされる技法の総称。問題行動は学習によって形作られる、それ故に学習によって改善することも可能であるという考え方。

エクスポージャー法(曝露法)

古典的条件付け理論に基づく行動療法の技法。不安を感じる状況に想像上又は実際に曝す(エクスポージャー)ことで、その状況に慣れて不安を減少させることを目指す。

系統的脱感作法

ウォルピによって提唱された技法。不安とリラックスは両立しないと考え、リラックスした状態を作り出し、不安を引き起こす刺激と反応の結び付きを徐々に弱める古典的条件付け理論に基づく技法。

応用行動分析

オペラント条件付けに基づく理論。問題行動が、どのような先行刺激が原因で生じ、その後どのような後続刺激が生まれているかを分析する方法。

モデリング

観察学習理論に基づく技法。見本となる望ましい行動を見せ、それをクライエントが観察し真似することによって適応行動を習得させる方法。

認知行動療法

行動療法と認知療法の長所を統合した理論。非合理的な物事の捉え方や認知を修正し、問題の解決に向けて適切な行動を習得させることをねらいとしている。

認知療法

ベックが提唱。出来事に対して生じる感情は、出来事に対する認知で変わるとの考えから、自動思考(自動的に頭に浮かぶ考えやイメージ)や推論の誤りによって生じた不適切な認知を適切なものに置き換えることを目標とする。

論理療法

エリスによって提唱。出来事をどのように受け止めるかによって問題は解決すると考えられ、非合理的な考え方(イライショラル・ビリーフ)を合理的な考え方(ラショラル・ビリーフ)に変えていくことを目標とする。

来談者中心療法(クライエント中心療法)

ロジャーズが提唱。クライエントは問題を解決出来る力を持つと考え、クライエントが安心して自らの問題に取り組める場を整えることが重要であると示した。カウンセラーの基本態度として、「無条件の積極的関心」「共感的理解」「自己一致」を挙げている。

無条件の肯定的関心

(客観的に見れば矛盾していたとしても)クライエントの話の内容や価値観を、クライエント自身の在りようとして受け入れて尊重すること。

共感的理解

クライエント自身が感じている事を、クライエントが感じている様に感じようとし、感じられたことをクライエントに伝えること。

自己一致

クライエントに対するカウンセラーの実感と言葉や態度が一致していること。面接中にカウンセラーが抱く様々な感情に気づき、自らそれを十分に受け入れている状態。

家族療法

家族をメンバーが互いに影響し合うひとつのシステムと考え、個人の問題行動は家族のシステムに原因があると考え、家族全体にアプローチする心理療法。関係作りやアセスメント、介入など目的に応じて様々な技法が存在する。

森田療法

森田正馬が開発。主に神経症(対人恐怖・強迫性障害・パニック障害など)が対象。不安を排除しようとすると、かえって不安が増大すると考え、症状を直接取り上げず、不安をあるがままに受け止めることで悪循環を断つことを目的としている。

内観療法

吉本伊信が開発。「してもらったこと・して返したこと・迷惑を掛けたこと」の3項目に基づき、過去の事実を調べる中で価値観や人生観の変化を促すことが期待される。1週間程度施設に宿泊して行うとされる集中内観が中心。

動作法

成瀬悟策が開発。クライエントの動作に焦点を当てた心理療法。クライエントが課題に取り組む中で、自分の体の変化への気付きを得たり、自己達成感を高めたりすることを狙いとしている。

箱庭療法

砂の入った箱の中にミニチュアを置くことで自身の内的世界を表現するイメージを媒介とした心理療法。作成を繰り返す過程でクライエント自身の世界が変容し、症状や悩みの解消につながるとされる。

遊戯療法(プレイセラピー)

遊びを通じて行う心理療法。遊びを媒介にするため、言葉が未発達な子どもにも用いることができる点が特徴。A.フロイトやM.クラインらによって展開され、アクスラインは非指示的遊戯療法を唱えて遊戯療法における8つの原則を示した。

フォーカシング

身体では感じるがうまく言葉にならない気付き(フェルトセンス)に注意を向け、それを言語化・イメージ化する過程で新たな気付きを得ることを目的とする心理療法。ジェンドリンによって開発。

 自律訓練法

シュルツにより開発されたリラクセーション法。「公式」と呼ばれる身体の状態を感じる言葉を唱えながら身体の変化を感じることで、意識的にリラックス状態を作り出す方法。不安、抑うつ、不眠など心身のストレス反応を和らげる効果が期待される。

参考文献

  • 下山晴彦 監修(2012)『面白いほどよくわかる!臨床心理学』西東社
  • 下山晴彦 編集(2009)『よくわかる臨床心理学[改訂新版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ) 』ミネルヴァ書房
  • 大塚俊男 著・編集 上林靖子・丸山晋・福井進 編集(2007)『心の病気を知る事典』弘文堂

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    blue_horizon

    民間企業在職中に心理カウンセラーを志し、心理学を学び始める。臨床心理士指定大学院卒業後は、司法及び産業領域の心理職として稼働。公認心理師・臨床心理士。

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